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カリウム<ミネラル③>

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掲載日:2017.09.11
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ミネラル③ - カリウム

カリウムは生命活動を営む上で最も基本的なミネラルで、体内には約3,000mEq(※)存在します。バランスの取れた食生活を送っていれば、カリウムが不足する事は稀です。でも、現代人の食生活やライフスタイルでは、カリウム不足に陥りがちです。

※mEq(milli equivalents=ミリ当量):組織液(溶液)中に溶けているイオン(溶質)の濃度を表す単位の一つ。原子量を電荷で割ったものが当量。Na+やK+など、1価のイオンでは1mmol=1mEq。mol数というのは物質の相対的な量を表す単位で、炭素12gに含まれる元素数に等しいだけの粒子数からなる物質の量を1molとしている。

体液は水溶液であり、溶媒(溶かしている物質)は水。溶質(溶けている物質)はイオンやタン白質。mol濃度は溶液1リットル中に溶けている溶質の量をmol数で表したもの。



肉類や新鮮な野菜、果物など、多くの食品にカリウムが含まれています。だから、カリウム不足はあまり重要視されていません。

しかし、カリウムは、体内のイオンバランスの維持には不可欠なミネラルで、実はとっても重要なミネラルですが、ストレスやジャンクフードの摂取等で不足し易くなります。ストレスもジャンクフードも、現代人の生活には切っても切れない縁がありますね。ですからカリウムも十分な補給が必要でしょう。
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カリウムとナトリウムはブラザーイオン
カルシウムとマグネシウムがブラザーミネラルと呼ばれるのと同様に、カリウムとナトリウムはブラザーイオン呼ばれ、細胞内外のイオンバランスを保ったり、浸透圧(しんとうあつ)の維持に関わっています。

カリウムとマグネシウムは細胞の内部に多く、カルシウムとナトリウムは細胞の外に多く存在しています。

これらのイオン分布は、細胞膜に存在するナトリウムポンプ(ナトリウム専用の排出口)によって作り出されます。また、カリウムは、常時開放されているカリウムチャネルを出入りしています。出入りすると言っても、ゆっくりとしたスピードです。この様に、ミネラルはそれぞれがバランスを保ちながら、専用出入口を通って調節されています。

カルシウムとマグネシウムの体内バランスは2:1ですが、ナトリウムとカリウムのバランスは5:2です。
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カリウムの体内調節
食事から摂取されたカリウムは、小腸の上部で大半が吸収されます。そして、摂取量の80~90%が腎臓から排泄されます。

カリウムは腎臓の糸球体という所でいったん濾過されます。その後、腎臓から膀胱に送る尿細管という管の所で再吸収され、吸収されなかった分だけが排泄されます。この濾過と再吸収の過程で、体内のカリウム濃度が調節されています。その他には、腸液として大腸から便中に、汗として皮膚から、それぞれ排泄されます。

また、カリウムは筋肉中に貯蔵されます。筋肉量が減るとカリウムの金庫も減るので、カリウムの体内貯蔵量は低下します。筋肉の痙攣などが見られ、強い筋疲労を感じるときは、カリウムの補給不足が原因の場合も少なくありません。特に夜、寝ている時の筋痙攣(こむらがえり)は、カルシウムだけでなく、カリウムも摂取してみてください。当然の事ながら、高齢者は筋肉量が少ないですから、カリウムが欠乏し易いと言う事になります。

カリウムもストレスに弱い!
ストレスがあると、アルドステロンというホルモンが分泌されます。アルドステロンが分泌されると、ナトリウムを体内に溜め込み、カリウムの尿中排泄を促進させます。ストレスが更に掛かると、今度はアルドステロンの分泌は抑制されるのですが、ナトリウムの尿中排泄は増大して、脱水症状になってしまいます。

利尿剤などを服用すると、カリウムの排泄は増えます。漢方薬の中には、利尿効果が書かれていなくても入っている事が多く、漢方薬を飲んでいる方もカリウムの尿中排泄が増えます。スポーツによっては利尿剤がドーピングとみなされる種目がありますから、利尿剤だけでなく、漢方薬の服用には注意が必要です。

また、ステロイド剤や、肝炎の治療に使われるグリチルリチル製剤などによる肉体的酸化ストレス(ストレスによる肉体の酸化)が原因でも、尿中に排泄するカリウム量が増えます。

ストレスがある時、薬を飲んでいる時は、カリウムが減っていると思い、積極的に摂取を心がけてください。

血圧の調節、水分バランスの調節
カリウムは、腎臓や尿細管で排泄量を調節すると言いましたが、ナトリウム量も同じように調節しています。この、カリウムとナトリウムの調節により、むくみ防止、降圧効果を持ちます。高血圧の方で、ナトリウム感受性高血圧(ナトリウムに反応して血圧の上がる人。特別な検査で分かります)の方は、カリウムをしっかり摂ると安定する事が多いようです。

しかし、多くのむくみの場合に、タン白質不足が関係しています。タン白質不足が関係しているむくみは、手や足だけに起こる事が多いようです。これは、心臓から一番遠い手の先から脚から血液を持ち上げて心臓に戻す力が不足する為で、そのポンプ機能は、タン白質が行うからです。「脚がむくむから」と言って水分摂取を控える方がいますが、原因を理解し、タン白質を摂取してください。実は、カリウムは細胞内リボソーム上でのタン白質合成や、腎臓での核酸、タン白質などの高分子化合物を安定化させるなど、タン白質の代謝にとても関係しています。

平均的な成人では体重の60%が水分です。しかし、脂肪組織には重量の20%しか水分がありません。肥満の方は水分割合が少ないという事になりますね。水分割合が少なくなる=水分バランスが悪くなる、つまり、むくみの原因になります。肥満の方に減量指導をすると、最初のこの水分バランスが調節されてむくみがなくなり、体重が3kgくらいすぐ落ちたりします(これは脂肪の減少ではありませんので、ダイエットの始めにスッと3kgくらい痩せたからと言って、正しい意味での「減量」とは言いません)。

カリウムの摂取量
カリウムの所要量は、15歳以上では3,500mg/日とすることが望ましいとされています。カリウムの1日当たりの便中排泄量は約400mg、尿中排泄量は200~400mgと言われています。その他に汗などでも失われるのですから、1日800mgの摂取では体内カリウム貯蔵量はマイナスとなり、血漿カリウム濃度の低下が起こってしまいます。血漿濃度で、そのミネラルの欠乏がダイレクトにわかるのは、唯一カリウムだけです。他のミネラルは生体恒常性(ホメオスターシス)で血中濃度を一定に保とうとしているので、かなり欠乏が起きない限り、血液データには現れません。

逆を言えば、血液データにカリウム欠乏が見られ、他のミネラルが正常値の場合、実はカリウムだけではなく、総合的にミネラル欠乏が考えられる、と言う事です。

成人は、平均的に2,000mg/日は確保して下さい。腎臓機能が正常であれば、カリウムはかなり大量に摂取しても安全である事が認められています。
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  • 星 真理(ほし まり)
    栄養整合栄養医学協会認定 分子栄養医学管理士
    栄養学の専門家として老若男女を問わず、一般人からトップアスリートにいたるまで、あらゆるニーズにも対応した栄養指導/栄養セミナーを個人、競技チーム、学校、企業を対象に行っている。
    著書「アスリートのための分子栄養学」(体育とスポーツ出版社)
    分子栄養学(正式名称:分子整合栄養医学)
    Ortho-Molecular Nutrition and Medicine
    ノーベル賞を2つ受賞した米国人生化学者ライナス・ポーリング博士(1901~1994年)が、栄養学と医学とを融合させて研究し、分子整合栄養医学として確立した栄養医学。

  • アスリートのための分子栄養学
    2014年3月31日初版1刷発行
    著者:星 真理
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社


[ アスリートのための分子栄養学 ]

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