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最新のカーボアップ法

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掲載日:2018.08.23
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一般的にはこの「Sherman/Costill法」がお勧めとなりますが、もっと短期にカーボアップを行う方法が2002年に西オーストラリア大学から発表されました。

それはごく短時間の超高強度運動が、速筋と遅筋の両方におけるグリコーゲン蓄積をもたらすという知見に基づいたものです。

またAhlborgやShermanの時代は炭水化物の種類についてそれほど考えられておらず、単に「パスタを食べろ!」といった感じでした。

しかしGI値の高い炭水化物は吸収が早く、またインスリンの分泌が強いため、効率的にグリコーゲンが合成されることが近年になって分かってきました。
GI値の高い炭水化物のメリットが判明したため、カーボアップも大幅な進化を遂げることになったのです。

さてその方法とは、

1.Vo2maxの130%で150秒間の自転車漕ぎ運動を行う
2.それに引き続き、全力のパワーで30秒間漕ぎつづける
3.その後、24時間にわたって除脂肪体重1kgあたり12gの炭水化物を高GI食品で摂取する

これだけです。Ahlborg法やSherman/Costill法のように1週間もかかる方法に比べ、この方法はたったの24時間で、同じだけのグリコーゲン蓄積を達成することができるのです。短時間でカーボアップを行う必要がある場合、この方法が大いに役立つことでしょう。

なお自転車漕ぎは下肢中心の運動ですので、ステアクライマーやダッシュなど、上肢も使う全身運動のほうを筆者としてはお勧めします。

カーボアップの効果を高めるために

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クエン酸
ATPは糖質あるいは脂質から産生されます。そのため、カーボアップを行う場合は体内で糖質が使われる量をできるだけ減らすことがポイントとなります。

糖質は「解糖系」と呼ばれるATP産生機構でエネルギー化されます。しかしクエン酸を摂取すると、解糖系における酵素(ホスホフルクトキナーゼ)が阻害されます。

つまりクエン酸は糖質がエネルギーとして消費されてしまうのを抑えてくれるのです。そのため、カーボアップ時にクエン酸を摂取すると、効率的にグリコーゲンを蓄積することができます。
摂取量としては、一日に6~10g程度を目安にすると良いでしょう。

●水分摂取と塩分を忘れない!
1gのグリコーゲン中には、2.7gの水となる水素イオンが含有されます。つまりグリコーゲンをつくるときには、水が必要なのです。
またグリコーゲン合成の際には塩分も必要となります。ですからカーボアップのときは、水と塩分が不足しないように気を付けるようにしましょう。
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


[ アスリートのための最新栄養学(上) ]