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グルタミンの効果的な摂取方法

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掲載日:2019.03.14
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グルタミンは少量だけ摂取しても、腸のエネルギーとして使われてしまうため、効果はないとされてきました。
しかし2gのグルタミンで成長ホルモンの分泌が増加したという報告(※146)もあります。
また体重1kgあたり0.1gと0.3gの経口摂取では、量に比例して血中グルタミンが増加しています。そして体重1kgあたり0.285g~0.57gをも摂取すると、明らかに筋肉における窒素貯留が促進されるようです。(※156)


ただし大量の摂取は問題もあります。アンモニアはグルタミン酸と結合してグルタミンになると前述しましたが、この逆も起こります。つまり大量のグルタミンはアンモニアとグルタミン酸に変換されるのです。

「グルタミン酸+アンモニア→グルタミン」の代謝で働くのはグルタミン合成酵素です。
この酵素は筋肉に大量に存在しますので、大量の筋肉がある人ほど、大量のアンモニアを除去できます。

逆に「グルタミン→アンモニア+グルタミン酸」の代謝で働くのはグルタミナーゼという酵素です。
この酵素は肝臓以外に、小腸粘膜に行在します。つまり大量にグルタミンを経口で摂取すると、アンモニアの発生が避けられないのです。

ただし経口による大量グルタミン摂取には良い面もあります。
毎日30gのグルタミンを経口摂取することにより、腸内細菌の割合(ratio of Firmicutes to Bacteroidetes)が改善して肥満の改善に役立つかもしれないという報告があります。(※157)
なお経口での30gグルタミン摂取によって、炎症性サイトカインがM少したという報告もあります。(※158)

アンモニアは疲労に深く関係する

アンモニアが問題になるのは、それが疲労に関係するからです。血中アンモニアは容易に脳に取り込まれ(※159,※160,※161)、脳内のアンモニアは脳のクレアチンリン酸やATP、糖濃度を減少させたり、脳内の酸素代謝率を減少させたりする作用があります。(※162,※163)
す。また血中アンモニアは筋疲労の指標ともなります。(※164)

グルタミンの主な効果は免疫向上と筋タンパク分解の防止ですので、これを考えると「トレーニング直後」に摂取するのが効率的だと思われます。BCAAやEAAはトレーニングによるアナボリック亢進が目的ですので、トレーニング開始時には既に血中レベルが高くなっている必要があります。

しかしグルタミンはトレーニング前~中に摂取してもさほどメリットはなく、むしろメリットはトレーニング後の摂取において発揮されます。トレーニング後の摂取でしたら、アンモニア発生のデメリットは避けることができます。


前述しましたが、トレーニング直後は胃腸の血流が筋肉に行っており、また交感神経が興奮している状態です。
しかしこの状態でも、グルタミンならば消化の必要がないため、迅速に吸収されます。そして筋肉を分解から護ってくれます。

つまりトレーニング直後にグルタミンを摂取し、数十分して血流が胃腸に戻り、副交感神経のほうが優位になった状態でプロテインを飲むようにすれば、万事メデタシということになります。筆者がこのプロトコルを提唱したのは、もう20年近く前のことになりますが、多くのアスリートからポジティブなフィードバックをいただいています。

グルタミンの望ましい摂取量、方法

摂取量について考えてみましょう。グルタミンの場合、BCAAやEAAのように急峻な吸収速度を得る必要はありません。
そのためホエイプロテインなどを摂取する場合、それに含まれるグルタミンも計算に入れてトータルの必要量を導くことが可能です。ここまで紹介した研究をまとめると、一日にトータル20~30g程度のグルタミンを摂取することで、十分な効果が期待できると考えられます。

ホエイプロテインの場合、100gあたりに含まれるグルタミンは5g弱です。またグルタミン酸は10g弱が含まれます。

ちなみに面白いことに、小麦タンパクにはグルタミンが豊富に含まれ、実に40%がグルタミンです。
老齢マウスに小麦プロテインを与えた研究では、通常のタンパク質に比べて小麦プロテイン群は筋肉量の増加が見られています。(※165)

グルタミン酸が体内でグルタミンに変換される分や、食事から摂取するグルタミンも考えると、一日にホエイプロテインを50~100g飲む場合、サプリメントとしてのグルタミンは10g~15g程度で十分だと思われます。トレーニング直後にグルタミンを10~15g程度飲み、その数十分後にホエイプロテインを40g程度飲むようにすることで、十分な効果が期待できます。

なお一気に10~15gを摂取して下痢してしまう場合は、5~7gを飲んでから15分ほどして追加で5~7gを飲むようにすれば、まず大丈夫です。
146: Increased plasma bicarbonate and growth hormone after an oral glutamine load. Am J Clin Nutr. 1995 May;61(5):1058-61.

156 : Safety and metabolic effects of L-glutamine administration in humans, JPEN J Parenter Enteral Nutr. 1990 Jul-Aug;14(4 Suppl):137S-146S.

157 : Oral supplementation with L-glutamine alters gut microbiota of obese and overweight adults: A pilot study. Nutrition. 2015 Jun;31(6):884-9. doi: 10.1016/j.nut.2015.01.004. Epub 2015 Jan 29.

158 : A clinical study of the effectiveness of oral glutamine supplementation during total parenteral nutrition: influence on mesenteric mononuclear

159 : The metabolic fate of 13N-labeled ammonia in rat brain. J Biol Chem. 1979 Jun 25;254(12):4982-92.

160 : The dynamics of ammonia metabolism in man. Effects of liver disease and hyperammonemia. J Clin Invest. 1979 Mar;63(3):449-60.

161 : Exercise-induced changes in branched chain amino acid/aromatic amino acid ratio in the rat brain and plasma. Jpn J Pharmacol. 1987 Oct;45(2):243-8.

162: Effect of acute ammonia intoxication on energy stores in the cerebral reticular activating system. Exp Brain Res. 1981;44(3):325-30.

163 : Effect of acute ammonia intoxication on cerebral metabolism in rats with portacaval shunts. J Clin Invest. 1977 Mar;59(3):386-96.

164 : Blood ammonia and lactate as markers of muscle metabolites during leg press exercise. J Strength Cond Res. 2014 Oct;28(10):2775-85. doi: 10.1519/JSC.0000000000000496.

165 : 小麦グルテン加水分解物(小麦プロテイン E) の老齢マウスの筋肉量 に及ぼす効果 日清ファルマ資料より
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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