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ビタミンB12(コバラミン)

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掲載日:2019.11.13
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ビタミンB12はコバルトを含むビタミンの総称で、メチルコバラミンやヒドロキソコバラミン、シアノコバラミンなどの種類があります。

植物性食品にはほとんど含まれないため、ベジタリアンはB12をサプリメントとして摂取する必要があります。

異性化酵素反応やメチル基転移反応、核酸の合成などがB12が補酵素として働く主な役割ですが、B12の働きとしてもっとも有名なのは赤血球の合成でしょう。

B12は葉酸と協働して働くことにより、赤血球の核酸が正常につくられるようにします。
B12や葉酸が不足すると、赤血球が正常につくられず、悪性貧血や赤血球の減少を引き起こします。

なおB12は葉酸の再生産にも使われるため、葉酸の摂取量が足りないとB12も不足します。

また神経線維は「ミエリン」と呼ばれる鞘のカバーで覆われているのですが、これを合成したり修復したりするのもB12の重要な働きとなっています。
B12欠乏患者の40%に、神経障害がみられるそうです。

ここでもホモシステインを低下させる葉酸とB12、B6の組み合わせにより、脳の萎縮が抑制されています。(※34)軽度の認知障害にも効果が期待できます。(※35)

B12は胃壁から分泌される「内因子」という糖タンパクと結合することによって吸収されるのですが、加齢によって内因子が減ってくるため、高齢者はB12の吸収が悪くなり、不足しがちです。

また胃の調子が悪い人も、B12が不足しがちになります。このような場合、B12の「舌下サプリメント」が有効です。
舌の下にスポイトでB12の溶液を垂らし、舌下から吸収させるのです。また舌下錠になっているものもあり、舌下に錠剤を入れて自然に溶けるのを待ちます。
こういったサプリメントでしたら、B12を十分に吸収させることができます。


※34: Homocysteine-lowering by B vitamins slows the rate of accelerated brain atrophy in mild cognitive impairment: a randomized controlled trial. PLoS One. 2010 Sep 8; 5( 9): e 12244. doi: 10. 1371/ journal. pone. 0012244.

※35: Cognitive and clinical outcomes of homocysteine-lowering B-vitamin treatment in mild cognitiveimpairment: a randomized controlled trial. Int J Geriatr Psychiatry. 2012 Jun; 27( 6): 592-600. doi: 10. 1002/ gps. 2758. Epub 2011 Jul 21.
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


[ アスリートのための最新栄養学(上) ]