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<特集・スタミナメニュー>
ミスター日本出場選手の食事法 1976年3月号

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月刊ボディビルディング1976年3月号
掲載日:2018.08.11
野沢秀雄(ヘルス・インストラクター)
 本誌2月号増刊「'75ミスター日本コンテスト特集号」に全出場選手にアンケートを出した結果を総論として紹介したが、個々の選手について代表的な食事法を今月からしばらく連載することにしよう。
<兵庫代表・長宗五十夫選手>

<兵庫代表・長宗五十夫選手>

①コンテストに備えて、6ヵ月前から特別食に切り換える。
②その内容は<表1>のとおり。
③ふつうの食事法は同じく<表1>のとおりで、トーストやライス、マーガリンなどの炭水化物が摂られている。
④食事以外にサプルメントとして使用しているのはハイプロティンとジャームオイル。
⑤コンテスト当日の食事は、協会指定のホテルでトースト2枚、バター、トマトジュース、ゆで卵2個。
<表1>長宗選手の食事法

<表1>長宗選手の食事法

(評)

 コンテストの舞台で、パンプ・アップの激しい汗が流れるファイトを見せてくれた長宗選手。逆三角形の背筋の発達がすばらしい。食事内容はそのはげしい毎日の鍛練に充分見合うものであり、たんばく質・脂肪・果物・野菜の摂り方など申し分ない。むしろ過剰とも思われ、ふつうのトレーニングをするビルダーがこれだけの食事内容を真似すると、たちまち胃腸に無理がくる。長宗選手のように、毎日、最高の重さで数時間も練習に打ちこめるビルダーになってはじめて、これだけのメニューをこなせるわけだ。

 ハイプロティンにしても、100g~150gを毎日飲むのは一般ビルダーには多すぎる量だ。ふつうは大さじ3杯(20~25g)を標準にするのがよい。

 コンテストの当日は、果物やレモンなど特別のエネルギー食を用意するとなおよいだろう。
<東京代表・福岡章選手>

<東京代表・福岡章選手>

①コンテストに備えて3ヵ月から特別食に切り換える。
②その内容は<表2>のとおりで、炭水化物を除いている。
③ふつうの食事法は同じく<表2>のとおりで、ごはんやラーメンが加わっている。
④サプルメントとして使用しているのはハイプロティンとエビオス。
⑤コンテスト当日の朝食はレモン1個、牛乳1本、チョコレート1枚。
<表2>福岡選手の食事法

<表2>福岡選手の食事法

(評)

 重厚な筋肉を短期間につくりあげて注目をあびているホープ。まだ21歳という若さが強味だ。ふだんの体重が84kgあり、減量に苦労したとのこと。いくつか気づいた点を述べよう。

①コンテスト前に炭水化物を除く方針はいいが、バナナやショートケーキはかなり糖質が多く、ハイカロリーだ。疲労回復のために食べているならいいけれど、やや心配。
②牛乳も1本にした方が腹がふくらまず有利。
③レバーは牛でも鶏でも効果にかわりない。
④コンテスト当日はその2倍くらい食べないとスタミナが維持できない
⑤長宗選手と同じく、間食や夜食を充分とっているのはよい。全体として、ひじょうに良い内容なので、これから先1~2年が勝負どころである。活躍を期待したい。
<三重代表・楢崎岳生選手>

<三重代表・楢崎岳生選手>

①コンテストに備えて、とくに食事内容を変えることはない。少し心掛ける程度。
②ふつうのトレーニングのときの食事は<表3>のとおり。
③サプルメントはハイプロティンのみ
④コンテスト当日の朝食はホテルでトースト2枚、コーヒー、ゆで卵。
<表3>楢崎選手の食事法

<表3>楢崎選手の食事法

(評)

 楢崎選手は航空自衛隊の自衛官で、トレーニング歴6年半のキャリアを持っている。職務柄、部隊食を食べないわけにはいかないので、どうしても普通の食事になりがちだと同選手は書いているが、上のような一般人と大差ない食事内容で、これだけの筋肉をつくりあげたことに感腹する。

 コンテスト3ヵ月ぐらい前から、ごはん・めん類・いも類を減らして、チーズ・卵・プロティンなどをふやしているとのこと。また外出の際は焼肉・ホルモン焼・中華料理が多いというがどれも適切である。

 これからの方針として、さばの缶詰とか納豆・チーズ・プロティンなど、自分の部屋で食べられるものを利用するのが良いだろう。果物もやや少ない。

<熊本代表・平木健吉選手>

①コンテストに備えた食事法はしない
②食事内容は<表4>のとおり。
③サプルメントはプロティンとエビオスを飲んでいる。
④コンテスト当日はお姉さんの家でトンカツ、生野菜、ごはん1杯、みそ汁、牛乳1本、エビオス。
記事画像7
<表4>平木選手の食事法

<表4>平木選手の食事法

(評)

 体重75kg、胸囲110cm、上腕囲40cm、ミスター熊本1位の平木選手のメニューである。食事内容はふつうのサラリーマンとあまり変わらず、不足分をハイプロティンで補っている理想的なメニューである。

 つまり、家族や同僚などとあまりかけはなれていると、「あいつは非常識な食事をしている。そんなにしなければ体はつくれないものかなあ」と、誤解されることになりかねないが、平木選手のこのメニューならば心配はあまりない。

 もちろん、たんぱく質も十分だし、適度に「ごはん」が入っているのも好ましい。「すもうの関取りが短命なのは食事法が悪いから」とよくいわれるがビルダーの場合もこんなことをいわれないように、食事法にはよくよく配慮していただきたい。
月刊ボディビルディング1976年3月号

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