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第五十四回 新サプリメント・トピックス D体

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月刊ボディビルディング
掲載日:2017.09.12
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 今回はアミノ酸のD体L体について触れてみます。たまにお客様からの問い合わせで、配合されているアミノ酸は何体ですか?との質問をいただくことがあります。答えは、ほぼ100%L体ですということになります。これは当たり前すぎることなので、通常はパッケージにもDとかLといった記載を省略することが多いのです。

 逆にこういったケースを逆手にとって、敢えてL -〇〇と記載したり、「すべてL体のアミノ酸を使用していますから効果があります」などのPRコピーに使ったりしているケースも見受けられます。

 L体をPRに使うのは少し行き過ぎではないかと思いますが、確かにアミノ酸にはD体と呼ばれるものとL体と呼ばれるものが存在しています。そして通常私たちが体内で利用できるアミノ酸はL体と呼ばれるものだけであるため、DであるとかLであるとかの話は一般的にはあまりでてこないのです。

 例えば通常サプリメントで飲んでいるグルタミンと呼んでいるアミノ酸は、L体のグルタミンです。BCAAなども同様です。

 このD体とL体は光学異性体と呼ばれ、鏡に映った姿のようにパーツパーツは全く同じにもかかわらず右手と左手のような関係で全く別物という不思議な関係にあります。

 実際D体のアミノ酸は食品として認められていないものが多いため、サプリメントとしては使いたくても使えないですし、そもそも体内で利用されないため使う意味もありません。

 唯一の例外はグリシンで、4つの手をもつ炭素原子のうち2つの手を水素(H)と繋がっているためD体とL体の区別がありません。右手も左手も水素(H)が繋がっているため、鏡に映っても同じというわけです。

 そんな利用価値の無いとされてきたD体のアミノ酸ではありますが、最近少しニュアンスに変化が見られます。

 元々世の中に存在していて価値のない物はないはずだとの理由から研究が続けられ、一部のD体のアミノ酸には肌の活性化やホルモンの活性化などの役割があることが分かってきました。

 またD体をL体にする酵素も存在し、例えばアラニンというアミノ酸の場合はD―アラニンがL―アラニンへと変換されたりします(その逆もあります)。アラニンはブドウ糖がなくなってきたときに、一時的にブドウ糖を補助するためにアミノ酸であるにもかかわらずブドウ糖へと変換してくれるとても重要なアミノ酸です。

 通常サプリメントなどに配合されているアラニンはDLアラニンというD体とL体の混合物が食品として認められているのですが、このD―アラニンも体内で酵素(アラニンラセマーゼ)によってL―アラニンへと変換されるようです。

 一般に物質の化学式が変わらずに構造が変わることを異性化というのですが、この異性化をすすめる酵素が自然界で見つかっており、その代表的なものがラセマーゼとエピメラーゼという酵素であります。一カ所の配置を換える酵素をラセマーゼといい、二カ所以上をエピメラーゼと称しています。

 多くの細菌は自身の細胞壁の構成成分を合成する必要があり、D―アラニンはその必須成分であり、そのためにD―アラニンを合成する酵素が存在するというわけです。

 国内で流通しているアラニンの多くはDLアラニンといって、D体とL体の混合物です。この場合、D体のアラニンが腸内細菌がもっている(アラニン)ラセマーゼによってL体へと変換されます。更にD体がL体へと変換される時間が必要となるため、L体単独よりも効果の持続性が期待できます。またD体のアラニンの特徴として、Lアラニンの3倍程度の甘味があるため、サプリメント的には美味しさにつながります。

 WHOなどで研究が進められているアミノ酸の評点パターンも何年かに一度変更となります。その際には、これまで最適とされてきた比率が大きく変わっていることに驚かされます。元々、まったく無駄の無い食品などは存在しませんから、限りなく無駄を省いた食品が評点パターンを人為的に合わせた必須アミノ酸のサプリメントということになります。

 しかしこの評点パターン自体が今後も更に変更となっていくことは考えられますし、ある意味アミノ酸や人体の奥深さともいえるでしょう。

 これまで常識とされてきたD体L体に関しても、今後新しい発見があるかもしれません。

 ただし、L体自体が体内で利用されているという点に関しては間違いの無い事実ですので、サプリメントの摂取方法自体にはなんら変更をする必要はないと思います。


桑原塾・主宰 桑原弘樹
[ 月刊ボディビルディング 2014年7月号 ]

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