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ボディビルの基本〔その12〕
腹部と腰背部の運動

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月刊ボディビルディング1972年9月号
掲載日:2018.07.11
竹内 威(NE協会指導部長 '59ミスター日本)
記事画像1
 筋の隆起が大きく,しかも,よくカットされた腹筋と腰背部は,ビルダーの身体美を強調する上で不可欠のものである。              
 逞しくひきしまったウエストは,上体のVシェイプ(V状の形)を一層きわだたせ,全身の印象をシャープなものとするのに役立つ。        

腹部の運動

 腹部における主な筋は,腹直筋と外腹斜筋である。
 腹直筋は,第5〜第7肋軟骨から恥骨に付着する腹部前面の長い筋肉で,腹部の中央にある白線によって左右に縦に分けられている。
また,3〜4条の腱質の横線(腱画)が見られる。
 腹直筋の作用は,主に胴の前方屈曲である。
 外腹斜筋は,後腹壁から前腹壁を形成する筋肉で,作用は,主に胴の横への屈曲と回転である。
 腹部の運動で,もっとも一般的なものはシット・アップであり,腹部の強化は,いろいろのシット・アップ種目を行うことによって可能である。
筋肉図

筋肉図

シット・アップのバリエーション

○インクライン・シット・アップ
 傾斜した腹筋台を使用して行うシット・アップである。
傾斜度を強くすればするほど腹直筋の発達をよくし,腱画をよくするのに有効。

○ベント・ニー・シット・アップ
 傾斜した腹筋台に頭を下にし,脚を曲げ,膝を立ててねる。そして,膝を立てたままで上体を起こす。
上体を起こしたとき,できるだけ体を深く屈するよう留意する。
 効果。腹直筋。膝を深く曲げるか,または,腹筋台の傾斜を高くするほど下部の方に効くようになる。

〇ツイスティング・シット・アップ
 インクライン・シット・アップと同じように腹筋台に寝る。上体を起こすとき,左右いずれかにひねるようにする。1回ごとに左右交互にひねる。
 効果。腹直筋の白線に接する部分と外側の輪郭をよくするのに有効。また外腹斜筋にも効く。(写真参照)

○シット・アップ・タッチング・ザ・オポズィット・ニー
 ベント・ニー・シット・アップの要領で,上体を起こしたとき,一方の肘が反対側の膝に触れるようにする。
つまり,左肘と右膝,右肘と左膝が触れるように行う。手は頭の後ろで組み合わせ,1回ごとに左右交互にひねる。
 効果。ベント・ニー・シット・アップとツイスティング・シット・アップを併合した効果を得ることができる。(写真参照)

○クロス・ベンチ・シット・アップ(ベント・バック・シット・アップ)
 上体を後ろに倒したときに,ベンチと体が交差するように,横向きにベンチに腰をかけてシット・アップを行う
 このとき,パートナーに足を押えてもらうのであるが,パートナーがいない場合は,バーベルの下に両足を入れて足が浮かないようにする。
上体を後ろへ倒すときは,両肩が床にふれるくらいまで,できるだけ深く倒す。
 効果。腹直筋。とくに中央の部分の発達を促す。(写真参照)

○トランク・カール
 床またはベンチに両脚を伸ばして仰臥する。運動の方法は,背の下部が床またはベンチから離れない範囲で,上体の起臥運動を行う。
つまり,上体を起こしきらないようにする。上体をおろしたときは胸を十分に伸ばす。
 効果。腹直筋の上部と中央部の隆起を高め,腱画をはっきりさせるのに有劾。(写真参照)
[ツイスティング・シット・アップ]

[ツイスティング・シット・アップ]

[シット・アップ・タッチング・ザ・オポズィット・ニー]

[シット・アップ・タッチング・ザ・オポズィット・ニー]

[クロス・ベンチ・シット・アップ]

[クロス・ベンチ・シット・アップ]

[トランク・カール]

[トランク・カール]

 その他の腹部の運動

○ライイング・レッグ・レイズ
 床またはベンチに両脚を伸ばして仰臥する。両脚をできるだけ曲げないように留意して,腰の角度が直角になるまで上げる。
そして,2回目からは両脚を床におろしきらないようにする。
 効果。腹直筋の下部をひきしめるのに有効。(写真参照)

○インクライン・レッグ・レイズ
傾斜した腹筋台に,頭の方を上にして仰臥する。
両手で腹筋台の上部の縁をつかんで,体がずり落ちないようにして,両脚を伸ばしたまま上げる。
このとき,腰が深く曲がるように,できるだけ高く脚を上げる。
 効果。腹直筋。とくに下部から中央部にかけての発達を促す。(写真参照)

○サイド・ベンド
 片方の手にダンベルを持ち,両足の間隔を肩幅くらいにとって立つ。
上体を前後に傾けないように留意しながら左右,横へできるだけ深く屈伸する。
1セットずつ左右交互にダンベルを持ち変えて行う。
 効果。外腹斜筋の発達を促す。左手にダンベルを持てば右側,右手に持てば左側の外腹斜筋に効く。(写真参照)

○トランク・ツイスティング
 バーベルを両肩にかつぎ,肩幅よりやや広く両足の間隔をとって立つ。両足の位置を動かさずに,体を左右に交互にひねる。
上体を傾斜させないように行う。
 効果。外腹斜筋を強化し,ウエストをひきしめる。(写真参照)

○ライイング・サイド・ベンド
 上体をベンチの端から出すようにして横向きに寝る。足首のあたりをパートナーに押えてもらうか,ベンチに固定する。
うつ向きにならないように留意して,横向きのままで上体を上下に屈伸する。
 効果。外腹斜筋を強化し,腹部の横側をひきしめる。(写真参照)

 以上が,腹部のための運動種目であるが,これらの運動を行う際の要点について述べておく。
 腹部の運動は、どちらかというと多回数の反復で行うならわしになっているが,腹筋を大きく発達させるには10回前後の反復で行うほうが効果的と思われる。
もちろん,この場合,筋力が強くなるにしたがい,他の部分の運動と同様に重量を使用して行うようにするのである。
 運動の方法は,反動を使わずに,正確な動作で行うことが大切で,運動の速度も,速からず,遅からず,一貫した速度で行うほうがよい。
 腹部をひきしめ,腹筋の輪郭をよくするには,まず,筋肉を十分に収縮させるように行うことが肝心である。
そのためには,屈曲動作に合わせて息を吐くようにし,屈曲動作完了の時点では完全に息を吐き出し,意識的に腹筋を極限まで収縮させるようにする。
 反復の速度は,できるだけゆっくり行うほうがよい。
[ライイング・レッグ・レイズ]

[ライイング・レッグ・レイズ]

[インクライン・レッグ・レイズ]

[インクライン・レッグ・レイズ]

腰背部および後腹部の運動

 腰背部には,仙棘筋下部と胸腰筋膜があり,後腹部には外腹斜筋がおよんでいる。この部分をシャープに発達させることは,バックの印象をよくすることにつながる。

○デッド・リフト
 運動方法については省略するが,仙棘筋下部に効かすには背すじを伸ばして行うほうがよい。

○ベント・オーバー
 バーベルを両肩にかついで立ち,背すじを伸ばしたまま,おじぎをするような要領で,上体が床面と平行になるくらいまで腰を曲げる。
このとき,上体を前へ倒しながら膝を少し曲げてもよい。
 効果。仙棘筋下部,胸腰筋膜。とくに仙棘筋下部の発達を促す(写真参照)

○プローン・レッグ・レイズ
 上体だけをベンチにのせて伏臥し,両手でベンチの縁をつかむ。両脚を伸ばしたまま,床から浮かし,できるだけ高く上げる。
2回目からは両脚をおろしたとき床につかないようにして上下運動させる。
 効果。仙棘筋下部と大殿筋の発達を促す。

○ハイパー・バック・エクステンション
 上体がベンチの端から出るように伏臥する。両脚はパートナーに押えてもらうかべンチに固定する。
[サイド・ベンド]

[サイド・ベンド]

〔トランク・ツイスティング〕

〔トランク・ツイスティング〕

[ライイング・サイド・ベンド]

[ライイング・サイド・ベンド]

[ベント・オーバー]

[ベント・オーバー]

[ハイパー・バック・エクステンション]

[ハイパー・バック・エクステンション]

 運動の方法は,上体を下へ折り曲げ床すれすれの位置から上方へ起こし,できるだけ高くそらす。
手は頭の後ろで組み,筋力が増したらプレートを首の上に保持して行うようにする。
 効果。仙棘筋の発達を促す。高くそらすほど下部に効く。胸腰筋膜と大殿筋にも有効。(写真参照)

○ワンハンド・デッド・リフト
 片方の手にダンベルを持って行うデッド・リフトである。斜め横の床の位置からダンベルを引きあげるようにする。
 効果。仙棘筋,胸腰筋膜,外腹斜筋の後腹部の発達に有効。

○トランク・ツイスト・ベント・オーバー
 バーベルを両肩にかつぎ,足幅を肩幅よりやや広目にして立つ。
その姿勢から上体を左右いずれかの方向へひねり,次に体をひねったままの姿勢で,上体を前方へ倒す。
1回ごとに左右交互にひねって行うが,屈伸動作の途中で,体のひねりが戻らないように留意する。
 劾果。胸腰筋膜,仙棘筋,外腹斜筋の後腹部の発達を促す。
 以上が,腰背部および後腹部のための運動であるが,この他,片手で行う運動種目が有効である。
 たとえば,スタンディング・プレスやカール,ベント・ロー等の運動を,ダンベルを使って片手で行うことによって,複雑な刺激を与えることができる。
 したがって,そのような運動種目をトレーニング・コースに盛り込んで行なってみるのもよい。
 また,後腹部の脂肪をおとすには,バック・キックが有効である。とはいうものの,脂肪をおとすためには,トレーニングと同時に,食事面での注意も怠ってはならない。
 摂取カロリーを制限して,体全体の脂肪をおとすように心がけなければ,ウエストの脂肪もおとせないということを忘れてはならない。
 他の部分に脂肪をつけたまま,ウエストの脂肪だけをとることは不可能である。
撮影協力 平井ボディビル・センター
モデル  熊岡健夫コーチ
月刊ボディビルディング1972年9月号

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