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オルニチン回路とは

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掲載日:2019.04.04
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グルタミンのところで、グルタミンはアンモニアとグルタミン酸になるという話をしました。
しかしアンモニアをつくるのはグルタミンだけではありません。

アミノ酸の代謝のところでも書いた通り、アミノ基とαケトグルタル酸が結合すると、αケト酸とグルタミン酸がつくられます。
しかし運動時などはエネルギーを取り出すため、グルタミン酸はグルタミン酸脱水素酵素の働きにより、アンモニアとαケトグルタル酸になるのです。
つまりグルタミン酸も、アンモニアの発生源になります。

グルタミンに限らず、多めのアミノ酸(タンパク質)を摂取し、運動している以上、通常より多いアンモニアの発生は避けられません。
プロテインを飲むようになったら、汗が臭うようになったという方はけっこう多いのではないでしょうか。

ではアンモニアはどのようにして処理されるのでしょうか。
アンモニアは肝臓で尿素に変換されますが、毒性の高いアンモニアのまま肝臓まで運ぶのは危険です。
そのため組織で発生したアンモニアは、アミノ酸のアラニンやグルタミンに変換されて、肝臓まで運ばれます。
そこでアラニンやグルタミンはグルタミン酸になり、アンモニアに戻ってから、尿素になります。

アンモニアと尿素の関係を、もう少し詳しくみてみましょう。
アンモニアは肝細胞のミトコンドリアにおいて、カルバモイルリン酸に変換されます。
それがアミノ酸の「オルニチン」と結合することによって「シトルリン」になります。

シトルリンはミトコンドリアから出て細胞質に移行し、アスパラギン酸と結合します。するとアルギノコハク酸ができます。

そしてアルギノコハク酸からアルギニンがつくられ、アルギニンから尿素とオルニチンがつくられます。つまりアンモニアからスタートし、最終的に尿素とオルニチンが生成されるわけです。この回路を「オルニチン回路」または「尿素回路」と呼びます。
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通常の場合、アンモニアはオルニチン回路によって全て処理されますので、汗や尿に出てくることはほとんどありません。
汗や尿に含まれているのは尿素です。尿素そのものは、それほど臭くありません。

しかし尿が排出されてしばらく時間が経つと、細菌によって尿素が分解されてアンモニアとなり、アンモニア臭さが出てくるのです。

プロテインを飲むようになってタンパク質の摂取量が増大すると、オルニチン回路のキャパを超えてアンモニアが増えてしまいます。

また、トレーニング自体がアンモニアを大量に発生させてしまいます。
そのため、トレーニングをハードに行ってプロテインを飲むようになると、オルニチン回路で処理しきれなかったアンモニアが尿や汗に出てくるようになり、アンモニア臭がしてしまうのです。

アンモニア臭を減らすには、オルニチン回路を活発にしてアンモニアの除去を促進することが重要です。
アルギニンやオルニチン、シトルリン、アスパラギン酸などを十分に摂取することで、オルニチン回路はスムーズに回るようになり、アンモニア臭も減るはずです。

なおアスパラギン酸はTCAサイクルにおけるオキザロ酢酸やグルタミン酸から容易に合成されるため、まず不足することはありません。
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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