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βアラニン

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掲載日:2019.06.13
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「アミノ酸の構造」で解説した通り、α炭素にアミノ基がくっついているのがアラニン。
対してこのβアラニンはβ炭素にアミノ基がくっついています。βアラニンはヒスチジンと結合してジペプチドとなりますが、これを「カルノシン」と呼びます。

βアラニンもヒスチジンも「イミダゾール基」を含みますが、このイミダゾール基を含むアミノ酸が結合したジペプチド(二つのアミノ酸が結合したペプチド)を「イミダペプチド」と呼びます。イミダペプチドについては後述します。


ヒスチジンは体内に十分存在するため、βアラニンを摂取することによってカルノシンによる様々な、特にパフォーマンスを改善する効果が発表されています。

例えば6gのβアラニン摂取によりインターバルトレーニングが長時間できるようになり、除脂肪体重も増加したという報告(※158)や、トレッドミルの走行距離を伸ばすという報告(※159)、レスラーとフットボーラーが毎日4gのβアラニンを8週間摂取したら体脂肪が減り、除脂肪体重が増えたという報告(※160)などがあります。

他にもタウリンとの同時摂取によって不安行動が減少したり(※161)、カルノシンのレベルを高めて糖化を抑制し、寿命を延ばす効果が期待されたり(※162)、クレアチンとの同時摂取によって持久力がアップしたり(※163)、自転車競技におけるラストスパートを速くしたり(※164)など、数多くの報告が存在します。

摂取方法としては、食事と一緒に摂ると、カルノシンのレベルを有効に高めることができるようです。(※165)
最初は3g程度のβアラニンを継続して6週間ほど摂取してローディングし、体内のカルノシンレベルが十分に高まったら、一日1~2gに減らしてメンテナンスしていくようにします。

なおEAAのところでご紹介したPurpleWraathですが、EAAの他にβアラニンやシトルリンも含んでおり、メンテナンス期の量としてはこれだけでも十分です。
※158: Effects of β-alanine supplementation and high-intensity interval training on endurance performance and body composition in men; a double-blind trial Journal of   the International Society of Sports Nutrition 20096: 5   DOI: 10. 1186/ 1550-2783-6-5

※159: Beta-alanine (Carnosyn ?) supplementation in elderly subjects (60-80 years): effects on muscle carnosine content and physical capacity. Amino Acids. 2012 Jul; 43( 1): 49-56. doi: 10. 1007/ s 00726-011-1190-x. Epub 2011 Dec 6.

※160: Effects of β-alanine supplementation on performance and body composition in collegiate wrestlers and football players. J Strength Cond Res. 2011 Jul; 25( 7): 1804-15. doi: 10. 1519/ JSC. 0 b 013 e 3181 e 741 cf.

※161: The impact of taurine- and beta-alanine-supplemented diets on behavioral and neurochemical parameters in mice: antidepressant versus anxiolytic-like effects. Amino Acids. 2010 Jul; 39( 2): 427-34. doi: 10. 1007/ s 00726-009-0458-x.00726-009-0458-x. Epub 2010 Jan 23.

※162: Antiglycation effects of carnosine and other compounds on the long-term survival of Escherichia coli. Appl Environ Microbiol. 2010 Dec; 76( 24): 7925-30. doi: 10. 1128/ AEM. 01369-10. Epub 2010 Oct 15.

※163: Effects of 28 days of beta-alanine and creatine monohydrate supplementation on aerobic power, ventilatory and lactate thresholds, and time to exhaustion. Amino Acids. 2007 Sep; 33( 3): 505-10. Epub 2006 Sep 5.

※164:Beta-alanineimprovessprintperformanceinendurancecycling.MedSciSportsExerc.2009Apr;41(4):898-903.doi:10.1249/MSS.0b013e31818db708.

※165:Mealandbeta-alaninecoingestionenhancesmusclecarnosineloading.MedSciSportsExerc.2013Aug;45(8):1478-85.doi:10.1249/MSS.0b013e31828ab073.
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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