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鈴木雅 日本選手権6連覇・不動のチャンピオンのトレーニングを探る

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月刊ボディビルディング
掲載日:2017.07.13
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2015年11月、スペイン、アリカンテ市で開催された世界ボディビル選手権大会80kg級という層の厚いクラスで日本人として初の3位入賞を果たし、10月に開催された日本ボディビル選手権大会で6連覇を達成した鈴木雅選手に読者の皆さんも関心が強いであろう。そのチャンピオンのトレーニングにフォーカスしたインタビューをさせていただいた。その模様をお届けしよう。

初心者の頃のほうが筋力があった!?

BIG TOE(以下BT) 世界選手権80㎏級3位入賞、日本選手権6連覇おめでとうございます。今回はトレーニングにフォーカスしてインタビューさせていただきます。トレーニングを始めたのはいつですか?

鈴木  東京都八王子市にある多摩ジムに入会したのは21歳の時でしたが、高校時代に野球部の補強トレーニングとしてベンチプレスやワンハンドロウ、ランジをやっていました。当時は身体が細くて体重は48㎏しかなかったのですが、NEのバーベルセットを購入してトレーニングしはじめたらすぐに反応して。腹筋が割れたまま60㎏くらいまで体重が増えました。

高校卒業後は大学のサークル活動で野球をやっていた程度でした。大学3年で多摩ジムに入会したのは、痩せているのが嫌だったこともありますが、いいなと思っていた女の子が「逞しい男性が好き」と言っているのを聞いたからです(笑)。

BT  多摩ジム時代の鈴木選手について、ジムの泉会長から「やたら高重量を持ちたがり、サイドレイズかシュラッグか判らないようなトレーニングをしていた」と聞いたことがあります。

鈴木  自己流でメチャクチャでした(笑)。高重量でサイドレイズかシュラッグか判らないことをやったり、バーバルカールかクリーンか判らないようなことをやったり(笑)。だからつくところはついているけど、つかないところはつかない本当にアンバランスな体型をしていました。とはいえ、バーベルカールは110㎏、デッドリフトやフルスクワットは260㎏を持っていましたから、これが土台になって重いものが持てるようになりました。当時と比べると今のほうが筋力はないですね。

BT  ボディビルを始めたのは多摩ジムに入会した時ですか。

鈴木  当時は単にトレーニングが好きで、身体を大きくしたいと思っていました。本格的にボディビルをやろうと思ったのは、大学卒業とともにスィンクフィットネスに入社するちょっと前です。田代誠さんに「お前、いい身体しているな。いいところまで行くだろうからコンテストに出てみろよ」と言われたんです。

BT  2005年に24歳でミスター東京になりました。

鈴木  トレーニングを本格的に始めて3年目でした。入社して2年目に東京オープンと東京クラス別に出場して、その翌年にミスター東京に。

BT  3年でミスター東京とは!

鈴木  たまたま、ではないですが、その前に出ていたコンテストでは絞れていなくてデカかった…というか、周りにあまり大きな選手がいなかったからか大きく見えたみたいです。そのためか、そのあとのミスター東京には5kg絞って出場したらインパクトが強かったようです。インパクトというのは必要ですね。インパクトで優勝できたんだと思います。

穴が見えてトレーニングが変わった

BT  トレーニングは、いつから分割法を始めたんですか?

鈴木  多摩ジムに通っていたころ、ジムでトレーニングしていた中大ボディビル部の中島土君(03年全日本学生選手権3位)に教えてもらいました。私は理由づけがないとトレーニングできない性格なのですが、中島君もそういうタイプでした。やみくもに「やれ!」というのではなく、「~だから~だよ」と理論的に教えてもらえたので、納得して始められたんです。

BT  具体的にはどのような分割をしていましたか。

鈴木  4分割です。背中、肩・三頭、脚、胸・二頭。背中と脚の日を離すことで腰に負担をかけませんし、肩と胸を離し、三頭と胸を離すことでそれぞれ力がしっかり出ます。力が出せないのがいちばんイヤなので、“トレーニングをする”というノルマよりも“力が出せる”ことが条件でした。

BT  鈴木選手といえば脚が素晴らしいのですが、ミスター東京を目指していた頃の脚のトレーニングはどんなものを?

鈴木  スクワットの重量を伸ばすのがメインでした。パラレルでやっていたんですが、300kgちょっとくらいまでしかプレートがつけられなかったのでやめました。当時は大腿上部には筋肉が全然ついていない一方、膝まわりにはすごくついていたんです。そこで脚をちゃんと曲げた状態での筋の伸張、伸展を繰り返したトレーニングに変えました。これがコンテスト2年目からです。

BT  つまりミスター東京の1年前からですね。

鈴木  そうです。東京オープン、東京クラス別と出て、自分の穴が見えたんです。それと最初の東京オープンで藤井康次さんに負けたのが良かったですね、「もうちょっと考えてやらなきゃいけないんだ」と思えたんです。それと職業柄、お客様に指導する時に納得してもらう時に経験したことを出せるように、とも考えていました。

効くとか効かないとかいうのは感覚的な問題ですが、指の使い方やグリップの使い方――たとえばプレスは手首を立ててやる時と、返してやる時では効くところが全然違ってきますよね――といったところを解剖学や筋肉のつき方からしっかり勉強することで、ただ重いのを挙げるのではなく“しっかり伸ばして縮ませて、を繰り返しながら重さを持つ”ことを理論的に勉強しました。運動神経の良い人は自然にできていることですが。

知識と経験は両方が伴わないといけないと思いますが、すべて経験できるわけではないので、疑問に思ったことは近くにいる小沼敏雄さん、田代さん、谷野義弘さんに「この種目はどういう意識で、どうやるんですか?」と聞いて補ってもらっていました。大変恵まれていましたが、腹黒いですよね(笑)。ただ、見たままを真似するのではなく、実際に感覚としてどうやっているのか、実際に気をつけているのはどういう点なのか、理論的にはどういう理解になるのかを加味して、実践して。

BT  しっかりと裏づけを取ってから実践したのですね。

鈴木  そうです。知識がどんどん入ってくることで、あとになって解ることが多かったですね。

ハムはデカくさせた自負がある

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BT  当時、脚のトレーニングはスクワット以外に何をやっていましたか?

鈴木  レッグエクステンションもやっていましたが、アイソレート種目が嫌いで。力が発揮できるコンパウンド種目が得意というか好きだったことと、四頭筋が弱くて、膝まわりと脚のうしろ側が強かったから。

ハックスクワットの角度を垂直に近づけると、膝まわりを使うので内側広筋と外側広筋の力が使えますが、水平くらいでしゃがんでいくと、大腿直筋に効いてくるけど使用重量は下がっていました。スクワットでは220kgとか230kg挙げられていたのに、ハックになると80kgしか挙げられなかったんです。ちなみにレッグプレスはシングルレッグで500kgが普通に扱えていましたし、「もうつけられない」という800kgくらいまでつけていました。

BT  レッグプレスは四頭筋狙いではなくハムストリングス狙いでしたか?

鈴木  当時はスクワットで追い込めないところをレッグプレスで追い込む、という考えだったので、動きはスクワットと同じで内側広筋やお尻、ハムストリングスを狙っていました。でも1年目はハムがまったくなかったのでコントロールできなかったし力が入らなかったし…。完璧に効かせられるようになったのは、解剖学を理解してからです。

BT  ハムストリングスのトレーニングとしては、レッグプレス以外にはどんな種目を?

鈴木  プローンレッグカールとスティッフレッグドデッドリフトを各3セットでした。改善しようとがむしゃらにやっていた時はレッグプレス、レッグカール、シーテッドレッグカール、スタンディングレッグカール、スティッフレッグドデッドリフト、ルーマニアンデッドリフト…と片っ端からやっていました。

ハムストリングスは遺伝的要素の強い部位といわれていますし、もともと自分には本当にありませんでした。だからやみくもにやっても効果が出ないだろう、と解剖学的に理解してトレーニングしてみたら良くなったんです。だから、ハムストリングスは“改善させた!”という自負がありますね。世界選手権でもハムがよく発達している人があまりいなかったので、そこが評価されたのかなと思っています。

BT  カーフはどうでしたか?

鈴木  シーテッドもスタンディングもやみくもにやっていました。今はシーテッドカーフはヒラメ筋をゆっくりとコントロールさせ、セット数を多めにするなどのテクニックを使っています。最近は脚を置いてから、骨盤の位置、あごの位置、手首の位置、親指を上げるか上げないか、など、すべてに意味を持たせているので、だいたい一発必中というか、あまりセット数をやらなくてもバシバシ入るようになってきています。

BT  今日の肩のトレーニングは、1種目4~5セットでした。

鈴木  メインセットは3セットですね。各種目軽めでアップを1~2セット、そこにプラス3セットという感じです。感覚的にうまくいっていない時や、神経が発達していない部分はアセンディング法で上げていって最後にチーティングを使います。一発目から効く部分に関してはディセンディング法で行ないます。

BT  レップ数に対するこだわりはありますか。

鈴木  スクワットは5~8レップス。3レップスでも効きます。

BT  セットは3セットですか?

鈴木  2セット×5レップスがギリギリの負荷になるように設定しています。

BT  現在、脚の種目数はどのくらいですか?

鈴木  脚の日は順番もあって、シーテッドカーフ、インナーサイ、アウターサイ、レッグエクステンション、レッグプレス、スミスマシンスクワット、スクワット、軽めでアップテンポでのハックスクワット、レッグエクステンション、レッグカール、スタンディングレッグカール、スミスマシンランジ、ルーマニアンデッドリフト、バックエクステンションを2時間くらいかけてやります。

BT  肩は1時間半、脚は2時間。どちらも10種目以上ですか!

鈴木  最近は特に多いですね。今日の肩は、プレス系では筋破壊を狙って高重量で長めのインターバル、ラテラル系では細かい筋線維を狙った短インターバル。いろんな角度からストレッチをかけたり、しっかり収縮させたりしました。

BT  トレーニングを見ていると、1レップ目の前にハーフレンジの動作をしていましたが、これはどのような意味があるのですか?怪我の防止とか?

鈴木  怪我の防止を意識したものではないです。ストレッチさせた位置でしっかりかけた重さを、収縮するまで抜けさせたくないのですが、1発目の筋肉の伸張がうまくできないので、その前に重さを乗せるのが目的です。
2005年の東京選手権

2005年の東京選手権

胸の種目は全部がメイン

2014年のアーノルドアマチュア80kg級で3位に入る

2014年のアーノルドアマチュア80kg級で3位に入る

BT  胸のトレーニングの基本はベンチプレスですか?

鈴木  ベンチプレスは重さが扱えるのですごく大事な種目です。体幹を使いながら胸にストレッチをかけやすいし、ダンベルと違って、ちょっと力を抜いてもフォームが定まりますし。胸の種目で物を持った時、肩甲骨は動きませんが、ベンチプレスならある程度力を抜きつつも、しっかりストレッチをかけながら力を入れることができますしね。

でも私の場合、ベンチプレスをメインでやっていても変化がよく判らなかったので、「今はベンチを捨てる冒険も必要かな」と考え、世界選手権が終わってからはベンチプレスはやらないようにしています。

BT  では、胸のメイン種目は? かつてのアジアチャンピオンで巨大な大胸筋を持っていた小山裕史さんはヘビーなダンベルフライが胸のメイン種目と言っていましたが。

鈴木  私の場合、全部がメイン種目です。ポジションオブフレクション(POF)という理論によって、基本的にはミッドレンジ、ストレッチ、収縮という形で分けた種目を選んでいます。ハンマーのチェストプレスから入り、マシンのインクラインチェストプレス、インクラインダンベルフライ、スミスマシンデクラインプレス、ノーチラスチェストプレス、ペックデッキフライ。

BT  大胸筋下部はデクラインプレスですか? 

昔はディップスをやるボディビルダーが多かったですが、鈴木選手はやらないのですか?

鈴木  好きなんですけど、ディップスは肩甲骨が動くので肩を壊してしまうんですよ。右の肘にちょっと問題があるので、それも影響しているかもしれません。強い負荷がかけられないという理由でダンベルフライもダメですね。

BT  今のゴールドジムは昔と違って良いマシンが豊富に揃っていますから、種目にこだわる必要はないですね。

鈴木  怪我の予防じゃないですが、長く続けられますし、それでもしっかり強度がかけられますね。ただ、フリーウェイトって命の危機を感じるじゃないですか。マシンにはそれがないのが寂しいですね。数少ないフリーウェイト種目のインクラインダンベルフライは40kgくらいでやっています。

BT  レップ数は?

鈴木  以前は少なかったですが、今は8~15レップス。アセンディングで上げていって、6レップス目で効かせられます。私は上腕は二頭筋のほうが強く、ストレッチした時に二頭で受けたりするので、胸に主働筋を持ってくるということでそうしています。クローズドグリップやベンチプレスも140kg挙げています。

BT  セット数は?

鈴木  たまに5~6セットやることもありますが、基本的には3~4セットです。私はボディビルにピリオダイゼーションは難しいと思うので設けません。重い重量で筋破壊と筋力を狙うパターンと、軽めの重量で乳酸をためるパターンの比率を変えています。胸の場合、通常は筋破壊3:乳酸1ですが、今は筋破壊1:乳酸3でやっています。

背中と肩はポジティブ重視

BT  背中のトレーニングはどのようなものを?

鈴木  背中も筋線維が多いので種目も多いです。全体的に使う、つまり広背筋上部とか中部とか下部に特化した種目をメインにしています。ラットプルダウン、チンニング、ディワイロウ、フロントラットプルダウン、ストライブロウイング、ラットプルビハインドネック、ベントオーバーロウ、プーリーロウ、デッドリフトを各3~4セット。

BT  デッドリフトはローバック狙いですよね?

鈴木  今は変形のデッドリフトをやっています。私は普通のデッドリフトだと力の強い中背部だけで引いてしまうのと、なるべく弱いところに合わせたくないので、動きを変えることで刺激を変えています。

BT  床からのデッドリフトですか?

鈴木  いえ、ハーフデッドです。床からのデッドリフトはファーストプルからお尻とハムストリングスに効きやすいので、脚の時にやります。

BT  背中の種目のレップ数は?

鈴木  多いですね。胸のように自然にネガティブがかからないので、自分で力を入れたり、グリップをかけてストレッチをかけたり。プッシュ系のように刺激がちゃんと来るわけではないので、破壊できるような形でやります。

肩や背中は、もちろんストレッチもかけるのですが、ポジティブ動作を重視しています。胸や二頭は受け身系の筋肉なので受け身に耐えられるのですが、背中は強すぎるのをかけると抜けてしまうので、それに合わせた選択も必要です。収縮メインとストレッチメインのバランスを種目によって調整しています。ラットプルダウンとチンニングでは、ラットプルダウンでは身体としっかり固定して使えるので収縮に力が入れられるのですが、チンニングは体幹がフリーになるので明らかに違います。グリップは、握る人が多いですが、私は引っかける感じで持つ方がストレッチがかけられますね。
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BT  腕の種目に関して、上腕二頭筋からお聞きしたいのですが。

鈴木  バーベルカールとインクラインカールです。腕に関してもPOFでミッドレンジ、ストレッチ、収縮と分けていますが、動きという観点で選ぶことが多いです。たとえばケーブルカールの場合は収縮させて止めますが、スタートポジションを腕を伸ばした状態にすると上腕筋や腕橈骨筋のほうが強く振り上げてしまうので、収縮ポジションから始めて、戻した時になるべく短頭から力が抜けないようにやります。腕はやりすぎるとあまり良くなかったですし、30代となると腱などの怪我の予防も考え、なるべく少なく、と考えています。3~4種目で9セット、多くても全種目あわせて12セットです。

BT  他の部位に比較するとずいぶん少ないものの、高重量を扱えるバーベルカールは外さないというわけですね。プリチャーカールはやらないのですか?

鈴木  肘を痛めやすいのでやりません。短頭のストレッチ種目としてはインクラインカールを採用しています。あとはケーブルカールやストライブのマシンカールで収縮を狙います。

BT  ラリー・スコットは、器具とやり方にこだわっていました。「俺のような腕を作りたければ、このベンチを作れ!」と。

鈴木  私も一度アメリカで彼のセミナーを受けましたが、「腕のトレーニングは支点をしっかり作ることが大事だ」と語っていました。その通りだと思います。

BT  上腕三頭筋はどのようにトレーニングされていますか?

鈴木  スーパースミスクローズベンチ、プレスダウン、ケーブルロープトライセプス、最後にクローズベンチを軽い重量で50レップスから始めて、インターバルは10秒くらいで10回以下になるまで。乳酸をためるだけのトレーニングで締めます。

BT  世界選手権ではリラックスポーズでの立ち方でも腹筋の強調を意識されていましたね。

鈴木  以前はあまり重要視していませんでしたが、世界選手権でミッドセクションの大切さを知り、トレーニングの最後に毎回アブクランチマシン10回~6回×3セットを行なっています。

BT  筋肉痛と筋肥大の関係についてはどう思われていますか。

鈴木  最近、体育大学に出入りしているのですが、先日、筋肉痛の研究で世界的に有名なオートラリアの先生と話したところ「まったく関係ない」と言われました。

BT  その先生はパンプと筋肥大について言及していましたか?

鈴木  パンプについては何も言っていませんでしたね。筋肉痛の先生なので(笑)。

BT  私はトレーニングの翌日に筋肉痛がないと物足りない気がするのですが、鈴木選手はいかがですか。

鈴木  ハムとお尻は出ませんが、四頭筋はきますね。四頭筋が固いんですよ。ストレッチ系では出やすいですね。
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オンもオフも摂取カロリーはほぼ同じ

BT  オンとオフの体重差がほとんどないそうですね。普段から食事には気を遣っていられるわけですね。

鈴木  タンパク質は玉子、魚、牛肉、鶏肉、豚肉などからなるべく脂質の少ないものを摂りつつ、脂肪も摂らないとホルモンが安定しないので、豆類、玉子、魚の油、オイル類で摂っています。炭水化物に関しては、小麦物はあまり摂らず、おにぎりや白米から摂ります。2015年は減量中でも玄米から白米に変えましたが、有酸素をしなくても絞れていったので白米が良いのかなと思っています。3食はしっかり固形物でとって、間食にはプロテインを利用しています。特別なことはしていません。

BT  代表的な1日の食事を具体的に教えていただけますか。

鈴木  朝は米を500gくらい。魚…さば缶も食べます。野菜はあまり食べないですね。

BT  汁物や納豆などは?

鈴木  あまり食べないですね。昼は鶏の胸肉、玉子、野菜類、米が500~600g。仕事前にコンビニのおにぎりを4つくらいとプロテインを飲んでいます。仕事の合間の間食としては、プロテインにウェイトゲインを混ぜて飲んだりします。帰宅後には牛肉と白米を。

BT  3食きっちりとごはんを食べるわけですね。コンテスト前はいかがですか?

鈴木  基本的に同じで、お菓子をやめます。体重が落ちなくなったら夜の炭水化物を半分にしますが、そのぶんを朝に持っていきます。1日の摂取カロリーは変えません。時間帯を変えてカロリーを変えない減量です。「カロリーを減らしても体重が落ちない」と、どんどん減らしていく選手もいますが、意味が解りません。減らないのは代謝が落ちているからなので、代謝を戻すことを繰り返せばいいじゃん、と思います。体重が落ちなければ時間帯を変えて、なるべく脂肪がつかないときに炭水化物を食べるなり、余計なものを食べなければいいんですよ。

BT  ご自宅以外で食べる時は、詠子夫人の愛妻弁当ですか?

鈴木  いいえ、自分でやります。二人三脚だと思われているようですが、けっこう自分でやっています(笑)。

BT  サプリメントについてですが、先ほどトレーニング中にはグレープジュースをベースにしたドリンクとパウダーを飲んでおられました。

鈴木  グレープジュースはたまたまですが、エネルギードリンクとアミノペプチドを。パウダーはBCAAです。トレーニング前、トレーニング後、トレーニング途中の3~4回摂ります。

BT  他にはどんなサプリを摂られますか?

鈴木  トレーニングが終わったあとにプロテイン、糖分と混ぜてクレアチンも摂ります。今日のトレーニング後はすぐにグルタミン、CCDとアミノペプチド60g、クレアチンを飲みました。摂っているサプリメントはクレアチン、BCAA、グルタミンなどの本当にベーシックなものだけです。

良いサプリメントはロングセラーとしてずっと残っていますよね。私は「サプリでなんとかしよう」とは思っていません。摂るのはベーシックなものだけで、食事をしっかりとって、トレーニングをしっかりやるべきだと思っています。意外かもしれませんが、サプリをマニアックに摂っているトップ選手はいないですよね。実際、トップの選手はみんなそうですね。「BCAAとクレアチンとアミノ酸とプロテインくらいしか摂らないよ」という人がほとんどです。

機関銃を持った人間に素手で立ち向かってやろう

BT  現在のルールでは、基本ポーズが勝敗の行方を大きく左右しているのはいうまでもありませんが、鈴木選手は日本選手権でも素晴らしいフリーポーズを披露していますし、世界選手権では決勝フリーポーズで会場を魅了した結果、逆転で表彰台に立ちました。フリーポーズは誰かの指導を受けておられるのですか?

鈴木  いえ、受けていません。すべて自分で考えて、曲を決めたら3日くらい練習すればできちゃいます。ゲストポーズをする機会が多いせいか、身体が勝手に動くというか。

ポージングは音感と足の運びが大事だと思います。感情移入ができて、身体が自然に動くことが大切だと思うので、毎年テーマを決めて、そのテーマに合った曲と歌詞を選んでいます。そのために普段からいろいろな曲を聴くようにはしていますね。

世界選手権に一緒に行った須江さんのポージングは凄いなあと思いましたね。アジアではフリーポーズを適正に評価してもらえないのが残念です。

BT  今後、鈴木選手が世界に挑むにあたっての目標は?

鈴木  日本選手権は負けても自分だけのことなので気楽に臨めるのですが、世界選手権には日本代表として行くわけですから、勝たないといけないという思いが強く、光栄に感じる反面、プレッシャーにもなります。でもこれまでは「太刀打ちできるのかな」と思っていましたが、今回は詰まっていると感じました。3位に入賞できたことで、今度の3月のアーノルドクラシックでも表彰台を狙える位置に来たかな、優勝するぞ! という気持ちでやっています。

今の世界の舞台は、ナチュラルとそうでない者が戦っているというのが現実ですが、「機関銃を持っている人間に素手で立ち向かってやろう」という気持ちでやっています。

BT  時代とカテゴリーは違いますが、日本にはNABBAミスターユニバースでオーバーオール優勝した杉田茂選手、NABBAミスターユニバースのミディアムクラスで優勝した須藤孝三選手、そしてIBFFミスターユニバース優勝の末光健一選手という偉大な先輩がいます。そして奇遇なことにこの御三方はいずれもイニシャルが“S”。“3S”が鈴木選手によって“4S”になることを期待しています。

鈴木  3人の偉大な先輩に恥じないように頑張ります!
スポーツマンとしての実績や実力だけでなく、人柄、立ち振る舞い、また会員さんやメディアに対しての気配り等においても好感の持てる好青年というのが鈴木雅選手の印象だ。理論と実践に基づいた妥協を許さないトレーニングに対する姿勢に敬意を表するとともに、世界の頂点に立ち、4Sが実現する日が近いと感じさせる取材となった。この記事がトレーニングに真摯に取り組むトレーニーの参考になると信じている。

取材日(2015年12月17日)の肩トレ
10 種目、所要時間:1時間半
①ハンマー アイソラテラルフロントプレス
120kg×4   160kg×2   170kg×7   172.5kg×6   72.5kg×5
②スミスマシン ショルダープレス
60kg×4   100kg×1   125kg×5   125kg×4   120kg× 5
③スタンディングサイドレイズ
6kg×13   12kg×9   18kg×15   18kg×13   12kg×14   12kg×10
※下ろしきらずにキープし、しっかり収縮させる
④マグナムマシン ワンハンドサイドレイズ
60lbs×4・4   120lbs×9・8   120lbs×10・9   110lbs×8・8
⑤アイカリアン ケーブルマシンワンハンドサイドレイズ
16kg×4・4   36kg×8・8   36kg×7・8   45.5kg×6・6
⑥パワーラック アップライトロウ
20kg×4   70kg×1   70kg×9   70kg×6   100kg×4   100kg×5
※クリーンのようなフォーム。肩全体狙いでがむしゃらに
⑦リアデルトイドフライ
45kg×6   100kg×2   112.5kg×6   112.5kg×5   100kg×7
⑧ TECA ロウイングマシンリアデルトイド
50kg×3   90kg×6   90kg×4
⑨シーテッドリアサイドレイズ
2kg×11~15 ×3セット
※サムダウン。前傾姿勢でリズミカルに。短インターバル
⑩ハンマーストレングス シュラッグ
280kg×10   280kg×6   280kg×8

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【チャンプ雅のサイズ】
身長167cm、体重 80 ~ 83kg(15 年日本選手権)・86kg(オフ)
ボ歴14年
胸囲120cm( 最大胸囲125cm) /腹囲72cm(オン・オフ変わらない)/大腿72cm /カーフ40cm /上腕囲47.5cm(パンプ51cm)

【チャンプ雅のBIG3】
BP  185kg×5回~6回 現在はやっていないので140kg くらい?
SQ  210kg×6回(脚トレの最後に)260kg×6~7回(最初では)
DL 260kg×6~7回
※ BIG3 は重さを追求しますが、こだわり過ぎないように。フォームを維持して、重さを持つということが基本で大切です

  • 鈴木 雅(すずき・まさし)
    1980年12月4日生まれ/35 歳/福島県出身
    2015年 IFBB 世界ボディビル選手権大会80kg級 3位
    2014年 アーノルドアマチュアボディビル選手権80kg級 3位
    2010年 (29歳)~ 2015 年(34 歳)日本ボディビル選手権 6連覇中
    2009年 ワールドゲームズボディビル80kg級 3位
    2007年、2008年 東アジアボディビル選手権85kg 級優勝
    2005年 東京ボディビル選手権優勝(24歳)

聞き手=
BIGTOE

写真=
徳江正之

撮影協力=
ゴールドジムウェスト東京
[ 月刊ボディビルディング 2016年3月号 ]

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