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なんでもQ&A お答えします 1979年12月号

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月刊ボディビルディング1979年12月号
掲載日:2018.09.26

他の部位に比較して大胸筋の発達が思わしくないが

Q ボディビルを始めてから2年ほどになります。比較的まじめにトレーニングをしてきたかいもあって、全身的にサイズの伸びはまあまあといったところです。しかし大胸筋の発達がいまひとつ納得いきません。

というのは、胸囲は2年間で12cm大きくなったのですが、大胸筋のバルクが思うようにつきません。大胸筋のためのトレーニングとして、4ヵ月ほど前から下記の運動を行なっていますが、これといった効果が見られません。

自分ではいろいろ検討した上で、現在のトレーニング法を行うようにしたつもりですが、良い結果が得られなかったということは、やはりトレーニングのやり方に不備な点があるのでしょうか。それとも,私自身にビルダーとしての素質がないからでしょうか。お手数とは思いますが、そのことについてのご意見をお聞かせ願いたいと思います。

◇現在の大胸筋のためのトレーニング・ルーティーン

①ベンチ・プレス
70~65kg 6~7回×3セット

②ラタラル・レイズ・ライイング
12.5kg 8~10回×3セット

③ダンベル・ベンチ・プレス
22.5kg 7~8回×3セット

④インクライン・プレス
45~40kg 6~7回×3セット

⑤パラレル・バー・ディップス
重量無使用 8~10回×3セット

以上のとおりですが、ベンチ・プレスとラタラル・レイズ・ライイングはスーパー・セットで行なっています。また、現在、2分割法を採用しているので、大胸筋のトレーニングは週に2回、月曜日と木曜日に行うようにしています。

だいたいにおいて、トレーニング中に大胸筋はかなりパンプ・アップします。しかし、思うようにパンプ・アップしないときは、セット数を増やすようにしています。なお、トレーニング中、およびトレーニング後の疲労感はかなり強く感じます。

<現在の体位>
身長 163cm  上腕囲 34cm
体重  57kg  腹 囲 69cm
胸囲 103cm  大腿囲 53cm
(埼玉県 林 三男 会社員 23歳)
A 一生懸命トレーニングすることは、ボディビルダーの心がまえとしてもちろん大切なことです。しかし、ボディビルというものは、まじめにトレーニングに励みさえすれば必ず効果が得られると限ったものではありません。

いかに吟味に吟味を重ねたトレーニング・スケジュールであっても、全く効果が得られないということもあります。いい方を変えれば、そのような意に反した結果に往々にして落ち入るところにボディビルの難しさがあるともいえます。あなたも、いま心ならずもそういったボディビルの難しさを身をもって体験したわけでしょうが、だからといって必要以上に深刻に考えることもないと思います。

一流のビルダーといわれる人たちでも、ほとんど例外なく、あなたと同じようなスランプを何回となく体験してきたわけです。したがって、スランプだからといって、端的に素質の有無に結びつけて考える必要もないと思います。要は、あくまでも冷静な態度でスランプを脱するための案を練ることが大切です。

では、トレーニングに関して意見を述べさせていただくことにします。

◇トレーニング量が多すぎはしないか

あなたの大胸筋のためのトレーニング・ルーティーンを拝見して、まず感じたことは、トレーニング量が多すぎはしないかということです。一流のビルダー、または、それに近い人の場合でしたら、あなたがいま実施しているくらいのトレーニング量はあながち多すぎるとはいえません。しかし、現在のあなたにとっては多すぎると判定する方が妥当なようです。

トレーニング量を必要以上に多くすることは、筋の消耗の度合をより激しいものにし、回復、および超回復の面での効率をときとして低下させ、かえって効果が得られなくなる場合があります。

◇運動種目が多すぎはしないか

現在の段階では、はっきりいって運動種目が多すぎるといえます。大胸筋のバルクに加えて筋そのものの形態的な完成を目指す段階では、たしかに多種目の運動によって、多角的に大胸筋をトレーニングする必要があるといえます。

しかし、あなたのように筋量自体の不足な段階では、多種目の運動によってあまり多角的なトレーニングをする必要はないと思われます。それよりかむしろ種目を少なくして、トレーニングの重点を現在以上にベンチ・プレスにしぼって行うようにするほうが、かえってよい結果が得られるのではないかと思われます。

しかし、この場合、運動種目を少なくしたからといっても、ベンチ・プレスのセット数をやたらに増やしてもよいということではないのですから、その点に注意してください。「過ぎたるは及ばざるが如し」という諺がありますが、そのことはボディビルについてもいえます。ウォーム・アップを別にして、3~5セットくらいを目安にして採用セットを定めるとよいでしょう。

そして、当分の間は、ベンチ・プレスの筋力的な向上をトレーニングの目的として行うのがよいと思います。できることなら、90~100kgくらいの重量でセットが組めるようになるまで辛抱して欲しいものです。大胸筋の形を整えるといったことは、それから考えても遅くはありません。

◇現段階で大胸筋の運動2種目をスーパー・セットで行うのは妥当か

このことは、やはり現在の段階においていえることです。ベンチ・プレスとラタラル・レイズ・ライイングといった、同じ大胸筋を使う運動をスーパー・セットとして行うことは、かなり強度な筋の消耗をもたらすので、現段階では慎む方がよいと考えられます。

現在の段階では、大胸筋に限らず、筋をいじめるといった考えは一切持たないほうがよいと思います。今の段階では、筋をことさらいじめつけるようなことをしなくても、十分に筋の発達を促していける可能性があるので、まかりまちがえばオーバー・トレーニングになるかもしれないことを、あえて行うこともないと思います。

インクライン・ベンチなしで胸の上部を発達させたいが

Q ボディビル歴6ヵ月です。胸部(とくに上部)を発達させたいのですが、インクライン・ベンチを所有しておりません。フラット・ベンチを用いて行う運動で、インクライン・プレスと同じ効果をもつ種目を教えてください。

◇現在実施している胸のためのルーティーンと他の種目(週3日)

①ベンチ・プレス
40~45kg 10回×3セット

②ラタラル・レイズ・ライイング
10kg 10回×3セット

③クロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバー
20kg 10回×3セット

④カール
25kg 10回×3セット

⑤スクワット
45kg 10回×3セット

⑥ベント・オーバー・ローイング
45kg 10回×3セット

⑦スタンディング・プレス
25kg 10回×3セット

⑧シット・アップ
反復回数不定×3セット

<現在の体位>
身長 178cm  上腕囲 33cm
体重  68kg  腹 囲 77cm
胸囲  91cm
(H・D 学生 24歳)
A 自宅でトレーニングしている人には、設備の整った専門的なジムでトレーニングを行なっている人たちにない苦労があると思います。しかし、設備の面でのハンディは当人のトレーニングに対するエ夫さえあれば、十分克服することが可能であるといえます。

インクライン・プレスとまったく同じとはいえませんが、インクライン・ベンチを用いなくても、けっこう大胸筋の上部に効果的な運動はあります。

では、そのような運動についていくつか述べることにしましょう。

◎ベンチ・プレスで大胸筋の上部に効かす方法(ベンチ・プレス・ロゥアツー・ザ・アッパー・ペクツ)

<かまえ>普通のベンチ・プレスと同様にスタンダード・グリップでバーベルを持ち、胸の上方に構える。ただし、この場合、腰背部をベンチにできるだけ密着させるようにする。そのためには、両足をベンチの上にのせて、膝を立てるようにするのもよい。

<動作>普通のベンチ・プレスの場合のように,バーベルをおろしやすい場所におろすのではなく、シャフトが大胸筋の上部(鎖骨のすぐ下)のあたりにくるように意識的にバーベルをおろして差しあげる。この際、胸部が反りすぎると効果が半減するので、先に注意したように、できるだけ背と腹をベンチに密着させた状態で動作を行うようにする。

なお、余裕のない重量で無理な運動を行うと肩を痛めるおそれがあるのでくれぐれも注意する。いくぶん軽る目の重量を用いて、ていねいな動作で行うほうが、むしろ効果的であるといえる。
[写真・1 足の方を高くして行うプッシュ・アップ]

[写真・1 足の方を高くして行うプッシュ・アップ]

[写真・2 自転車のチューブを用いて行うクロス・オーバー]

[写真・2 自転車のチューブを用いて行うクロス・オーバー]

◎足の方を高くして行うプッシュ・アップ(プッシュ・アップ・ウイズ・フィート・エレベイティッド)

<かまえ>両足をベンチなど高い所にのせ、両手を床に付いて腕立て伏せの姿勢をとる。床に付いた両手の間隔は,胸幅よりも2~3こぶしくらい広くするのがよいようである。[写真・1参照]

<動作>大胸筋の上部のあたりに負荷が十分にかかるように留意しながら腕立て伏臥腕屈伸運動(プッシュ・アップ)を行う。傾斜が強すぎると胸よりも肩の方に負荷が多くかかるようになるので注意。なお、運動中にからだ、とくに腰をくねらさないように留意する。

◎エキスパンダーまたは自転車のチューブで行うクロス・オーバー(エキスパンダー・クロス・オーバーおよびラバー・クロス・オーバー)

<準備>エキスパンダー、または自転車のゴム・チューブの一方の端を柱などに固定する。固定する位置は胸の高さくらいがちょうどよい。[写真・2参照]

<かまえ>エキスパンダー(または自転車のゴム・チューブ)のもう一方の端を片手に握り、エキスパンダーをぴんと張るようにして、腕を真横に伸ばした姿勢をとる。この場合、エキスパンダーの固定した位置が、真横へ伸ばした腕の延長線上にくるように留意して足場を定める。

<動作>肘を伸ばしたまま、または、いくぶんまげた状態で、肘が頸の前方あたりへくるように腕をつぼめてエキスパンダーを引き伸ばす。肘がまがりすぎると効果が減少するので 注意。また、腕をつぼめたときに、肘の位置がさがりすぎると大胸筋の上部に効きにくくなるので注意する。それと、運動中に上体をねじらせないように留意する。負荷をあまり強くしないで適確な動作を行ようにするのがよい。なお、空いている方の腕も同様に動かしながら動作を行うと運動がやり易くなる。

以上が、インクライン・ベンチを用いずに行える大胸筋の上部のための運動です。その他で最も簡単な方法といえば、フラット・ベンチの脚の下に板などをかい、傾斜をつけて行なう方法です。胸廓の比較的薄い初・中級者の場合には、わずかな傾斜でもけっこう効果があります。

初心者向けの段階的トレーニング・スケジュール

Q ボディビルの経験はありません。これから始めたいと思っています。私はスポーツが苦手で、その上、人一倍気を使う性質のせいか、非常にやせています。それに胃腸も弱く、油気の強いものはまったく食べられず、疲れやすい体質です。

そのようなわけで、せめて人並の体にしたいと思うのですが、私のような者でもボディビルを行えば少しは見られるような体になるでしょうか。

現在の体位は下記のとおりですが、ボディビルを始めるとすれば、私の場合、最初はどのような内容のトレーニングを行なったらよいでしょうか。よろしくアドバイスをお願いします。

<現在の体位>
身 長 185cm  上腕囲 28cm
体 重  58kg  腹 囲 68cm
胸 囲  79cm  大腿囲 50cm
(三重県 T・N 23歳)
A ボディビルというものは地道に続けさえすれば、必ずそれなりの効果をもたらすものです。したがって、あなたの場合でも、初めから多くを望むのは無理とはいうものの、正しいトレーニングを行なっていくうちに、必ずや体力的にも、また体格的にもそれなりの成果が得られるはずです。要はやる気と根気の問題です。途中でやめてしまうことのないよう頑張ってください。

では、初心者向けのトレーニング法について、第1段階から第4段階に分けて具体的に説明します。

ボディビルというものは、実施者の身体的な個別性を重視し、負担にならない範囲でトレーニングを行うようにすることが大切です。

体位表から判断すると、あなたは非常に貧弱な体格をしておられるようです。したがって、あなたは体力的にもかなり虚弱であろうと推測されるのでいわゆる一般的な初心者のためのトレーニング法を初めから行うのはいささか無理があろうと考えられます。たとえ、初歩的な内容とはいえ、体力的に過度と思われるトレーニングを行うことは、効果の面でかえってマイナスになります。虚弱な体質の人の場合にはとりわけその点に留意してトレーニングを行うことが大切です。それでは、あなたのためのトレーニング法について具体的に述べることにします。

◇第1段階(開始時)におけるトレーニング・スケジュール

(2~3日おき、週2日のペース)

①シット・アップ 
正確に行える回数×1セット

②スクワット
10~12.5kg 10回×1セット

③ベンチ・プレス
10kg 10回×1セット

[注]上記の使用重量は推定重量であるからして、適切な重量を自分自身で再検討すること。使用重量は、所定の回数(10回)を正しいフォームで行い、なおかつ、もう2~3回あげられるくらいの余裕が感じられる重量が適切と思われる。

◇第2段階のトレーニング・スケジュール

第1段階のトレーニングで、体力的に練習量を増やしてもよいだけの余裕が感じられるようになったら、各種目とも2セットずつ行うようにする。ただし、その場合、3種目同時にセット数を増やさないで、1種目ずつ日を追い無理のない日程で増やすようにする。

なお、この段階では、筋力的に余裕が感じられるようになったら、使用重量を無理のない程度に少し(2.5kg)ずつ増加してゆくように心がける。ただし、増量する際には、翌日に疲労が残らないかどうかを十分に配慮する。

◇第3段階のトレーニング・スケジュール

第2段階のトレーニングにおいて、さらに体力的な余裕が感じられるようになったら、スタンディング・プレスを新たに加えて、合計4種目の運動を行うようにする。
(2~3日おき、週2日のペース)

①シット・アップ
正確に行える回数×2セット

②スクワット
10回×2セット

③ベンチ・プレス
10回×2セット

④スタンディング・プレス
10回×2セット

◇第4段階のトレーニング・スケジュール

第1段階から第3段階までのトレーニングにおいて、ある程度の体力的な自信を獲得したならば、時期を見はからって隔日的、週3日のトレーニング・スケジュールを採用するようにするとよい。その場合は第3段階におけるトレーニングと同じ内容のものを、そのまま週3日行うようにすればよい。

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以上、トレーニング法を段階的に述べましたが、あなたのように体力が虚弱だと思われる人の場合、ここまでの段階がいわゆる普通人としての体力を養成するための期間であるといえます。したがって、上述したトレーニング法によって普通人としての平均的な体力を養成したならば、その時点で初めて一般的な初級トレーニングを行うようにしたらよいと思います。

なお、トレーニングを続けていく上で注意しなければならないことは、いかなる場合においても、トレーニングの内容(強度、または量)を体力的にいくぶん余裕を持って行える範囲で漸増するようにするということです。ボディビルのような性質の運動は、トレーニング内容をハードにしさえすれば効果が得られるといったものではありません。体力的に負担になるようなトレーニングは、効果の面で、かえってマイナスになることをくれぐれも自覚してください。
[回答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内 威先生]
月刊ボディビルディング1979年12月号

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