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人工甘味料の安全性 ~その特性とダイエットへの活用~

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掲載日:2018.08.02
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果糖や砂糖の問題点については、かなり詳しく書きました。天然だから安全ということにはならないと、もうお分かりいただけるはずです。では人工甘味料や糖アルコールの安全性はどうなのでしょうか。

○人工甘味料は下痢を引き起こす

人工甘味料は体内で消化吸収されないため、カロリーはほとんどありません。しかし消化されないということは、腸の中で人工甘味料が停滞してしまうわけです。

すると、その部分だけ浸透圧が高くなってしまいます。それを調整しようとして、水分を引き込み、浸透圧を下げようとする働きが起こります。こうして腸の中に水分が引き込まれるため、人工甘味料を使いすぎると、お腹が緩くなってしまうことがあります。
これを逆に利用して便秘を治すということも可能ではありますが。

人工甘味料は安全なのか、というテーマについては古くから議論が行われていて、安全性が確認された論文は数多いものの、否定派は「それは企業が金を出した実験だから信頼できない」としています。

○砂糖との比較

問題は、砂糖や果糖などの天然甘味料と、人工の甘味料とでは、どちらが安全なのかということです。

もちろんヒトを使って厳密な二重盲検法を行うことはできませんし(砂糖か人工甘味料かは、すぐバレる)、長期に渡って砂糖だけあるいは人工甘味料だけを摂取してもらうわけにもいきません。

ですからクリアな結論は出しにくいのですが、ともあれBMJに出たシステマチック・レビューとメタ・アナリシスによれば、糖尿病を発症する割合は、砂糖添加が1サービング増える度に18%増加、人工甘味料添加が1サービング増える度に25%増加、フルーツジュースが1サービング増える度に5%増加したということです。(※47)
なお、ここでいう砂糖(sugar)は、いわゆる果糖ブドウ糖液糖のようなものを含みます。

こう見ると、天然であろうと人工であろうと問題があるようです。しかし人工甘味料はカロリーが少なく、糖質摂取量も少なくなっているはずなのに、なぜ糖尿病を引き起こしてしまうのでしょうか。
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○人工甘味料は結果的に食欲を増加させる可能性がある

ヒトでの実験ではありませんが、マウスを3つの群に分け、普通のエサに加えて「サッカリン入りのヨーグルト」と「アスパルテーム入りのヨーグルト」、「砂糖入りのヨーグルト」を12週間与えたところ、すべての群で摂取カロリーが同じなのにも関わらず、人工甘味料のグループが一番体重が増加したという結果が出ています。(※48)

この実験のポイントは、「摂取カロリーは結果的に同等だった」というところ。つまり人工甘味料群のマウスはヨーグルト以外のエサを砂糖群のマウスよりも大量に食べていたということになります。

摂取カロリーを減らすはずの人工甘味料を使用することで、食欲がかえって増加したわけです。
実は膵臓には甘みを感じるレセプターが存在し、人工甘味料の刺激によってインスリンが分泌されます。(※49)インスリンが分泌されれば、当然血糖値は低下します。

普通の食事でもインスリンは分泌されますが、食事で糖質を摂取しているわけですから、血糖値は回復します。だから食後にそれほど空腹感は起こりません。

しかし人工甘味料の場合は糖質を摂取していないため、血糖値は低下したままになります。そのため空腹感が強まり、結局食べる量が増えてしまうのです。
これが原因となって糖尿病を誘発してしまうのかもしれません。

○人工甘味料のダイエット効果

ではダイエット効果についてはどうでしょうか。
やはりBMJの論文ですが、砂糖の多く含まれる清涼飲料水を10週間に渡って飲んだところ、体重と体脂肪率、血圧が上昇しました。

しかし人工甘味料を使った群は、そうならなかったという結果が出ています。(※50)この研究では人工甘味料群の摂取カロリーが明らかに少なくなっており、タンパク質や脂質の摂取量は大きく違わなかったことから、「食事量さえ増えなければ、人工甘味料群のほうがダイエットには有効」だと言えそうです。

では他の安全性はどうでしょうか。
50歳から70歳の約26万人を対象にした研究で、ダイエットソーダを飲むと、「うつ」のリスクが31%増加し、またダイエットフルーツポンチでは、なんと51%のリスクが増加となっています。(※51)普通の砂糖が使われたソーダでは、22%のリスク増加。普通の砂糖が使われたフルーツポンチだと8%のリスク増加。特にアスパルテームが多いとリスクが増加しやすい(36%)ようです。

なおコーヒーを4杯飲んでいる人は、「うつ」リスクが10%減少し、カフェイン摂取が多い人は17%のリスク低下が認められています。

しかしこれも人工甘味料単独の作用と考えるより、人工甘味料使用による上記の理由での「低血糖」と、それに引き続く糖質の過剰摂取が問題だと考えるほうがしっくりきそうです。

これだけ長期に渡って研究が行われていることからも考えても、人工甘味料による直接的な悪影響は、それほど気にしなくても良いと思われます。むしろ人工甘味料摂取の後に起こる食欲増加に気を付けることが重要なのかもしれません。

砂糖や果糖を大量に摂取するよりは、人工甘味料を少量だけ使って消費カロリーに気をつけるようにしたほうが、かえってリスクを減らすことができると思われます。
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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