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スタミナメニュー プロティンパウダー

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月刊ボディビルディング1974年8月号
掲載日:2018.07.21
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野沢秀雄

<おお、わかってるね!>

たった一社だったプロティンパウダーの販売会社が、あっという間に日本に数社あらわれ、販売競争をくりひろげている。
その中にはビックリするほど高い値段で売りつけて、新聞にのった例もあり、これを機会に、良いプロティンパウダーの選び方と、正しい使用方法を検討してみよう。
「おお、わかってるね」と誰からもいわれるように......。

<よくない売られ方>

朝日新聞の苦情欄に大きく出たのはI社のプロティンパウダー。ココアとバニラの二種類があり、どちらも一缶453g入で、なんと5900円という高価格。
相談者は病気の回復期にあり、知人のセールスマンから何度もすすめられてつい買ったが、効果があるかどうかまったくわからない。
説明書を見せてくれたが、むずかしくて分らないことが並べてあり、おまけにすぐ返してくれといわれたので説明書を返してしまった。インチキではないかと思うので調べてほしいというものだ。

試験センターに依頼してこの製品を分析してみると、タンパク質は53%。つまり一缶中に240gの純タンパク質が含まれ、これが5900円だから、100円あたりわずか4g少々しかタンパク質がとれないわけだ。
また「病気がなおる」と宣伝して販売することは、薬品としての許可を受けない限り、薬事法違反で取締りを受ける。実際いくらタンパク質パウダーといえども、直接治療の効果はないと考えられる。
結論として新聞の記事はこう結んでいる。「なにもこのような高いプロティンパウダーを求めなくても、イワシやサバ、納豆、きなこ、豆腐などいくらでも良いタンパク質源があるのだかうかつに信じずに食生活をもっと工夫したらよい」

<うまく使うならよい>

私自身もこの意見にほぼ賛成であるが、プロティンパウダーにはそれなりの意義や役割もあると考えている。
すなわち、タンパク質をふつうの食事でとる量以上に摂取したいとき、魚や肉タマゴ、牛乳などを食べるとタンパク質以外に脂肪や炭水化物、水分などが伴って口に入ることになる。
ちなみに肉や魚では100g中20gだけがタンパク質、とうふでは1丁200gのうち12g、タマゴでは1個あたり6~7g、牛乳1本5.9g、ハム1枚4~5gということになる。

せっかくタンパク質だけをとりたいと思ってもこれでは胃がふくらんで、それ以上食べられなくなるし、またカロリーがふえて太りすぎたり、デフィニションの欠ける結果になったりしかねない。
このようなときにタンパク質含量の高い特殊な製品があれば都合がよい。しかもそれほど高価格でなく入手できればそれにこしたことはない。

<3つの条件がある>

成人一日あたりのタンパク質必要量は男子で70g、女子で60gとされているが、自分の食生活と一日の栄養量・運動量を比較してタンパク質が足りないときにプロティンパウダーを用いることを前提としよう。
なぜならタンパク質をいくら食べても、トレーニングが不足なら余分なタンパク質は複雑な化学変化により、炭水化物や脂肪同様にエネルギーや皮下脂肪に変ってしまうからである。
さてプロティンパウダーをどう選ぶか、次の3つの条件を検討してはどうだろうか?

①100円で何gの純タンパク質がとれるか。

計算がちょっと面倒かもしれないが慣れるとひじょうに便利である。たとえば牛乳1本200g中にタンパク質は2.9%だから計5.8gある。
1本40円とすると100円あれば牛乳2.5本買えるので5.8×2.5本=14.50、つまり約15gのタンパク質をとることができる。
こうして計算すると、100円あたり牛肉(ステーキ)は6.6g、豚肉13.2g、卵30g、チーズ29g、とうふ20gなどとなる。

各社のプロティンパウダーについて計算すると、I社(タンパク質53%)は4.0g、N社(タンパク質53%600g入4000円)は9.0g、W社(タンパク質84%227g入1850円)は10.3g、H社(タンパク質76%453g入2500円)は13.8g、H社(タンパク質79%453g入2300円)は15.6gとなる。
牛肉や豚肉よりも高くつくものは企業努力でなんとか工夫するべきであろう。100円あたりせめて15g程度のタンパク質がほしい。そうしないと愛用者にとって不利である。

②スプーン1杯で何gの純タンパク質がとれるか。

便利さからみると、タンパク質濃度の高いものほど価値がある。1回に大さじ1杯(約8g)をとるとすれば、W社のものは純タンパク質が6.9gとれるのに、I社のものでは4.2gしかとれない。
牛乳にとかして、タンパク質濃度が2倍になる程度、つまり、スプーン1杯に5.9gぐらいのタンパク質が含まれる製品でないと満足できないわけだ。逆算すると、74%プロティンパウダーでないとこの条件は満たせないことになる。

③味・溶解性・消化性・安全性

プロティンパウダーの主原料は、大部分大豆タンパクパウダーを用いている。といっても単に大豆を粉砕したキナコではなく、いったん熱水でタンパク質を抽出し、噴霧乾燥したもので、消化性がよくなっている。
しかし、大豆は大豆、味やにおい、また口の中での舌ざわり、空気の泡などに問題があって、おいしくするのはなかなかむずかしい。うまくなければ効果は半減するといってよく、自分の舌にあったものを選ぶべきだ。

溶け方が悪く、いつまでも水面に浮んでいるものは不合格である。アメリカではパパインなどの消化酵素を入れている製品があるが、専門の化学者の研究ではこれはほとんど意味がない。
人間はタンパク質分解酵素を十分持っており、そのうえ抽出大豆パウダーは消化されやすいからである。また途中の流通段階で酵素が死んでしまうケースも多い。

ある製品には食品添加物が相当使われているが、安全なものでなければならない。メチオニンが入っているのはプロティンスコアをあげるためだし、ビタミン剤や小麦胚芽油の入ったものは強化剤としての役割を同時に果たしている。
舌でなめておいしい製品は牛乳や水にとかしてもうまいといえる。輸入品がまだまだ多く、これらのものは日本人の舌にあまり合わず、しかも価格の面でも少し高すぎる。国産のものもタンパク質含量が低くてあまりおいしくはない。
国産で日本人の舌にあったものを早くつくりたいと筆者は念願しているところだ。

<用途はひろい>

プロティンパウダーは体力づくり、筋力づくりを目ざすスポーツマンを対象に売られているが、若い女性でやせたい人、プロポーションを良く保ちたい人、身長を伸ばしたい少年、成人病の人、老人、妊産婦、重労働をする人など、用途はひろいものである。
適切な価格と方法でセールスすることにより、これからますます社会全般に広がる製品だとにらんでいる。また興味あることに、酵素、ホルモン、そして精液などの主成分もタンパク質なので、強精強壮を目指す人は漢方薬やドリンク剤もさることながら、この基本的な栄養素であるタンパク質をおろそかにすべきではない。
月刊ボディビルディング1974年8月号

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