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◆特別対談◆合戸孝二vs角田信朗

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月刊ボディビルディング
掲載日:2017.08.02
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「合戸選手と一度お話ししてみたいって思ってるんですよね」トレーニングを終えた角田師
範がクールダウン中にこう言った。なんという偶然、合戸選手がタイミング良くジャングル
ジムSPORTS でセミナー( 健康体力研究所の企画) を開催することが決まったところだったの
だ。こんなチャンスは二度とないと僕は「もしも可能でしたら、合戸選手とそこで対談して
いただけませんか?」とお願いした。結果、この夢の対談が実現することになったのだ。格
闘技とボディビルという違う道を歩んできた両者が、自己の肉体と精神を鍛えぬきトップア
スリートになっていく過程、そして進化を止めることのないその肉体の秘密を読者へ語る。




司会 今日はよろしくお願いします。お二人とも昭和36年生まれの今年51歳ということです
が、その年齢で日々のトレーニングのモチベーションをどのように維持されているのでしょ
うか?

角田 人間は年齢とともに衰えていくのは仕方ないのですが、朽ち果てていくのは嫌なので
、僕はいつまでも男の憧れとして、逞しくて、強くありたいです。強さとはいろんな強さが
あると思うのですが、一番シンプルなのは、分厚い胸板だったり、太い腕だったりですよね
。よく「トレーニング大変でしょ?」といわれるのですが、僕はトレーニングをライフスタ
イルの中に取り込んでいるので、歯を磨く感覚と同じことというのか、大変という感覚はな
いですね

合戸 自分の場合は大会に出るという目標、ボディビルの世界大会で表彰台にのぼるという
最終目標があって、それに向かっていくという気持ちがモチベーションになっていますね。
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司会 お二人にうかがいますが、ウエイトトレーニングを始める前はどんな体で、どんなト
レーニングをしていましたか?

角田 僕が空手を始めたときは体重が50kgしかなかったので、ほんとうにガリガリで、とに
かく体を大きくしないと戦えないと思っていました。ごく最近まで日本のスポーツ界はウエ
イトトレーニングについて敬遠しているというのか、特に器具をつかった筋肉は本物じゃな
いみたいな考えもあったじゃないですか。自分の体重を使ったトレーニングが良い、みたい
な。でも筋肉に本物も偽者もないですよね。僕たちの、実際に突いたり当てたり蹴る実戦空
手では、実際に体の厚みがないと、選手として生き残ってこられなかったので、最初のころ
からウエイトトレーニングにすごく興味があったんです。ですが、ちゃんとトレーナーが付
いておらず、我流で雑誌や本を読んだりとかしてやっていました。僕、最初に手に取ったの
が月刊ボディビルディングで、それを読みながら試行錯誤でやってきましたね。それで、40
歳を過ぎたころから、はじめてトレーナーについてもらって、いろいろ学ぶことも多くて、
それまで壁に当たって停滞していた体がまた反応し始めたんです。

司会 どんな内容のトレーニングでしたか?

角田 初めてのトレーナーは加圧トレーニングのトレーナーだったんです。その後、3年位
前に舞台に出演するにあたって肉体改造の必要があり、以前から東京のナルシス山本君とは
ゴールドジムで顔を合わせて意気投合していたこともあって、体を改造してもらえませんか
とお願いしました。いろいろなテクニックとか、もちろん重いものを持ち上げるということ
もありますけど、正しいフォームと知識をもってすれば、これだけ顕著に効果がでるのか、
というのを実感して、すごいなと感じました。 それから震災の後大阪に戻ってきて、さあ
どうしようかなと思ったときに、小川会長を紹介していただいて。それからは毎日、「なん
で会費を払ってこんなきついことをしなければならんねん」という感じですが。毎回新しい
発見があって、まだまだ限界に挑戦していける自分があることが嬉しくしょうがなくて、嫌
だなといいながら、足取り軽くジムの階段をあがってくる、そんな感じです。

司会 合戸選手はどうでしょうか?

合戸 自分も最初は角田さんと一緒で体重が60kgあるかないかで、普通の兄ちゃんでした。
ベンチプレスも50kgを震えながら1発あげているような感じでした。そこからスタートして
、ボディビルに向かって行ったのですが、自分の場合は動機が不純で、フィットネスジムで
エアロビクスをやっていた女の子をみて「うん、やろう」と。自分がいい体になりたいでは
なく、女の子とおつきあいしたいという感覚でした。

角田 そういうのが一番モチベートするんですよ。動機が不純な方が、かっこつけているや
つよりも、そういうやつの方が何でもやるもんね(笑)。

司会 その後、合戸さんは、ダブルスプリットでトレーニングをしたりしていますが、体は
劇的に変化しましたか?

合戸 そうですね、1日8時間くらいのトレーニングを5年くらい続けていましたが、1年
目で体は激変しました。扱う重量もどんどん増えていて、そのころはすごく充実していまし
たね。

司会 お二人ともすごい精神力でトレーニングに入られていますが、どのような気持ちでト
レーニングに向かっていかれますか?

角田 今までリングで戦ってきて、相手と闘っているのだけれど実は自分の弱さと闘ってい
た時とかいっぱいあるわけですよ。倒されて、ダウンのカウントを聞きながら、ここで立っ
たらまた殴られるわけでしょ。このまま寝転がっていた方が殴られなくてすむ、でも立たな
ければならない、でも、もうええやん…と、心の葛藤がすごくあるわけです、心理的限界み
たいなことが。でも、ジャングルジムへ来て、その心理的限界を超えたところにある生理的
限界にいかに自分を近づけていくか、その面白さをここで見つけてというか、そのドアを開
けてしまったので。僕、このジムに来てお花畑が見えたことが2回くらいあって、脚のトレ
ーニングのときに(笑)。スケートの清水宏保選手は練習中に何回も失神するところまでい
ったといいますが、それは良く分かるんですよ。合戸選手の場合は今も現役で、世界大会を
目指すという目標があるけど、僕の場合はK-1もなくなって戦うというゴール地点がない
から、自分の限界を超える面白さに挑んでいるところがあります。毎回、トレーニングで自
分の生理的限界まで近づける、少なくとも心理的限界は超えていく。ファイターのときに自
分に負けて試合を落とすことが多かったので、それに対しての悔しさがあるから。それを50
歳を過ぎてから取り戻せるなら取り戻したいなと、それでここにきちゃうんですよ。

司会 合戸選手はどうでしょうか?

合戸 意識していることは、自分たちはボディビルダーだから、50歳を過ぎてもステージで
は去年とは違う体を見せたいという気持ちがあるんです。だから角田さんも言われたように
自分の限界を超えて、そのときに自分の成長した体が出来るわけです。自分の場合はケガと
隣り合わせのトレーニングを常にしています。このトレーニングで筋断裂したら、そこで終
わり、っていうトレーニングをミスター日本に向けて常にやっています。だから、たとえば
大会1週間前にそういうトレーニングをしていて筋断裂したら、その大会は終わっちゃう。
そういう気持ちで1年間トレーニングするので、常に限界を超える気持ちでやっていますね


司会 これからトレーニングを始める方に向けてのエールを。

角田 継続は力なりといいますが、そんなのは当たり前のことで、憧れとか願望とか欲望と
かを持ち続けていれば継続していける。だから最初のインパクトですよね。合戸選手のよう
な体を見たときに、こういう目標になる憧れをもって、そこに向かってその思いを強くもっ
て欲しいなと。それが一番の方法です。今は情報もすごくたくさんあって、トレーニング方
法も簡単に分かるようになっているじゃないですか。でも簡単だから良くないこともあるん
じゃないかと思うんです。試行錯誤を繰り返すから身につくものもあるし、それを継続する
には自分の中の憧れとかモチベーションが大事だと思います。

合戸 角田さんが言われたように、結局トレーニングって何がきっかけでどこに行くかわか
らないじゃないですか。ボディビルダーになるか格闘家になるか、はたまたプロ野球選手に
なるか。今、色んなかたちでトレーニングって共通しているよね。いまどきウエイトトレー
ニングをしないで競技スポーツをやっていくのはすごく難しくなっていてね。昔は、ウエイ
トはやっちゃダメだみたいな空気があったけれど、今はぜんぜん違って、ウエイトトレーニ
ングを取り入れていかないと戦えないよっていう時代になってきた。だから、これからウエ
イトトレーニングはどんどん主流になっていくと思うんですよ。でも健康管理の人たちは、
特に何か目標をもっていないと続かないと思うんですよ、3个月でやめちゃったりとか。そ
れを持続させるためには何か大きな目標をもって、それを達成すれば次の目標が必ず出てく
るから、そういう風にしてやっていってください。

角田 あと、鏡を見ることを恥ずかしがらないこと。鏡を見ていると、何か言ってくる人も
いますが、一切そういうことは気にしなくていいです。鏡をみて自分をチェックして、自分
の体が変わっているなと感じることは、トレーニングを継続していくためのモチベーション
として大事だと思いますよ。

合戸 自分も最初は鏡ばっかり見ていました。鏡があれば見ているような(笑)。

角田 どこの鏡を見るかとかね。あそこの鏡はライティングがよくないとか、僕らも気にし
ますもん。ジムなんかでもあそこの鏡は見ないとか、あそこのコーナーの鏡が良く見えると
か。

合戸 鏡によってはちょっと細く見えたりとかしますもんね。だからあえてよく見える方を
見て、「俺って大きいな」とか。

角田 陶酔して自己中心に陥ってしまって、周りが見えなくなることはいいとは思わないけ
ど。やっぱり自分を好きでいられることは生きていく上でのすごいモチベーションですから
、「これだけがんばっている俺が好き」とか、「昨日の自分を超えた自分が好き」とか。そ
んな人生が面白いと思います。

合戸 老いていく自分を見たくないですから。

司会 では、ラストの質問です。脚のトレーニングをする際の心構えを教えていただけます
か?

角田 誰もが脚の日はしんどいと感じていると思います。脚の日は憂鬱やもんね。

合戸 結局、自分の場合は、セイフティスクワットバーでやっていたときは345kgを背負
ってやっていましたよ。そのときの気持って「いけるかな」とか、思うんですが、よしいこ
うと思ったときのアドレナリンの出方というか、そのときに成長ホルモンがガッとでる。だ
から恐怖を感じる重さでないと、筋発達なんて起こらないと。だから、これはいけるなって
思うような重さだと、なかなか筋発達は起きない。つねに恐怖を感じる重さに自分は挑戦し
ていって、そういう感じでやっています。だから脚のときは一番憂鬱だよ。今日、脚か…み
たいな。そういう感じだよね。

角田 はっきり言って、ウエイトトレーニングも究極はメンタルトレーニングですよ。僕の
場合は会長とトレーニングやっていますが、脚の日は特別ですよね。会長も気合い入るし。
ジムの階段を上がってくるときはぶつぶつ独り言を言いながら上がってきて(笑)。トレー
ニングをクリアした自分を「よし、よくやった」と褒めてやって、すごくヨタヨタがしなが
らジムの階段を降りていくときの達成感ってあるじゃないですか。だから恐怖と友達づきあ
いできるというのは、格闘技の試合では控え室から出ていって、スタンバイして、花道から
リングに向かっていくまでの間にその恐怖とどう友達づきあいしていくかと似ていますね。
恐怖感でプレッシャーで固まってしまうのは駄目だけれど。ジェットコースターで最初にダ
ンダンダンと上がっていくときの、「しまった乗らなきゃ良かった」っていう、そう思いつ
つも、それを自分のプラスに、ポジティブに変えていくと、ジェットコースターが下りると
きの快感になるわけでしょ。そういう風な捉え方をすると、ひとつのメンタルトレーニング
になります。自己暗示のかけ方なんだと思うんですよ。そういう風にハードであればあるほ
ど、やりきったときの満足感というか達成感がありますね。

合戸 脚の日は特にそうですね。やりきったときの気持ちよさ。やる前は逆だけど。1セッ
ト目が一番、うーんと思うけど、1セット目をやっちゃえば、あとはどんどんいっちゃうか
ら。

角田 一番最初が一番根性いりますよね。「これをスタートしたら、もう最後」っていう風
になりますから。だから、僕ここでトレーニングするようになってから、絶対バンジージャ
ンプすぐ飛べるようになったと思うもん(笑)。僕高いところ絶対あかんねんけど、今だっ
たらここでやっているときのあの感覚で行けば、ぽーんって。

合戸 ぼく駄目ですね(笑)。

司会 日々自分を超えてくよう、お二人ともトレーニングされているんですね。

角田 それは生きていて一番の達成感じゃないですか。お金儲けしたとか、いい車に乗って
、いい服を着てとか、そんなのが及ばないような、ものすごく高いレベルの達成感、満足感
だから。一番贅沢な満足感だと思いますよ。憂鬱なこと、嫌なことを乗り超えて、自分の心
理的限界を乗り超えてやった達成感って。

合戸 超えればその次がある。どんどん重さにも挑戦していくし。スクワットで300kgな
んてとても無理だとおもうけど、やってみると、おっ出来る。じゃ次は305kgだと。その
繰り返しで345kgまでいって。だからいまは300kgってアップの重量だよね。でも最初
は300kgが無理だとおもっていた。そういう風に人間ちょっとずつ限界を超えていくと、
ひとつひとつ超えていくと、次々と挑戦できるから。だから毎回、恐怖心との闘いだけど、
やりきったときの爽快感と一緒に体が反応してデカくなってくる。それを求めていかないと
、トレーニングの面白みはなくなってきちゃう。これはずっと同じだとね。

司会 今日は貴重なお話ありがとうございました。

(文/小川 淳(ジャングルジムSPORTS 会長))
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合戸孝二(ごうど・こうじ)
昭和36 年4月1日生まれ/静岡県出身/身長164㎝、体重70㎏/ボディビル歴31 年/ 2005、2007 ~ 2009 年ミスター日本優勝、2011 年ミスターアジア70㎏級優勝/マッスルハウスGYM 経営

角田信朗(かくた・のぶあき)
昭和36 年4月11 日生まれ/大阪府出身/身長174㎝、体重96㎏/正道会館空手最高師範、K-1 競技統括プロデューサー
[ 月刊ボディビルディング 2013年4月号 ]

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