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第四十回 新サプリメント・トピックス コエンザイムQ10

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月刊ボディビルディング
掲載日:2017.08.04

コエンザイムQ 10

 コエンザイムQ10の名称はすっかり市民権を得て、様々な製品にも使われるようになってきましたが、実際何に良いのかという、その効果については、まだまだ理解レベルが低いのではないでしょうか。

 コエンザイムQ10は女性向けという印象が強いかもしれませんが、体の調子を整えて、エネルギー産生にも関わるということで、実はアスリートにとっても注目しておくべき素材でもあります。今回はコエンザイムQ10について触れてみたいと思います。

 コエンザイムQ10は、体内に存在する補酵素と呼ばれる物質です。酵素は、たんぱく質を主体とする化合物で、私たちの体内における化学反応に必要な物質ですが、補酵素はこの酵素をより高い活性ではたらかせる手助けをする物質です。コエンザイムQ10は、図1のような構造をしており、キノン(Quinone)にイソプレンと呼ばれる炭素のつながりが10個繰り返して結合している補酵素(coenzyme)であることからこの名前がついています。過去に日本では心臓疾患の治療薬として利用されており、医薬品にしか利用できませんでしたが、2001年の食薬区分改正により、食品への利用が認められるようになりました。以前はビタミンQとも呼ばれていましたが、生体内で生合成されることが分かったことで、厳密にはビタミンには含まれないことになります。ただ、体内での生合成能力は加齢とともに低下することが分かっており、体外からの摂取がすすめられます。コエンザイムQ10を含む食品は、イワシ、サバ、動物のレバー、ブロッコリー、ほうれん草などですが、含まれる量としてはごく僅かになりますので、コエンザイムQ10を摂取するにはサプリメントの利用がすすめられます。
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 では、このコエンザイムQ10にはどのような効果があるのでしょうか。

 まず比較的広く認識されている効果として、抗酸化作用があげられます。呼吸により体内に取り込まれた酸素は体内のエネルギー産生に利用されますが、その過程で活性酸素と呼ばれる有害な物質が産生されます。この活性酸素が体内にあると、周りの細胞を傷つけることになります。活性酸素は通常の酸素から電子が奪われた不安定な状態であり、周辺の物質から電子を奪って安定化しようとします(還元)。

 電子を奪われた物質は構造が変化して傷つけられてしまいます(酸化)が、人間の体はこの活性酸素を除去する抗酸化という機能があり、ビタミンEや、そしてコエンザイムQ10などの物質がその役割をもっているのです。抗酸化物質は自身が酸化しやすい性質をもっているため、持っている電子を活性酸素に与えて安定な酸素に還元させることで除去します。すると、酸化した抗酸化物質が体内に残りますが、コエンザイムQ10は抗酸化物質の中でもより強い活性をもつので、酸化した他の抗酸化物質を還元させることでそれらを元に戻します。コエンザイムQ10は酸化されても比較的安定であるため、周りの細胞を傷つけません。そして、体内の決められたシステムの中で自身もまた還元されます。このように他の物質よりも電子を受け渡しやすい性質を利用して活性酸素除去に関与しています。運動に関連した研究では、持久運動選手に対して、40日間の長期の経口摂取をした場合、運動後の筋肉疲労の指標であるクレアチンキナーゼがプラセボ摂取時と比較して有意に低下したという結果も出ています(1)。筋肉を保護するという点で、ハードに筋損傷を起こすトレーニングをされているトレーニーには、この抗酸化作用は有効であると考えます。

 一方で、アスリートにとってはこの活性酸素除去の他にも大事な役割をもっています。それは、細胞内におけるエネルギー産生の要となる役割です。

 体を動かすエネルギーは細胞内のミトコンドリアという器官内における電子伝達系と呼ばれる反応により産生されます(図2)。摂取した糖などのエネルギー源から得られた電子が、ミトコンドリア内の電子伝達系と呼ばれる回路中にあるシトクロムなどの物質間を受け渡されて最終的に酸素に運び込まれて水を作る反応系で、この系の中でエネルギー(ATP)が産生されていきます。この時に電子は必ずコエンザイムQ10を経由しているのです。従って、体内に十分な量のコエンザイムQ10がないと、いくらエネルギー源になる栄養素を摂取しても、エネルギー産生が効率良く行われないことになります。また、アスリートの場合、運動で体を動かす時だけでなく、運動後の疲労回復時でも多量のエネルギーが必要になります。従って、摂取するエネルギー源と共に、体内のエネルギー産生効率も高めてやることが重要になります。実際にアスリートを対象とした研究も行われており、バレーボール選手を利用した研究では、コエンザイムQ10を摂取した選手で、最大酸素摂取量と総仕事量が増加したという報告があります(2)。体内により酸素を多く取り入れて、エネルギーに効率よく変換することで、より大きなパワーを発揮できるようになるというわけです。

 一般の人よりも多量のエネルギーを必要とするアスリートだからこそ、エネルギー源である栄養素の摂取に加えて、エネルギー産生にも意識を置くことによって、より高いパフォーマンスアップを目指してください。

江崎グリコ株式会社スポーツフーズ営業部
桑原弘樹
記事画像2
(1)Zeppili, P. et al(1991) : Infl uence of coenzyme-Q10on physical work capacity in athletes, sedentary peopleand patients with mitochondrial disease,Biomed.Clin. Asp.Co Q , 6, 541-545Sedentary
( 2)Fioela, P. L. et al ( 1991 ):Metabolic effects ofcoenzyme Q10 treatment in high level athletes,Biomed.Clin. Asp.CoQ, 6, 513-520
[ 月刊ボディビルディング 2013年5月号 ]

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