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“審査方法の改正と優勝の行方”
第25回ミスター日本コンテストの見どころ

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月刊ボディビルディング1979年12月号
掲載日:2018.09.15
日本ボディビル協会常任理事
佐野 匡宣

本年度より身長別2クラス制に

 毎年初夏より初秋にかけて、とくに夏の風物詩として、日ごろ鍛えた筋肉の美しさ、逞しさを競う一連の各コンテストの掉尾を飾る第25回ミスター日本コンテストが、年もおしせまった師走、12月2日に東京・九段会館において実施される。

 “光陰、矢の如し、のとおり、大会も回を重ねること四分の一世紀にわたり、代々チャンピオンを選ぶことになる。果たしてその栄冠は誰の頭上に輝くであろうか。晴れの舞台を想像するだけで胸が高鳴る。

 そこで、全国のボディビル・ファンのために、本年度ミスター日本コンテストの見どころを述べてみたい。

 その前に、今大会から実施方法が改正されることになっているので、その要点を簡単に説明しておこう。

 まず、出場選手を身長別に2クラスに分け(クラスの名称は大会前日の理事会で正式決定する)、各クラスの決勝進出者6名を選ぶ。そして、決勝審査で各クラスそれぞれ1位~6位を決定する。

 次に、各クラス6名の決勝進出者中より改めて綜合決勝進出者6名を選び綜合決勝審査のうえ、綜合1位~6位を決定する。部分賞については、いままでどおりクラス別はない。

 以上の改正が本年2月の全国総会で決定され、その実施方法の細目については、大会実施に支障なきよう、研究検討を私が一任された。細部にわたる実施要綱は、大会前日の理事会で承認を得ることになっている。

 本年も、ロンドンにおけるNABBAユニバース・コンテストの視察・写真撮影を兼ね、約1ヵ月間、ヨーロッパの体育関係の視察旅行に出かけていたため、この間、事務局との連絡不充分にて、本誌10月号に発表されたコンテスト要項は従来どおりのもので、今年度からはいま述べたような方法で実施されることになる。

 この点、本誌面をかりて、ファン各位、ならびに大会関係者、選手諸君のご了解をお願いしておく。

 昨年の第24回大会では、上位入賞者中より身長別に2人の優勝者を選出することに急拠決定したため、ショートマンが知名選手、トールマンがあまり長身でない宮畑選手(165cm)の優勝

 という結果になり、なんらかの矛盾を感じた方々もあったと思う。

 しかし、本年は、前述のように最初から身長別2クラスに分けて審査決定し、綜合審査は2クラスの決勝進出者6名ずつ、計12名の中からさらに6名を選び、綜合決勝審査を実施するので矛盾は感じなくなり、身長別の一線を画することが出来ると考えている。

 では、実際に2クラスに区分する場合、何cmのところで区分するかの研究検討を一任されているので、その案を参考のために記しておく。これは、大会前日の理事会で承認手続を終えるまでは、あくまでも私の試案である。もし、よりよき方法なり、考えがあれば至急ご連絡いただきたい。実施する以上、できるだけ多くの賛同を得、妥当なものとしたいと考えている。

 一応、私の試案としては166~167cmを境として区分するのがよいのではないかと考えている。その根拠としては、過去6回(第19回から昨年の第24回まで)の大会の全出場選手の身長から算出したものである。[表1参照][表1]でわかるように166~167cmで2分した場合、出場人員の折半とはいかなくても、その差はごく僅かで過去
[表1]過去6回のミスター日本コンテストにおける身長区分

[表1]過去6回のミスター日本コンテストにおける身長区分

 6回の平均をみるとほとんど半々となる。また、歴代ミスター日本優勝者24名の平均身長は169cmで、その内、166cm以下の者が7名、167cm以上が17名となっている。

 以上のような統計的資料から、166cm以下、167cm以上という身長別区分で実施するよう、理事会の了解を得るつもりである。また,クラスの名称もNABBA等の国際的な関係を考え、たんにショートマン・クラス、トールマン・クラスとするのではなく、クラス3,クラス2というような、異和感を感じないようなものにしたいと考えている。

 以上のように、本大会より実施要項がクラス別と綜合になるため、楽しみもまた多くなった。すなわち、3つの見どころが出来、綜合の部がより分りやすく判定されるようになったことである。

 我がミスター日本コンテストも今大会で25回を迎える。これは世界でもNABBAのミスター・ユニバースにつぐもので、長い歴史と伝統、大会の規模、出場選手のレベル等、大いに誇ってよい大会だと思う。

 少し余談めくが、歴史を誇っているNABBAユニバース・コンテストにおいても、実施要項、舞台照明、司会進行、表彰方法などについて、年々いくらかずつ改良が加えられている。とくに,照明、司会進行に配慮が行なわれていた。これは、選手を同一条件にして、審査員に変な先入観をいだかせないよう苦心のあとが感じられた。

 一昨年、昨年、今年と、私が直接自分の目で見たのは3回であるが、実に細かいところではあるが、その実施にあたって改良されている。どれだけの人がそのことに気づいているか分からないが、私自身このことは肌で感じてきた。

 大会終了後、日を改めてオスカー会長を彼のオフィスに訪問して、親しく話し合ったが、オスカー会長は「コンテストに関して、いろいろな提案や意見を聞くが、私自身としては、常にコンテストをできるだけスポーツとして実施するよう心掛け、努力しており、今後もこの信念だけは変えるつもりはない」と、69才とは思えない情熱をこめて強調していた。私も全く同感で、意気投合して大いに話がはずんだ。

第25回大会の見どころ

 以上に述べたような意味も含め、本年7月22日、沖縄市で行なわれたユニバース選抜大会や、9月30日のミスター・アポロ等、一連の大会の反省をも含めて、こんどの大会を展望してみることにしよう。
  
 ユニバース選抜大会では、知名、朝生、長宗、宮畑の4選手ともによく健斗、非常に伯仲した内容で、ほとんど差はなく、実に見ごたえがあった。ただ惜しいことには、舞台照明、大会運営に少し難があったよう思われた。

 というのは、舞台における選手のポーズ位置の前後が、はなはだしい陰影をつくり、それが微妙に選手の肌の焼き込み具合と重なり私自身、非常に審査しずらくて苦労した。出来るだけ出場選手に有利・不利なく、気持よく力一杯勝負のできるような施設環境づくりが大切である。

 これは、屋外ステージにおける場合の逆光位置や、やや後方のトップ・ライト気味になる強い日ざし、また、日よけすだれの強い縞模様の陰影のため、非常に審査しにくく感ずることがあるのと同様、舞台照明においてもトップライトによる照明だけのときは、とくに主催者側で選手のポーズ位置については注意を払ってもらいたい。

 アポロ・コンテストでは、毎年、私が厳しく指導してきた地元だけに、変な影をかもし出すことなく、審査しやすい照明で、その点、各選手とも充分健斗できたことと思う。ただ司会進行にいささか難があったように思う。

 司会は、あくまでも試合進行をつかさどる脇役であって、常に控え目で目立たないように心掛けてほしい。この点、ファンの皆さんも“常に主役の陰にかくれて、万全の競技環境をととのえている裏方さんや脇役の努力に支えられてこそ、悔いのない生命の躍動、厳しい勝負に挑むスポーツの良さ、すがすがしさが反映して、そこに初めて感動するドラマが生まれてくる”ことを改めて認識していただきたい。

 今大会は例年より遅い12月2日開催となったため、一連の都道府県コンテスト、実業団コンテスト終了後、一番短期間でも約50日(10月10日、実業団大会)、早いコンテストからでは約6ヵ月(6月3日、ミスター西日本)とかなり長期間をおいての大会なので、たんに、その当時の状態だけで予想することは難しく、選手にとっても、最良の調子をいかに大会に合わせるかに苦心したことであろう。

 その反面、各大会における状態・調整等を反省検討し、改めて欠点をある程度補強し備えるだけの期間が充分あったはずである。これも各人それぞれの考え方で、どのようにプラスになったかマイナスになったかの分れ目であることだけは間違いない。

 過去何回か、本誌に書いた私のコンテスト予想における各選手に関する文章が、何かと物議をかもし、問題とされていたようであるが、各選手には、それぞれの大会時に気のついた点をズケズケと注意し、アドバイスしているので、その後選手諸君も、欠点の矯正、調整に努力し、いよいよ12月の本大会を目指して最後の仕上げに万全を期していることであろう。

 コンテストの審査にあたっては、過去のイメージにとらわれることなく、今までの心象的主観等はきれいに捨て去り、大会当日における選手の優劣をできるだけ正確につかまなければならない。

 このことは、ボディ・コンテストが他の競技とはその性質を異にし、時間や距離、重量等によってはっきり勝敗のつくものではないだけに、私の協会での分担業務とも考え合せ、事前の選手評は差し控え、①優勝をかけて激突が予想される選手たち、②上位入賞を目指す選手たち、③期待される新人選手たち、の3項目に分け、選手名を列記するような形で述べていく。
[朝生照雄選手]

[朝生照雄選手]

[長宗五十夫選手]

[長宗五十夫選手]

[宮畑豊選手]

[宮畑豊選手]

[金城正秀選手]

[金城正秀選手]

[野崎清重選手]

[野崎清重選手]

[石神日出喜選手]

[石神日出喜選手]

[知名定勝選手]

[知名定勝選手]

①優勝をかけて激突が予想される選手たち

 ユニバース選抜大会では幸運の女神が微笑み、NABBAの本番では調整不足で6位にとどまったが、ここ1年の成長が著しい朝生照雄選手。

 ユニバース選抜大会では不運をかこち、ミスター・アポロには昨年ミスター日本2位のため出場できず、雌伏のホゾをかみ雪辱に燃える長宗五十夫種手。

 ゲスト・ポーズと試合ポーズとのケジメをミスター・アポロで見せ、ポージングの迫力に磨きをかけているベテラン宮畑豊選手。

 ミスター・アポロに初めて出場、そのポーズにいかなる工夫を加味し、迫力を増して本番の檜舞台に登場してくるか楽しみな沖縄の金城正秀選手。

 北陸の雄、糸崎大三選手も本大会を目指して研鑽の由、持ちまえのバルクに、いかにデフィニションをつけるかが勝負のカギであろう。また、ユニバース選抜大会には出場しなかったが、虎視耽耽、本大会にかけているであろう富山の野崎清重選手。

 もし、兵庫の、否、我が国ショートマン・クラスの代表ともいうべきベテラン石神日出喜選手が、悲願優勝を狙っての出場ともなれば、優勝の行方は予断を許さず、激戦、接戦の火花を散らすことであろう。

 さらに、奥田孝美、知名定勝の両チャンピオンの出場でも加われば、大会はいよいよもりあがり、興味津々、ボディビル・ファンを大いにわかしてくれるだろう。

 以上にあげた選手たちが、第25代ミスター日本の栄冠をかけて激突すると思われるが、大会当日の調子如何、ポージングの迫力如何によって、誰が優勝しようとも、ごく僅少差で、審査員泣かせの接戦を展開してくれると信じている。

②入賞を目指す選手たち

 上記9選手を追って決戦を挑み、充分入賞を狙える実力を持っていると思われる選手たちである。

 北海道の石黒、福島の奥瀬、群馬の福島、東京の上原、神奈川の三田村・深谷、静岡の鈴木、大阪の粟井・塚本・松原、兵庫の東海林、福岡の村本、広島の松村、沖縄の金城正勝、実業団の古豪、梅村・寺川・香月、等々の選手たちが激しい接戦を演ずることであろう。

③期待される新人選手たち

 愛知の広田、神奈川の白坂、三重の白川、北海道の門脇らの選手が、上記選手たちにどのような挑戦をするか,今後の世代交替を目指しての奮斗も楽しみの1つである。

 以上の選手の他にも、優秀な選手やダークホースとして活躍してくれる選手たちもまだたくさんいることと思うが、一応、私のメモの中で出場が予想される選手をひもといてみた。

 ミスター日本コンテストの予想としては不充分であり、余談めいたことが多かったと思うが、一応、本大会の実施要項の改正による見どころを私なりに記したつもりである。

 最後に、今大会のゲストとして1977年から3年連続NABBAユニバースで優勝した、イギリスのバーティル・フォックスを招くことが決定したことをつけ加えておく。
月刊ボディビルディング1979年12月号

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