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トップ選手のトレーニング ”バスケットボール” #1 日本バスケットボール協会 スポーツパフォーマンス部会長 アスレチックトレーナー 佐藤 晃一

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掲載日:2018.03.16
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選手の育成・強化に広く関わることになる中核的な部門であるスポーツパフォーマンス部会の部会長として、NBAをはじめ世界のトップチームで長年経験を積み多くの実績を残してきたアスレチックトレーナーの佐藤晃一氏に、「バスケット×フィジカルトレーニング」をテーマに話を伺った。
日本バスケット協会の入り口通路。記念のユニホームが並ぶ。

日本バスケット協会の入り口通路。記念のユニホームが並ぶ。

記事画像3
近未来的なデザインのエントランス。中央には来客用のインターホンとバスケットボールが置いてある。

近未来的なデザインのエントランス。中央には来客用のインターホンとバスケットボールが置いてある。

落ち着いた雰囲気の協会内。壁にはバスケット雑誌が並ぶ。

落ち着いた雰囲気の協会内。壁にはバスケット雑誌が並ぶ。

男子プロバスケットボールのトップリーグであるBリーグ側

男子プロバスケットボールのトップリーグであるBリーグ側

伸びる選手のメンタリティ

私がこれまで出会った一流の選手達は皆、毎回の練習を全力で取り組む努力をしています。
それに加えて、与えられた課題をこなすことだけではなく自分でしっかりと考えてトレーニングに取り組んでいると思います。

昔は、上達のためにはノウハウを持っている人から教わるしかなかったのですが、今はYOUTUBE等で簡単にトップ選手の動きを見たり、世界中の講師から教わることがいくらでもできるようになりました。

良い選手、上に来る選手は皆自分で積極的に情報収集をして、それをどう活かすかを考え、欠けている部分を補うことをしていると思います。

すでに引退してしまいましたが17歳でNBA入りして以降、20年間に渡って活躍したレイカーズのコービー・ブライアント選手を例に取ると、技術や能力も充分に卓越していましたが、そこからさらに苦手を補い、できなかったことをできるようにするような取り組みもしていました。長所を伸ばすことも大事ですが、一流の選手達は短所を埋める努力が素晴らしいと思います。

もちろん、NBA選手の全員がそうかと言うわけでもなく、タレント性や天性の能力だけでNBAに来た選手もたくさんいます。

バスケを判断基準にして考えてみる

バスケットに限らず他の競技にも言えることだと思いますが、一流の選手は生活の全てをバスケットにかけるくらいの気持ちでいます。極論ですが、「バスケのためになるかならないか」を判断基準に生活を考えるという感じです。

バスケが上手くなるためには、朝遅くまでずっと寝ているのと、早起きして練習するのとどっちがいいか。朝ごはんを食べるのと食べないのとどっちがいいか、という感じです。

どっちがバスケのためになるかということを判断基準にしてみる。
そこまでできる人はなかなかいませんし、ストイックすぎるようにも思えますが、実際にそうしてトップへ上がってきた選手も何名か見てきています。やはりそういった選手は貪欲さや向上心が非常に強いです。

選手達にはこのような話をシェアしますが、選手によってはピンとこないこともあるようです。いずれ気づいてくれたら良いと思っています。

「鍛える」ことの定義とは何か

様々なレベルの選手や指導者を指導していると「鍛える」ということの定義が人によって違うと痛感しました。
運動して疲れたり筋肉を疲労することを「鍛える」とする人もいますし、筋肥大することを「鍛える」とする人、柔軟性を上げることで「鍛える」と捉える人もいます。トレーニングをした後の疲労感が「鍛える」という実感になっている選手もいます。

私はまず、動きのバリエーションやその質、動きのパターンを良くする事を「鍛える」ことだと考えています。それぞれの競技において特化したトレーニングというのも多々あると思いますが、選手である前にまずは人間としてできなければいけない動きをまずできるように指導しています。したがって、エクササイズによってはほとんど肉体的疲労感を感じないものもありますし、一般的なウェイトトレーニングのように、筋肉の疲労が起こるものもあります。

例えば、体幹のエクササイズと言えば一般的に腹部を固めたり、強度によっては筋肉痛になるような種目を思い浮かべるかもしれません。しかし実際、体幹の安定性を高めるために動きのパターンを変える事を目的としたエクササイズでは、肉体的疲労を感じないかもしれません。
その代わり不慣れな動きを習得するために、精神的疲労を感じます。私は、疲れなくても辛くなくても、結果として動きが良くなりパフォーマンスを上げることに貢献するならば、それは「鍛える」事だと考えています。

先に述べたように、「鍛える」ことに関しての考え方が各々違うので、まず、「鍛える」という意味を共有するようにしています。選手によってはウェイトトレーニング等でガンガンに「鍛える」つもりでいたのに、全く疲労すら感じないようなエクササイズばかり実施してはお互いのイメージする方向性と食い違ってしまいます。そもそも何を目的にしているのかをお互いに理解することが大事です。

元々私はアスレチックトレーナーとして、選手のリハビリを主な仕事にしていて、その後トレーニング指導もするようになりました。

リハビリは1対1や少人数で行うので選手の動きを細かく敏感に指導することができます。一方で、トレーニングの現場でたくさんの選手、時には30名ほどを一度に見る場合は、細かく指導する1対1のリハビリの感度ではなく少々大雑把に指導します。

1対1の感度で大勢を見てしまうとこだわりすぎてしまい、自分の理想の指導ができなくなってしまったり、内容が進まなくなってしまうことがあるのでその場その場でのベストな結果を出すためには、現場の状況に応じて感度の切り替えが必要だと思います。

選手へのアドバイス「1:15のルール」

まずは姿勢です。
私は「エビくん」と呼んでいるのですが、エビのように背中が丸まっている選手が増えてきています。椅子に座っているときなど、日常生活ではもちろん、プレー中に極度に背中が丸まっている選手が見受けられます。

「1:23のルール」という考え方があります。僕はそれを元に「1:15のルール」と呼ぶのですが、例えば1日1時間素晴らしい姿勢でトレーニングを行ったとしても残りの23時間、そこから寝る時間の8時間を除いた、残りの15時間悪い姿勢をしていたら、姿勢は習慣なので絶対に敵わない。せっかくのトレー人ングの効果がなくなってしまう。したがって、姿勢は特に気をつけるように常に言っています。

姿勢を正す事に関してはもう言い古されていて決して真新しいものではありません。
しかし、例として一日中背中が丸まっている選手がバスケ中だけ背筋を伸ばそうとするような場合、姿勢を正そうとするその事自体が既にその選手にとって負荷であり労働になっているのです。

じゃあ何がいい姿勢かと言うと色々出てくるのですが、耳と肩と膝と…と細かくなくても、とりあえずはパッとみて明らかに悪い姿勢でなければいいと思います。合宿中に食堂に行って、食事中に背中が丸まっている選手へその場で声をかけていったりもします。私自身も小さい頃、背中に長定規をよく入れられていましたが、今思えばありがたいですね。

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