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ボディビルダーの生活と意見 ~ 中大路和彦選手に20の質問 ~

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月刊ボディビルディング1969年8月号
掲載日:2018.02.20
年令 33歳
職業 電源開発火力タービン・エンジニア
ボ歴 17年
コ歴 第1回ミスター日本コンテスト出場、初代チャンピオン
家族 淳子夫人と5歳と2歳の男の子2人
体位    開始前   現在
   身長  160cm  169cm
   体重   50kg   87kg
   胸囲   85cm  122cm
   腕囲   28cm   43cm
   腿囲   50cm   65cm
 今月は記録挑戦会のチャンピオン、初代ミスター日本の中大路和彦選手の登場だ。

 広く厚い肩幅の上に、田鶴浜弘副会長がいうところの、ジャン・ギャバンを若くしたようなハンサムで、精悍な顔がつやつやと輝いている。

「やあーー今日は2年計画でつくっていた発電所の火力タービンが完成した祝だったんですよ、高速道路を磯子からとばしてやっと間に会いました」と8時ピッタリに約束の場所にあらわれた。

問1 どうです。今年の記録挑戦会のべンチ・プレス、総合の2部門で新記録を出して優勝した感想は?

答  ここ5、6年指算の立場にまわって、本格的な自分のための練習をしていなかったので、力ではとても第一線の若いビルダーには勝てないと思っていましたが、子供達にお父さんは強かったのだということを残すためにも、もう一度やってやろうという気持になり半年程前から気合を入れて練習を始めました。

 15年前ミスター日本になった時より心の底からにじみ出る喜びがありました。

問2 今までに数多くのミスター日本が生まれているのですが、最近の人はともかく、ほとんどの人がすでにやめてしまっているのですが?

答  何事によらず一つのことを貫き通すということは環境等もあって大変なことです。他の人はともかく、私自身は一生変らずボディビルに取り組んでいくつもりです。

問3 あなたは19歳でミスター日本になったわけですが、それ以後のボディビルを練習する目標を何においていましたか?

答  私の場合は第一回ということもあり、自分がだらしないと、ビルダー全部がだらしないように思われるので、そのためにも絶えず明るく逞しく、しかも人間としても成長しなければならないと思い、練習に取りくんできました。

問4 あなたはエンジニアですが仕事とボディビルの両立に苦労しませんでしたか?

答  どこに転勤しても、どんな仕事に変っても、バーベルは離しませんでした。私にとってボディビルをすることがあらゆるストレスの克服になっています。

問5 ジムも経営しているのですか?

答  これは私が東京から横浜に転勤したので仲々面倒がみられず閉鎖しました。

 5年前たまたまあいていた土地があったので自分の可能性を試すためにもやったのですが、人生のよい勉強になりました。いつの日か理想的なジムをつくるつもりでいます。

問6 あなたは結婚も早かったですね?

答  結婚当初は経済的な苦労がありました。しかしワイフは私がボディビルに打ち込むことに理解があったので苦労を苦労とも思いませんでした。

問7 ボディビルをやり出した動機は?

答  チビだったので、肉体的に堂々とした大人になりたくてやり出しました。

問8 第一回ミスター日本コンテストに出場した頃の思い出は?

答  あまり若かったので、ただうれしかったということ位しか覚えていません。

問9 ボディビルをやってよかったと思うことは?

答  会社の上司や先輩が「中大路君の顔を見ると、いつもゆったりとして元気にあふれているので羨しいよ」などといいますが、これもボディビルのお陰かなと思っています。
完成した火力タービンの前で

完成した火力タービンの前で

問10 若いビルダーに注文をひとつ?

答 ベンチ・プレスに熱中する位の真剣さで、広い世の中に挑んでもらいたい。

問11 スポーツ競技とボディビルの関係について?

答  スポーツ競技の基礎として、ボディビルが有効ということは認識されてきましたが、これからはそれを立証するビルダーがどんどん現われて欲しいと思います。

問12 ボディビルダーの体は見せかけだけだと批判する人がまだいますがどう思いますか?

答  見せかけだけでは決してなく、やる気がともなえばスポーツであれ仕事であれ、どんどん活用できるものと思っていますが、形態の美しさのみに心が執着して、残念ながらその批判がまとを射るようなビルダーがいることも事実でしょう。

問13 あなた自身、日本ボディビル協会の理事ですが今後の協会の方針について?

答  ボディビルが今後本当の〝社会体育〟になるためには、ボディビルで得た力がポテンシャル・エナジーでなく具体的にどんどんあらわれていかなければなりません。協会もそのように指導することが必要だと思います。

問14 ボディビルと食事について?

答  栄養を無視してはいけないが、あまり神経質になるのもどうかと思う。なんでもおいしく食べることがまず大切でしょう。

問15 ボディビル以外の趣味は?

答  謡曲、ヨット、相撲です。謡曲はボディビルをやり出す一年前から始めているのでボディビルより自信があるつもりです(笑い)

問16 好みの女性のタイプは?

答  男性の立場をよく理解し、男性の夢を大きく育ててくれるような女性。形態的には美人より、可愛い人です。

問17 今後の抱負は?

答  来年は記録挑戦会でトータル400キロ挙げることを公約しましょう。記録挑戦会を目指す若いビルダーは私のようなロートルに負けないようがんばってください。

問18 モットーは?

答  人が嫌がったり、やりたくないようなことでも、やるときめたら一生懸命やること。そこにおのずと道は開けると信じています。

問19 尊敬する人は?

答  現実的にいきましょう。会社の上司の神沢課長です。理由は海軍兵学校で鍛えた精神を現在も仕事に生かし、常に前向きな精神と行動を発揮しているからです。

 またボディビルを広く社会に役立てようと15年ひとすじにその普及に力を尽している玉利理事長にも深く共鳴しています。

問20 ボディビル発展のために一言。

答  初期ブーム時代を第一期発展時代とすれば、玉利理事長になってからのここ数年は第二期発展時代です。しかしこれから70年代に入って第三期の輝かしい発展時代をむかえるためには八田会長を先頭に役員、選手、練習者がひとつになってボディビルを社会に生かすという方向に向かって力強く歩むことだと思います。


 ずばり来年の記録挑戦会でトータル400キロの記録を公約した。鍛えぬいたもののみが持つ気力と体力の充実からくる自信だろう。

 だがこの33歳のボディビルダーは同時に高度の能力を要求されるエンジニアでもある。決して筋力の力を鼻にかけ肩ひじ張って歩く男ではない、筋力の力をここ2年火力タービンの建設にかけ、完成した現在今度は原子力発電という新しい分野の開発にとり組もうとしているのだ。

 家庭ではよき夫でありよき父である彼の400キロへの挑戦もさることながら原子力発電に挑む彼の今後の活躍を共感をもって見守ろうではないか。
(太陽児)
月刊ボディビルディング1969年8月号

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