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JBBF玉利会長が語る”フィジークの未来”(1/2)

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掲載日:2015.06.05


IFBB(国際ボディビル・フィットネス連盟)を中心とした国際的なコンテストシーンでは、昨今、これまでのボディビルに加えて、フィジーク、ビキニなど新たなカテゴリーが創設され、ウェイトトレーニングの成果としてもっと身近に参加できる大会として人気を博している。

この世界的な動きの中、IFBB傘下のJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)もいよいよフィジーク&ビキニコンテスト開催の方向で動いているようだ。

フィジーク元年と言われるこのタイミングで、JBBFの展望を会長である玉利齊氏に緊急取材した。
 

2014 PHYSIQUE 元年


Q.玉利会長が考えるボディビルの基本的な考え方をお聞かせ下さい。
ボディビル言うと、これまでは単にマッチョマンというイメージでした。そのイメージはそれでいいのだけれども、それだけに固定化してはいけません。それと同時に、選手たちはそれだけの世界に偏ってはいけないと思います。 インテリだろうと、役人だろうと肉体をいらない人間はいないのですから、たくましい方がいいじゃないですか。日本文化を力強いものにする根底には、生きている証である肉体が関わってくるであろうというのが、私の根本思想です。



Q.近年今までのボディビルだけでなく、フィジークが台頭してきましたがいかがお考えでしょうか?
私は60年も前、ボディビルの協会を作った時から、ボディビルというのは3つの要素が目的だと言ってきました。

一つは競技としてのボディビル。これはもうとことん筋肉のたくましさ、美しさの追求でいいのです。もう一つはスポーツ、運動というもので、身体を使わないものはないだろう。その素は筋力であろう。だから、他のスポーツ競技の筋力トレーニングとしてのボディビル。もう一つは何も運動選手だけがやるのではない。肉体の無い人はいないのですから。どんな人も健康でたくましい方がいいに決まっている。一般人の方の健康作り。この3つを言ってきました。

ただそれに対する具体的手法として今まではボディビルコンテスだけでした。だから、気持ちはあって理念は広いのだけど、各論としての道筋がまだ整備されていなかったということでしょう。

ところが半世紀以上経って、ようやく道筋がいろいろとできました。何も筋肉を極限まで追わなくてもいい。それは極限まで追う必然性がある人は追えばよい。そうでなくても筋肉はある程度なければ健康な身体を保てない訳で第一、自分の人生の活力にも欠けるだろう。

そういう意味でボディビルとはいろいろな形があります。水泳競技で言えば、クロールあり、背泳あり、バタフライあり、平泳ぎあり、それからさらに発展してきて、集団競技として水球あり、さらにはシンクロありということになります。

ですからボディビルもそういう風に手法や競技形態を広げることにより、その目的に近づけるのではないかと思っていました。国際(IFBB)もそこにようやく気づき始めた訳です。国際も試行錯誤をさんざんしてきたのです。そして同じ現象が、現在日本で起こりつつあるということです。

中でも女子のボディビルですが、世界の風潮が男女同権、差別化しないという、なんでも男性と同等にという考え方、これはこれでいいのだけれども、本質的に、生理的に女性は男性と違っている訳です。生理的に違っているものを男性と同じ審査基準でもって、同じようにもっていくということに対し、私はIFBBが女子のボディビルを始めたころから、どこか不自然さを感じていました。ミロのヴィーナスはヘラクレスの身体をしていないです。ミロのヴィーナスは女性としての機能に基づいた形態を備えていますよ。

人間が生きていく上で、筋肉を鍛えるトレーニングは結局レジスタンス・エクササイズです。歩くということもある意味では大地の重力に逆らって、自分の体重を支えている訳ですから立派なエクササイズです。すべてのスポーツはレジスタンス・エクササイズの要素があります。人間が宇宙に行くことがまだ初期の頃、29日間無重力状態で地球をぐるぐる回ってきて、地球帰還して海に着水して潜水艦が行って、パイロットが出てきて立ち上がったけれども、立ち上がることができなかった。宇宙の生活ではそれぐらい筋力が衰えてしまうのです。だから今では宇宙に行くときはトレーニングの器具を持っていきます。

これは、人間生きてく上では何らかの抵抗が必要ということです。どんな人間も抵抗や試練が無しに成功はできません。必ず壁にぶつかって挫折したりします。その状況をを克服するには、「なにくそ!」というのが自分に備わった力が必要です。そういうものの本質がボディビルにははらんでいると思います。

ところが一部の人達は、表面的な見事さ立派さにだけ気を取られ、それだけを追究し、場合によってはドーピングで身体を大きくして、それだけでショー的価値を売り物にする。放っておくとその方向に行く場合もありますから注意しなければなりません。

Q.2014年からJBBFでもフィジークの大会が開催されるとお聞きしていますが?
やはりこれからは国際競技として伸ばさないといけません。スポーツというのは国際の中のふれあいで、発展していきますから、フィジークについても既にIFBBがルール化していますから、我々がやる場合は、やはり国際ルールに沿ったものでいきます。

国際ルールでやるということは国際競技につながるということです。ですから、当然トップ選手は国際競技にも出すという方向でもっていきます。ただし、日本人選手が外国選手から見てあまりにもレベル的に低い場合は恥をかいてはいけませんから、そういった場合は無理して出すようなことはしません。



Q.2014年はまさにフィジーク元年という捉え方ができるかと思いますが。
ちょうどいいのですよ、うちもボディビル・フィットネス連盟と名称も変えて、そして新しい公益法人として出発していますので、その意味でこのタイミングでフィジークの雑誌が発行されるのは良いことです。

今まで観念としての健康作りはうたっているけれど、結局それに至る方法はウェイトトレーニングであることは間違いないけれど、ミスター日本を目指すようなハードな手法だけできていましたが、原理はレジスタンス・エクササイズです。

現在フィットネスクラブは全国に2000軒あります。かたやボディビルジムは法人化したときには600ありましたが、今は300と減っています。ところが、ボディビル人口が減ったかというとそうではありません。JBBFの理念は、実際これまで携わってきた人達は、どこかで自分たちはフィットネスクラブとは違うのだという考えを持っていました。だからボディビル連盟にフィットネスクラブが加盟申請してきても、入れないというクローズドシステムで来ていました。それではダメなんです。拡げていかなければ発展は無いのですから。

ちょうどボクシングジムや相撲部屋が特殊な世界で閉鎖してしまっていて、自分たちの流儀だけをこだわって新しい時代に適応する努力をあまりしなかった。閉鎖性というのは、例えるならば池に水が流れこまないで長く経てば、淀んでしまうでしょ。水はどんどん流れていって新陳代謝していかないといけないです。しかし、ボディビル競技は一時、そういう世界に陥ってたと私は思います。

連盟の会員からは「玉利会長はジムを経営してないから、ジム経営の苦労はわからない」そういうことを随分言われてきてますよ。だけど、狭いパイだけを後生大事にしがみつくより、新しいパイがどんどん流れ込むようにしたらジムの経営にだっていいじゃないですか。絶対量を多くしなればなりません。百しかないものをみんなで取り合うよりも、千にし、万にした方がよっぽどいいです。ところが競技の頂点だけの追究じゃそれはできません。

今まで僕はどちらかというとその時のスポーツ界に欠けているものばっかり追い求めて来た感じがします。ウェイトトレーニングも日本のスポーツ界になかったでしょ。重量挙げはあっても、あれは力の追究だけでそれこそ頂点だけですよね。

今になって体協あたりが国民総スポーツとか国民の健康作りって言っているけれど、構成しているのはみんな競技団体でしょ。競技団体っていうのは立場上、選手養成中心にならざるを得ないのです。どんなスポーツでもオリンピックに出て、楽しみましたって言っているのはダメなんだ。やっぱりメダルを獲ってくれないとね。そういう厳しさがなければ。

敢えて玉利流の言い方をすれば、ロマンのスポーツって言っているのですよ。生活の中のスポーツと両面なければなりません。ロマンというのは冒険ですよ。若い時はやっぱり冒険目指すので良いことだと思います。

Q.全体の競技人口を増やすためにもフィジークや、フィットネス・ビキニの開催は重要ということになりますね?
現在、JBBFの登録選手数はだいたい2000人弱で、指導者、審査員、これらを入れて3000人くらいでしょう。つまり3000人くらいが組織化された競技人口ということですよ。これを少なくとも5000人にし、1万人にし、550万人の潜在人口があるのだからね。

その人達がただトレーニングをするのもいいけど、自分も少し身体が良くなってきたなとなると、どのくらいのレベルに達しているのだろうと、じゃあこの大会に出てみようという人をどんどん受け入れるようにしていったらいいと思います。何も世界チャンピオン志向でなくてもいいのです。生活の中で張りをもって活力を持たせるためのものとしてできればいいと思います。

特に戦後の日本人っていうのは、割合、パフォーマンスって言うことに対して、引っ込み思案じゃなくなってきています。だからこの前のオリンピックの選手を見ていても、以前は緊張しちゃって実力発揮できなかったけれど、レジャーから発展したスポーツの選手なんかはまるでもう楽しんでやるのと競技が一体になっています。

軽い感覚はいいのだけど、やっぱり良い意味でのスポーツとして、そこの本質は分かって欲しいですよ。そうしないとおかしな方向に流れてしまう恐れがあるから。スポーツが遊びになってしまうと放埒になってケジメがなくなってしまう恐れがあるが、競技としてやる以上、そこはやっぱり押さえていかなければならないです。

Q.我がボディビル・フィットネス業界の競技人口を拡大させる足がかりになるのは正に今年ということになりますね?  そうです。今年ですよ、今年。
 
  • 玉利 齊(たまり・ひとし)
    社団法人 日本ボディビル連盟 会長

フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 001 ]

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