パワーリフティング界のレジェンド!三土手大介の強さの秘密に迫る!(3/3)
掲載日:2016.06.13
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— 今後のビジョンについて、まずは競技者としての立場からお伺いできますか。
2014年の全日本大会で丁度20回目の優勝を果たしました。自分でもメンテナンスやケアをしながら、20年間ずっとトップで走り続けて来ましたが、実は椎間板もたくさん潰れていて、廣戸先生に出会う前の怪我をずっと引きずっています。そこまでの身体の状態でも4スタンス理論に出会ったから、ここまでこれているようなもんですね。
特に椎間板の怪我がとても重症で、頸椎、胸椎、腰椎とボロボロです。これまでその怪我を騙し騙しやってきたので、20回という優勝の節目を迎えたことを機に、数年休んでメンテナンスをしようと思っています。
別にプロでもないので、“引退”という言葉は使う必要もないと思っていますし、しっかりメンテナンスをすることで、また自分が納得できる記録が出せるところまできたら、改めて考えると思います。
自分が思い描く理想のパフォーマンスってあるじゃないですか。だから、それができるようなコンディションになるまでメンテナンスをしながら、トレーニングは継続してやっています。大会に出場するためのピークづくりというのは、身体にとても負担がかかることなので。今はコンディション作りがメインですね。
2014年を最後に大会に出場していないのですが、一年前と比べると明らかに身体の調子は良くなっていますし、今後はまだまだ未定ですが、コンディションが戻り、自分が納得する記録が出せそうなところまできたら考えます。
自分自身の納得できる記録というのが、トータル1トンなんですよ。(笑)
— 最後に、指導者としてのビジョンはいかがでしょうか。
様々なところにアンテナを張り巡らせ、最新の情報を取り入れながら、常に自分がバージョンアップしていかなければ人に対して教えることができないと思っています。
やはり、基本となるのは自分の根幹に合っていると感じるレッシュ理論です。ぶれることなく、ずっとこのレッシュ理論でやってきて、一番結果を出しているのが自分自身ですが、同時に多くの人も結果を出しています。もちろん、パワーリフティング以外の競技の方でも。
4スタンス理論と、正しいウェイトトレーニングをもっともっと世に広めたいという思いがあります。やはり人それぞれ様々な独自の理論や独自の方法という「方法論」を展開し持っていますけど、面白いことに、それら全てをまとめていくと、それぞれの方法論が4スタンス理論の各タイプに当てはまるんですよ。
ですのでレッシュ理論は10人いたら、10人それぞれが違ったアプローチで結果を出せる理論なのです。
誰もが例外なく必ず当てはまるという「4スタンス理論」。この日、私はどのタイプに当てはまるのか三土手氏に見ていただき、「A2タイプ」であることが分かった。そしてタイプによって、できる動きとできない動きを実際に体験させていただいた。
まずは、スクワットの動作について。こんな経験をしたことがある人もいるのではないだろうか。
重量関係なく、スクワットを行おうと脚幅を広げ、その状態で膝を固定しながら、股関節を後ろに引き、前傾しながらしゃがもうとしたが、膝がぐらつき、バランスをとることができなかった。またその結果、膝を痛めてしまった。
このような経験のある方は、もしかしたら「Bタイプ」に当てはまるのかもしれない。
多くのフィットネスクラブで指導されている基本的なスクワットは、Aタイプの人ができる動き、つまり「膝が前に出ないようにしゃがむ」という動作だ。
Aタイプである私は、膝を前に出さずに安定させたまましゃがむことが出来るが、Bタイプの人にとってはこの動作が難しいとされている。
反対にAタイプの人は、初動で股関節が後ろに出せないとしゃがむことができないのだが、Bタイプの人は例え後ろに壁があっても、膝の初動が抜けるとしゃがむことができるのだ。
要するに軸の作り方が、AとBそれぞれのタイプによって異なるため、出力に大きな違いが生じるのである。
そのため、Bタイプの人は「深くしゃがむことができない」「しゃがむとバランスがとれない」と、悩む人が多いようだ。
先日、そんな悩みを抱えた方が三土手氏のジムを訪れ、Bタイプだと確認したうえで、特性に合ったフォームでスクワットを試みたところ、「こんなに深くしゃがめたのは初めて」と感動いただいたというエピソードがある。
“動かそうとしているフォームと、動かせるフォームにズレが生じているから動かなくなるんです。”三土手氏は、このように教えてくれた。
次に、膝立ちの姿勢についてだが、こんな場面を目にしたことはないだろうか。野球のキャッチャーで、膝立ちで投げる人と腰を引いたまま投げる人。この場面においても、タイプ別の軸の違いが判断できる。
Aタイプは、膝立ちの状態で身体のバランスを取ることができるのだが、股関節を後ろに引き、首の付け根と股関節に斜めの軸を作る状態でバランスを取ることを難しく感じる。
Bタイプは正反対で、膝立ちの状態ではバランスを取りにくいが、腰を引いて軸を作ると安定させることができる。
つまり、人によって安定させる部分が違うのだ。また、重心と体重について混同している人が多くいるが、あくまでも体重は、足裏の骨が出っ張っている箇所に乗っているにすぎず、それが重心ではない。体重と重心は決してイコールではないのだ。
そして最後に驚いたのは、私が今まで苦手だと感じていた腹筋トレーニングについて。タイプ別のセッティングによって、効かせ方の違いを大きく体感することができた。
横になり、膝・脚・骨盤を自分のタイプに合ったフォームにセッティングすることで、今まで辛いと感じていた腹筋トレーニングが驚くほどスムーズにできた。
どうせ鍛えるのなら、誤ったフォームで、「キツイ=効いている」と考えるのではなく、安全かつ自分のやりやすいフォームで効かせた方がいいということは、誰もが納得できることだろう。
全ての動作の始まりは「正しく立つ」ということから。実は綺麗に正しく立っているつもりでも、それは筋力で耐えているだけで、負荷がかかると崩れてしまう。
本格的なウェイトトレーニングを望むのであれば、バーベルを握る前に、まずは立ち方とセッティングを学ぶ必要があるのではないだろうか。
“競技者”そして“指導者”としての今後のビジョン
— 今後のビジョンについて、まずは競技者としての立場からお伺いできますか。
2014年の全日本大会で丁度20回目の優勝を果たしました。自分でもメンテナンスやケアをしながら、20年間ずっとトップで走り続けて来ましたが、実は椎間板もたくさん潰れていて、廣戸先生に出会う前の怪我をずっと引きずっています。そこまでの身体の状態でも4スタンス理論に出会ったから、ここまでこれているようなもんですね。
特に椎間板の怪我がとても重症で、頸椎、胸椎、腰椎とボロボロです。これまでその怪我を騙し騙しやってきたので、20回という優勝の節目を迎えたことを機に、数年休んでメンテナンスをしようと思っています。
別にプロでもないので、“引退”という言葉は使う必要もないと思っていますし、しっかりメンテナンスをすることで、また自分が納得できる記録が出せるところまできたら、改めて考えると思います。
自分が思い描く理想のパフォーマンスってあるじゃないですか。だから、それができるようなコンディションになるまでメンテナンスをしながら、トレーニングは継続してやっています。大会に出場するためのピークづくりというのは、身体にとても負担がかかることなので。今はコンディション作りがメインですね。
2014年を最後に大会に出場していないのですが、一年前と比べると明らかに身体の調子は良くなっていますし、今後はまだまだ未定ですが、コンディションが戻り、自分が納得する記録が出せそうなところまできたら考えます。
自分自身の納得できる記録というのが、トータル1トンなんですよ。(笑)
— 最後に、指導者としてのビジョンはいかがでしょうか。
様々なところにアンテナを張り巡らせ、最新の情報を取り入れながら、常に自分がバージョンアップしていかなければ人に対して教えることができないと思っています。
やはり、基本となるのは自分の根幹に合っていると感じるレッシュ理論です。ぶれることなく、ずっとこのレッシュ理論でやってきて、一番結果を出しているのが自分自身ですが、同時に多くの人も結果を出しています。もちろん、パワーリフティング以外の競技の方でも。
4スタンス理論と、正しいウェイトトレーニングをもっともっと世に広めたいという思いがあります。やはり人それぞれ様々な独自の理論や独自の方法という「方法論」を展開し持っていますけど、面白いことに、それら全てをまとめていくと、それぞれの方法論が4スタンス理論の各タイプに当てはまるんですよ。
ですのでレッシュ理論は10人いたら、10人それぞれが違ったアプローチで結果を出せる理論なのです。
誰もが例外なく必ず当てはまるという「4スタンス理論」。この日、私はどのタイプに当てはまるのか三土手氏に見ていただき、「A2タイプ」であることが分かった。そしてタイプによって、できる動きとできない動きを実際に体験させていただいた。
まずは、スクワットの動作について。こんな経験をしたことがある人もいるのではないだろうか。
重量関係なく、スクワットを行おうと脚幅を広げ、その状態で膝を固定しながら、股関節を後ろに引き、前傾しながらしゃがもうとしたが、膝がぐらつき、バランスをとることができなかった。またその結果、膝を痛めてしまった。
このような経験のある方は、もしかしたら「Bタイプ」に当てはまるのかもしれない。
多くのフィットネスクラブで指導されている基本的なスクワットは、Aタイプの人ができる動き、つまり「膝が前に出ないようにしゃがむ」という動作だ。
Aタイプである私は、膝を前に出さずに安定させたまましゃがむことが出来るが、Bタイプの人にとってはこの動作が難しいとされている。
反対にAタイプの人は、初動で股関節が後ろに出せないとしゃがむことができないのだが、Bタイプの人は例え後ろに壁があっても、膝の初動が抜けるとしゃがむことができるのだ。
要するに軸の作り方が、AとBそれぞれのタイプによって異なるため、出力に大きな違いが生じるのである。
そのため、Bタイプの人は「深くしゃがむことができない」「しゃがむとバランスがとれない」と、悩む人が多いようだ。
先日、そんな悩みを抱えた方が三土手氏のジムを訪れ、Bタイプだと確認したうえで、特性に合ったフォームでスクワットを試みたところ、「こんなに深くしゃがめたのは初めて」と感動いただいたというエピソードがある。
“動かそうとしているフォームと、動かせるフォームにズレが生じているから動かなくなるんです。”三土手氏は、このように教えてくれた。
次に、膝立ちの姿勢についてだが、こんな場面を目にしたことはないだろうか。野球のキャッチャーで、膝立ちで投げる人と腰を引いたまま投げる人。この場面においても、タイプ別の軸の違いが判断できる。
Aタイプは、膝立ちの状態で身体のバランスを取ることができるのだが、股関節を後ろに引き、首の付け根と股関節に斜めの軸を作る状態でバランスを取ることを難しく感じる。
Bタイプは正反対で、膝立ちの状態ではバランスを取りにくいが、腰を引いて軸を作ると安定させることができる。
つまり、人によって安定させる部分が違うのだ。また、重心と体重について混同している人が多くいるが、あくまでも体重は、足裏の骨が出っ張っている箇所に乗っているにすぎず、それが重心ではない。体重と重心は決してイコールではないのだ。
そして最後に驚いたのは、私が今まで苦手だと感じていた腹筋トレーニングについて。タイプ別のセッティングによって、効かせ方の違いを大きく体感することができた。
横になり、膝・脚・骨盤を自分のタイプに合ったフォームにセッティングすることで、今まで辛いと感じていた腹筋トレーニングが驚くほどスムーズにできた。
どうせ鍛えるのなら、誤ったフォームで、「キツイ=効いている」と考えるのではなく、安全かつ自分のやりやすいフォームで効かせた方がいいということは、誰もが納得できることだろう。
全ての動作の始まりは「正しく立つ」ということから。実は綺麗に正しく立っているつもりでも、それは筋力で耐えているだけで、負荷がかかると崩れてしまう。
本格的なウェイトトレーニングを望むのであれば、バーベルを握る前に、まずは立ち方とセッティングを学ぶ必要があるのではないだろうか。
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- 三土手 大介(みどて だいすけ)
No Limits代表・レッシュマスター級トレーナー
一般社団法人レッシュ・プロジェクト理事
1972年8月26日生まれ
神奈川県横浜市出身
120kg超級
4スタンスタイプ「A2」
- 写真 :
- No Limits
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