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トップ選手のトレーニング "卓球" 男子ナショナルチームS&Cコーチ 田中礼人 #1

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掲載日:2019.06.15
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近年、特に活躍著しい卓球日本代表。
技術はもちろんのこと、瞬発力と敏捷性、持久力に加えた反応や判断、集中力など多くの能力が要求される。それらを高めていくために日本代表選手はどのようなトレーニングをしているのか。

公益財団法人 日本卓球協会 男子ナショナルチーム専任ストレングス&コンディショニングコーチ田中礼人氏(NSCAジャパン認定検定員、NSCAジャパン南関東エリアディレクター、CSCS、NSCA-CPT、NSCAジャパン ストレングス&コンディショニングコーチ・オブ・ザ・イヤー2016)に「フィジカル×トレーニング」をテーマに話を伺った。

チーム内での立ち位置、関わり

男子ナショナルチーム専任ストレングス&コンディショニングコーチとしてNTC(味の素ナショナルトレーニングセンター)で年間100~150日ほどの合宿をしながら、国際大会に150日くらい行きます。
チームとしては年間300日くらい一緒に行動していることになります。

通常の練習時はウォームアップから始まって、球を拾ったりしながら選手の動きを観察しつつ、監督やコーチと動きに関する話をしています。
技術練習が終わった後に選手それぞれのフィジカル面のトレーニングへと移ります。


2001年から12歳以下の代表チームができて、その年代から心理や栄養、体力面などに関する教育をずっとしてきているので、ウォームアップやクールダウンの重要性は分かっていると思います。
今までは集まって練習する拠点がなかったので各々に任せきりだった点もありますが、拠点ができてからはウォームアップやクールダウンがより定着しやすくなったと思います。

自分は2010年から現職に就任し、10年近くサポートを続けています。
卓球選手としての経験はありませんが、固定観念にとらわれないように、競技の特性を研究して競技に合ったトレーニング方法を見つけ出し、今でも改善を続けています。
 
活動拠点ができてからは年間を通してウェイトトレーニングを継続できるようになったので、だいぶ身体がしっかりできてきたと思います。
年齢により個人差はありますが、社会人や大学生に至っては大腿部、臀部、背部の筋肉もだいぶ発達しています。
前後左右に素早く動くダイナミックさ、フォアやバックを振り抜く力強さや速さにも注目して頂きたい部分です。

トレーニング内容

卓球は瞬間的なパワーが求められます。
土台を作るための基本のトレーニング種目はもちろんのこと、ハムストリングスや大殿筋は背部などの抗重力筋を重要視してメニューを作成しています。

姿勢が良い状態で動いていかないと良い打球が打てませんし、良い位置に身体を持って行けないので、姿勢の維持という観点からも抗重力筋は重要です。

それらに加えて、パワー発揮のためにスナッチやクリーン等のオリンピックリフティング種目やプライオメトリクス系の種目を入れています。

試合時間は30分~1時間ほどですが、一日に何試合もこなすこともありますので、持久力や回復力も大事です。そのためにインターバルトレーニングを入れたりもします。
また、試合の合間のリカバリーとしてはストレッチや補食等を薦めています。

最大筋力を瞬発的なパワーに変えていくこと、それらと同時に速さや敏捷性を高めて行くことが大事です。
腰を低く落とした構えの状態を維持するのも足や背中の筋力が必要になります。
構えの段階で腰が丸まってしまうと動きに支障が出てしまいますので、試合中も常に素早く動ける構えの状態、パワーポジションを維持することが重要です。

トップ選手になるためには

理解力と継続力が大切だと思います。
トレーニングをただやらされているだけだと、合宿や合同練習では取り組んでも、各自の所属チームに帰ったときにやらなかったりします。

「このトレーニングはこの目的で必要なので継続していこう」というように、理解して継続するということが重要だと思います。
伸びていく選手はこういった部分に長けています。

怪我とトレーニングの関連

自分が就任した当初は慢性的な腰や肩、膝などの痛みが多かったのですが、トレーニングを継続していくことでそれらは改善されていきました。
現在は、あるとすればたまに肩の深層部にあるローテーターカフに痛みが出るくらいです。

トレーニングの導入に関して、選手からの反発等はなくスムーズに導入できました。
就任直後、トレーニングの内容や指導に関しては監督が一任してくれていたのですが、今までトレーニングを行わなくてもある程度の成績を収めている社会人の選手もいたので、そういった選手は今までのスタイルの変化にやりにくさを感じていたかもしれません。

ジュニアや中高生くらいの年代からトレーニングを習慣化させることが大事だと考えています。
若いうちからトレーニング指導を受けてきた選手達は何の違和感もなく現在もトレーニングを続けているので、早い段階での教育や指導が必要だと思います。


トレーニングに関する知識の習得のため、最初はペーパーベースで冊子を作製して配布していたのですが、所属チームに帰った後にそれをなくしてしまったり、合宿のときに忘れてしまったりなどがあってオリエンテーションレベルから抜け出せない状態になったこともありましたが、クラウドに切り替えて、個人の携帯から自分のメニューが見られるようにしたら、合宿がないときでもしっかりと継続できるようになってきました。


ストレングストレーニングの頻度はだいたい週2回ほどです。頻度としてはそこまで多くないですが、それでもしっかりと身体は作れてきています。
練習時間が一日6~8時間と長いことを踏まえて、一回の質を高くするようにしています。

練習中はずっとパワーポジションで動きます。
競技特性上、例えば右手でのフォアが多いと踏み込むための左足が強くなって、右の背中が強くなって、右腕が太くなってというように、螺旋状に偏りが出てきます。
そうなってくると日常生活にも影響がでたり、慢性的に腰や膝が痛い状態になってしまいますので、それらの怪我を防ぐためにもトレーニングを取り入れていく必要があります。

練習外でのアドバイス

トレーニングに関しては行った種目の重量や日付を残して、記録を伸ばしていくことを徹底するように言っています。食事面に関しても普段から教育を受けているので各々気をつけていると思います。

しかし、サプリメントや薬に関しては禁止物質が入っている可能性があるので、口にする前に必ず連絡をしてもらうようにしています。

アンチドーピング担当のドクターがいるので、連絡をとって事前に確認をするようにしています。
自分としても、JADA(日本アンチ・ドーピング機構/Japan Anti-Doping Agency)の認定を受けているものを推奨するようにしています。

選手が自分から「このサプリを試したい」と言ってくるケースもありますし、病院などで処方された薬に関しても禁止薬物が含まれていないか注意をしています。

BCAA等のサプリメントももちろんありますが、海外の試合などで現地の生野菜が不安な場合にはマルチミネラルやビタミン系のサプリメントを携行する場合もあります。

現地の水が合わずに体調を崩すこともありますので、できるだけ海外では火の通っているものを選ぶようにしています。