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サプリメント・トピックス 果糖について

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月刊ボディビルディング
掲載日:2017.05.24
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果糖について

果糖(フルクトース)は、砂糖よりも甘い糖質で、果実に多く含まれています。また、砂糖(スクロース)はブドウ糖(グルコース)と果糖が結合して出来たものですから、私たちは砂糖入りの食品を食べる際にも果糖を摂取していることになります。さらに、清涼飲料水の甘味料として、果糖ブドウ糖液糖といわれるブドウ糖の約半分を果糖に変換したものが使われており、私たちは日々果糖を口にしています。

果糖はブドウ糖よりも吸収速度は遅く、腸管でゆっくりと吸収され、少量がブドウ糖などに変化しますが、ほとんどの果糖は肝臓に運ばれ代謝されます。インスリンはブドウ糖の細胞への取り込みを促進するホルモンですが、果糖はインスリンの影響を受けないことから、インスリン抵抗性のある患者さんには果糖は、ブドウ糖や砂糖よりも好ましい甘味料であるという考え方がされる場合もあります。また、果糖が肝臓でグリコーゲンに変化する比率はブドウ糖に比べて数倍であり、筋肉グリコーゲンの蓄積においてもブドウ糖より優れていることから、運動前のグリコーゲンローディングに果糖を活用するアスリートもいます。

一方、果糖による健康障害について、日本ではまだあまり耳にしませんが、アメリカでは大きな論争が繰り広げられています。日本でも今後、果糖の大量摂取に対して問題視される可能性がありますので、今回は果糖の生体に対する影響について、最近指摘されていることをお話します。

糖尿病などの生活習慣病に対して、ブドウ糖の大量摂取が問題視されていますが、これは血中に存在する主な糖がブドウ糖であることがその一因になっています。ブドウ糖の血中濃度は、果糖と比べると約300倍も高いのです。しかし、血中の糖による生体への悪影響は、体のたんぱく質に糖が結合する糖化という現象によるもので、これは糖が開環構造といわれる反応しやすい状態になった時に起きるものなのです。この開環構造のとりやすさは、果糖がブドウ糖に比べて300倍も高いのです。すなわち、血中濃度はブドウ糖に比べて果糖がはるかに低いものの、悪影響を及ぼす構造になっているものは果糖のほうがはるかに高いことから、生体への悪影響を考える際にはブドウ糖のみならず、果糖の大量摂取も考えなければならないということになります。

ブドウ糖は摂取すると、インスリンやレプチンというホルモンの分泌を引き起こします。これらのホルモンは食欲を抑制する方向に働くため、ブドウ糖の摂取は食欲を抑制する方向に働きます。しかし、果糖を摂取してもこれらのホルモンの分泌には影響を及ぼさず、食欲を抑制しません。また、グレリンという食欲を増強するホルモンをブドウ糖の摂取は抑制しますが、果糖はこれにも影響を及ぼしません。すなわち、食欲の抑制にブドウ糖摂取は働きますが、果糖は働かず、ブドウ糖よりも果糖のほうが、過食や肥満につながりやすい可能性があるということです。

果糖の一部は腸でブドウ糖に変換されますが、多くはGLTU5という糖輸送担体から吸収され、フルクトース1リン酸を経て、グリセルアルデヒド3リン酸に代謝され、解糖系に入るものと考えられています。この果糖からフルクトース1リン酸への変換にはATPを必要としますが、この反応が非常に早く進むために、ATPが多量に使われることになります。ATPの大量消費はATPの代謝産物である尿酸の増加を引き起こします。ATPを大量に使う運動や飲酒などによって、血中尿酸値は上昇することがわかっていますが、果糖もしくは砂糖が多量に入った飲料を飲むと同様のことを生じます。

したがって、ATPを多量に消費するトレーニングを行う際に、砂糖の多量に入った清涼飲料水で水分補給を行うことは血中尿酸値を高めやすいといえ、尿酸値に問題のある人は注意を要します。また、このGLTU5からの吸収は比較的緩やかに行われますが、清涼飲料水などの多量摂取により、GLTU2という能動輸送を行う輸送担体の移行を引き起こし、急激な糖類の吸収を引き起こすとも言われています。
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果物の多量摂取についても、問題視している研究者がいます。日本人は甘い果物をおいしい果物と評価していることから、果物は甘いものに品種改良され、果実中の果糖や砂糖の含有量は以前に比べてかなり高くなっています。果物に含まれているポリフェノールなどの有用成分は皮や種に多く含まれていますが、通常果物を食べる場合には皮や芯を除いています。したがって、果物をたくさん食べても抗酸化成分はあまりとれず、果糖などの糖類の多量摂取につながるだけではないかという指摘があるのです。

このような問題提起がされていますが、これらは果糖の大量摂取に注意する必要があるという指摘です。果糖をどれだけ食べると問題があるかということに関しては、まだ研究中ですが、1日に90~100g程度の摂取は問題ないのではないかと考えられています。一般的な清涼飲料水には10%程度の砂糖もしくは果糖ブドウ糖液糖が使われていますから、多量摂取には注意したほうが良いと思います。
文/
江崎グリコ株式会社健康食品事業部 桑原弘樹
[ 月刊ボディビルディング 2009年4月号 ]

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