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NSCAジャパン S&Cカンファレンス2018講演レポート
アミノ酸摂取の新常識~運動のPre・Intra・Postに求められるアミノ酸について~
第2部「アミノ酸に関する世界の最新スポーツ栄養学」#1 鈴木いづみ氏

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掲載日:2019.03.13
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アスリートが本来のパフォーマンスを十分に発揮するには、普段の食事に加えてアミノ酸等の栄養素を補足的に用いる事が鍵となる。これら栄養素の補給に関して運動前・中・後のベストタイミングで摂るべきアミノ酸を紹介する。

本セミナーは3部構成になっており、第1部ではスポーツサプリメント先進国であるアメリカの事例を紹介、第2部ではアミノ酸に関する最新スポーツ栄養学についてスポーツ栄養士から紹介する。そして第3部ではスポーツ栄養士と、フェンシングナショナルチームコーチによる対談形式で実際の現場で摂るべきアミノ酸について議論する。
NSCAジャパン S&Cカンファレンス2018における講演をレポート!
みなさんこんにちは。
順天堂大学 スポーツ健康科学部 協力研究員の鈴木いずみと申します。
私からは、「アミノ酸に関する世界の最新スポーツ栄養学」ということでお話をさせていただきます。

先ほど、協和発酵バイオ社の西村さんから「いつ、何を摂るか」ということが非常に重要になってきている、というお話がありました。

また、キーワードとして「プレ・イントラ・ポスト(Pre・Intra・Post)」、運動前・運動中・運動後、というお話が強調されたのですが、スポーツ栄養学の世界でも「1日トータルの量を摂りましょう」というよりも「タイミング」ということに非常にフォーカスされてきています。


国際スポーツ栄養学会といってスポーツ栄養学の中では非常に権威の高い学会で、そこから2017年に公表された非常に新しい声明文のタイトルを見ると、「ニュートリション・タイミング」つまり、栄養摂取のタイミングということで、最新の公式見解が出されたばかりなのです。

中身はいろんなことが書かれていて、それこそトレーニングの後に、炭水化物とタンパク質を摂取することの是非とか、そういうことが書かれています。

どれも面白いトピックスなのですが、少々目を止めたトピックスにこんなものがあります。
「食事のタイミングと分布」……食事時間の足りない方、なんていうところに、面白い研究論文がありました。

夕食を控えて上手に減量、は真実か

みなさんは、よく「朝たっぷり食べて、夜を控えると、上手に減量できる」というのを聞いたことがあったり、やってらっしゃる方もいらっしゃるかと思います。
あるいは、対象者に指導されている方もいらっしゃるのではないですか。
「痩せたい」となったら、夜は控えましょうと、まことしやかに言いますね。

これ、エビデンスはあるのでしょうか。
出てきました。ご覧ください。これは2013年に「それ本当なの?」ということを調べたものです。

内容としては肥満女性に対して、12週間に渡って1日1400kcalを摂らせています。「朝食ハイカロリー」群です。合計1400kcalでも、朝700kcal、昼500kcal、夜200kcalの食事を摂らせていますね。

それに対して「夕食ハイカロリー」群は朝200kcal、昼500kcal、夜700kcalで、夜にボリュームを持たせています。

そしてスタートからその変化を見てみると、朝食ハイカロリー群のほうが、2週目以降、優位に体重が落ちていっているということが分かります。

やはり、みなさんが経験的に、あるいは一般的によく言う「夜を減らしたほうがいいよ」は、やはり明らかに体重を下げているということが分かっています。
ウエストサイズに関しても0週、6週、12週で比較すると、朝食ハイカロリー群のサイズダウンが著しいというのが分かりますね。

上記のようなことがあって、やはりタイミングは減量にも影響するというようなことが書かれていました。

タンパク質の摂取するタイミングと量により効果が変わる

他にも面白かったトピックスとして、1日のタンパク質摂取量……体重1kgあたり2gが筋肥大に重要ですということがよく言われます。これは今のスポーツ栄養学では、どちらかと言うと「タイミング」ということにフォーカスが集まっています。

これは実験では、レジスタンストレーニングを行った12時間後までの筋タンパク質合成量を確認して、三つのグループで違いを確認しています。

三つのグループは、レジスタンストレーニングが終わったあと12時間以内に合計80gのタンパク質を摂ります。

①6時間おきに40gずつ2回のタンパク質を摂る

②90分おきに10gずつ計8回のタンパク質を摂る

③3時間おきに20gずつ、計4回のタンパク質を摂る

まあ一般的なプロテインの摂取の一回の目安量ですよね。

その結果、②の3時間おきに計4回摂ったグループが最もしっかりと筋肉を作ることができたという報告があります。

ですから1日の合計量というよりも、3時間おきにちゃんとタンパク質をタイミングよく摂りましょう、ということが今の流れになってきています。

ということで、単純に量の問題ではないのです。スポーツ栄養の世界では、タイミングが大事だということです。

アミノ酸も摂取タイミングが重要

アミノ酸も同様です。
アミノ酸もタイミングを考えて摂るとしっかり筋肉ができる、ということを研究した実験が、この試験になります。

いわゆるレジスタンストレーニングを1時間経たないくらいの時間行い、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、トリプトファン、リジン、フェニルアラニン、メチオニン、ヒスチジンの必須アミノ酸を摂る。

必須アミノ酸をトレーニングの直前・直後に摂ることによって、運動中から1時間半後の筋タンパク合成量は非常に高くなります。
ということは、アミノ酸をおかしなタイミングで飲んでもこういうことが起こらない可能性があるということです。

アミノ酸の話に入りましたので、最近出てきたばかりのアミノ酸に関する論文をちょっと見てみました。
「Amino acids and sport: a true love story?」とありますが、「アミノ酸が本当にいいの?」というようなことを総説した論文です。
比較的新しいもので、非常に面白かったものがあるのでいくつかピックアップします。

アルギニンとパフォーマンス

アルギニンの研究では、運動前のアルギニン補給が疲労困憊化するまでの時間を延長させるか、ということを調べています。

被験者はエリート男性レスラーになりますが、試験運動の60分前にアルギニンを飲ませています。量は結構多く、12g。一般的に私たちがアミノ酸を摂取する時の量からいえば、3倍から4倍ぐらいの量になります。

それを摂らせたあとに自転車エルゴメーターを用いた負荷試験で「もうこれ以上漕げません」というレベルに達する時間を見たものです。

そうすると、アルギニンを60分前に飲んだグループのほうが、疲労困憊までの時間が長引かせることができたということがありましたので、やはりエクササイズの前、運動前の「Pre」の状態でのアルギニン摂取は、疲労困憊までの時間を延ばすのに影響度が高いということが分かっています。
ただ12gも飲むというところがちょっとネックではありますが、興味深い結果でした。

シトルリンとパフォーマンス

それからもう一つ、興味深いアミノ酸にシトルリンというのがあります。これは先ほどの西村さんのお話でも少し出てきましたが、食品で言うと、スイカとかゴーヤとかに多く含まれています。

ただ、スイカでしっかりと目的の機能を得るためには、1kgとかそういうレベルでスイカ、しかも皮を食べないとパフォーマンスアップが期待できる量を摂れないと言われています。

そのシトルリンを摂取して運動機能が高まったかどうか、という研究が面白かったので見てみました。
これはどんな研究かと言うと、試験運動の90分内にシトルリンを摂らせています。量は6gなので若干多めです。

そのあと高強度の自転車運動試験をやっています。
ゼロから出力を見ているのですが、当然最初は大きな力が出て、だんだんと時間の経過とともに下がっていきます。

そうするとプラセボやアルギニンに比べて、パワーの落ち方が低くて済んでいるということが報告されています。
そういう点では、シトルリンを摂取するということは、ピークパワーと平均パワーを高めるという点で、しかも「Pre」で摂るという点で、価値が高いだろうということが分かっています。

一酸化窒素がもたらす効果

アルギニンとシトルリンを今紹介しましたが、両者は実は、兄弟のような関係にあるアミノ酸で、非常に面白い関係性にあります。

アルギニンからシトルリンに転換され、またシトルリンがアルギニンに転換されるという。ぐるぐる回っているのですね。

ただ、アルギニンがシトルリンに変換される時に、一酸化窒素(NO)という物質が出てきます。
どうやら、この運動パフォーマンスに貢献する物質は、アルギニン・シトルリンということではなくて、両者の代謝によって生み出されたこのNO、一酸化窒素の働きによるところが大きいのではないかということが分かっています。

これは1998年にドクター・イグナロという博士が一酸化窒素、NOの重要な働きというのを発見し、それを世界に公表してノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

NOは血管を拡張させます。血管を大きく広げて、その結果、血流を促進させる作用があります。
それを介して様々な生理作用が確認されているのですが、例えば、インスリンの抵抗性が改善されています。なので、インスリンの効きがよくなっている。

あるいは、酸素消費量の改善ということと、ミトコンドリア合成の向上ということがあるので、持久性のパフォーマンスに関しては大変良いだろうということが分かっていますし、筋肉量の増加に繋がる点では、パワー系の種目に関しても好影響であろう、ということが分かっています。

一番はとにかく、血管の拡張・血流の促進ということなのですが、それを発して、様々なスポーツに関係する機能を期待できる、ということが言えます。


続きは近日公開!