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続・健康食品(ヘルスフード)

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月刊ボディビルディング1974年10月号
掲載日:2018.07.08
野沢秀雄

キャッチフレーズは“美と健康”

 健康食品といえば、つい私たちはプロティンパウダーやラッピーなどの豆乳を頭に浮べて、即!スポーツマンの体力強化用食品だと思いこんでしまう。

 だが実際は想像よりもはるかに巾の広いもので、とくに若い女性を対象にしたやせる食品や、中年太り、成人病を気にする人のためのダイエットフードの方が脚光を浴びている。

 どの会社もキャッチフレーズは「美と健康」。しかし健康食品とは何か、一般食品や医薬品との差はどこにあるのかを真剣に考えるとわからなくなる。そこで、かりに次のように定義すればどうだろうか?――健康食品とは以下のような種類の食品を総括して呼ぶもので、これらを食べることにより健康状態が良くなることを期待して消費される食品である――と。

ヒッピーから始まった自然食品

 公害が私たちの体をむしばみ、生命をうばってゆく。食品の中にも「危ない」ものがいくつかあり、たとえば現在話題になっているAF2や、タール系の合成色素はガンを発生させたり、肝臓をいためることが判明している。

 人工的に化学合成した食品(主として添加物)は歴史が浅く、それだけ不安が多いので、なるべく自然に近い、なまの食品を食べたい――こんな希望が出るのは当然なこと。

 まずアメリカの若者たちの間から自然食品運動が始まった。火の手はあっという間に全世界に広がり、合成着色料・酸化防止剤・防腐剤・殺菌剤・保存剤・漂白剤・合成糊料等を含む食品が排除され、かわって無漂白小麦・玄米・黒砂糖・天然ジュース・手作りの梅干し・みそ・しょうゆ・酢・ソース・うどん・そば・パン・ビスケット・かりんとう・オートミール・クッキーなど、食品添加物をあまり使わない食品が人気の中心となっている。
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やせたい人だけのものでないダイエットフード

自然食品が主として零細メーカーの手によってつくられるのに対し、特殊用途をもったダイエットフードは加工度が高いために、アメリカでもドイツでも大手メーカーの手がかけるものとなっている。

 ダイエットフードという言葉は、日本ではなぜか誤解されて伝えられ、しばしば外国人をびっくりさせる。辞書でDIETを調べるとわかるように、病気の回復をたすけるための「規定食」というわけで、食塩を減らしたメニューや、肉のかわりに大豆を使った食事、あるいは肝臓病をなおすための高タンパク食なども立派なダイエットフードなのだ。肥満病をなおすために低カロリーに調整した食品や食事は、ダイエットフードの一部分にすぎない。

 このダイエットフードについては、厚生省でもその意義を大いに認めており、昨年12月26日に各都道府県知事にあてて、特別用途食品の規格を公布した。「低カロリー食品」「低ナトリウム食品」「高タンパク質食品」「低タンパク質食品」「対タンパク質高カロリー食品」「無乳糖食品」「アレルギー疾患用食品」および「糖尿病用組み合わせ食品」「肝臓病用組み合わせ食品」「減塩食組み合わせ食品」の10項目である。

 これらのほか、果糖を用いたものやコレステロールを減少させる油を用いた食品、あるいは特殊なアミノ酸を減少した食品・低カリウム食品・高カロリー食品・高タンパク質高カロリー食品・低炭水化物食品などが検討されており、これらが発売になるとわれわれスポーツマンにも、非常に便利になる。

 これら特殊用途食品をつくるには、含有成分を自由に調整する必要があり高度な技術が要求される。フードエンジニアリングという食品工業の進歩により、初めて可能になったといってよいものだ。

 なお、日本全国の病人数は現在約800万人ぐらいだが、50年代には4千万人になるといわれており、ダイエットフードへの需要はますます増大することが予想されている。

強精強壮のためのスタミナ食品

デパートの薬店のコーナーには、以上のほか、朝鮮人蓼・はちみつ・ローヤルゼリー・ドリンク剤・小麦胚芽・クロレラ・コンフリー・かぼちゃの粉末・しいたけ・海藻・酵素・カルシウム粉末・ミネラルウォーター・レバーエキス・薬草エキス・薬草茶、あるいは、しじみ・まむし・スッポン・九竜虫・はちの子といった製品群が並んでいる。

 困ったことには、栄養的にみて確かに効果があり、医学的なデータのあるものと、そうでないまゆつば的なものが同時に並んでいることだ。後者の多くは「昔からいいと伝えられている」「私にはよく効いたから」といった理由で販売されており、とくにセックスを強くするのに愛用されているようだ。

 何度か述べたように、人間は心理的に暗示を受けやすいもので、数千円もするものを飲むとそれだけで効いた気分になりやすい。厚生省や公生取引委員会、あるいは消費者団体から、これらの製品に基準をつくり、あやしい商品はきびしく取り締まる方針が出されている。

 発売元に対して、有効であることを示すデータや証明を出させて、基準や定義をはっきりさせようとするもので一つの案としては「健康増進物質を含有する自然の原料を用いて調整した食品で、その性質・成分が特殊な医学的条件を満たし、あるいは栄養面に何らかの配慮を加えた食品」とし、呼び名を保健食品(Supp Lement Food)とするものである。

 いずれにしろ、医薬品とまぎらわしくデータをつければつけるほど、食品からはみ出して医薬品に近くなってしまう。事実、朝鮮人蓼は日本薬局方にのっている薬品でもあり、薬用酒やドリンク剤も医薬品として認可をとり販売しているものもある。結局、良心的で、ていねいな売り方をするかどうかが一番のポイントであろう。

良いものはのこる

 本当に効果があって良い商品は、いつまでものこるものだ、うれしさのあまり人にすすめたくなることがわれわれの経験に何度もある。口から口へ伝えられて商品は伸びてゆく。ベストセラーも、ドラゴンやエクソシストの映画も、レコードも自動車も計算機も……。

 また商売とは地域の人たちにより商品を通じてなじみになってもらうもので、「すえ長く付き合ってくれるように」とあいさつして、良心的な商品を届ける義務が販売者にある。

 健康食品が人間の生命にかかわる重要なものである以上、口から口へ伝えられる性質を持ちやすく、したがって本当に良い製品は息がながい。反対に粗悪なものは一時的に買われても、二度、三度と反復されることがなく、すぐにダウンしてしまう。また食品である以上まずいものでは、続けて愛用されにくい。「良薬口に苦し」ではダメで、おいしく食べて、知らず知らずのうちに健康になるものこそ、本当の健康食品といえよう。
月刊ボディビルディング1974年10月号

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