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☆スタミナ栄養シリーズ特集版☆
強い選手になるために①

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月刊ボディビルディング1977年2月号
掲載日:2018.08.01
野沢秀雄(ヘルス・インストラクター)
「オッス。新年に入ってキツイ寒い日が続いとるけど元気け、ワレー。寒さに負けんとバーベルあげとるけ、ワレー。冬の間にバーベル離す者がおるけど、続けてるもんと差がようつくでワレー。よーわかったかワレー」――と河内のオッサン風に出だした今月号のスタミナ栄養シリーズ。「強い選手になるために」とタイトルに出ているが、ボディビルの選手というよりも、「パンチDEデート」ではないけれど、ごく一般的な野球・ラグビー・空手・アメフト・ボートなどのスポーツ選手に「ボディビル」を見合いさせようと張りきっているところだ。

1.ボディビルはこんなに良い

「ボディビル」という言葉がとかく「すごい筋肉」を連想させやすいので、「ウェイト・トレーニング」という言葉にかえる場合が多いようだが、それはそれで結構。要するにバーベルやダンベルで筋肉をきたえるトレーニングをもっともっと全国に普及させたい。体力のなかった者が短期間に自分の努力で「これが昔の○○君だろうか」とびっくりするくらい逞しくなる。それと同時に「生きる自信」ができて、堂々と胸を張って毎日をすごせるようになる。

たとえば九州の池田さんは1年前に体重48kg・上腕囲28cm・ベンチプレス30kg・スクワット40kgだったのに、1年後に体重60kg・上腕囲36cm・ベンチプレス65kg・スクワット90kgをやれる体にかわっている。そして彼のトレーニングぶりを見ていた人たちが「いいなあ。おれもぜひやりたい」といいだすという。こんなに「変身」できることを自分の目で確かめて、それが何よりもすばらしいと感じるからであろう。

2.スポーツ選手よ活用せよ

運動選手にとって、体が大きいことは何より有利な武器であり、財産だ。たとえばラグビーやアメリカンフットボールの場合、体重が70kg以下だと相手にぶつけられるとモロにぶっ飛ばされて戦力にならない。ボート選手は同じ艇に乗るなら筋肉のサイズとボリュウムが大きくて体力のある選手ほど有利なことはいうまでもない。

だから花の4月。新入生がドヤドヤ入ってくるころ、体格の立派な者には「わが部に入れ、入れ」とあちこちからスカウトの声がかかる。

だが、ほとんど経験の無い者を単に「体が大きい」というだけで集めても本当の戦力になるかどうか疑問だ。むしろ技術や素質に恵まれ「このスポーツが好きで好きでたまらない」という熱心な者を、バーベルやダンベルのトレーニングでがっちり逞しくきたえた方がはるかに大きな戦力になり、収穫が得られるのではなかろうか?

3.間違ったトレーニング

どこの学校や社会人チームにもバーベルの1本や2本転がっているのを見かける。柔道・ボクシング・レスリング・陸上競技・ラグビー・空手・野球・スキー……どんなスポーツにしろ「バーベルで体力づくり」という意識はあるようだ。

「少年マガジン」「少年チャンピオン」「少年サンデー」……などのマンガ誌に「強くなるためにバーベルを持ちあげる」ようなシーンがよく出てくるからその影響も大きいのだろう。野球選手ですら上体の強化にバーベルを用いることは常識化している。

だが問題は、どんなトレーニングをするかだ。ある運動部では、ベンチプレスをやっているのはいいが、大の男が30kgくらいの重さでヒョイヒョイと20回〜25回も一気にやっている。まるで縄とびをするみたいに。またあるクラブでは、カールをやっているが、肘が脇腹から離れ、おまけに下ろすときの動作が早い。これではダメだ。

そうかと思うと「重いバーベルでやればいい」と、うんうんうなりながら同一重量のバーベルを何カ月間も持ちあげている。沖仲士や土方の人たちが重労働なのに筋肉がそれほど大きく発達しないのは、同一重量しか持たないで働いているためだ。これではパンプアップの充実感などとうてい得られない。――こんなでたらめなトレーニングをやっていて「チェッ!バーベルなんて疲れるばかりで効果がないや」とあきらめてしまう。かくて、ほこりと鉄さびを帯びたバーベルが片すみに転がって忘れられてしまう。

要するに「宝の持ちぐされ」というか、「よい指導者」や「よいコーチ・トレーナー」がいないのだ。

4ビルダーよカを合わそう

その点、ボディビルの基本を理解してコツコツとトレーニングを続けているビルダーは「よき指導者、よきトレーナー」の資格が十分あると私は考えている。1年以上トレーニングを経験し、体のサイズを大きくし、同時に食事や栄養の知識を身につけていれば「鬼に金棒」である。

現在筆者は「剣道時代」「ラグビーマガジン」などスポーツ誌にボディビルのトレーニングをすすめる記事を書いている。反響が大きく「ぜひ自分もバーベルできたえたい」という手紙がよく届く。トレーニングジムが近くにある人にはジムを紹介しているが、講習会をひらいたり、実地指導をしたりして、いっそうボディビルの方法を広めてゆきたい。ぜひビルダーのみなさんも加わって力を貸してほしい。自宅にバーベルがある人は開放して指導してあげてほしい。実際に自分が良い体であったり、池田さんのように熱心に懸命にトレーニングしていたら、人びとを「よしやろう」という気持にさせるにちがいない。こうして一人ずつ仲間をふやしてゆけば、ボディビルへの理解が深まり、もっともっと広く普及するにちがいない。

5.誤解をとこう

なお専門的な立場から基本的なボディビルの研究や資料づくりも今後いっそう必要である。「ボディビルは世間から誤って理解されている」という言葉をよく聞くが、それならば「どこがいけない」とされるのか、具体的に調査し、反論すべきところは反論すればいいのだ。

最近のランニングブームをつくった「走る本」の著者・阿久津邦男氏はこんなことを述べている。

「健康法として重いバーベルをリキんであげる人がいる。これは体にとってどうであろうか。息を止めてがんばるから空気が入ってこない。同じように短距離を一気に全力で走っても息をとめて運動したのでは酸素は入らない。こうした一連の運動は無酸素運動(アネロビクス)と呼ばれて、むしろ健康に良いといえない。とくに中高年層には危険である」と。(別冊「壮快」運動健康法事典より)

だがこれはとんでもないまちがいである。バーベル・トレーニングをしている人は誰でもハーハーと息がはずんでいる。呼吸をとめないでバーベルを上下するし、たとえ瞬間的にとめるにせよ、すぐにハーハーと息をしなくては苦しい。そしてこれが何より証拠にはトレーニング中に「脈拍」が上昇する。

「脈拍が一分間に120〜150になるトレーニングが酸素や栄養物を末端の血管まで持ってゆくから有効だ。心臓や肺にもよい」といわれている。ボディビルをすれば理想的に脈拍があがっていくことを私の体験から示そう。
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運動しない一般の人は脈拍が100以上になることは1日に1〜2度くらいだという。ボディビルをすれば脈拍は上記のようにあがり、身体内部を強化するのに役立っているのだ。

脈拍は時計をみながら6秒間に何回か数えて10倍すれば、1分間の数字になる。簡単だから誰でもやってみるがいい。

「ボディビルは有害だ」という人にこんな簡単な反論すらできないと困まる。パンチをくらったまま一つも反撃できないボクサーみたいではダメだ。

次号以下に「赤い筋肉・白い筋肉」「空手が強くなる」「ラグビーが強くなる」等の記事を発表してゆこう。ご期待ください。
(筆者は「健康体力研究所」代表)
月刊ボディビルディング1977年2月号

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