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なんでもお答えします Q&A 1979年3月号

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月刊ボディビルディング1979年3月号
掲載日:2018.10.20

やせすぎを解消するトレーニング法は

Q 僕はずっとやせすぎで悩んできました。逞しいからだになりたくて、今までプッシュ・アップとシット・アップを行なってきました。しかし、それではもの足りないので、年齢的には少し早いとは思いますが、ウェイトを使った運動を始めることにしました。
そのようなわけで、一応、バーベルとベンチを購入しましたが、いざトレーニングを始めようとしても、目的にかなった適切なトレーニング法がわかりません。
トレーニングにおける僕の目的はやせすぎを解消することです。とくに、僕の場合、三角筋、前鋸筋、上腕部の内側に肉がないので、その点をとくに考慮して太るためのトレーニング法を指導していただきたいと思います。なお、現在の体位は次のとおりです。

身長 165cm
体重 50kg
胸囲 74cm
腹囲 63cm
上腕囲 26cm
前腕囲 25cm
大腿囲 45cm
(北海道 R・N 中学生 14歳)
A あなたぐらいの年齢では、卓球とかバレーボールといった全身の器用性を養成するような運動を行うのがよいのですが、ボディビルを行なって悪いということもありません。ただ14歳という年齢では体格的にも、また体力的にも成人とはちがうので、強度的、あるいは質的にいって、一般の大人のひとたちがやるようなトレーニングの仕方は避けなければなりません。そのことを念頭に置いて、無理を慎しみ、あせらずじっくりからだを鍛えていくように心がけてください。
それではトレーニング法についてお答えします。
質問の文面に、「三角筋、前鋸筋、それに上腕部の内側に肉がないので、その点を考慮して欲しい」といった趣旨のことが書き添えられていますが、初めはあまりこまかいことにこだわらないほうがよいと思います。つまり、からだが体格的にも体力的にもある程度のレベルに達するまでは、局部的に発達を意図した運動にとらわれずに、もっと広範囲にからだを使う運動を主としたトレーニングを行うのがよいということです。
では、そのような見地から、トレーニングの具体的な方法について述べることにします。

<トレーニング・スケジュール>
①シット・アップ
正しいフォームで正確に行える回数で2セット。ただし、1セットの反復回数が30~40回を越す場合は1セットにしてもよい。

②スクワット
10~12回×2セット

③ベンチ・プレス
10~12回×2セット

当分の間は上記の3種目で十分でしょう。


<使用重量の選定について>
正しいフォームで、所定の回数(10~12回)を正確な動作で行うことができる重量を種目別に選ぶ。ただし所定の回数を行うのに全力を出しきらねばならないようではよくない。所定の回数を行なって、なおかつもう2回くらいはできそうな重量を使うのがよい。


<トレーニングの週間頻度について>
当初は2~3日おきのペースで、週2回のトレーニングでよい。たとえば月曜・木曜にトレーニングを行い、火曜・水曜・金曜・土曜・日曜を休みとするようにする。
まずこのペースで実施してみて、なお体力的に余裕があれば1~2日おき週3日のペースで行うようにしてもよい。しかし、14歳という年齢から考えて、ボディビルのような運動は、なるべく週2回にして、余分の体力を、全身の器用性を促進するような他のスポーツに振り向けるのがよい。
なお、からだに疲労がたまり、オーバー・ワークの兆候が見えたら、トレーニングを中止し、5~10日間くらいの休養をとるようにする。


<使用重量の増加について>
所定の回数(頑張れば、もう2回くらい行える回数)を正しいフォームで3週間完全に行えたら、その運動の使用重量を2.5kg増量する。増量の幅を欲ばると体調をくずすことになるので注意。


<各種目の運動法>
①シット・アップ
この種目の運動法については、すでにご存じのことと思いますので省略します。

②スクワット
<かまえ>バーベルを首のうしろで両肩にかつぎ、両足を左右に開いて立つ。頸の骨にシャフトが当らないように注意する。シャフトをいくぶん背の方へずらすようにしてかつぐとよい。両足の間隔は、次の動作の項で説明するところの、しゃがんだ姿勢で最も安定のよい幅にする。
<動作>バランスを保ちながら、両脚を屈し、腰が止まる位置までしゃがむ。しゃがんだ姿勢では、背と腰が彎曲しないように胸を張り、できるだけ上体を起こす。また、両足の間隔は、踵が床から浮かないように安定のよい間隔をとる。ただし、なるべく肩幅よりも広くしないようにする。しゃがんだときに、どうしても良い姿勢がとれない場合は、踵の下に板などを敷くとよい。
しゃがんだなら、次に、上体をできるだけ前傾しないように留意して立ちあがり、構えの姿勢に戻る。
この運動は、誤ったフォームで行うと腰を痛めるおそれがあるので、無理をしないで、慎重な動作で行うことが肝要である。
<呼吸>しゃがみながら息を吸い、立ちながら少しずつ吐く。
<効果>大腿部、臀部、腰背部。

③ベンチ・プレス
<かまえ>バーベル・シャフトをオーバー・グリップで握り、ベンチに仰臥した姿勢で両腕を伸ばし、バーベルを胸の上方に構える。バーベルを持った左右のグリップ幅は肩幅よりも2~3こぶし広いくらいがよい。
<動作>いくぶんゆっくりとした動作で、バーベルを胸(乳首のあたり)へおろし、胸に軽く触れるまでおろしたなら拳上動作に移り、元の位置に戻す。バーベルをおろす位置をあまり上の方(鎖骨の方)にすると肩を痛めるおそれがあるので注意。
<呼吸>おろしながら息を吸い、差しあげながら少しずつ吐く。
<効果>胸部、肩および上腕。

三角筋を的確に刺激する運動動作

Q ボディビル歴は2年です。会社の同好会でトレーニングしています。肩の発達状態が悪いので、現在は三角筋に重点をおいたトレーニングを行なっています。
三角筋の強化種目としてフロント・プレス、バック・プレス、サイド・レイズ、スタンディング・ローの4種目の運動を行なっています。しかし、サイド・レイズとスタンディング・ローが、どうも三角筋にあまり効いていないように感じられます。反動を使わないようにして、できるだけていねいな動作で実施しているのですが、三角筋よりも僧帽筋の方に強く効いてしまいます。いったいこれはどうしてでしょうか。自分の正しい方法で運動を行なっているつもりですが、やはり運動のやり方に問題があるのでしょうか。
そこで、念のためお伺いします。サイド・レイズとスタンディング・ローで三角筋を的確に刺激するための運動動作についてご説明ください。
なお、私の体位と、上述の2種目の使用重量はつぎのとおりです。

身体 182cm
体重 76kg
胸囲 103cm
腹囲 78cm
上腕囲 34cm
前腕囲 29cm
大腿囲 55cm

サイド・レイズ 12.5kg×10回
スタンディング・ロー 45kg×10回
(東京都 佐野忠 会社員 22歳)
A 体位によって推察されるあなたの筋力からも判断すると、サイド・レイズも、また、スタンディング・ローも、ともに使用重量に無理があるように思われます。そのため運動の動作が不正確になっているのではないでしょうか。したがって後述する運動のやり方に基づいて、一応、適正な使用重量について検討してみてください。
では、運動の正しいやり方について説明します。

◎サイド・レイズ[写真参照]
<かまえ>両手にそれぞれダンベルを持ち、直立姿勢で、体側(大腿部の横)にぶらさげる。この場合、左右の手のひらがきちんと内側へ向くようにする。
―注意事項―
胸を張り、背すじを伸ばし、両肩をいくぶん後方へ引くようにして、肩甲骨を垂直な状態に位置させる。上背部を猫背のようにまるくしたりまた、両肩を前方へ寄せたりすると肩甲骨がかしぐので注意。肩甲骨がかしいだ状態で運動すると、僧帽筋が必要以上に緊張するので、三角筋に効きにくくなる。
<動作>姿勢をくずさないように留意して、両腕を伸ばしたまま、またはいくぶんまげた状態で、両腕を水平になるくらいまでダンベルを両横へあげる。この場合、両手の甲は、たえず外方向、または上へ向いているように留意する。
―注意事項―
ダンベルをあげるときに、両肩をすくめないように注意。肩をすくめると三角筋の可動範囲が抑制されるので効果が減少する。
また、運動時における腕の負担を軽減するためには、腕をまっすぐに伸ばしたまま運動を行うよりも両肘をいくぶんまげた状態で行うほうがよい。
なお、もう1つ付け加えるならばサイド・レイズで三角筋を的確に刺激するためには、ダンベルを両横へあげるときに、肩峰部をできるだけぶれさせないようにし、おおらかにかつ、伸びやかな感じで、上方というよりは両横外方向へ意識的に両腕をあげるように行うのがよい。
[サイド・レイズ]

[サイド・レイズ]

◎スタンディング・ロー[写真参照]
<かまえ>バーベルをオーバー・グリップで握り、直立姿勢で大腿部の前で構える。このときのバーベルの握り幅は肩幅よりも狭くする。
―注意事項―
胸を張り、背すじを伸ばし、いくぶん両肩を後方へ引くようにして、肩甲骨を正常な位置に保つ。上背部をまるめたり、両肩を前方(下方)へ寄せたりすると、肩甲骨が上方へ移動してかしぎ、僧帽筋が必要以上に緊張しやすい状態になり、三角筋に対する効果が減少する。
<動作>バーベル・シャフトを柔らかくつかみ、できるだけ腕に力を入れないようにして、肘を上方へ引きあげる感じで、バーベルを垂直にアゴの下まで引きあげる。
―注意事項―
バーベルを引きあげたときに、グリップが両肘よりも高くあがらないように注意する。つまり、腕とグリップになるたけ力を入れないようにして、肘でバーベルをぶらさげて引きあげるようにする。腕力によってバーベルを肘よりも高く持ちあげると、運動の比重が上背部に多くかかり、三角筋に与える効果が減少することになる。
また、バーベルをおろすときには上体の姿勢(肩甲骨の位置を正常な状態に保つための姿勢)がくずれやすいのでとくに留意する。マスキュラー・ポーズで僧帽筋を強調したときのようなフォームにならないようにくれぐれも注意する。そのようなフォームで運動を行うときは、三角筋よりも僧帽筋に与える効果が増大する。
[スタンディング・ロー]

[スタンディング・ロー]

スクワットで膝の半月板を痛めたが

Q 先日、スクワットの運動をしていて、左膝を痛めてしまいました。外科医の診察を受けたところ、「膝の半月板が傷ついている」といわれました。
トレーニングの効果が少しずつあらわれだしたときだけに、トレーニングを中断するのも残念です。なんとか、傷をなおしながら、トレーニングも併行して行なっていく方法はないものでしょうか。
(愛知県 T・K)
A 「半月板損傷」とのことですが、どの程度の損傷なのでしょうか。もしも「半月板断裂」であれば、その根本的な治療法は半月板切除ということになります。つまり断裂した半月軟骨の剥離部を摘出するか、もしくは、損傷した半月軟骨全体を切除するわけです。
しかし、膝部損傷が「半月板損傷」の疑症であれば、当然、切除といった手術は施さずに、まず半月板の保存的な処置において治療が講じられることになります。
ともあれ、このような損傷に関しては、損傷の程度を問わず、トレーナーの処置できる筋合いのものではないので今後とも医師の処置にまかすべきでしょう。ただひとつ、トレーナーの立場としていえることは、膝に疼痛をもたらすような運動は極力慎しむのがよいということです。
では、トレーニングの関する質問にお答えします。
まず、トレーニングの是否について医師の意見を聞き、その結果、膝に強度の負担をかけさえしなければよいという許しを得たならば、次のようなことがらに注意してトレーニングを行うとよいでしょう。

①患部が治癒し、医師の許しが出るまでは、スクワットやデッド・リフトのような膝に強度な負荷がかかる運動は絶対に慎む。

②ジャンプやランニングのように、強い衝撃を膝に与える運動は慎む。

③たとえ強度な負荷な用いなくとも、膝関節の屈曲位において回旋外力、および、側面から負荷が加わるような運動(または動作)は極力慎むようにする。

④場合によっては、立位による高重量を用いての運動(例えばスタンディング・プレス)を制限する。

⑤まちがっても逆療法や荒療治といった考えでトレーニングを行なわないようにする。無謀な行為は患部を悪化させるだけである。

⑥個々の運動については、医師にその内容を説明し、必ず許可を得てから実施すること。

<トレーニング・コース>(例1)
隔日的、週3日(または、2~3日おき、週2日)
①レッグ・レイズ
②ラタラル・レイズ・ライイング
③チンニング
④シーテッド・サイド・レイズ
⑤シーテッド・ダンベル・カール

<トレーニング・コース>(例2)
治癒後、初期のトレーニング・コース。隔日的、週3日。(または2~3日おき、週2日)
①レッグ・レイズ
②ベンチ・プレス
③チンニング(または、ワン・ハンド・ローイング)
④シーテッド・プレス
⑤シーテッド・ダンベル・カール
⑥レッグ・イクステンション(医師の指示のもとに行う)

<トレーニング・コース>(例3)
治癒後、第2段階のトレーニング・コース。隔日的、週3日。
①シット・アップ
②ベンチ・プレス
③ワン・ハンド・ローイング
④スタンディング・プレス
⑤バーベル・カール
⑥レッグ・イクステンション
⑦ハーフ・スクワット(注=重量無使用。慎重な動作で回数的に無理をしないように留意する。

[回答は1959年度ミスター日本、NE教会指導部長・竹内威先生]

今月のカバー・ビルダー
深沢菊三選手

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1973年IFBB全日本コンテストで上位入賞した深沢選手は、ある米人の個人的好意による生活保証の言葉に頼って、渡米してトレーニングしたいと私に相談にきた。個人の好意に頼る危険を説き、私は自力でのカリフォルニイヤ・ステート大学留学3ヶ月コースをすすめ、彼はそれを決意した。
渡米のための費用をつくるため、半年間身を粉にして働き、出発前に私を訪ねてきた彼と京都の南禅寺に参詣して、渡米後の無事と成功を祈願した。
以来3年半、一度も帰国せず、ニューヨークの東京書店に勤め、忙しい仕事をこなしながら、トレーニングもかかさない彼は’77IFBBウエスト・ヘミスフェアでライト級優勝をした。いつも”素直で誠実で温かい笑顔を”というモットーを実行して、ニューヨークのクリス・フカサワは堂々と明るく生きている。
絶えずくる手紙の中で一度も弱音を吐いたことがない。米国市民権を取るために、まだ当分帰国できない彼にとって、この写真が日本の雑誌の表紙になることは、この上なくうれしい身代り里帰りである。彼の成功を祈ること切である。
―松山令子―
月刊ボディビルディング1979年3月号

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