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その他アミノ酸やアミノ酸類縁物質~フェニルアラニン、ヒスチジン~

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掲載日:2019.05.03
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フェニルアラニン

フェニルアラニンはチロシンに変換されて上記のような効果を発揮しますが、この変換を受け持つ酵素が足りないと、チロシンが少なくなってカテコールアミンや甲状腺ホルモンなどの低下が起こります。

ただしフェニルアラニンはチロシンとは別の効果があり、その最たるものが「鎮痛効果」です。
タンパク質の構成成分となるのはL-フェニルアラニンですが、構成成分とならないD-フェニルアラニンやDL-フェニルアラニンには鎮痛作用があることが分かっています。(※114)

またDL-フェニルアラニンには鬱症状を改善する効果も知られています。(※115)
この場合、使用量としては体重1kgあたり14mgが標準で、一般的に一日に750~3000mg程度が使用されています。
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ヒスチジン

最後の芳香族アミノ酸はヒスチジンです。
ヒスチジンは乳児期には準必須アミノ酸で、それ以降は体内での生成が可能だとされていましたが、成人でもヒスチジンが不足すると体内の窒素バランスが乱れ、さまざまな異常が現れることが確認されたため、1985年からは必須アミノ酸となっています。

ヒスチジンはヒスタミンの前駆物質ですが、後述するカルノシンというジペプチドの構成成分ともなっています。ヒスタミンは満腹物質でもあるため、ヒスチジンの摂取によって食事量を抑えることができます。(※116)

またラットの研究ですが、食事量を減らすとともに脂肪分解を促進する働きも期待できるようです。(※117)
さらにヒスチジンとカルノシンの摂取によってSODとカタラーゼ(体内の抗酸化酵素)を増やし、酸化ストレスや炎症マーカーが減少することが確認されています。(※118)他の効果についてはイミダペプチドの項で紹介します。

※114: Analgesic effectiveness of D-phenylalanine in chronic pain patients. Arch Phys Med Rehabil. 1986 Jul; 67( 7): 436-9.

※115: DL-phenylalanine versus imipramine: a double-blind controlled study. Arch Psychiatr Nervenkr (1970). 1979 Jul 4; 227( 1): 49-58.

※116: Histidine suppresses food intake through its conversion into neuronal histamine. Exp Biol Med (Maywood). 2002 Jan; 227( 1): 63-8.

※117: Histidine supplementation suppresses food intake and fat accumulation in rats. Nutrition. 2004 Nov-Dec; 20( 11-12): 991-6.
※118: Protective effects from carnosine and histidine on acetaminophen-induced liver injury.J Food Sci. 2009 Oct; 74( 8): H 259-65. doi: 10. 1111/ j. 1750-3841. 2009. 01330. x.
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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