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特別インタビュー 50歳を超えてもなお進化する男 合戸孝二

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[ 月刊ボディビルディング 2016年8月号 ]
掲載日:2017.05.10
記事画像1
――合戸さん、お久しぶりです。今日はよろしくお願いします。

合戸 こちらこそよろしく。それで今日は何を聞きに来たの?

――もちろん昨年の日本選手権で、前年とは別人のような体で登場したその秘訣というか、何を行ったのかを聞きに来ました。

合戸 別に何も変わったことはしていないんだけどなぁ。たとえあったとしても教えないよ。

――ははは、それではインタビューが終わってしまうではないですか! では、順を追って聞いて行きますが、まずトレーニング面で何か変えましたか?

合戸 だから教えないって言ってるじゃない(笑)。トレーニングは、前に取材に来てもらったとき(2014年4月号参照)と、ほとんど変わっていないよ。フリーウェイトの種目を中心に、高重量を扱って追い込むという、基本的なトレーニングだね。

――前の記事を読んでいない方のために細かく聞いていきますが、現在何分割で行っているのですか?

合戸 4オン・1オフの4分割。1日目背中、2日目胸・二頭筋、3日目脚、4日目肩、そしてオフを挟む。細かい種目などは面倒だから表にして。

――はいはい、分かりました。腹筋は、どうしていますか?

合戸 腹筋はオフの日に行っているよ。

――三頭筋のトレーニングが入っていませんが,どうしてですか?

合戸 肘を痛めていて、できないだけ。
現在のGトレ(4オン・1オフ)

DAY 1. 背中
デッドリフト  10 セット MAX280㎏
マシンロー   10 セット MAX200㎏
ベントロウ   6 セット MAX145㎏
ロープーリーロー  5 セット MAX120㎏
(ネガティブワーク)
ラットマシンプルダウン 10 セット MAX120㎏

DAY 2. 胸・二頭筋
ベンチプレス  15 セット MAX160㎏
インクラインベンチプレス 10 セット MAX145㎏
ダンベルフライ 5 セット MAX34㎏
ディップス   5〜6セット
(ネガティブワーク)
バーベルカール 10 セット MAX85㎏
ケーブルプリチャー 6セット MAX100㎏
(ネガティブワーク)

DAY 3. 脚
レッグエクステンション 10 セット MAX80㎏
セイフティスクワット 10 セット MAX270㎏
レバレッジスクワット  10 セット MAX230㎏
レッグプレス   5セット MAX250㎏
レッグカール   6セット MAX54㎏
シーテッドカーフレイズ 5セット 
スタンディングカーフレイズ 5セット

DAY 4. 肩
フロントプレス 10 セット MAX120㎏
バックプレス  10 セット MAX100㎏
ダンベルプレス 10 セット MAX54㎏
サイドレイズ  5セット MAX34㎏
サイドレイズ  5セット MAX20㎏
(ネガティブワーク)

※ネガティブワーク以外は、全てダウンセットで追い込む(カーフをのぞく)。
さらに補助を3レップスいれる(種目によって5レップス)。
ネガティブワークは、奥さんが負荷をかける

――相変わらずセット数が多いですね。ベンチプレスだけで15セットとは。テクニック的には、何か使うのですか?

合戸 自分はほとんどがダウンセットで行うか、ネガティブで行う。ベンチプレスはダウンセット+補助3レップス。
例えばマックス重量が160㎏で、これを1レップ挙げて補助を入れて3レップス、すぐに20㎏落として140㎏を1〜2回自力で挙げて補助3レップス、これで1セット。
だから、実際は30セットやっているということかな。

ネガティブ重視の種目、例えばディップスは収縮ポジションまでバンと持って来て、そこから妻に背中に乗ってもらってネガティブをかけてもらう。
二頭筋だと、ケーブルプリチャーカールがネガティブワークで、チーティングを使って収縮ポジションまで持って来て、そこから妻にプレートの上に乗ってもらってネガティブをかけてもらう。そんな感じだね。

――トレーニング時間はどれくらいですか?

合戸 3時間。肩の日だけ2時間。

――メニューを見るとリアデルタの種目を行っていないようですが?

合戸 バックプレスで効いちゃうから、やらない。
バックプレスは、後頭部につくまでバーを下ろすから、可動範囲が大きくリアに効いてしまうのだと思う。

――最近、大腿部のトレーニングを前と後ろに分ける人が多いですが、合戸さんは同じ日に行いますね。

合戸 四頭筋とハムストリングスを別々の日に行ってしまうと、次の脚のトレーニングまでに疲れが抜けないから。いくら前と後ろに分けても、完全に分けられる訳ではないからね。四頭筋重視とは言っても、ハムや臀部は多少なりとも使われている訳だし、その逆もいえる。それくらい自分は追い込むから。

――バーベルスクワットではなく、セイフティーバーを行うのはなぜですか?

合戸 まずバーベルを背中に担ぐというポジションが窮屈で、脚に集中できない。それに比べセイフティーバースクワットは、背中に乗せるだけで腕で支える必要がないので、安全に高重量が扱える。
それにバーベルスクワットは潰れたらそこで終わりだけど、セイフティーだとハンドルを握って行うから、潰れた後も腕の補助を使ってさらに追い込めるからね。

――3種目目のレバレッジスクワットとはなんですか?

合戸 セイフティーバースクワットは四頭筋メインの種目だけど、レバレッジスクワットはハムストリングスと臀部メインの種目。
スクワット系で前と後ろを分けて行っている。これ良いよ。

――たいていセット数は10セットもしくは5セットですが、レッグカールだけ6セットとは何でですか?

合戸 5セットでは物足りなくて、7セットだと多過ぎ、って感じかな。

――……つまり直感的なものですね。弱点といわれているカーフは、どんな感じですか?

合戸 以前は高重量を10回とかで行っていたけど、今は重量関係なくハイレップスで行うようになった。30〜40レップス。
腹筋もそう。前はケーブルクランチを70㎏とか80㎏で10レップス前後で引いて、さらに補助までつけて10レップス行っていた。
ある時、理由はないんだけど半分くらいの重量でハイレップスでやってみたら、腹筋がパンパンになったんだ。それこそ休み休み500レップスくらい。昔は回数を多くやるとウエストが太くなるなんて言われていたんだけど、それは嘘だね。ウエストも締まって来た感じがする。腹筋自体が大きくなったというか、セパレーションがついて、見た目が良くなったと感じている。

――ハイレップスにして、カーフも良くなりましたか?

合戸 ……変わらないね(笑)。トレーニング直後はパンパンに張っていてデカイんだけど、冷めてしまうと小さくなってしまう。

――では、大会の時にステージに現れる前に、カーフをとことんパンプさせれば良いではないですか!

合戸
 そんなの無理だよ。上半身をパンプさせるだけで時間がなくなっちゃう。上半身が張っていなくて、カーフだけパンパンだったらおかしいだろ!

――愚問でした。それではトレーニング的に、以前と劇的に変えたところはないんですね。

合戸
 そう、基本的にフリーウェイト中心で、高重量で追い込む。変えたのはカーフと腹筋のやり方くらい。

――では、次に食事に関してお聞きしますが、こちらも前とは変わっていませんか?

合戸
 変わっていないよ。

――まぁ、以前から合戸さんは食事よりもサプリメント重視ですからね。そのサプリメントに関してはどうですか? 何か変わりましたか?

合戸
 いや、前とほとんど変わっていないと思う。“基本的なものをたくさん飲む”といった感じかな。詳しくは表を見てよ。
◆合戸考二のサプリメント

:BCAA、EAA(各スプーン山盛4杯)、プロティン(スプーン山盛7杯)、クレアチン、PUMP UP 2本、グルタミン、ビタミンA・C・E

トレーニング中:BCAA、EAA(各スプーン山盛4杯)

トレーニング直後:BCAA、EAA(各スプーン山盛4杯)、PUMP UP 3本、プロティン(スプーン山盛7杯)、マルチビタミン、グルタミン

10〜11時頃:1回目の食事

間食:BCAA、EAA(各スプーン山盛4杯)

18 時頃:2回目の食事+プロティン(スプーン山盛7杯)

就寝前:プロティン(スプーン山盛7杯)、グルタミン

※オンに入るとプロティンの摂取を1回増やす
※合戸選手は健康体力研究所と契約をしているため、摂っているサプリメントは全てケンタイの商品である

教えられない調整法

昨年(2015年)の日本選手権。サイズ、仕上がりともに鈴木に負けていなかった(写真=徳江正之)

昨年(2015年)の日本選手権。サイズ、仕上がりともに鈴木に負けていなかった(写真=徳江正之)

――昨年の日本選手権は、誰が見ても合戸さんの体は前年と比べて劇的に良くなっていたと感じましたが、トレーニング法でも食事法でもないとしたら、一体何を変えたのでしょうか?

合戸
 だから初めにも言ったように、それは教えられない。

――ケチ臭いですね。

合戸
 ケチとかじゃなくて、たとえここで教えたとしても誰も真似できないと思うよ。俺くらいトレーニングして、俺くらいストイックに減量しないと成功しないね。真似をすれば良いと思うのは大間違い。俺とは、ここまで培って来た物が違うのだから。

――真似できないなら、教えて下さいよ。

合戸
 いや、教えられない。

――教えて?

合戸
 引退したら教えるよ。

――じゃぁ、ヒントくらい。

合戸
 敢えて言うなら調整法かな?

――調整法ですか!?では、その秘密の調整法は、どのようなことがきっかけで思いついたのですか?

合戸
 実は、これまでもずーっと行って来たことなんだ。毎年ね。ただ、そこまでやってしまうと体がしぼんでしまうと思って、とことん行わなかった。
それを去年は思い切って大会当日も行ってみたら、皆が騒ぐような体を作ることができたんだ。

――分かった! いつも合戸さんが大会前に行っている、何でも食べるというカーボアップを行わなかった。

合戸
 そんなわけないだろ!前々日から何でも食べたよ。この調整法は、むしろ食べなかったら成功しない。たぶん、本当の話をしたら「なんだ、そんなことか!」って思うよ。

――プロティン飲むの止めた!

合戸
 飲んでるよ。俺は、減量に入るとプロティンを飲む量を逆に増やす。手品と一緒で、ネタばらしをしたら“何だ!”ってなるじゃない。他の選手でもやっている人いるんじゃない? 難しいことではないんだ。これ以上は、もう言えない。

――今年もその調整法はやりますか?

合戸
 もちろん。去年初めてその調整法をとことんやってあの体が作れたのだから、今年は最低でも同じ体を作ることはできると思っている。

――それでは、今年は優勝ですね。

合戸
 それは少し無理かな。いくら自分で過去最高の体が作れたとしても、審査するのは第三者だから。
実は、昨年は自分の体がそれほど変わっているとは思っていなかったんだよ。確かに減量に入って、血管の出方がいつもと違うなとは思っていたんだけど、たいていカーボアップしてしまうとその血管は薄れてしまっていた。

それが去年は薄れるどころか、カーボアップしたらさらに血管が浮いて来た。これは例年とは違うなとは感じていた。でも、順位というのは実際のステージ上の体だけで審査される訳ではなく、前年の順位や国際大会の順位なども少なからず影響するからね。まぁ、それは人が人を審査する訳だから仕方ないことだと思っている。自分が日本選手権を3連覇していた時も、自分としては100%でないと感じたこともあったけど、その時は世界選手権で入賞もしていたから、それがアドバンテージになって優勝できたと思ったね。

そういうことを考えると、安易に「今年は雅を倒して優勝する!」なんてことは言えないよ。今年、雅はアーノルドアマチュアで優勝しているしね。

―――一般的な選手は50歳を過ぎたあたりでマスターズ大会への出場も考えると思いますが、合戸さんはその気が全くありませんよね。日本選手権で優勝を目標としていない今、合戸さんの大会へ出場し続けるモチベーションとは一体なんなのですか?

合戸
 そうだね…。自分の順位より見に来てくれている観客へのインパクトかな。ステージに自分が現れた時に会場が“ワーッ”と沸く、その雰囲気を味わいたいというか。順位は上がらなくても、「どうみても合戸の方が上だった!」そんな印象を観客に与えられれば良いね。どんなスポーツでも、観客に感動を与えることは大切だと思う。ボディビルの場合、それは肉体な訳じゃない。50歳を過ぎても凄いと思われる体を作り続けること、それが今のモチベーションかな。

―――合戸さんは“引退”とか、後何年続ける、なんてことは考えていないのですか?

合戸
 今は考えていないね。ボディビルは、直接相手と対決するスポーツではないから、自分が納得のいくトレーニングができている限り大会には出場する。
逆に言えば、自分の納得のいくトレーニングができなくなれば、それは自ずと自分の肉体に現れてくるから、引退するよ。
惰性で大会に出場する気は、もうとうないからね。

―――大会の出場自体が、今の合戸さんには全くモチベーションになっていないということですね。

合戸
 全くないと言えば嘘になるけど、要は日本選手権に出場するに値するトレーニングができているか、いないかなんだよ。一日一日納得のいくトレーニングができていて、その延長線上に日本選手権があれば出場するし、世界大会に選ばれれば出る、といった感じだね。若い時みたいに「この大会に優勝する」ということは今はない。

毎日、納得のいくトレーニングができているか、高重量を扱えているか、気持ちが保てているか、それができていて、その過程で日本選手権があれば出場するということ。
ほとんど掲載されたことのないBen編集長の撮影風景写真。合戸選手のデカさも凄い!  by コヤツ

ほとんど掲載されたことのないBen編集長の撮影風景写真。合戸選手のデカさも凄い!  by コヤツ

若手選手への提言

記事画像4
――先ほどから“見ている人に感動を与えられる体”と何度も述べていますが、具体的にはどんな体を言っているのでしょうか?

合戸
 ボディビルダーであるなら、一般人とはかけ離れた“凄い”体じゃない。ボディビルの大会を見に来ている人が、細マッチョなんて望んでいないと思う。そういう意味で、最近の若いボディビルダーの中に、感動を与えられるような選手はいない。少なくとも「こいつは凄いなぁ」とか「相当努力して来たんだなぁ」と俺に思わせる若手選手は無に等しいね。人に感動される体を作り上げるには、一般の人には想像できないようなハードトレーニングを積まないとダメ。

――合戸さんが一目置いている選手なんていませんか?

合戸
 いないねぇ。何か、みんな同じような体しているんだよ。一昔前の選手は皆それぞれ特徴があった。例えば谷野君だったら胸、須江君だったら背中、近藤君だったら大腿部のカットと。弱点もあったけど、人とはかけ離れた特筆すべき長所も持っていた。人から見て“凄い!”と思える部位をどこかしらに持っていた。しかし今の選手は綺麗過ぎて、整っている。海外の大会ならクラシックボディビルダーであって、本来のボディビルダーではないね。

――その原因は何だと思いますか?

合戸
 大会で良い順位をつけらることばかり考えているんじゃない。仕上がりばかりを優先させているような。オフにはあまり太らせないようにする、なんていう選手も多いじゃない。せいぜい太っても2、3kgとか。

オフには高重量を扱って筋肉を増やすのが本来の目的であって、減量に入ってからのことを考えてオフを過ごしているようではダメだよ。2,3kgしかオフに増えないような体が、オンに入って大きくなっていると思う? そんなの無理だよね。オフにはきちんと食べて、体重を増やして、高重量トレーニングをガンガンやって、筋肉を増やして体を改善させる、これがボディビル本来の姿だよ。オフに体重を増やさない選手は、何年経っても同じような体だ。

――最近は、オフシーズンも食べたい物を我慢して、減量食みたいな物を一年中食べている選手も多いと聞きますよね。

合戸
 俺も、他の選手と一緒に食事をしたりするんだけど、皆ジャンクフードを食べないんだよ。オフシーズンなのに、ステーキと温野菜みたいな感じで。オフシーズンでもタンパク質は大切だから、ジャンクフードが良い訳じゃないけど、オフに食べたい物を食べないなんてストレスじゃない。俺は、フライドポテトにケチャップをつけて食べるよ。それに筋肉の成長にも、ハードトレーニングを行うにも、オフシーズンにカロリーをしっかり摂ることは大切だと思う。ストレスも筋肉の成長の妨げになるしね。

――たとえオーバーカロリーであっても、しっかりトレーニングができていれば,そんなにブヨブヨの体にはならないと思うのですが。

合戸
 そうだね。たとえ変な食事をしていても、タンパク質がしっかり摂れていて、しっかりトレーニングできていれば、変な太り方はしないはずだよ。もし、変な太り方をしたのであれば、それはトレーニングが足りないということだ。俺は、オフシーズンはジャンクでも何でも食べる!

――でも、合戸さんは量をあまり食べないですよね?

合戸
 いや、そんなことはない。オフは、食べたい物を食べたいだけ食べている。ボディビルを始めた頃は食が細くて、とにかく胃のキャパシティーを増やすことに苦労した。消化剤を飲みながら、食べていたほどだからね。

今、そんなことをしている選手はいないよ。「そんなことしてどうすんの?」って感じでさ。トレーニングにしても、食事にしても無理をするってことを今の人たちはしなくなったよね。近道じゃないんだけど、何か簡単に、楽に大きくなろう、そんな感じがしてならない。

――それはなぜだと思いますか?

合戸
 まぁ、インターネットの普及で情報が溢れ返っているせいなんじゃない。良い情報も、悪い情報もたくさんありすぎて、初心者や経験の浅い選手なんかは、鵜呑みにしちゃうし、取捨選択できない。頭でっかちで体がしょぼい、そんな感じだね。

それと、今は最新のマシンがずらりと並んでいるジムが多いから、効かせることが簡単にできるようになった。前のインタビューでも述べたけど、俺も、マシントレーニングにはまっていた時期があった。軌道が決まっているから安全だし、伸展と収縮も意識しやすいから、効きやすいんだよね。

でも、本当に効いているのは極限られた部位だけで、筋肉全体には全然効いていなかった。筋肉全体に効いているような錯覚を起こしてしまうんだ。

――それは何で気づいたのですか?

合戸
 一番は、扱う重量が落ちていたことだね。ベンチプレスをバーベルではなくスミスマシンでやっていたんだけど、ある時バーベルで行ってみたら130㎏挙げるのがやっとだった。以前は160kg挙っていたのに、びっくりしたよ。それと見た目も。オフは脂肪が乗っているから分からなかったけど、減量に入って、徐々に絞れてくると、なにか密度感がなくて、迫力が失われていたような感じがしたんだ。その時は年齢のせいにして、仕方がないと諦めていた。でも、フリーウェイト中心のトレーニングに戻したら、筋肉のサイズも迫力も戻って来たし、それは去年の俺の体が証明している。

――話を戻しますが、今の若手の選手が、食事にしてもトレーニングにしても、ある意味無理をしなくなっているようでは、今後合戸さんをうならせるような選手は登場してこないということですか?

合戸
 そうだね。日本選手権で一緒に戦っていても、そう感じる選手はいない。俺の考えでは、ボディビルダーとは一般の人とは違う体をしてこそ、驚愕させてこそ、初めてボディビルダーと名乗れるということ。ただ色が真っ黒とか、スジ張っていてキレキレというのではなく、筋肉の大きさで唸らせることができる、というのが本当のボディビルダーだよ。だから、トレーニングにしたって、食事にしたって、一般人と同じようなことをしていてはダメ。
高重量をぶん回してガンガントレーニングする、食事も二人前、三人前は当たり前みたいな、一般人とはかけ離れていなくては、凄い筋肉は作れないと思うよ。そういった面白みのある選手は今のところいないし、そういった選手が現れない限り、俺を倒すのはまず無理だね。
秘密の調整法で今年さらに進化した合戸孝二が見られるか!

秘密の調整法で今年さらに進化した合戸孝二が見られるか!

――最後にいつもの“合戸節”を聞かせてもらいました。今年の日本選手権で、さらに進化した体を拝見できること、今から楽しみにしています。

合戸
 もう終わり? もっと話せるよ。

――いや、結構です。ページ数にも限りがありますので。そんなに話したいのなら、先ほどの秘密の調整法、教えていただけませんか?

合戸
 教えない。

――ありがとうございました!


(16年5月22日/マッスルハウスジムにて)

聞き手=Ben Kamata
  • 合戸 孝二(ごうど こうじ)
    誕生日:1961年04月01日
    出身地:静岡県

    <主な戦歴>
    [ 2010年 ]
    日本選手権 2位
    世界選手権70kg級 6位
    [ 2011年 ]
    アーノルドアマチュア70kg級 4位
    アジア選手権大会70kg級 優勝
    日本選手権 2位
    世界選手権70kg級 5位
    [ 2012年 ]
    アーノルドアマチュア70kg級 6位
    日本選手権 3位
    世界選手権70kg級 9位
    [ 2013年 ]
    日本選手権 3位
    世界選手権70kg級 15位
    [ 2014年 ]
    日本選手権 4位

[ 月刊ボディビルディング 2016年8月号 ]