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★ボディビルで驚異の減量作戦★
一年間でなんと33kgの減量に成功
サンプレイ・トレーニング・センターの佐藤靖子さん

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月刊ボディビルディング1979年4月号
掲載日:2018.10.24
名城大学助教授
鈴木正之
[昭和53年9月、ミス実業団コンテストに出場したときの佐藤さん。このときの体重は53kg]

[昭和53年9月、ミス実業団コンテストに出場したときの佐藤さん。このときの体重は53kg]

[50年8月。体重98kg]

[50年8月。体重98kg]

[図1]佐藤さんの体重減量作戦

[図1]佐藤さんの体重減量作戦

いまや日本人の平均寿命は、男が75才、女が79才で、世界有数の長寿国となった。”人生わずか50年”という言葉が使われていたのも、そんなに古い話ではない。短期間にこんなに大幅に平均寿命が延びた原因は、医学の進歩と、栄養摂取の改善に負うところが大きいと考えられる。
しかし、平均寿命が延びたといっても、これはあくまでも平均であって、中には、文明がもたらす諸々の原因によって短命に終る人も少なくない。つまり、運動不足からくる太りすぎや、複雑な社会生活によるストレスなどが重なって、心肺循環器系、消化器系などの疾患を起こしやすくなった。
したがって、これからの人間生活においては、精神的にも肉体的にもバランスのとれた生活をすることが必要になってくる。とくに健康管理の面で問題になるのが三大成人病である。すなわち、脳血管の疾患(脳卒中)、悪性新生物(ガン)、心臓の疾患である。ちなみに名古屋市の統計によれば、人口200万人のうち、これらの成人病のために1日に18人が死亡している。
また、これに続く疾患としては、高血圧性疾患や肺炎、肝硬変、糖尿病など、いわゆる文明的疾患がある。中でも肥満がもたらす病気発生率は高く、アメリカの生命保険会社の統計によれば「標準体重を維持してきた人の寿命を75才とすると、標準体重より10%太った人の寿命は71才、20%増しの人は64才、30%増しでは55才しか生きられない」という。
また別の機関の研究によれば、コレステロール値が240の人は、200以下の人より3倍も心臓発作を起こしやすく、血圧が160の人は、120以下の人に比べ4倍も死亡率が高いという。つまり、体重、血圧、コレステロールの問題が健康障害をひき起こす危険度が非常に高いことを示している。このように、肥満に関する問題は、非健康的であると同時に、女性の場合はとくにプロポーションが悪くなるといったような精神的な悩みも多くなる。
多くのボディビルダーは、体脂肪をとる減量方法が上手で、昨年の5・6月号のボディビルディング誌に紹介したように、ビルダーの減量の記録を見てもらうと、なお一層これが明らかになると思う。ボディビルを愛好する人は、この技術を応用することにより、広く社会体育、健康管理の問題にも大きく貢献することができるのではないだろうか。
今回紹介する佐藤靖子さん(26才)は、女性がボディビルでこの肥満問題を立派に解消できることを証明してく
れた。
佐藤さんは、98kgの体重を減量するために、2年間努力した結果、やっと87kgまで減量することができたが、それ以上はどうしても減らず、52年8月サンプレイ・トレーニング・センターに入会した。それから1年、正しいトレーニングと食事の処方を受け、それを忠実に実行した結果、なんと1年間で33kgという、想像もできないような減量に成功したのである。
こうして佐藤さんは、昨年の全日本実業団ボディコンテスト女性の部で入賞するという美しいプロポーションの持ち主となった。ちなみに、このときの体重は53kgであった。この事実を多くの人たちに知ってもらい、肥満で悩む女性の励ましになったら、ボディビルに対する評価も高まり、もっと広い意味で活用されるものと思う。
さて、まず試しに、あなた自身の身体のバランスはどうか、[表1][表2]を見て検討していただきたい。肥満度を計るには、皮下脂肪の量からみる方法[表1参照]と、身長と体重との比率からみる方法[表2参照]の2つがあるが、両方が適正であることが望ましいのはもちろんである。
まず体脂肪の量は、上腕(二の腕)の裏側をつまんで測る。次に背中の肩甲骨の下のところを45度につまんで測る。この療法の厚さの合計が[表1]に示すように、男性で17mm、女性で35mmが良く、腹部の脂肪厚はヘソ横の厚さが男性で10mm、女性で20mmが理想とされている。
次に[表2]を見て身長と体重のバランスを検討し、両者が合格していれば理想的だが、片方だけの合格者は、体脂肪量と健康的見地から[表1]の皮下脂肪厚の判定を優先させる。
[表1]皮下脂肪厚判定基準値成人判定基準 上腕+背(ヘソ横)

[表1]皮下脂肪厚判定基準値成人判定基準 上腕+背(ヘソ横)

[表2]成人の標準体重

[表2]成人の標準体重

めでたく合格された人も”ころばぬ先のつえ”の諺のように、身体の形態が良くても、その中身が充実していなくてはならない。トレーニングでもって基礎体力を養成し、元気な余裕のある体力をつくるようにしたいものである。
ところで、不幸にして不合格者になった人のために、驚異の減量作戦に成功した佐藤さんのトレーニング処方を紹介したいと思う。この例は、適切な指導と、それに耐えぬいた本人の努力の物語りでもある。
減量といっても、ただやたらに”やせるためには食べないのが一番”などといって、功をあせって減食するのは万病のもとになる。減量作戦はあくまでも正しい食事療法と、トレーニングによる余分な体脂肪の除去によらなければならない。正しい処方でやれば必ず成功するし、また、それが健康への近道とも云えよう。

◇佐藤さんの身体の変化◇

先天的に肥満体質であった佐藤さんは、高校生のとき、すでに90kgも体重があったという。そして、昭和50年には98kgまでになった。それから2年間自分なりに努力し、ようやく87kgまで減量したが、そこでピタリと止まってしまった。
昭和52年8月、サン・プレイ・トレーニング・センターを訪ね、宮畑会長の指導のもとに、本格的な減量作戦を開始した。その結果、先に記したように、1年間に33kgという驚くべき減量に成功したのである。
ここで佐藤さんの手記を紹介することにしたい。
 当時98kgくらいあった体重を,なんとか少しでも減らしたいと思いたったのは,今から3年ほど前のことです。買物などに行くと,人から物めずらしげな日で見られたり,コソコソと陰口などを言われたり,何度もいやな思いをしました。

 そんなある日,中学時代の友達とばったり会ったのです。
その人も,以前はかなり太っていたのですが,運動と食事法で10kgほど減量してびっくりするくらいスマートになっていました。

 いろいろ話をしているうちに「やせたら人生がバラ色になった」という一言に,自分もなんとかしてそうなりたいと,はずかしさを押えてあるトレーニング・センターの門をくぐりました。
 そこで2年間頑張ってみたのですが,自分自身の努力が足りなかったのか,あまり良い結果が出ず,気があせる一方でした。

 そんなとき,現在お世話になっているサンプレイ・トレーニング・センターがオープンしたことを聞き,前から会長を知っていたので,さっそくセンターを見学し,その場ですぐ入会しました。
 かなり苦しい運動と食事制限でしたが,メキメキ効果もあらわれ,会長に指示されたスケジュールどおりのトレーニングと食事法を実行しさえすれば,必ず自分の理想の体重55kgになれるという確信がわき,歯をくいしばって頑張りました。
 5カ月でついに念願の60kgを割ることができました。そして1年たった現在56'~57kgで,目標までもう少しですが,たとえ目標が達成されたとしても,決してトレーニングをやめるようなことはありません。トレーニングはすでに私の生活の一部になってしまっているからです。
 いま,街や電車の中で太った人を見ると,私も何年か前はああだったのかしら,なんて思い,つい「モシモシ,トレーニングをしませんか」などと声をかけたくなることがよくあります。
 私のように太っている人,体の弱い人は,積極的にトレーニングを実行し,明るいノくラ色の人生を切り開いてほしいと思います。目的を達成するまでは苦しいことがあるかも知れませんが,くじけることなく,長く続けていけば,必ず成功につながると思います。
以上が佐藤さんの手記であるが、1年間でこれほどの成果をあげ得たのは宮畑会長の適切な指導もその要因の1つであろうが、なんといっても本人の努力がなくてはとうてい成し得ない。減量の場合、とくにつらいのが最初の3ヶ月である。腹いっぱい食べたい、おいしいものを食べたという、食欲に打ち勝つ強い精神力と、トレーニングによる肉体的苦痛に打ち勝つ根性が減量に成功するか否かのポイントになる。
この3ヶ月を乗りきれば、食事もほとんど普通食にもどり、体もトレーニングになれ、効果も目に見えて現われてくるので、本人も努力の成果が分かって楽しくトレーニングをすることができるようになる。
多くの人は、このつらい最初の3ヶ月の間に、いわゆる”三日坊子”といわれるように挫折してまう。ここが頑張りどころであるわけで、佐藤さんを直接指導した宮畑会長も「目的を達するまでには必ず苦労がある。苦労なしに成功はあり得ない。とかく成功の結論だけが話題になるが、その陰に大変な努力があったことを忘れてはならない」と言っている。佐藤さん自身も「トレーニングは苦しくとも、それを長く続けていけば必ず成功する」といっているように、この平凡な言葉がトレーニングのすべてを言い尽くしていると思う。
体位の変化は[表3]を見れば、その内容に大きな違いがあることがわかる。体脂肪は身体に一率につくのではなく、腹部、臀部、上腕部のところに多い佐藤さんの場合も、総体的には体重が38%減少し、上腕部が同じく38%、腹囲が36%、胸囲、臀囲がそれぞれ25%の減少とつづいている。つまり、上腕部、腹部にたくさん脂肪がついていることがわかる。こうして、114、106、118という超LLサイズが86、68、88と大きく変化した。
[表3]佐藤さんの減量作戦開始1年後の体位・体力の変化

[表3]佐藤さんの減量作戦開始1年後の体位・体力の変化

◇佐藤さんの機能的変化◇

前項の形態的変化と同時に、その中身(機能)の発達がまた素晴らしい。[表3]に示したように肺活量が1800ccから3500ccに、握力が18kgから36kgと、それぞれ約2倍の増加となっており、反復横とび(1分間)においては18回から51回と、3倍弱の増加を示している。
以上の体力テストの結果より、肺機能の増加は持久性の機能がすぐれてきたことを示し、握力が増加したことは体重は減ったが筋力は逆に強くなったことを示し、反復横とびの大幅増加は敏捷性がとくに優れてきたことを示している。
これらのことは、形態が良くなると共に身体の機能が著しく向上し、全身的なバランスが良くなってきていることを物語っている。これぞまさしく減量の脅威であろう。
無駄な体脂肪をとり除くことが健康的な身体をつくることにむすびつき、それがいかに日常生活を快適にし、生命力の強い余裕のある身体になれるかということを如実に物語っている。多くの人々がボディビルディングにとり組み、肥満問題やモヤシ型の虚弱な体質問題を解決したならば、人生により活力と余裕が持て、躍動美にあふれた健康的な肉体を創造することができるものと確信する。

◇佐藤さんのトレーニング法◇

週3~5回のトレーニングで、1回の所有時間は約1時間30分。まず軽い準備運動(徒手体操)を5~10分間、ルーム・ランナーによるランニングを500歩実施したあと、本運動に入る。本運動は各種目を最大回数の80~90%で行ない、サーキット的方法で2ラウンド・システムで実施する。

①開脚体位より、体の前後屈、側屈、捻転等の徒手体操を20回
②開脚体位より、手を頭にのせ、①と同じような柔軟体操を20回
③ヒンズー・スクワット(しゃがみ立ち)20~30回
④フライング・スプリット(前後開脚とび)20回
⑤ニー・プッシュ・アップ(膝つき腕立伏臥腕屈伸)10~20回
⑥プローン・レッグ・キック(伏臥膝つき、足うしろげり)左右各10回
⑦バック・エクステンション(伏臥上体そらし)
⑧V字シット・アップ(V字型に上体と脚をあげる)10~20回
⑨トランク・カール(仰臥胸まげ)10~20回
⑩レッグ・レイズ・シザース(仰臥脚上げバタ足)20~50回
⑪長座の姿勢から、下記の腹筋運動を集中的に行なう。
(イ)ジャック・ナイフ
(ロ)レッグ・レイズ・シザース
(ハ)ニー・ベント・ツイスト
(ニ)ニー・ツー・チェスト
⑫ジャンピング(手を頭にのせ、左右、前後に各30回ジャンプする)

◇佐藤さんの食事法◇

五大栄養素(炭水化物、蛋白質、脂肪、ミネラル、ビタミン)を基本的に考えるが、炭水化物をひかえめに、蛋白質を多くし、動物性脂肪は全くとらないようにした。
そして、減量食と普通食の2とおりの献立をつくり、体調に合わせて使いわける。

①減量食
朝――果汁(レモン1個)、プロティンジュース
昼――ハンバーグ1個、コーヒー1杯
夕――鳥の手羽1枚、野菜いため、プロティンジュース

②普通食
朝――プロテインジュース、コーヒー1杯、食パン2枚、ゆでタマゴ1個、生野菜
昼――魚フライ定食(ごはん、魚、野菜)またはハンバーグ・ステーキにロールパン2個
夕――プロティンジュース、ごはん1杯、みそ汁、焼魚、野菜いため、豚肉のショウガ焼
[註]プロティンジュースはプロティン大さじ2杯にタマゴ1個かオレンジを加えたもの。
52年8月。体重87kg

52年8月。体重87kg

53年3月。体重57kg

53年3月。体重57kg

月刊ボディビルディング1979年4月号

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