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インスリンの働き#2 インスリンの分泌メカニズム

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掲載日:2018.05.10
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○インスリンの分泌メカニズム

やや専門的になりますが、インスリンの分泌メカニズムについても解説しておきましょう。
膵臓(すいぞう)のβ細胞には、GLUT2という「運び屋」がいます。糖質が消化されてブドウ糖が血液中に流れるようになると、GLUT2がブドウ糖をβ細胞に運び込みます。するとブドウ糖から、エネルギー源であるATPがつくられます。
このときATPにより、ATP感受性K+チャネルが閉鎖され、脱分極が起こります。

難しい言葉が出てきましたね。ATP感受性 K+チャネルとは?また脱分極とは?

細胞は細胞膜を境にして、内部がマイナス、外部がプラスとなっています。
これは「マイナスの極とプラスの極に分かれている」と言い換えることができますが、この状態を「分極」と呼びます。

またプラスとマイナスの差のことを「膜電位」と呼び、これは通常、だいたい-70mVになっています。そして何らかの原因によって、プラスとマイナスの差がなくなって膜電位が0mVになることがあります。これを「脱分極」と呼びます。

細胞には「K+漏洩チャネル」という通路があります。
プラスイオンを持つK+がそこから流出するため、普段は膜電位がマイナスになっているのです。しかしブドウ糖からATPがつくられると、このチャネルが閉鎖されます。すると膜電位がなくなって、脱分極が起こるという仕組みです。

β細胞の脱分極が起こると、それをセンサーとして Ca2+チャネルが開き、細胞内 Ca濃度が増加してインスリンが分泌される。このような流れとなっています。
記事画像2

○インスリン分泌後は…

インスリンが分泌されると、細胞膜表面にある「インスリンレセプター」に結びつきます。レセプターというのは「受容体」、つまりインスリンを受け入れるものです。
インスリンレセプターは「αサブユニット」と「βサブユニット」が結合したもので、インスリンとはサブユニットが結合します。

αサブユニットにインスリンが結合すると、βサブユニットの中にある「チロシンキナーゼ」という酵素が活性化し、IRSsと呼ばれるタンパク質が「チロシンリン酸化」されます。そしてIRSSはPI3 キナーゼという酵素を活性化します。PI3キナーゼが活性化されると、GLUT4と呼ばれる「ブドウ糖の運び屋」が細胞の表面に出てきて、ブドウ糖の取り込みを促進するのです。

このあたりは細かく覚える必要はありませんが、「インスリンが分泌されると、さまざまな酵素が活性化されて、GLUT4 が細胞膜の表面に出てくる(トランスロケーション)ことにより、ブドウ糖の取り込み が促進される」ということは押さえておいてください。
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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