フィジーク・オンライン

Ad by aerobis

Weekly Monthly Shopping

トップ選手のトレーニング "トランポリン" #2 フィジカル編 ナショナルチーム監督 中田大輔 

この記事をシェアする

8
掲載日:2017.12.15
記事画像1
国内最高峰である日本代表選手達を率いるチームにおいてトレーニングはどう行われているのか。
日本体操協会 トランポリン強化本部長とナショナルチーム監督を兼任し、日本選手権7連覇、日本選手権30回連続出場という前人未到の競技歴を誇る中田大輔氏に、トレーニング×競技スポーツという観点から話を伺った。

トランポリンのおかげで昔から運動能力が高かった

小さい頃からからトランポリンしかやっていませんが、自分自身、運動能力は高かったと思います。
テレビ番組「SASUKE」に10回位出場してほとんど3rdステージに進めましたし、色んな競技の一流プロ選手を集めて行った「スポーツマンNO.1決定戦」では総合で3位まで行けました。

これらの結果はトランポリンで培った運動能力の証明になったのではないかと思います。
三半規管が鍛えられることでバランス能力が養われますし、どんな競技もジャンプする瞬間があるので、強く踏み切ったりその最高到達点で動作を行う点ではトランポリンの要素があります。

最近では色々な体幹トレーニングが紹介されていますが、トランポリンを跳ぶことが何よりの体幹トレーニングだと思います。また、別競技の選手が体幹のトレーニングのためにトランポリンを跳びに来ることもあります。

フィジカルの強化とメニューの変化

記事画像2
現在、フィジカルの強化を実施していますが、今まで行っていたトレーニングメニューの全てを一新したわけではありません。
トランポリン競技に特化したトレーニングは今まで何十年も研究を重ねてきたものがあり、それを継続しつつさらにアレンジを加えたものを追加しました。運動に関しては自分もスポーツ系の大学院に進んで勉強をしていたので、決して根性論にならないように指導をしています。
選手達からみても、指導内容に効果があるのか、理にかなっているか、結果に繋がるのかが確認できないとやってくれませんし、やる気にもなりません。

トップ選手は運動能力が高いので技術的な指導はすぐに修正できますが、選手でなくコーチとしてわかりやすく伝えるためにはトップの感覚でモノを言っても伝わりません。
引退した選手からコーチとして呼んでほしいという声を聞くことがありますが、選手としては優秀だとしてもコーチとしては全くの初心者なので一度しっかりコーチとしての勉強や修行をしてほしいと思います。
左から 中田大輔/監督 泉建史/フィジカルコーチ 千葉崇博/アスレティックトレーナー 藤池亮太/技術コーチ 2017年ロシアにて

左から 中田大輔/監督 泉建史/フィジカルコーチ 千葉崇博/アスレティックトレーナー 藤池亮太/技術コーチ 2017年ロシアにて

トレーニングは日々進化して今は、新たにフィジカル強化にむけてトレーニングのスペシャリストに加わってもらっています(フィジカルコーチ/トレーナー泉建史氏)。

効果があり実践的なトレーニング方面を一任できることで凄く助かっています。
自分は何か教わる時、その分野を専門とする人に任せた方が良いと思っています。

しかし、その分野の専門とはいえ何をやっているかわからないようでは協調がとれなくなってしまうため、フィジカルトレーナーは技術練習を、技術コーチはトレーニングを見るというように、お互いの指導内容をしっかりと見て理解することを大切にしています。


筋トレのメニュー作成や指導等、フィジカル面でのサポートを担当しているトレーナーの泉さんは、ただメニューをこなしてお疲れ様でした、で終わらないのがいいところです。
メニューを終えた後に身体の使い方や顕著な左右差を把握して選手の弱点を分析し、改善点などを細かくデータにして、戦略をたて我々コーチ関係者や選手一人一人にフィードバックしていってくれます。

上下半身、左右のバランスが整っていないと空中でピタッと止まれないのでそれらは凄く的確です。選手達もアドバイスによって自分の体がどうなっているか知っていきました。
こちらからの技術面での話をよく聞いてくれることもありますが、かといって全てを丸投げしているわけでもありません。
こういう動きを何分以内にこれくらいできるようにしたいとこちらからリクエストをかけ、それに対してメニューの作成をしてもらっています。
記事画像4
体操・トランポリンの専門的な技術面と。それを行うためのフィジカル面で上手くマッチングしているように思います。
また、アスレティックトレーナー千葉さんとフィジカルコーチ/トレーナーの泉さんと協力し、再発防止や怪我をした選手が練習に復帰するためのあらゆる提案をしてくれます。
怪我をして治すだけの繰り返しではなく、その間に原因の分析や再発の予防という工程が入ることが良いメンテナンスになっています。 

もちろん選手達は既に人間の限界に近い技ができるので新しく技ができるようになったりというわけではありませんが、それによりフォームの矯正に繋がったり技の安定感が出たり、10回正確に続けられるようになりました。

実際に結果としてコンスタントに成績を残せるようになっていて、強化選手15名全員が失敗なく世界選手権の最終選考会に残ることができたりしています。
これだけの人数ならばだいたい1人は失敗してしまう競技なのですが、全員失敗なしというのは本当に素晴らしい事です。選手の努力を含めてトレーナー・コーチ関係者が協力すること、コンディションを整え自分の体を知ってもらうことが、安定感を得た結果であると思います。

ナショナルチームとしての今後

記事画像5
※取材後に2017年11月10日、ブルガリア・ソフィアで行われたトランポリン世界選手権で日本代表チームは2011年の6年ぶりに団体で銅メダルを獲得した。オリンピックにむけて強化の底上げは続く。
ナショナルチームとして関係者含め自分の思うことが絶対ではないので色んな意見を聞いて取り入れていきたいです。
お互いの言うことが理解できているからこそ双方が信頼するチームができていると思います。
まずはオリンピックでメダルを狙い、そこから広まってこの競技のブームが来ればいいなと思います。
記事画像6

Recommend