フィジーク・オンライン
  • トップ
  • トレーニング
  • 背中
  • 自宅でボディビルダーを目指そう!!0円から始めるホームボディビル 第9回 ダンベルを使ったホーム・トレーニング〈その7〉

自宅でボディビルダーを目指そう!!0円から始めるホームボディビル 第9回 ダンベルを使ったホーム・トレーニング〈その7〉

この記事をシェアする

0
[ 月刊ボディビルディング 2013年5月号 ]
掲載日:2017.08.02
 今回はダンベルによる背中と脚のトレーニングがテーマです。「広背筋を鍛えたいのにチンニング・バーがない」「脚を鍛えたいのに重いウェイトが使えない」等の問題は、限られた器具で行なうホーム・トレーニーにとってはよくある悩みですね。これらを解決して、効果のあるプログラムをどのようにして作っていったら良いのかを、本章で探ってみましょう。
筆者紹介
川島英博(かわしま・ひでひろ)
1948年8月2日生まれ/O型/(株)ヘルスプロデューサー代表/トレーナー・鍼灸・整体師・通訳/「からだ工房」でスポーツ故
障者の治療をする傍ら大手スポーツクラブで治療とパーソナルトレナーの両方で活躍している。著書に『ザ・ウエイトトレーニング』『筋力トレーニング』『ボディビル百科事典(弊社より近日発刊予定)』がある。
記事画像1

ワンハンド・ダンベル・ローイング(広背筋、僧帽筋、三角筋後部、菱形筋、上腕屈筋群)

記事画像2
 ダンベルによる広背筋の代表的エクササイズと言えばこの種目になるのではないでしょうか? ベンチ上に同じ側の手と膝をついて前屈し、反対側の手でダンベルを肘を下方に伸ばして持ちます。この位置から肘を曲げてダンベルを後上方に引くように持ち上げ、ゆっくりと元の位置に戻します。動作中は肘を腰の方向へ引き上げる感覚で体側から遠ざけないようにし、広背筋の動きを感じられるように意識を集中して行なう必要があります。また呼吸は上げる時に息を吐き、下げる時に吸うとスムースに動作ができます。
 
 慣れてきたらダンベルを下ろした時に、肩をできるだけ下げ肩甲骨を下方に滑らせて(外転)広背筋等をストレッチさせるようにします(写真小)。ワンハンドならではのストレッチ・メリットが生かせます。また上方へ引き上げる時に、より高く上げようとして上半身を捻り、顔も同側へ向けてしまうと力が入りにくくなります。首と上半身はそのまま残してダンベルを引き、広背筋や僧帽筋等の筋肉群の収縮が強く感じた所を最上点とします。

 〈回数・セット数〉8~10回×2~4セット

※追い込み方法
 フォームの正確さが求められる種目なので、追い込むために勢いをつけて持ち上げるチート動作は通常は行ないません。また片方ずつ行なう種目なので、筋力差等で片方のレップス数がもう一方のレップス数に満たない場合は上体のアオリを使って持ち上げ、レップ数を合わせるようにしますが、最小限のチートに抑えます(熟練者が非常に重いウェイトで行なう時には最初からチートを用いる場合もあります)。

※バリエーション
・ダンベルを上方へ引くに従って手の平を後ろ側へ向けるようにして(内旋)フィニッシュしてみましょう。このポジションでの広背筋の収縮が強くなります。またスタート位置であるボトムで手の平を前へ向けると(外旋)広背筋のストレッチ度が高くなり、特に下部への刺激が強まります。

・肘をあまり曲げずにダンベルを体側に沿って後方へ持って行くフォームがあります。肩甲骨の内側寄せ(内転)度が少なくなるぶん僧帽筋の関与が減り、広背筋下部の収縮が強くなる傾向になります。

・両足を前後に開いて床に立ち、片手だけをベンチに乗せ、上体を前傾させて行なう方法もあります。この場合は上体の角度の選択が容易になるので、広背筋や僧帽筋等への効かせ方に変化をつけることができ、上体を立てれば広背筋上部(僧帽筋)に、低くすれば下部に効きやすくなります。この姿勢の選択という点においては経験者向きといえます。

・ベンチ等を用いずに床上に両足をついて立ち、ベント・オーバー姿勢で両手にダンベルを持っても行なえますが、この場合は脊柱起立筋をはじめ参加する筋肉群が多くなり、広背筋だけに動きを集中させるのが初心者にはやや難しくなります。広背筋の効かせ方に慣れてきてからバリエーションの一つとしてトライしてみましょう。

※注意
 利き腕との関係で左右に筋力の差があり、広背筋等の大きさに左右不均衡が生じている場合は、弱い方の腕の方から始め、強い方は弱い方の回数に合わせるようにトレーニングをしていくと左右差が緩和されてきます。また利き腕でない方は運動の可動域が小さくなっている場合が多いので、利き腕側と同じように伸展と収縮を大きく取るように注意します。

ベントオーバー・バック・スクイーズ(広背筋中・上部、僧帽筋中部、三角筋後部)

記事画像3
 床上で両手にダンベルを持ち直立し、上体を腰から前へ45 度くらい傾けた姿勢から、両方の肩甲骨を内側へ引きつけるようにしながら後方へダンベルを引きつけます。フィニッシュでの収縮時のショート・レンジの繰り返しで脊柱起立筋を含め、上背部全体の筋群の収縮が強まりディフィニッションを得る目的で行ないます。特に広背筋のパンプ・アップ後の仕上げとして用いると効果的です。顔は下に向けず、前に向けておきましょう。

〈回数・セット数〉10~12回×2セット

※追い込み方法
 上半身の軽いあおりを使います。

※バリエーション
・後方へ引いた時に手の平を後ろに向ける(内旋)ようにすれば広背筋・大円筋に効き、前に向ける(外旋)と三角筋後部、僧帽筋の収縮が強くなります。

・両足のスタンスを腰幅くらいに狭め、ダンベルを下ろした時に肩を前に出して肩甲骨を前に滑らし(外転)広背筋等を伸展させてから後ろへスクイーズさせても良いです。肩を前に出すと同時に上背部を少しだけ丸めても構いませんが、腰椎と仙骨は真っ直ぐに保っておくようにします。

 シンプルに見えるエクササイズですが、上背部に鎖骨の動きが入り動作が細かくやや複雑になるので、広背筋に効かせるためには中程度以下のウェイトでマッスル・コントロ-ルに慣れる必要があります。

サイドライ・ワンハンド・ダンベル・プル・オーバー(広背筋、大円筋、前鋸筋)

記事画像4
記事画像5
 チンニングやラット・プルダウン系の種目では肩甲骨の(上方)回旋を伴う大きな動きができて広背筋の発達に大変有効ですが、これらのマシン類が使えず可能なのがダンベル種目だけのホーム・ジムの場合には、この種目で肩甲骨の(上方)回旋を行ない、広背筋の発達を目指しましょう。

 ベンチ上に横向きに寝て上側の手にダンベルを持ち、上方で肘を少し曲げて支え、ゆっくりと頭上方向へ下ろし、元へ戻します。動作に慣れて来たら徐々に頭上より低めに下ろしていき、ストレッチ度を増していきます。基本的には軽いウェイトでフォームを正確に行ないますが、少し重めのウェイトに移行する時は肘の曲げる角度を深くして肘関節への負担を減らします。

〈回数・セット数〉10~12回×2セット

※追い込み方法
・最終レップスのあと、45度前後の角度でパーシャル・レップスを数回繰り返します。

※バリエーション
・基本的には垂直方向に顔の真横に上腕を下ろしますが、バック・プルダウンのように頭の後ろに下ろしてみましょう。肩甲骨の回旋度が大きくなり、ストレッチ度が増します。

・反対にフロント・プルダウンのように顔の前に下ろします。やや重いウェイトが使えて筋量アップが狙えます。この時は少し上体を少し上向きに捻って行なっても良いでしょう。

※ダンベルのみによる広背筋の種目はローイング系がほとんどで、種目数も少ないので、全ての種目を行なった最後に通常のツーハンズ・ダンベル・プル・オーバーを加えましょう。肩甲骨の挙上(下制)、上方(下方)回旋運動等もほぼ総合的にカバーでき、またパンプ後のストレッチ効果も含めダンベルによる広背筋の発達ためのフィニッシャーとして大切な種目といえます。

ダンベル・ニー・ランジ(大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングス)

記事画像6
 両手にダンベルを持って直立し、片足を一歩前に出して構えます。体重を前の足の方に乗せ、上体を前傾しながら膝を曲げ、両手のダンベルを前の足に近づけるように下ろして元に戻します。この時、大臀筋を使って真上へ立ちあがるのではなく、レッグ・エクステンションのように膝を伸ばして大腿四頭筋の力だけで身体を元の位置へ押し戻すように努力します。従って身体が少し前後に移動することになります。スタート・ポジションに戻った時は膝を完全に伸ばしますが、大腿四頭筋を緊張させたままで休みを置かずにすぐに膝を曲げて同じ動作を繰り返します(コンティニュアス・テンション)。同側で所定の回数をこなしてから反対側へ移ります。

〈回数・セット数〉10~15回×2セット

※追い込み方法
膝の曲げ方を浅くし、5~6レップスさらに繰り返します。

※バリエーション
 上体を起こして元へ戻さずに前へ傾けたままにして膝の屈伸だけを繰り返します。ちょうど両手のダンベルで下腿部部分を挟んでカカトから膝まで上下させているような感じになります。もちろん1レップごとに膝は伸ばし切りますが、大腿四頭筋の緊張を感じるようにゆっくりと動作をします。

 大腿四頭筋へ比較的強い抵抗値を与えることができ、ダンベル等の軽いウェイトしかない場合の脚のエクササイズとして適しています。
 
※注意
 一般的なフォアワード・ランジの基本フォームとは異なり、膝を90度以上に曲げ、また上体を前傾しますが、1回ごとの脚の踏み出しはなく、両足は床に置いたままなので、動作の勢い(慣性)がつかず姿勢のコントロールが可能で、また背部は真っ直ぐ伸ばして動作をしていますので安全度は保たれています。ただし大腿四頭筋が目的のため、多少とも膝に負担がかかるフォームなので、最初から深く膝を曲げず、浅めからスタートし様子を見ながら深めに(90度以上)移行していきます。もちろんどんな安全なエクササイズでも万一痛みを感じたら直ちに運動を中止をするのは鉄則ですね。

ダンベル・ベンド・オーバー(グッド・モーニング・エクササイズ)(脊柱起立筋、大臀筋、ハムストリングス)

記事画像7
 両手にダンベルを持ち床上に直立し、腰から上を曲げずに真っ直ぐにしたまま股関節から上体を曲げる感じで水平に近づくように前傾して元に戻ります。腰を後ろへ引き下げたダンベルが身体から大きく離れないように、身体に沿って上下させます。膝は腰に負担がかからないように、前傾する時には少し曲げておきます。
 
〈回数・セット数〉10回×2セット

※注意
 腰への負荷がかかるエクササイズなので、初心者はいきなり水平まで上体を曲げずに45度くらいまでの浅めの角度でしばらく行ないましょう。動作に慣れてきてから徐々に深く曲げていくようにします。
 
 ただし深く前傾をした時に、ある角度から腰が前へ曲がってしまうようだと腰椎への負担が強くなるので、その角度より浅めで動作を行なう必要があります。適切な前傾角度には個人差があります。ホーム・トレーニーはフォームを見てくれるパートナーがいないので、鏡を見ながらのフォーム・チェックを忘れないようにしましょう。

ダンベル・ルーマニアン・ニー・スクワット(大腿四頭筋・大臀筋、ハムストリングス

記事画像8
 ベンチから2歩分くらい離れ、ベンチを背にして両手にダンベルを持って片足立ちになり、浮かせている足をベンチ上に足背を下にして乗せて構えます。そのまま床上の前の膝を曲げ、身体を沈めてから立ち上がります。普通に身体を垂直に上下させると大臀筋に、上体を前傾させてダンベルを足先寄りに下ろし膝が前に出ると大腿四頭筋に刺激が移行する傾向にあります。
 
〈回数・セット数〉10~12回×2セット

※追い込み方法
 一定の通常レップスの後、深く下ろさず膝をほんの少し曲げただけのクォーター・ニーベンドだけをさらに10 レップス加えます。このフォームでは大臀筋の関与がほとんどなくなり、主に大腿四頭筋が大きく働きます。
 
※バリエーション
 前後の足幅を変化させます。足幅を大きく取ると大臀筋やハムストリングス、狭く取れば大腿四頭筋の参加が大きくなります。

ダンベル・ディープ・ニーベント・オン・ザ・ベンチ(大腿四頭筋、大臀筋、脊柱起立筋)

記事画像9
 両手にダンベルを持ってベンチ上にベンチの長軸方向に向けて直立し、膝を曲げてスクワットを行ないます。深くしゃがんでもダンベルが床につかないので膝を最大に屈曲できる特性があります。膝を曲げた時にダンベルは前に出さず、足の外くるぶしの横に下ろし、肩・膝との垂直ラインに近づくようにして、体重心のバランスを取るようにします。

 ベンチの幅が狭いため両足を近づけるナロー・スタンスになり、また膝を深く曲げると膝頭は足先より前に出ることになりますので、大腿四頭筋の伸張度とともに動作中での稼働率が増す傾向にあります。慣れてくるに従ってできるだけ深く腰を下ろすようにしますが、腰が丸まらない範囲内にとどめます。

〈回数・セット数〉10~20回以上×2セット

※膝を足先より出さないスクワットが基本フォームとして一般的ですが、強い抵抗負荷が要求される脚のトレーニングを軽いダンベルのみで効果的に行なうには、これらの工夫をして目的とする筋肉への抵抗負荷を増す必要があります。

※深く膝を曲げるフォームは大腿直筋収縮の非効率論や膝関節への圧迫ストレス等が考えられるため一般的ではありませんが、軽い負荷で姿勢に気をつけ注意深く行なうと、安全で大きな刺激を大腿四頭筋等に与えることができます。※この種目は、昭和の力技世界記録保持者でまた大ボディビルダーでもある故若木竹丸先生の著書『怪力法並に肉体改造体力増進法』の中でも脚のトレーニングとして紹介されています。

※バリエーション
 最下点の膝角度から少しだけ立ち上がる全動作の下半分のパーシャル・レンジのみを繰り返します。少しハードですが、体勢が低いため比較的安全にパンプ・アップまで追い込めます。

広背筋って、背中に広くあるようですが、複雑でどうなっているのか、もうひとつよく解りません。

 広背筋は背中の上から下まで大きく広がっている上に、他の筋肉に比べて動きが複雑で、本当に解りにくい筋肉ですね。実際にトレーニングをする時には、どのへんの筋肉部分がどう動いているかを確実にイメージしながら動作をする方が目的の筋肉に効かせやすく、トレーニング効果が数段上がるのはよく知られているところです。

 広背筋の全容を理解する方法として基本的な広背筋の起始・停止、作用、神経支配等を一つ一つ見ながら説明していきましょう。

○起始・停止
〈起始〉
・棘突起(第7胸椎以下の胸椎・腰椎・仙骨)
・腸骨稜(後ろ1/3、胸腰筋膜)
・下位肋骨(9または10~12肋骨)
・肩甲骨下角

〈停止〉
・上腕骨小結節稜

 これらを字で読んだだけではちょっと解りにくいかもしれませんね。広背筋はそのラテン語名のように、ヒト最大の平面状の筋肉で、体幹と上腕骨を直接結びつけています。

 広背筋の停止部は上腕骨の上部前面にある小結節稜という一か所だけなので解りやすいのですが、起始である体幹部分の付着部が多くて少し複雑です。便宜的に大まかな表現で骨別に順番に分けると①肩甲骨の下端とそれより下の②脊椎骨から③腰骨の後ろまでと④肋骨の下の数本、の以上4か所から出ているということになります。従って広背筋の上部狙いの場合は、体幹の上方の付着部、下部は下方の付着部の位置を意識しながら広背筋の収縮・伸展をすると、まずは良いことになります。

 また上腕の停止部の動きと広背筋の関係については、内旋すれば広背筋の収縮力が増し、外旋すれば伸展に有利になる傾向にあります。

※注意
 広背筋の起始は個人差があり、一部変位して位置が変わっている場合があります。

○作用
・上腕の伸展(腕を後ろへ引く)
・上腕の内転(腕を上から下へ引く)
・上腕の内旋(腕を内側へ回す)

 背部を下から上に向かってせり上がり、脇のあたりで反転して後ろから上腕骨の前に回ってついているので、収縮すると上腕を後ろへ引き内転し、かつ内旋をする作用をします。

○神経支配
・胸背神経(頸椎下部から神経がでています。C6~8)

※肩甲骨から出て広背筋と同じ上腕骨小結節稜に停止し、ともに協働して働き、上腕の内転、内旋をする大円筋は、ほとんどの場合は肩甲下神経支配である。

※実際のダンベルによる広背筋のトレーニングでは、収縮系の種目が割合多いので、セット間に肩甲骨と広背筋のストレッチを充分に行ない、伸びのある筋肉の獲得を目指しましょう。また広背筋は動作範囲が広いので、多方向からのストレッチが必要です。

脚のトレーニングをしてバルク・アップしたいのですが、ダンベルしかなくて重い負荷が加えられません。何か良い方法はないですか?

 これは器具が少なめのホーム・トレーニーに共通する悩みかもしれませんね。特に脚の筋肉量は大きいので、これに見合う抵抗負荷を与えようとすると相当な重さのフリー・ウェイトを用意しなければなりません。

 バーベルではスクワットのように肩に担いだり、一本のシャフトを両手で持つので重いウェイトを使用できますが、ダンベルでは担ぐわけにはいかず、しかも片手ずつ両方の手でダンベルを持つ重量は、両手で1本のバーベルを持つ最大重量には及びません。また予算や部屋の大きさ等の条件で中程度以下の重量のダンベルだけをお持ちの場合は、トレーニングにおける抵抗値の獲得に悩むところですね。しかしまったく器具なしのフリー・ハンドに比べたら多少なりとも適度なウェイトを使用できるので、工夫次第では筋肉に相当の負荷をかけることが可能です。

 一般的にどの種目においても基本フォームがあり、効果、安全性、目的の共通性、取りつきやすさ等を考慮に入れて、誰にでも実行可能になるように選択してあります。またこのフォームでの効果的な適正重量、回数等も示されていますが、重量やその他の条件がそれに満たない場合は、これらのいわゆる〝教科書的な枠組み〟から少し離れて、独自のフォームなりメソッドを作り出して取り入れていく必要があります。

 一般のスポーツ動作では、動きやすくできるだけ省エネで効率良くしなければなりませんが、抵抗値の増大を重視する筋力トレーニングでは逆に、負荷を増した動きを作り出し、筋肉に強い刺激を与えようと努力することが多々あります。

 それでは中程度以下の軽めのダンベルを用いて筋肉への刺激を増す方法とテクニックを、今回の脚(大腿四頭筋等)のケースを踏まえていくつか紹介してみましょう。

○オッド・スタイル(抵抗負荷を増す関節の動きを作り出す)
・片足で行なう
・膝を前へ出す
・ナロー・スタンスにする

○ストレッチ・ムーブメント
・スクワットで深くしゃがむ
・ランジ等でスタンスを通常より大きく取る

○ショート・インターバル
・セット間休息を1~2分以内に短くして、次のセットに移り追い込んでいく

○パーシャル・ムーブメント
・大腿四頭筋を収縮させた状態でのパーシャル場面はダンベルでは作りづらいので、ボトムのしゃがんだ伸張状態でのパーシャル・ムーブメントを限界まで行ない、筋線維の破壊的刺激と乳酸の蓄積の両方を狙う

○スピード・テクニック
・ネガティブでゆっくり下ろしていき、ボトムで素早く切り返してポジティブでスピードを上げる(抵抗値の増大)
・スロー・トレーニング

○コンティニュアス・テンション
・動作中に休みをおかずに、筋肉を緊張させたままのレップスを続ける

○ハイ・レップス
・20〜30回以上の高回数で行ない、パンプアップを促進させる

○プレ・パンピング
・フリー・ハンドでの高回数ヒンズー・スクワットやランジ等で最大近くにパンプアップさせた後、ダンベル等の抵抗負荷を用いた脚のエクササイズを行なう(筋肉にこの条件下での最大の収縮努力を課すことができる)

○プレ・イグゾースチョン・シシー・スクワット等の単関節運動をした後にスクワット等の多関節運動を行なう

 以上、代表的なメソッドをご紹介しました。これらを必要に応じて適度にピックアップしながらプログラムを進めましょう。

 大きな抵抗値が充分に取れないトレーニングで効果を上げるには、毎回最大に近いパンプアップを得る努力が必要不可欠な要素になりますので、1セットの回数は多めでセット間休息は短く、通常より厳しいトレーニング内容になりますが、軽いダンベルでも大腿部のバルク・アップが充分に望めるので、それだけにやり甲斐のあるトレーニング・プログラムといえます。また全身持久力の向上はもちろん、無酸素性持久力の能力もついてくるというボーナスもあり、その上にスタミナ向上や健康維持にも大きな効果を及ぼしてくれます。
 
 
 ホーム・トレーニングでは使用する器具が限られているので、一人で長く続けている間に、ややともすると内容がマンネリ化することがあります。そういう時は新しい記録に挑戦する目標を立てたり、発達させたいボディ・パーツの特別コースを期別で作成したりとプログラムの変更をして、モチベーションの向上を図ります。

 また手近なところで、可能ならば自宅前の道路でウォーキング・ランジをしたり、自宅ではできないチンニングを近所の公園の鉄棒でしたりすると、気分転換と実益が同時に得られるので、これも一つの方法です。もちろん、月刊ボディビルディングを毎月読むのも、大きな、大きなモチベーションになりますね!
 
 KEEP LIFTING !!

(Model=穴沢基樹)
[ 月刊ボディビルディング 2013年5月号 ]

Recommend