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なんでもQ&Aお答えします 1980年1月号

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月刊ボディビルディング1980年1月号
掲載日:2019.07.09

フロント・プレスによる腰痛、パンプ・アップ、休息時間について

Q.ボディビルを始めて6ヵ月の19歳の会社員です。ベンチとバーベル、ダンベルを購入して自宅でトレーニングしていますが、2~3気になることがあるのでお尋ねします。

1.プロント・プレスによる腰痛
フロント・プレス(スタンディング・プレス)で、バーベルを差し上げるのがつらくなってくると、つい体が反り、弓形になってしまいます。そのために、腰に負担がかかり、しばしば、腰に痛みを感じることがあります。このような場合、ウェイトを減らして行うべきでしょうか。それとも、ウイニング・ベルトを締めて運動を行うようにすれば問題は解決するでしょうか。

2.パンプ・アップについて
僕は、パンプ・アップするのは腕と脚が少々だけですが、筋肉を発達させるにはどこの部分も十分にパンプ・アップするまでトレーニングしなければならないものでしょうか。また、パンプ・アップしても、さらにトレーニングを続ける必要があるでしょうか。

3.休息時間について
セット間の休息時間はできるだけ短く(1分以内に)していますが、種目と種目の間はどの程度休むようにすればよいでしょうか。

なお、参考までに書きそえておきますが、現在のトレーニング・スケジュールと体位は次のとおりです。

〈トレーニング・スケジュール〉
隔日的、週3日。
記事画像1
なお、トレーニング後の疲労感はかなり疲れる感じです。

〈体位〉
記事画像2
(東京都 鎌田吉行 会社員 19歳)
A.ボディビルを始めて行う場合ジムなどでコーチの手ほどきを受けて開始する場合は問題ありませんが、自分で1人でやる場合は、まず、絶対に無理をしないこと、そして、決して効果をあせらず、慎重の上にも慎重を期して実施することです。ではご質問の3つの問題についてお答えします。

1.フロント・プレスによる腰痛

フロント・プレスで、腰に不当な負担がかかるのは、運動のフォームが悪いせいであると思われます。

フロント・プレスは、バーベルを挙上したときに、ウェイトが腰椎より後ろにかかるようになると、腰に不当な負担がかかるようになります。したがって、その点に留意して運動を行うようにすれば、腰に不当な負担がかからなくなるものと思います。途中からフォームがくずれてしまうことのないよう、いくぶん余裕の感じられる重量を用いて運動を行うことをおすすめします。〔写真参照〕
〔フロント・プレス〕

〔フロント・プレス〕

ウイニング・ベルトは腰を保護するのに役立ちます。しかし、運動のフォーム自体に原因があって、腰に不当な負担がかかる場合には、ウイニング・ベルトを使用したからといって、問題は根本的に解決しません。そのような場合には、まず、フォームを正すことが先決であるといえます。

2.パンプ・アップについて

あなたの質問に直接的にお答えすることをひかえて、パンプ・アップに関してのトレーニング上の問題について述べることにします。

パンプ・アップの現象と、筋の発達との関係については、今のところはっきりと解明されていません。外国の一流ビルダーの中でも、パンプ・アップが筋の発達にどのような影響を有するかについてはいろいろな見解があります。

「パンプ・アップさせることは、筋の発達に有効である」という意見を持つ人もいれば、その反対に、「筋を必要以上にパンプ・アップさせることは、筋の発達を促すのにかえってマイナスである」という考えを持つ人も中にはいます。また、「パンプ・アップは筋の発達に余り関係がない」と考えている人もいます。

このように、外国の一流ビルダーにしても見解がまちまちなので、パンプ・アップが筋の発達に有効であるかないかについては、ボディビルの実施者各自が自分の実感と体験を素にして判断するしかないと思います。とはいうものの、初・中級者の場合、筋をパンプ・アップさせることに余りこだわると、知らず知らずのうちに、運動のセット数が多くなり、トレーニングの内容が量的に過度なものになるので、その点について留意しなければなりません。

できることなら、ビルダーとしての修練が未熟な初・中級者の段階では、筋を必要以上にパンプ・アップさせることにこだわらずに、定められたセット数以上は行わないことを忠実に守って、トレーニングするのがよいと思います。

また、パンプ・アップさせるためとはいえ、トレーニングの内容が量的に過度なものになる場合は、定められた休養時間内での超回復が不十分になるとも考えられるので、この点にくれぐれも注意してください。

3.休息時間について

セット間の休息時間については、あまり深く考えることもないでしょう。

セット間のインターバルにしても、また、種目間のインターバルにしても常に一定であるとは限りません。

また、強いて一定にする必要もありません。

ボディビルの運動というものは、運動の種類によって筋の疲労の度合いがちがえば、また、呼吸疲労の度合もちがいます。それに、同じ運動種目であっても、その日の体調によって、あるいは、1セットにおける反復回数の多少によって、筋疲労の度合と呼吸疲労の度合がちがってきます。

そのようなわけで、セット間にしても、また、種目間にしても、ほどよい休息時間というものは、トレーニング中の実際的な状態に合わせ、最終的には各人の判断において定める必要があるといえます。事実、多くの人の場合意識的に、また無意識的にせよ、各自の感覚と判断で、時間的にほどよいインターバルを置いているように見受けられます。ただし、時間的にほどよい休息をとることについては、次のことがらに留意してください。

a)一時的な筋疲労と呼吸疲労が治まり、運動を行う意欲が高まり、その時の状態なりに十分に運動の能力が発揮できそうな感じがしてくるまで休む。

b)ただし、休みすぎて筋が冷えてしまうことのないように留意する。

c)また、たとえ、からだが冷えてしまうことがなくても、必要以上に休息を長くとると、気持がだれ、運動に対する意欲が減退することもあるので注意する。

d)からだが冷えやすい冬期においては休息中にからだがひえてしまうことのないように、ウェアの着用によって保温に留意する。

e)がいして、ほどよい休息の時間とはトレーニングの流れの中で、生理的に、かつ、精神的に少なからず充実した状態で運動を行うに必要な時間であるということがいえる。

初心者の適切なトレーニング量は?

Q.ボディビル歴3か月、トレーニングを始めてから間がないので、分らないことがたくさんあります。その中でも、適正なトレーニングの頻度と量(強度)がわかりません。早く効果を得ようと、現在は多めにトレーニングしており、終ったあとはクタクタになるくらいです。

初心者として、最もうまく効果を得るためには、トレーニングの頻度と量をどのようにしたらよいかお教えください。
(山梨県 T・Y 学生 17歳)
A.ボディビルの場合、トレーニングの効果というものは、トレーニングで消耗した筋が、休養によって回復した後に、超回復というかたちで得られます。したがってより順調に筋の発達を促していくには消耗→回復→超回復といった効果を得るための経過が、適切、かつ、順調になされるように配慮して、スケジュールを立てるようにしなければなりません。

つまり、トレーニングの量および強度と休養時間が相関的な関係にあることを認識した上で、トレーニング・スケジュールを作るようにしなければなりません。そして、一般的には、初・中級者の場合、消耗(運動)→回復(休養)→超回復(継続した休養)の経過が2~4日くらいの単位で繰り返されるように、スケジュールを立てるのがよいといわれています。

このことをいいかえれば、初・中級者の場合には、隔日的・週3回、あるいは、2~3日置き・週2回程度のペースでトレーニングを行うのが最も妥当であるということになります。

(注:分割法を採用する場合には、分割した各コースを、コース別に上記のペースに当てはめる)

そこで、あなたの質問にお答えします。

あなたが質問とされているような、常に限界の重量を用いて激しいトレーニングを行う場合には、筋が過度に消耗するので、だいたいにおいて、トレーニングによる疲労が正常疲労の域を超えてしまいます。したがって、上述したペースのスケジュールでは、消耗したからだが休養時間内に超回復しにくくなります。休養時間内に超回復が得られなければ、そのトレーニング・スケジュールは不適当ということになり、結果的には、激しいトレーニングを行ったにもかかわらず効果が上がらない、ということになります。

ただし、休養期間を長くするためにたとえば、5日に1度とか、6日に1度のペースでトレーニングを行うようにする場合には、それなりに超回復を得られないこともありません。しかしそのような場合は、当然、1日あたりのトレーニング量が多くなるので、翌日、あるいは翌々日に、かなりの疲労が残ると考えられ、仕事や学業などの日常生活に支障を来たすという意味から不向といえましょう。

したがって、少しでも効率よくトレーニングの効果をあげようとするならば、運動で消耗したからだが定められた休養時間内で速やかに回復し、さらに、十分に超回復がなされるようであろうと考えられる範囲に、トレーニングの強度と量をとどめるようにすることが必要であるといえます。ただ、むやみやたらに激しいトレーニングを行なったからといって、効果が得られるものではありません。それどころか、オーバーワークにでもなれば超回復はおろか、回復さえままにならなくなるのでかえって筋が細化し、筋力が低下することにもなります。

初心者用のトレーニング・スケジュール

Q.下記のトレーニング計画にもとづいてボディビルを実行していくつもりでしたが、初めてトレーニングをした翌日から発熱して4日間ほど寝込んでしまいました。現在は体調も回復しましたので、再びトレーニングをはじめたいと思いますが、このままのスケジュールでさしつかえないものでしょうか。
<トレーニング・スケジュール>

<トレーニング・スケジュール>

以上のコースを週3日ないし4日実施する予定です。なお、現在の体位は下記のとおりです。
<体位>

<体位>

(千葉県 上井敏夫 学生 19歳)
A.運動をあまり行ったことのない人や、体力の弱い人が急激にボディビルを行うと、発熱することがよくあります。したがって、運動をあまり行ったことのない人や、体力の弱い人がボディビルを始める場合、運動が激しすぎることのないよう重々留意してトレーニングを行う必要があります。そのためには、トレーニングを行なう目的にしても、初めのうちはできるだけ体位向上や筋力の強化といったことにこだわらずに、まず運動にからだを慣れさすことを念頭に置いてトレーニングを行なうようにしてください。

あなたの場合、こういってはなんですが、体位表から判断するかぎり、水準以下の体力であろうと思われます。したがって、いわゆる一般的な初級者のトレーニング・スケジュールをそのまま最初から実行するのには、少なからず無理があるかと思われます。同じ誤ちをくり返さないためには、この次に始めるときは、前のときよりも運動の量と強度を軽減してトレーニングを行なうようにするのがよいといえます。

では、現在のあなたの体位から推測して適切と思われる開始時のトレーニング・スケジュールについて記述しておきますので参考にしてください。
<トレーニング・スケジュール>

<トレーニング・スケジュール>

開始当初は上記のトレーニング内容で十分かと思います。そして、今後、運動にからだが慣れ、体力が増してゆくのに合せ、トレーニングの内容を無理のない範囲で漸増的に充実させてゆくようにします。その具体的な方法については、先月号のQ&Aの欄で述べたことがらが参考になると思いますので、それを読まれることをおすすめします。(注:所有されていない場合は当社より直接取りよせられるとよいでしょう)

大腿部のつけねの部分に有効な運動は?

Q.ボディビル歴は4年です。昨年、地方コンテストに出場したところ、ある審査員の方に大腿部のつけ根の部分が弱いことを指摘されました。以後、自分でも非常に気にしています。大腿部のサイズは58cmで、167cmの身長からして細くはないと思うのですが、ビルダー・パンツをはくと脚のつけ根の部分が見えるために、スカスカした感じになります。

そこで、大腿部のつけ根に有効な運動をいくつか紹介していただきたいと思います。
(神奈川県 H・T 24歳)
A.脚のつけ根には、前面に腸腰筋、前面から側面に大腿筋膜張筋という筋があります。そして、これらの筋は、概して、脚を前方または側方にもちあげる運動によってその発達を促すことが可能であるといえます。

◎フロント・キック
〈動作〉立った姿勢で、なるたけ膝を伸ばしたまま、片足をできるだけ高く前方へもちあげる。この際、反動は最小限に止めるようにする。
〈効果〉主に腸腰筋。

◎スタンディング・ニー・レイズ
〈かまえ〉片足にアイアン・シューズを履き、立った姿勢をとる。
〈動作〉なるたけ反動を使わないように留意して、アイアン・シューズを履いた方の脚の膝を、上体の前面へできるだけ高く引きあげる。
〈効果〉主に腸腰筋。

◎ライイング・シングル・レッグ・レイズ
〈かまえ〉床に仰臥し、片方の足にアイアン・シューズをつける。
〈動作〉アイアン・シューズを着けた方の足を、なるたけ膝を曲げないように留意してあげる。

◎サイド・キック
〈動作〉立った姿勢で、膝をなるたけ曲げないようにして、片方の足を横へできるだけ高く振りあげる。
〈効果〉主に大腿筋膜張筋。

◎サイドライイング・レッグ・レイズ
〈動作〉床に横向きに寝て、上側になった方の足を上へあげる。アイアン・シューズをつけて行うとよい。
〔写真参照〕
〈効果〉主に大腿筋膜張筋


〔ライイング・シングル・レッグ・レイズ〕

〔ライイング・シングル・レッグ・レイズ〕

〔サイドライイング・レッグ・レイズ〕

〔サイドライイング・レッグ・レイズ〕

(回答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内 威先生)
月刊ボディビルディング1980年1月号

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