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第3回ミスター神奈川コンテスト

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月刊ボディビルディング1968年9月号
掲載日:2017.12.05
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 第3回ミスター神奈川コンテストは7月21日,京急レジャー・センター・プールにおいて開かれ,県下の実業団9社と民間7ジムの代表57選手によって争われた。
 田鶴浜会長,玉利本部協会理事長の開会あいさつにつづいて,いよいよ予選審査開始。35度という暑さもものかわ,6,000人の大観衆の前で,各選手とも,1年間のトレーニングの成果を十二分に発揮せんものと,工夫をこらしたポージングを展開。15名の決勝審査出場選手が選ばれた。
 予選審査の得点集計の時間を利用して,国立競技場トレーニング・センタ
ーの天森悦子さん,木元信子さんの2人による女性のためのウェイト・トレーニングの実技と解説が行なわれたが女性の観客が多かったせいか,なかなか好評であった。ボディビルの多用性を一般大衆に強くアッピールするにはやはりこういう機会を大いに利用すべきであろう。
 決勝審査の結果――
 ①東海林 徹(神奈川BBC)
 ②中畑 幸雄(東芝タンガロイ)
 ③斎藤 洋一(神奈川BBC)
 ④南波 勝久(京急ジム)
 ⑤岩切 正名(トレーニング・パレス)
 ⑥相沢 恒久(神奈川BBC)
 ⑦後藤 愛治(トレーニング・パレス)
 ⑧狩野 一男(日電玉川)
 ⑨村上 邦夫(トレーニング・パレス)
 ⑩東条 正範(トレーニング・パレス)

 以上の入賞者が決定。第3回神奈川大会は,関係各位のご協力により,盛況のうちに無事終了した。
 しかし,本大会はこんごのコンテストのあり方,審査の方法について,数多くの疑問を残したように思う(もちろん,これは神奈川コンテストにかぎったことではないが)。
 本大会では,はじめての試みであったが,出場全選手のレベルを審査員によく理解してもらうために,本審査にはいるまえに予備審査を行なった。これによって,本審査では選手個々についてかなり正確な審査ができたように思われる。
 それから,最近の一つの傾向としてポージングであまりに筋肉を強調しようとするため,ポーズの流れや格調がまったく失われてしまうような気がしてならない。このような傾向は,ビルダーとは知性のひとかけらも感じさせない,筋肉だけのかたまりにすぎないグロテスクな存在,といった印象を一般の人々にあたえるだけではなかろうか? かつての〝ミスター日本〟多和君は,従来の筋肉偏重のポージングから脱皮した,芸術的にさえ感じさせる流れと格調のあるポーズをつくり出したものだが……。
 ボディビルによってきたえあげた肉体を素材として,内に秘めた何かを,見る人に訴えうるようなポージングをつくり出すことは不可能であろうか?
 とにかく,神奈川コンテストは大成功であったと思う。最後に,ご後援をいただいた名糖牛乳,京急レジャー・センター,その他の皆様に,県協会役員選手を代表して,厚く御礼を申し上げます。

(神奈川県協会理事長・赤井一夫)

〔総 評〕

 ミスター神奈川コンテストは,出場選手の過半数が実業団所属――というのが,過去2回を通じて,このコンテストの特徴で,ボディビルが社会人の実生活に結びつき,健全に発展しているという意味の実証として喜ばしい。
 今回は,中村君(前回のミスター神奈川だから),石山君,高橋君らのべテラン・トップ・ビルダーが出場しなかったが,その反面,新人に決勝進出のチャンスがよけいにめぐまれたことは,これも一つの収穫だといえると思う。
 参加選手全般からすると,ツブぞろいで,平均のレベルは前回をしのぐ立派なもの。そのかわり,上位ではズバぬけた選手が少なく,昨年よりいちだんの進境を見せた東海林君が栄冠を獲得したのは順当だが,前年度の中村君との差はまだ追いつかない。
 昨年までの高雅な会場フンイキとはガラリ変わって,今回はバイタリティ旺盛な庶民的会場で,大衆の中にボディビルの滲透をはかるという意味では大入りの京急川崎レジャー・センターは,新分野の開拓には大いに有意義だったであろう。
 技術的な難点は,演技台と審査席の視角とか,強烈な逆光線,それに騒然すぎる等が,私の場合,審査採点に難渋し,やりにくかった。

(神奈川県協会長・田鶴浜弘)
月刊ボディビルディング1968年9月号

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