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新ボディビル講座
ボディビルディングの理論と実際〈18〉

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月刊ボディビルディング1982年8月号
掲載日:2018.12.24

第6章 トレーニング種目

◎その2 ダンベルによるレイズ系の運動種目

《1》スタンディング・ダンベル・フロント・レイズ(通称:ダンベル・レイズ)〔図1〕

〈かまえ〉両手にダンベルを持ち、大腿部の前にぶら下げる。

〈動作〉肘を伸ばしたまま、前方に肩水平よりやや高く上げる。これを基本動作として、頭の上まで上げた場合はフル・レイズ、肩の高さまで上げた場合はハーフ・レイズとなる。

〈注意点〉動作はバーベル・レイズの時と同様、ゆっくりと行なうようにする。ダンベルの特色は、肘を曲げやすいので、その特徴を生かして、使用重量が重い場合や、反復運動の後半において、肘を曲げて行なうべント・アーム・ダンベル・フロント・レイズに移行してもよい。そのあとで、腰の反動を使うチーティングを利用すれば、負荷の強度を一層持続させることになる。
〔図1〕ダンベル・レイズ

〔図1〕ダンベル・レイズ

《2》スタンディング・ダンベル・サイド・レイズ(通称:サイド・レイズ)〔図2〕

〈かまえ〉両手にダンベルを持ち、大腿部の前にぶらさげてかまえる。

〈動作〉肘を伸ばしたまま、体側にそって肩水平よりやや高く上げる。これを基本動作として、頭の上まで上げた場合はフル・レイズ、肩の高さまで上げた場合はハーフ・レイズとなる。

〈注意点〉動作は他のレイズ系の運動と同様、ゆっくりと反復をする。ベント・アームに移行する方法や、腰の反動を利用する方法は前項のフロント・レイズと同様でよい。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(中心部)、僧帽筋(上部)。補助筋……肩甲挙筋。
〔図2〕サイド・レイズ

〔図2〕サイド・レイズ

《3》スタンディング・ダンベル・レイズ・イン・フロント・アンド・サイド(通称:コンビネーション・レイズ)〔図3〕

〈かまえ〉両手にダンベルを持ち、フロント・レイズと同じく、大腿部の前にぶらさげる。

〈動作〉フロント・レイズの要領でダンベルを前に上げたら、いったんおろし、次いでサイド・レイズの要領で横に上げて、おろす。つまり、前項の《1》と《2》の運動を交互に繰り返す。

〈注意点〉三角筋の主な部分を同時に鍛えようとして行なうもので、フロントからサイドに変化する時、三角筋の緊張を休めることなく運動を継続するようにする。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(前部・中心部)、僧帽筋(上部)。補助筋……肩甲挙筋。
〔図3〕コンビネーション・レイズ

〔図3〕コンビネーション・レイズ

《4》スタンディング・オールタネット・フロント・レイズ(通称:オールタネット・レイズ)〔図4〕

〈かまえ〉両手にダンベルを持ち、大腿部の前にぶらさげてかまえる。

〈動作〉肘を伸ばしたまま、片手交互にダンベルを上げる。この場合、頭上までダンベルを上げたものをフル・レイズ、肩までのものをハーフ・レイズという。

〈注意点〉片手ずつ交互に上げるということは、片方をおろしてから上げるのではなく、胸の前でダンベルが交差するように、上下動作が同時に行なわれなければならない。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(前部)、補助筋……肩甲挙筋。
〔図4〕オールタネット・レイズ

〔図4〕オールタネット・レイズ

《5》シーテッド・ダンベル・フロント・レイズ(通称:シーテッド・フロント・レイズ)〔図5〕

〈かまえ〉両手にダンベルを持ち、大腿部にぶらさげ、椅子かベンチに腰掛けて、下半身を固定する。

〈動作〉スタンディングの時と同様に肘を伸ばしたまま、前方にゆっくりと、肩水平よりやや高く上げておろす。

〈注意点〉シーテッドの場合は、プレス系運動の時と同様、下肢が固定されるので正確な動作が要求される。そのため、反復初期のストリクト・スタイルから、反復後半は立ち上がることによって、チーティング・スタイルに移行し、継続して強い刺激を与えることができる。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(前部)、補助筋……肩甲挙筋。
〔図5〕シーテッド・フロント・レイズ

〔図5〕シーテッド・フロント・レイズ

《6》シーテッド・ダンベル・サイド・レイズ(通称:シーテッド・サイド・レイズ)〔図6〕

〈かまえ〉両手にダンベルを持ち、大腿部にぶらさげて、椅子かベンチに腰掛けて下半身を固定する。

〈動作〉スタンディングの時と同様に肘を伸ばしたまま、ゆっくりと体側にそって上げる。

〈注意点〉フロント・レイズの時と同様、下肢が固定され、正確な動作が要求されることを利用し、ストリクト・スタイルでの運動と、立ち上がってからのチーティング・スタイルでの運動を取り入れるとよい。

 また、スタンディングの時と同様に、前項の運動とのコンビネーション・レイズ(シーテッド・ダンベル・レイズ・イン・フロント・アンド・サイド)を取り入れることが出来るので、これらを含めて三角筋を多角的に鍛えるとよい。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(中心部)、僧帽筋(上部)。補助筋……肩甲挙筋。
〔図6〕シーテッド・サイド・レイズ

〔図6〕シーテッド・サイド・レイズ

《7》ベント・オーバー・ダンベル・フロント・レイズ(通称:ベント・オーバー・レイズ、中級者)〔図7〕

〈かまえ〉両手に持ったダンベル・シャフトが横一線になるように持って上体を前に倒してかまえる。

〈動作〉バーベルでの動作と同じく、肘を伸ばしたまま、下から前方に向かって上げる。

〈注意点〉バーベルでの運動と同じく上体を前に倒すことによる背筋の緊張持続という欠点があるが、三角筋が最高に短縮したとき、最大負荷がかかる利点があるので、その点を考慮して採用すること。また、バーベルと違い、手幅に自由度があるため最大挙上時において若干、手幅が広くなった方が、肩が入りやすく、運動がしやすい。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(中心部)、僧帽筋(上部)。補助筋……肩甲挙筋。
〔図7〕ベント・オーバー・レイズ

〔図7〕ベント・オーバー・レイズ

《8》ベント・オーバー・ダンベル・リアー・デルトイド・レイズ(通称:ベント・オーバー・リアー・レイズ中級者)〔図8〕

〈かまえ〉両手に握ったダンベル・シャフトが平行になるように持ち、上体を前に倒してかまえる。

〈動作〉両手に持ったダンベルで、胸を開くように背中の方に向かって上げる。

〈注意点〉上体を前に倒すことの長所欠点は前項と同様であるが、三角筋後部を鍛える運動種目がたいへん少ない中での、手軽にできる貴重な運動種目である。前項のフロント・レイズと合わせて、ベント・オーバーによるコンビネーション・レイズをすれば、三角筋へのコンセントレーションが強まり、よりトレーニング効果をあげることができる。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(後部)、僧帽筋(中心部)。補助筋……菱形筋。
〔図8〕ベント・オーバー・リアー・レイズ

〔図8〕ベント・オーバー・リアー・レイズ

《9》ベント・オーバー・オールタネット・ダンベル・フロント・レイズ(通称:ベント・オーバー・オールタネット・レイズ、上級者)〔図9〕

〈かまえ〉両手のダンベル・シャフトが横一線になるように持って、上体を前に倒してかまえる。

〈動作〉肘を伸ばしたまま、片手交互にダンベルを前方に向って上げる。

〈注意点〉上体を前に倒すことによる長所と欠点は前項と同じであるが、交互に上げることにより、反動がつけにくく、正確な動作を要求されることになる。交互リズムは、片方をおろしつつ、もう一方を上げる。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(中心部)、僧帽筋(上部)。補助筋……菱形筋。
〔図9〕ベント・オーバー・オールタネット・レイズ

〔図9〕ベント・オーバー・オールタネット・レイズ

《10》ベント・オーバー・オールタネット・ダンベル・リアー・デルトイド・レイズ(通称:ベント・オーバー・オールタネット・リアー・レイズ上級者)〔図10〕

〈かまえ〉両手のダンベル・シャフトが平行になるように持って、上体を前に倒してかまえる。

〈動作〉肘を伸ばしたまま、片手交互にダンベルを背中の方に向かって上げる。

〈注意点〉前項同様、上体を前に倒すことによって、三角筋後部が最大収縮した時、最大の負荷を受ける運動である。なお、交互に行なうために正確なリズムと動作が要求される。交互のリズムが取りにくい場合は、片方をおろしてから、もう一方を上げるとリズムがとりやすい。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(後部)、僧帽筋(中心部)。補助筋……菱形筋。
〔図10〕ベント・オーバー・オールタネット・リアー・レイズ

〔図10〕ベント・オーバー・オールタネット・リアー・レイズ

《11》シーテッド・ベント・オーバー・リアー・デルトイド・レイズ〔図11〕

〈かまえ〉両手にダンベルを持ち、ベンチか椅子に腰掛けたら、上体を前に倒してかまえる。

〈動作〉リアー・レイズ同様、両手に持ったダンベルで胸を開くように背中の方に向かって上げる。

〈注意点〉前項と同じベント・オーバーであるが、腰掛けることにより下肢にかかる負担を軽くさせ、三角筋への意識集中が高くなる。腰を上げることによって、チーティング・スタイルへの移行が可能となる。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(後部)、僧帽筋(中心部)。補助筋……菱形筋。
〔図11〕シーテッド・ベント・オーバー・リアー・デルトイド・レイズ

〔図11〕シーテッド・ベント・オーバー・リアー・デルトイド・レイズ

《12》シーテッド・ベント・オーバー・オールタネット・リアー・デルトイド・レイズ〔図12〕

〈かまえ〉両手にダンベルを持ち、椅子かベンチに腰掛けて、上体を前に倒してかまえる。

〈動作〉オールタネット・リアー・レイズ同様、片手交互にダンベルを背中の方に向かって上げる。

〈注意点〉トレーニング目的は、ベント・オーバーの時と同様であるが、腰掛けることにより下肢への負担を軽くさせ、三角筋への意識集中が高まる。しかも、下肢が固定されるので運動が正確となり、腰を上げることによりチーティング・スタイルに移行できる。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(後部)、僧帽筋(中心部)。補助筋……菱形筋。
〔図12〕シーテッド・ベント・オーバー・オールタネット・リアー・デルトイド・レイズ

〔図12〕シーテッド・ベント・オーバー・オールタネット・リアー・デルトイド・レイズ

《13》ライイング・ダンベル・フロント・レイズ(通称:ライイング・ダンベル・レイズ)〔図13〕

〈かまえ〉高さ60cmくらいの台に伏臥し、両手に持ったダンベルが横一線になるようにぶらさげてかまえる。

〈動作〉肘を伸ばしたまま下から前方に向かって同時に上げる。

〈注意点〉ベント・オーバーやシーテッドのフロント・レイズと同じ要素を持っ運動であるが、伏臥することによって、上体を支持する力が不要となるので、三角筋への意識集中が高くなる。しかも、下肢や上体の反動が全く使用できないストリクト・スタイルの動作が要求される。

 ライイングするのに適当な台がない場合は、レッグ・カール・マシンの反対側や踏台を2つ重ねて使用するとよい。なお、足の方を固定するものがあれば一層やりやすい。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(中心部)、僧帽筋(上部)。補助筋……肩甲挙筋。
〔図13〕ライイング・ダンベル・レイズ

〔図13〕ライイング・ダンベル・レイズ

《14》ライイング・リアー・デルトイド・レイズ(通称:ライイング・リアー・レイズ)〔図14〕

〈かまえ〉フロント・レイズ同様、台の上に伏臥し、両手に持ったダンベルが平行になるようにぶらさげてかまえる。

〈動作〉両手に持ったダンベルを胸を開くように背中の方に向かって同時に上げる。

〈注意点〉挙上方向に違いがあるので刺激部分に変化があるが、そのほかは前項と同様の特色を持つ運動である。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(後部)、 僧帽筋(中心部)。補助筋……菱形筋。
〔図14〕ライイング・リアー・レイズ

〔図14〕ライイング・リアー・レイズ

《15》ライイング・ダンベル・オールタネット・フロント・レイズ(通称:ライイング・オールタネット・レイズ)〔図15〕

〈かまえ〉前項同様、台の上に伏臥し両手にダンベルをぶらさげてかまえる。

〈動作〉肘を伸ばしたまま前方に向かって交互にダンベルを上げる。側方(背中の方)に向かって交互に上げればオールタネット・リアー・デルトイド・レイズとなる。

〈注意点〉他のライイング系の運動と同じ。

〈作用筋〉主働筋……三角筋 僧帽筋、補助筋……肩甲挙筋 菱形筋。
〔図15〕ライイング・オールタネット・レイズ

〔図15〕ライイング・オールタネット・レイズ

《16》ベント・オーバー・ヘッド・サポーティング・リアー・デルトイド・レイズ(通称:サポーティング・リアー・レイズ)〔図16〕

〈かまえ〉両手にダンベルを持って、高さ50cm〜60cm程度の台の角に額をのせてかまえる。

〈動作〉ベント・オーバー・リアー・レイズと同様、胸を開くように背中の方に向かって上げる。また交互にリアー・レイズを行なえば、ベント・オーバー・サポーティング・オールタネット・リアー・デルトイド・レイズとなる。

〈注意点〉通常のベント・オーバーの場合は、上体の体重を支える下半身と、前傾姿勢を支える背筋群が余分に緊張しなければならない。そのため、適当な台に額をのせ、前傾姿勢からくる背筋の緊張を補ない、三角筋への意識集中を高めるようにするわけである。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(後部)、僧帽筋(中心部)。補助筋……菱形筋。
〔図16〕サポーティング・リアー・レイズ

〔図16〕サポーティング・リアー・レイズ

《17》ベント・オーバー・ヘッド・サポーティング・ワン・ハンド・リアー・デルトイド・レイズ(通称:サポーティング・ワン・ハンド・リアー・レイズ)〔図17〕

〈かまえ〉片手にダンベルを持って、高さ50cm〜60cm程度の台の角に額をのせてかまえる。ダンベルを持っていない方の手は台を握るか、膝に置いて上体を支持する。

〈動作〉片手を連続して背中の方に向かって上げ、反復動作が終了したら手を変えて反対側を行なう。支持している手は動作中、固定しておく。

〈注意点〉ベント・オーバーによる運動で、三角筋後部により一層の意識を得ようとするならば、上体が固定された状態で片方ずつ反復動作を行なった方がより効果的である。

〈作用筋〉主働筋……三角筋(後部)、僧帽筋(中心部)。補助筋……菱形筋。
〔図17〕サポーティング・ワン・ハンド・リアー・レイズ

〔図17〕サポーティング・ワン・ハンド・リアー・レイズ

月刊ボディビルディング1982年8月号

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