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生活習慣病を予防改善するための身体活動 #1 ~運動指導者だからこそできる指導法~ 黒田 恵美子

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掲載日:2018.12.12
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2018年10月13日に作新学院大学にて行われた、特定非営利活動法人NSCAジャパン 北関東・東北地域S&Cシンポジウムにおける健康運動指導士、日本健康運動指導士会常務理事、ケア・ウォーキング普及会代表理事 黒田 恵美子氏による講演をレポート!


今日は「生活習慣病を予防改善するための身体活動」をテーマに、実技を少し含めてお話させて頂きます。

私はいろいろな状態や環境の方に運動を指導させて頂く機会がありますので、実際に行っている運動方法などを通してヒントを掴んで頂ければと思います。

簡単に自己紹介をさせていただきますと、健康運動指導士として、主に、運動指導、講演、研修などを医療機関や自治体、企業などから依頼をいただいて活動しています。

医療機関の中での運動指導として、ドックのデータを見て運動プログラムを作成するというものがあります。患者さんを会わずに体を見ないで行うものですが、それでも、アディポネクチンなどという動脈硬化を予防する物質が増えているという研究結果も出ています。

プログラムを書くにあたって、問診表に記入してある体調や心の不調などを加味して、運動種目と負荷や時間、頻度だけの指導にならないようにしています。

例えば、膝が痛いという記述があれば、膝が内側や外側に曲がる癖があるのではないかとか、活動量が少なく、しゃがみ立ちの動作が少ないから下肢の筋力が弱いのではないかなどを推測して、生活の中でのアドバイスを含めて運動プログラムを作成します。

フットケア外来とは

他の医療機関では、皮膚科のフットケア外来で歩行教室を行って歩き方を指導しています。皮膚科医、フットケア、靴屋さん、技師装具士、理学療法士などと共に作っている「足育(そくいく)研究会」の活動の一環として行っているものです。

皮膚科では糖尿病の合併症の足を診ます。
糖尿病になると感覚が鈍るため、足に傷があっても気づかず、そこから化膿したり、血流障害がひどくなったりするものです。
爪を切ったり、洗い方の指導をしたりするのですが、最近では一般の足のトラブルを抱えた方も診察を受けに来ます。

魚の目や胼胝、外反母趾、偏平足、開張足などの「足病」は、靴が合わないだけでなく、立位、歩行時の重心のかけ方が悪いことも大きな要因ですので、動き方の指導や運動指導が必要なのです。

こうしてみると、運動療法は生活習慣病、ロコモティブシンドロームなど多分野にわたって効果を上げるのですから、運動指導者の活躍できる分野は広いことがわかります。

体を動かすことが中心にあってその周りにいる様々な専門家がそれを助けている、つまり運動指導者は真ん中にいる仕事であると自負しています。

それから、いくつもの自治体の介護予防事業(ロコモティブシンドローム予防)や健康づくり事業にも関わっています。
自治体では地域のつながりを作る自主グループ作りが進められていますが、その中で行う体操の制作や運動指導ボランティアの育成なども依頼されます。

また、横浜市では公園愛護会というボランティア団体の活動のお手伝いもしています。

様々なボランティア活動は高齢者の方々にゆだねられていることが多いため、健康を維持して活動を続けてほしいということと、参加される個人個人はボランティア活動を健康づくりと認識していただきたいというものです。

健康寿命、死ぬまで自分の身体を動かすために何が必要か

生活習慣病を防ぐには身体活動量の確保が必要で、そのためには運動器が健康でなければなりません。人間の体を車に例えるなら、エンジンやタイヤが運動器で、これを動かし続けることで糖や脂肪がエネルギーとなり、心臓血管などが健康を保てるのです。

講演で参加者の方に、「車を動かすのに必要なことは?」と問いかけると、たいていの方が「ごはん」と言います。これは車で言うならガソリンです。

しかし、車を動かすには、どこへ行きたくて、どの道を通って何分くらいかかってたどり着くか、運転手が行わなければならないことがあります。

心が元気でうつでない、認知症でない状態でなければ活動することができないわけですから、心と脳の健康も運動器を動かすことに必要なわけです。

そして、車体が古くなればメンテナンスをするわけです。身体も同じで、弱ったところは強めて、痛い関節は直していくことが必要です。これはロコモ予防ということになります。

生活習慣病は以前は「成人病」と呼ばれていましたが、成人であっても生活習慣の改善により予防が可能で、成人でなくても発症する可能性があることから呼び方が改められました。

メタボリックシンドロームは生活習慣病とほぼ同じです。
内臓脂肪の蓄積を調べるために腹囲(へそ周り)を測定したり、脂質異常や高血糖、空腹時血糖を確認して、これらが組み合わされば動脈硬化のリスクが高くなり、それが進行すると脳卒中や心筋梗塞の危険性があるということです。

検診データからは様々なことが読み取れます。
血糖値や中性脂肪、血圧などの数値は運動プログラムの作成に役立ちますが、問診票に書かれている訴えや生活習慣を読み取れる項目も大いに参考になります。

例えば、寝つきが悪い、足が冷える、といった記述があれば、寝つきをよくするために呼吸法やストレッチをお勧めできるわけです。

足がつる方は大変困っておられるので、ストレッチを教えると実行してくださいます。
運動がいいですよ、ではなく、個人の情報を把握して小さなことでも個々に当てはめて進めるのが望ましいと思います。

生活習慣病を予防改善するには、身体活動、食事、禁煙が大事だとされています。

運動効果は、体重や血糖値の数値の変化でわかります。
しかし、体重がなかなか減らないという方でも、脂肪から分泌されるアディポネクチンという生理活性物質の数値が上がっていれば、動脈硬化を改善する働きが体の中では起きているということがわかるので、そういった数値を把握できれば、運動効果の証明もしやすくなるのです。

本来アプローチしたい年代とのズレ

スポーツ庁から平成30年2月末に公表されたデータ「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によれば、週1日以上運動やスポーツをする割合は以下のようになっています。

成人 51.5%(前年度42.5%)
40代 42.2% …少なすぎ 
50代 45.5% …少なすぎ
60代 58.4% …増えている
70代 71.3% …増えている

介護予防に直接関わる年代の方の割合は増えているのですが、介護予防教室に参加してくださる方は70、80、90代。すでに予防ではない年代になっています。

もちろんそれは二次予防、三次予防といったことには繋がるのですが、本来アプローチしたい年代は40~50代。

生活習慣病の予防には40~50代を動かさなければならない。となると、どうやって動かしていくかということになります。

不調や年齢は感じ始めているが差し迫って困っていない、という世代には、別のモチベーションを持たせることや、無意識に生活の中で運動ができる環境を作るなどということも必要だと思います。

たとえば、私は大手スポーツ企業のアドバイザーをしていますが、スクワット用のスツールが出ています。
体重を乗せると下に下がるが、立とうとして脚に力を入れると少し押し上げられる、それで大腿四頭筋の筋活動量が増えるというものです。仕事中の椅子にすることも可能です。

運動指導者なら、スクワットをやればよいと思うところですが、そこへたどり着かない方はこんな道具を使ってもよいのではないか、結果的に運動量を増やすことにつながることはいろいろ工夫してよいと思います。

講演会で、棺桶にまたいで入れるだけの力を残しましょう、と言うと笑われますが、それだけの筋力、バランス力が残っていれば人生の最期まで自分の体を自分で操作することが可能だと思うのです。そのために、運動が必要だということです。


続きは近日公開!