フィジーク・オンライン

奇問・難問・珍問、何でも来い!Q&A ジュラシック木澤に聞け!! JURASSIC ANSWER

この記事をシェアする

0
[ 月刊ボディビルディング 2012年1月号 ]
掲載日:2017.07.14
記事画像1

1. 塩抜き、水抜きとは何ですか?

大会直前に塩抜きや水抜きといったテクニックを行なう方がいますが、これは何ですか?
初心者で全く解りません。何の効果を狙って行なうのですか?
初心者にも効果はありますか?
もし行なうのでしたらどのように行なうのでしょうか?教えて下さい。


コンテストシーズンによく聞く言葉ですね。何の効果を狙って行なうのか?
皮膚下の水分をできる限り抜いて皮膚を薄くすることで、コンテスト当日によりハードに仕上がった状態にするのが狙いです。そう書くと水抜きだけでいいのでは?
と思われますが、塩分と水分は密接に関係していますので、水を抜くために塩分を控える必要があるから、塩抜きも同時に行ないます。

人間の身体は、塩分の多い食事をして体内の塩分濃度が高くなると水分を蓄え、塩分濃度を下げて一定に保とうとします。塩っ辛い食事の後に喉が渇いたり、浮腫んだりするのはそのためです。反対に塩分を普段の食事より抑えると逆の現象が起きます。汗などで失われた塩分が食事で入ってこなければ、体内の塩分濃度が低くなってしまいます。すると体内の水分を排出して塩分濃度を保とうとします。これを利用したのがボディビルダーがよく行なう水抜きです。

しかし水抜きといっても、上手く皮膚下の水分だけ抜くことなんてできるのでしょうか? 僕の考えでは”NO”です。体内の水分といえば血液も水分ですし、筋肉の中にもたくさんの水分があります。これらの水分が抜けてしまったらどうなるでしょうか?
血液が減れば体調を崩すのは当たり前ですし、パンプもしません。また筋肉から水分が抜ければ筋肉のサイズダウンもしてしまいます。水抜きや塩抜きをした選手達がコンテストが終わってからそろって口にするのは、「パンプしなかった」「張りが無かった」という同じ言葉です。

厳しい意見になってしまいますが、皮膚と筋肉の間に脂肪がなければ血管も出ますしハードに見えます。逆に脂肪があれば甘くみえます。それを水抜きや塩抜きでコンテスト当日になんとかしようとしても、もう手遅れです。塩抜きや水抜きはリスクが多くおススメしませんし、しっかり絞れていない身体をそれで何とかしようなんて甘い考えではコンテストで上位にはなれません。実際ミスター日本で活躍している選手で塩抜きや水抜きを行なう選手は、ほとんどいません。現在の主流としては〝コンテスト直前に極端な事はしない〟という流れが強いように感じます。

カーボアップもそれほど極端な食事をする選手は減りましたし、塩分や水分もやや抑えるといったのが主流です。せっかく長い年月をかけて作り上げた身体をコンテスト直前の何の確証も無い小細工で台無しにするなんて事は、僕のような小心者には考えられません。
記事画像2

2. 大会当日には何を食べる?

 私は大会5年目の中堅ビルダーです。いつも迷うことなのですが、大会当日はどのようなものを、どれくらい食べたら良いのでしょうか?だいたいプレジャッジが10時頃としたら、何時にどれくらいの炭水化物やタンパク質を取って行けば良いのでしょうか?
いつも当日はあまり食べないので、筋肉の張りが悪いように思っていますが、何か甘くなるようで食べるのをためらってしまいます。大会当日木澤さんはどういったものをいつ、どれくらい食べているのでしょうか?


 大会当日の食べ物についての質問ですが、筋肉の張りを良くするためには前日か前々日からの食事の方が重要だと思います。僕のやり方を紹介してみます。

日曜日が大会だとするとまずトレーニングは金曜日の夜が最後です。食事に関しては木曜日までは夜の炭水化物を控えめにする通常のダイエット中の食事内容です。金曜日のトレーニング終了後の食事から炭水化物を少しずつ摂取します。トレーニング直後はグリセミック指数が高めの炭水化物を摂るように白米やベーグルなどを食べます。たんぱく質は通常のダイエット中の牛肉の赤身などを食べます。

翌日の土曜日は朝からはガラッと内容を変えて炭水化物中心の食事にします。というより炭水化物ばかりです。タンパク質を通常のように摂ろうとするとお腹がいっぱいになり、炭水化物が入らなくなるためです。食事内容としては蕎麦・白米・サツマイモ・フルーツなどを約3時間おきに腹6分目くらいの感じで食べていきます。

前の質問でありましたように、僕の場合は塩分や水分の制限はしません。炭水化物は水分と一緒になって身体に蓄えられますので、水分も摂りながら食事をします。水分を制限し過ぎているとせっかくの炭水化物が蓄えられにくくなるので気をつけて下さい。

僕の場合は土曜日から日曜日にかけては、夜中も通して約3時間おきのペースで食べるようにしています。朝はコンテストのステージギリギリまで食べるのではなく、10時からステージなら朝7時くらいには食事を最後にして、空腹にしてステージに立ちます。普段のトレーニングを空腹で行なうので、そのほうが身体の調子が良いのでそうしています。

現在はこのやり方ですが、以前は土曜日は一日好きなものを好きなだけ食べるやり方も行なっていました。このやり方だと摂取カロリーは高くなりますが、油物もたくさん食べるので消化に時間がかかり、食事の間隔が空いてしまいます。結果、思ったより炭水化物を体内に溜める事ができないので止めました。ダイエット食から急に油物をたくさん食べる事で身体にも負担が大きいですから、体調もいまいちに感じますしね。

僕のやり方は食事で筋肉の張りを求めるやり方ですが、食べると甘くなるのが怖い方には、筋肉をしっかり休める方法で張りを求めてみるのも良いと思います。最後の一週間はトレーニングのボリュームを落として、食事はやや炭水化物を増やすといったやり方です。色々試して自分が自信を持って今後やっていける調整方法が、早く見つかるといいですね。参考にしてみて下さい。
[ 月刊ボディビルディング 2012年1月号 ]

Recommend