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アナボリックホルモン・インスリンのコントロールについて

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掲載日:2016.08.17
インスリンというホルモンの作用について理解することは、ボディビルの栄養を学ぶ上で最も大切な事柄のひとつです。
インスリンとは、しばしば体内で一番のアナボリックホルモンといわれるものです。

インスリンと筋発達

あなたが炭水化物(またはタンパク質の含有量が少ない食品)を食べた場合、インスリンと呼ばれるホルモンがすい臓から分泌されます。
インスリンは、炭水化物から得られるグルコースという燃料を組織が吸収するのに必要なものなのです。

インスリンがアナボリックホルモンだといわれる理由は二つあります。一つは、炭水化物を取ったとき、余分な炭水化物はインスリンによって肝臓や筋肉に運ばれ、貯蔵されます。この筋肉中に貯蔵された余分な炭水化物を筋肉グリコーゲンといいます。そして、この筋肉グリコーゲンこそがボディビルのワークアウトを行っている間の主な燃料源となるのです。

筋肉グリコーゲンのレベルが低い場合、トレーニングすることは難しくなります。さらに、筋肉グリコーゲンのレベルが極端に低い場合、体は筋肉自体を燃料源として使い始めるのです。特に、アミノ酸を得るために、体が筋肉を分解してしまうのです。

この場合、筋肉から得られ、燃料源として使われるアミノ酸というのは、主にブランチド・チェーン・アミノ・アシッド(Branched Chain Amino Achids/ロイシン、イソロイシン、バリンを指す/以下BCAA)です。ですから、インスリンの分泌を促し、ハードトレーニング中に筋肉が分解されてしまうのを防ぐために、適切な時に適量の炭水化物を取ることが大切なのです。

インスリンがもつ二番目のアナボリック的役割は、BCAAを筋肉へ運ぶことです。BCAAとは、筋肉が回復するために必要な、最も大切なアミノ酸で、それらはタンパク質を多く含む食品から得られます。一番よい摂取源は、イオン交換された低温加工のホエイプロテインです。このようなサプリメントも、BCAAを取る役に立ちます。炭水化物から得られるグルコースのように、BCAAも血液中を通って筋肉細胞に運ばれるためには、インスリンを必要とします。インスリンなしでは、筋発達はストップしてしまうでしょう。コンテスト前に極端に炭水化物を制限したことのある人ならば、僕の言っていることが分かると思います。

また、炭水化物の摂取が少ないと、インスリンの分泌も少なくなり、それは、BCAAが筋肉まで運ばれる妨げとなるのです。こうなると、筋肉は発達しませんし、回復も進みません。

最大限の筋発達を得るためには、いくつかの事柄に気を付ける必要があります。まず、正しくトレーニングすること。具体的には、6~10レップスがやっとというヘビーウェイトを使って、ハードに、しかも短時間内にワークアウトを終えること。そして、ワークアウトとワークアウトの間はしっかり休んで回復させること。次に、正しい食事をすること。

つまり、アナボリックホルモンであるインスリンをうまくコントロールすることによって、炭水化物を筋肉内に貯蔵し、次回のワークアウトに備えるのです。また、インスリンのレベルは、BCAAを筋肉へ運ぶのに十分なほどでなければなりません。

インスリンと脂肪蓄積

ここで問題なのは、適量のインスリンは筋発達にとって必要ですが、あまりにも多いと脂肪の蓄積につながるということです。一回の食事で炭水化物を取り過ぎた場合、そこから大量のグルコースが得られます(グルコースが炭水化物食品から得られることは覚えていますね)。

大量のグルコースが体内に入った場合、やはり大量のインスリンがすい臓から分泌されます。この過剰なインスリンは、余分なグルコースを脂肪細胞へ運ぶのです。さらに、高レベルのインスリン分泌は、脂肪の蓄積にかかわる酵素、リポプロテインリパーゼと水分の貯留に関わるホルモン、アルドステロンを刺激するのです。

このように体脂肪が増加すれば、エストロゲンのレベルも上がります。エストロゲンのレベルが上がれば、また脂肪の蓄積が促され、筋発達は阻害されてしまいます。それに、インスリンのレベルが高すぎると、筋肉細胞よりもむしろ脂肪細胞のほうが、血液中を流れるインスリンに対して敏感になります。
筋肉がインスリンに対して敏感な場合、インスリンは筋肉に栄養を運び、筋発達が脂肪の蓄積に優先しますが、脂肪細胞がインスリンに対してより敏感になると、脂肪の蓄積が筋発達に勝るようになるのです。

  • ■究極の筋肉を作り上げるためのボディビルハンドブック
    2013年6月20日第6版発行
    著者:クリス・アセート
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社

[ 究極の筋肉を作り上げるためのボディビルハンドブック ]