フィジーク・オンライン

Ad by aerobis

Weekly Monthly Shopping

プロテインスコアとアミノ酸スコア ~タンパク質の「質」~

この記事をシェアする

30
掲載日:2018.10.04
記事画像1
トウモロコシには、それなりの量のタンパク質が含まれます。しかしラットをトウモロコシだけで生活させると、まもなく死んでしまいます。これはラットにとってトウモロコシのタンパク質の「質」が悪かったからです。

プロテインスコアが発見される経緯

タンパク質の「質」は、必須アミノ酸のバランスが大きく関係してきます。
タンパク質の「質」について初めて調べたのはアメリカのトーマスで、1909年のことでした。彼は実験台になった人を3つの群 ~タンパク源としてジャガイモ群、小麦群、牛乳群~ に分けました。そして、それらのタンパク質の何%が人体で利用されたかを測定するために、与えた総タンパク量と、尿中に排出された総窒素量を比較しました。
なお、このとき彼は、タンパク質がエネルギーに変換されないように、十分な糖質を補給しています。

その結果、人間の要求するタンパク質の最低量は、三種類のタンパク質の間で大きな開きがあったのです。そこで彼は「食品のタンパク質の一定量が、ヒトのタンパク質要求量の何%を満たすか」という数字について考え、それを「プロテインスコア」と呼びました。

足りないアミノ酸に注目せよ

1955年にFAO(国際連合食糧農業機関)が、プロテインスコアの基となる理想的なタンパク質(比較タンパク質)を設定しました。これを基にして、数々の食品のプロテインスコアを算出することができます。プロテインスコアを算出するときは、足りないアミノ酸について注目します。

ある食品において他のアミノ酸は十分にあるのに、リジンだけ足りなかったとします。このときリジンの理想量が100で、その食品にはリジンが60しか入っていなかった場合、その食品のプロテインスコアは60になります。
プロテインスコアにおいて、数値100を叩き出すのは卵とシジミです。しかし大豆はメチオニンが足りないため、プロテインスコアは56に留まります。米はリジンが少ないためプロテインスコアは78となります。

ここで、「食べ合わせ」が関係してきます。大豆はメチオニンが少ないのですが、米にはメチオニンが多く含まれます。逆に米にはリジンが少ないのですが、大豆にはリジンが多く含まれます。

ですから「米と味噌汁」の食べ合わせは、自然とプロテインスコアを改善するようになっているのです。昔ながらの智慧ですね。
記事画像2

アミノ酸スコア

さて、1973年になって、FAOはWHOと結託協力して比較タンパク質のアミノ酸パターンを改定しました。そしてプロテインスコアを「アミノ酸スコア」と呼びなおします。
その結果、多くの肉類、魚類のアミノ酸スコアは100となり、大豆のアミノ酸スコアは86となりました。1985年にはFAOとWHO、国連大学が結託協力して、さらにアミノ酸パターンを改定し、それによると大豆のアミノ酸スコアは100になっています。
記事画像3
さらに時代は下り、1990年には食物の消化吸収性を加味したとされるPDCAAS(タンパク質消化性補正アミノ酸スコア)が発表され、そこでも大豆のスコアは100となっています。

なぜ大豆の数値がこれほど高くなったのか、そこに政治的要因を想像しないほうが難しいかもしれませんね。この表は筆者が作成したものですが、いかにプロテインスコアの数値が厳しいものか、お分かりいただけると思います。

ちなみに最近になって「DIAAS」という指標をIDF(国際酪農連盟)が推し出しています。これは回腸での消化性を強引に加味したスコアで、乳製品はその品質が高く、DIAAS値は100%を超えるとしています。
国際酪農連盟の今後の政治力を見守りたいところです。
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


[ アスリートのための最新栄養学(上) ]