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●正しいトレーニング法● デクライン・ベンチ・プレスとワン・ハンド・ローイング

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月刊ボディビルディング1971年12月号
掲載日:2018.06.05
 日増しに寒さが厳しくなってきましたが、ビルダー諸兄は張り切ってトレーニングをしていることでしよう。

 ところで、寒冷期に、ビルダーがもっとも注意しなければならないこと、といえば何でしょうか。

 それは、誰にでも共通していることですが「やたらにトレーニング中ハダカになってからだを冷やしてはいけない」ということです。

 もちろん、暖房のきいた室内なら、そう心配することはありません。しかし、一般に、暖房のきいた場所でトレーニングできる恵まれたビルダーは少ないはずです。

 からだを冷やすといっても、暖から冷に、急激な変化を与えることが好ましくなく、たとえば、トレーニングで汗をびっしよりかき、暑くなってきたからといって、一度に、トレパンやトレシャツなどをぬぎ、パンツ一枚になったりすると、カゼをひく原因になることが多く、また、冷えたままトレーニングを続けると、筋肉・関節を痛めやすくもなります。

 ことに、疲れている時には、このような点に十分な注意を払う必要があります。

 ただし、寒さに対する抵抗力も、ある程度自然に高まるものであり、意識的に、冷水マサツ、冷水浴、風浴(つめたい風にあたる)を行なえば、人一倍高まるものです。

 したがって、寒さに自信のない人、病弱な人、疲れている人などは、トレーニング中いきなりハダカになることはさけなければなりません。しかし、積極的に寒さに対する抵抗力を高める方法があるということも知っておくべきです。

 さて、今月はデクライン・ベンチ・プレスとワン・ヘンド・ローイングの解説をします。

デクライン・ベンチ・プレス

 《概説》インクライン・ベンチ・プレスは胸筋の上部(および肩腕部)、ベンチ・プレスは胸筋の中部および全体に効果的といえますが、このデクライン・ベンチ・プレスは胸筋の下部に効果的であり、大胸筋の下部のキレをよくするのにも非常に有効なトレーニング種目です。
 インクライン・ベンチ・プレス、デクライン・ベンチ・プレスともに、いわゆるベンチ・プレスに傾斜を与え、筋肉への刺激角度を変えたものといえます。
デクライン・ベンチ・プレス

デクライン・ベンチ・プレス

 《運動動作》傾斜のついたベンチの上方に両足を固定し、頭を下方にしてあお向けに寝て、パートナーにバーベルを持ち上げてもらい、バーを肩巾より広めにオーバー・グリップで握り。床面に対し垂直に両腕を伸ばして胸上に支持します。

 次いで、両ひじを外方に張るようにしながら、バーベルを胸部上方、あるいは首の方向にゆっくりおろし、十分下げたら、元の位置まで押し上げ、それをゆっくりくり返します。
 《呼吸》下げながら吸い、吐きながら上げる。
 《効果》大胸筋(下部)
 《注意》初めて行なう人は、軽量のバーベルを用いて、運動動作をマスターしてから増量するとよい。

 バーを狭く握って(肩巾ぐらいか、それより狭く)行なうと、上腕三頭筋三角筋に効果的になる。

 運動動作は、いく分か「ノの字型」のカーブを画くようにして行なうとよい。

 デクライン・ベンチを用いて行なうのがよいが、インクライン・ベンチ、アブドミナル・ボード(腹筋台)などを用いてもできる。

 しなりやすい板はあまり好ましくない。運動中、フワフワしてバランスがとりにくくなる。

ワン・ハンド・ローイング

 《概説》ワン・アーム・ローイングともいう。

 片手で行なうべント・ローイングといえるが、両手で行なうより、いく分か運動が楽にでき、運動範囲が広く、精神集中がしやすいと考えられる面がある。

 しかし、個人差があるので、絶対的にそうであるとはいえない。

 この運動を正確に行なっている人は案外少ないのでよく研究してより以上の効果をあげてもらいたいものです。
ワン・ハンド・ローイング

ワン・ハンド・ローイング

 《運動動作》肩巾ぐらいに両足を開き、上体を床面に水平になるぐらいまで前方に倒し、一方の手をベンチなどに置き、バランスをとり、もう一方の手でダンベルを軽く握り、垂直に腕を伸ばし、床面から少し浮かしてダンベルを支持する。

 次いで、ダンベルを胸部のわきあたりに引き上げるようにして、ひじを曲げ、できるだけ高く上げ、力をぬかずゆっくりおろし、それをくり返す。
 《呼吸》上げながら吸い、吐きながら下げる。その逆でもよい。
 《效果》広背筋
 《注意》ダンベルをあまり強く握ってはならない。腕に力がはいり、広背筋への効果が半減します。

ダンベルを引き上げた時、前腕部が床面に対し垂直である方が好ましい。垂直でない場合は、たいてい他の筋肉部位たとえば、上腕二頭筋などに不必要に力がはいっていることが多い。

 運動中、運動している方の肩を極端に上下させたり、支えていた方の腕や脚で反動をつけたりすると効果が半減する。

ダンベルを下げた時、できるだけ広背筋を伸ばすようにするのは、運動範囲を拡大し、腕の力がぬけやすくなるので好ましい。下げる時、力をぬかずにゆっくり行なうと効果的。

 運動中、前腕に余分な力がはいるので、手首はやたらに動かさないようにすること。

 では、寒さに向うおりからがんばってトレーニングに励んでください
(H・F)
月刊ボディビルディング1971年12月号

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