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★内外一流選手の食事作戦⑤★
ロビー・ロビンソンの食事法

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月刊ボディビルディング1979年6月号
掲載日:2018.11.27
健康体力研究所・野沢秀雄

1 気のいいロビンソン

 アメリカ滞在中に、一流有名選手を対象とした食事法アンケートを依頼したことは以前に述べたが、10人の選手のうち9人までが親切に何らかの回答を寄せてくれた。
ただ1人、待てどくらせど来なかったマイク・メンツァーも4月になって、くわしい内容を知らせてくれた。
 みなさんのご厚意に心から御礼を申し上げたい。
とりわけロビー・ロビンソンは、写真のようなサイン入りのポスターを送ってくれたほか、アンケート用紙の裏はもちろん、空白部分にみっちりとアドバイスをていねいに述べてくれている。(もちろん自筆で・・・)
そして、「7月22日にはIFBB・JAPANの招待で日本にゆく予定である。今から楽しみにしている」と書いてあった。
私もいまから彼と逢える期待でワクワクして落ち着かない。

2 サンタモニカに来て大金持ちに

 いろいろな人種が集まるアメリカでとくに西海岸は気さくで誰でも受入れる開放的な土地柄である。
 ボディビルダーがよい体を誇りに集まってくる海岸といえば、10年くらい前までは、フロリダのマイアミビーチだったが、頭の固い役人が、「マッスルビーチなどど騒がれるのは風俗が乱れてごめんこうむる」と、ビルダーたちを歓迎しなくなった。
その結果、今ではロサンゼルス郊外のサンタモニカ海岸がビルダーたちのメッカになっている。
「来て、来て、サンタモーニカ~」とナショナルクーラー“楽園”のコマーシャル(歌は桜田淳子チャン)で、今夏はたいへん有名になったサンタモニカである。
シュワルツェネガー、コロンブが住み、ゴールド・ジムやワールド・ジムなど有名ジムが散在しており、トレーニングをおこなっては、海で日光浴や海水浴ができる理想的な地形である。
アメリカ各地からビルダーたちが集まり、練習法や食事法について語りあい、友だちになってゆく。
 ロビンソンも出身は南部のフロリダで、4年前まではAAU(アメリカ体協)主催の地方コンテストで入賞していた一ビルダーにすぎなかった。
「このままフロリダにいても芽が出ない。脚光をあびている西海岸にゆかなくては」と決心してサンタモニカにやってきた。
 ワイダー氏によると「ロビンソンがゴールド・ジムにやってきたとき、ポケットには7ドル(1500円)しかなかった」そうである。
彼が労働してかせぐ給料が週にたった150ドルだったというのだからやむを得ない。
 ところが今日ではすっかり有名になったおかげで、年収200万円を起こす金持になっているという。
その主な収入源は、コンテストの賞金(アメリカでは通常のコンテストの他、ワールドカップやナイト・オブ・チャンピオン等の賞金付コンテストが各地で開かれている。それだけボディビルの人気が高いわけだ)
各地でおこなわれるコンテストのゲスト・ビルダー、映画やTVのショウ、出演料、CMやモデル、雑誌の写真などの謝礼、通信指導でトレーニング法を教えている収入など実にさまざまと言われている。
「もし彼がカリフォルニアへ来なければこんな成功はしていないだろう」とワイダー氏は述べている。

3 ロビンソンの輝かしい成果

 IFBBに加盟する以前の彼は、ロバート・ロビンソンという正式名でコンテストに出場しており、「体は細いが二頭筋のピークがすごい」と話題になっていた。
当時「ヘルス&ストレングス」詩に写真がのせられたり、湖のそばでポージングの8ミリフィルムをとったりで、南部の人たちからは注目されていた。
 しかし彼の名声を決定的にしたのは1975年IFBBミスター・ワールドおよびミスター・ユニバースの両コンテストのミディアムクラスに優勝して、タイトルをとったときからである。
 以来コンテストに出場して大きなタイトルを得て、残るはミスター・オリンピアのみ。
昨年、一昨年とゼーンに破れているが、私などの目からみれば「ロビンソンの筋肉のすごさ」に軍配があがり、「白人に比べて黒人は差別されているのか、気の毒だなあ」と感じるほどである。
今年ことは念願のオリンピアを得てほしい。
 ちなみに彼のサイズは次の通りだ。
ウエストの数字と大腿囲の数字がほぼ等しく、胸囲が腹囲のほぼ2倍となっている。超人的な努力のたまものだ。
記事画像1
 この表でわかるように、腹囲が約70cmだから、全身には脂肪がほとんどなく、すべて筋肉で約100kgの体重になっていることがわかる。
筋肉充実度(標準体重に対する現在の体重の比率)はプラス56%で、コロンブよりさらに筋肉の発達度がすごいことがわかる。
 彼のトレーニング法については以前に松山令子さんが本誌に紹介しているので(77年1月号)、今回は食事法について早速本論に入ってゆこう。
記事画像2

4 食事法の秘密

 ロビンソンの食事法については断片的に外国雑誌や「3 MORE REPS」という豪華本に述べられている。
彼自身も「どんな食事をとっているか?」と良く尋ねられるようだ。
 今回は彼のアンケートの形式そのままを次表に示すことにする。直接の返事だから生きた参考になるだろう。
 食事分析をすると、ふつう時のカロリーは1926、たんぱく質は224g(体重1kg当り2.2g)で、コンテスト前は733カロリー、たんぱく質108g(体重1kg当り1.1g)となる。
「彼の体格と練習量にしては食事量が少ない」とかねてから評判になっていたが、実際に彼の食事はふつうの何もしない人とあまり変らない。いやむしろ少ないくらいだ。
「僕の細い女房でさえ、僕より食べている」と彼自身が語っている。
 コンテスト前には、汗だくの激しい練習をするのに、食事はふだんより少ないのだから、彼の脂肪は燃焼しつくされ、70cmという細いウエストラインも当然のことになってくる。
 このことについて彼は補足的にこう述べている。
「食べる量が少ないのにこんなに筋肉が発達し、しかもあれだけ激しい練習をするのは不思議だ、とよくいわれる。だが私は17年間かかって、この食事法とトレーニング法を研究して私自身にベストの体調をつくることに成功している。肉体的にも精神的にも健康そのものである」
 ———考えてみれば、食べすぎで体が発達しない人が多い反面、一部の人たちは過剰に食べすぎて、ムダやムリをしていることがある。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」という諺があるが、過剰の害をいましめる意味で、ロビンソンのこの食事法はたいへん価値がある。
 多くも少なくもなく、ちょうど適度に食べることが重要なことである。
記事画像3

♢ロビンソン自身の食事法♢

記事画像4

5 日本のビルダーにすすめる食事法

 ロビンソンへのアンケートの後半は日本のビルダーにどんな食事法がよいかという質問を試みたものである。
 仮定として体重55kgの初心者の場合と、体重72kgのコンテストに出場できるくらいのビルダーの2通りを考えて下表の形式で答えを書いてもらった。
記事画像5

〈考察〉

①自分はあまり食べないが、他の人たちには「しっかり食べなさい」とすすめている点が興味深い。
自分自身の体はすでに完成されており、栄養所要量も少食ですむようにバランスがとれているが、これからトレーニングをして体を発達させようとする人は、この位は食べるほうがいいと彼自身も考えているようだ。
②「1ポンドの牛肉」というとずいぶん多いようだが、アメリカではこのくらいは当たり前で、値段もそんなに高くない。
日本でこれだけのステーキを毎食ごとに食べるとなると、経済的にも胃腸の消化力としてもたいへんである。
③プロティンドリンクを飲むことを彼はすすめているが、ジュースに混ぜるよりも牛乳と共に飲むほうが栄養価は高くなる。
④計算してみると、たんぱく質は体重1キロ当り3g以上になり、これではオーバーになってしまう。もう少し減らしてもよいと思われる。
⑤野菜サラダや果物を多くとるようになっているが、望ましいことといえよう。
⑥花粉は、粒状にまるくした製品で、日本でも健康食品や自然食品の店で売られている。
ただし、アメリカの場合、プロティンにビタミンやミネラルが配合されている製品が少ないので、必然的にこのような製品や、ビタミン剤などを買わなくてはならないが、日本の場合はプロティンの中に配合されて発売されているものを買えば、他はあまり必要はないと思われる。
⑦ロビンソンは次のことを述べて、食べすぎをいましめている。
「1日の最後の食事、つまり夕食はなるべく少ないほうがいい。食べすぎると体の組成が脂肪質になってしまう」と。
なるほど朝食が充実していて夕食は軽い。日本人はしばしば逆になり、「朝食ぬきで学校や会社に行く」という本末転倒のケースがしばしば見られる。この忠告をよく頭に入れておこう。

———というわけで、ロビンソンの食事に対する考え方が明確になったことは喜ばしい。
「日本のボディビルダーのみなさんが少しでもポイントを理解して、良い点をとり入れてほしい」と念願して、快よくアドバイスしてくれたことを感謝せずにはいられない。
「熱烈歓迎ロビンソン!」「ようこそ日本へ」と歓待したいものだ。
 なお彼に質問するときは「何キロ」「何cm」「何グラム」といった数字はピンと来ないので、「ポンド」「インチ」「オンス」などの単位を頭に入れて尋ねるのがいい。
写真をとるときも「プロ」なので、とっていいかをきいてからカメラに収まってもらうと気持ちがいい。
 正月にゴールドジムを訪れたYMCAの熊谷さんの経験では、「彼はプロだから写真もきびしいよ」とコーチをしているケント・キューンに忠告されたという。
それほど気を使っているわけだ。「ビジネス」と「友情」、この2つの使いわけが、アメリカの人たちと付き合うときの基本になりそうである。
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月刊ボディビルディング1979年6月号

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