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史上最強のオリンピア ロニー・コールマンの胸のトレーニング RONNIE COLEMAN's CHEST

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月刊ボディビルディング
掲載日:2017.01.12
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私は8回ミスターオリンピアのタイトルを獲得したが、その8年間、常に目標は、ただ筋量をつけるだけではなかった。もちろん、死ぬまで筋肉を発達させ続けるつもりだったが、ミスターオリンピアのタイトルを手放さないためには、筋肉の完成度を高めていくよう目標を設定する必要があった。シェイプ、バランス、プロポーション、その他多くの美的要素、細部に至るまで考慮に入れなければならず、これらは、様々な特別なテクニックを通してのみ手に入れることができるのだ。

その中で私の胸のワークアウトを参考に、君の胸のワークアウトをここで考えてみようと思う。当時の私の記事の中で、トレーニングスタイルについて、つまり、あるワークアウトでバーベルを使い、次のワークアウトでダンベルを使うといった、2 つの異なるワークアウトを交互に行うことを述べていた。そして、なぜ私が毎回エクササイズを変えるのかということも、かなりのスペースを費やして説明した。

しかし、このバーベルとダンベルを交互に使うワークアウトは、プロをやっていた10年間、8回ミスターオリンピアになった私には合っていたが、短期間で最大の筋量をつけ、サイズを増そうとしている初心者や中級者には、それほど適していないのではないかということをお伝えしなければならない。よって今回は、私が君達と同じ初心者だった頃、筋量を付ける事を最大の目的としていた頃の胸のトレーニングを紹介しようと思う。
1993年プロデビューの年。まだ全体的に線が細く、胸の筋量も少なかった。

1993年プロデビューの年。まだ全体的に線が細く、胸の筋量も少なかった。

君がボディビルの初期の段階にいるとしたら、先に述べた方法はあてはまらない。君の主たる目標は、とにかく筋量を増し、大きな土台を築くことだ。シェイプは後からついてくる。体が大きいほど、ダイナミックにシェイプし、深いカットをつくることができるのだ。だから、ここでは、私が君のようだった頃、私にとって最も効果のあった胸のワークアウトを紹介していこうと思う。

この方法は、私がオリンピアのタイトルを保持していた頃に行っていたトレーニングとは、真逆である。すべてが流動的ではなく、厳密に決まっているものだ。胸のトレーニングをするためにジムへ行く時はいつも、君のワークアウトは、同じでなければならない。どんなエクササイズでも、それから最大の効果を引き出すためには、やり方を学ばなければならない。そうしてこそ、ターゲットとする筋肉に正しく効かせることができるのだ。経験のみによって、君はスキルを学ぶことができる。だから、今から述べるエクササイズを、示された順番で、熟練するまで続けてほしい。

熟練度は、補助的な筋肉が疲れる前に、ターゲットとした筋肉を追い込むことができるかどうかで分かる。しかし、このレベルに達したからといって、ワークアウトを変える時だなどと思ってはならない。まったく逆で、この時こそ、その動きをさらに、完璧になるまで精錬する必要がある。初心者や中級者に私が勧めるのは、少なくとも6カ月、理想を言えば1年は、重量以外は何も変えないことだ。

エクササイズの話に入る前に、君は以下のルールを学ぶ必要がある。

■ 筋肉の発達は、ストレングスと比例する。だから、前回のワークアウトよりも1レップ多く上げようとするか、同じレップ数をより重いウェイトを使って行うかのいずれかで、常にストレングスを高めるよう努力してくれ。
■ フルレンジで動作を行うこと。パーシャルレップを使ってはいけない。大胸筋は、伸縮が大きいほど、よく発達すると私は思っている。だから、ウェイトを行くところまで下げ、腕が届く一番高いところまで押すのだ。
■ プレス系の種目については、ウェイトを下げる間、筋肉の緊張をできるだけ保つこと。セットを行う間、力を抜かないようにする。

もう分かっているとは思うが、怪我防止のために、ウォームアップは非常に重要だ。しかし、マックス―マス・プログラムを行っているなら、ウォームアップによる効果は、ただ安全面だけではない。最初のパンプを与え、それ自体に誘因作用がある。つまり、パンプすればするほど、それだけインテンシティー(強度)が増すことになるのだ。血液が集まった筋肉は、さらに爆発的なパワー動作のためのクッションの役割を果たす。だから、最初のヘビーセットを行う前に、3セットのウォームアップで筋肉をその状態へもっていくのだ。最初は、バーだけで12レップスくらい。動きの軌道と範囲を確かめるためだ。2番目のセットは、20レップスくらいで、血液が大胸筋に流れ込むのがわかるくらいの重さを使う。そして、3番目は、最初のヘビーセットで使うのと同じウェイトを使うが、自信をつけるのが目的なので、6セットぐらいにとどめる。

インクライン・バーベル・プレス

私がこのプログラムを行っていた時、他の部分より発達が遅れがちな部分に重点をおくことで、他のボディビルダーに差をつけるよう努力した。それは、大胸筋の上部だ。ワークアウトの最初、ストレングスがピークの段階に鍛えることで、それはすばやく反応し、私の大胸筋は弱点のないものとなった。ステージ上のラインナップで、その違いは突出している。私の大胸筋上部は、あごのすぐ下から盛り上がっていて、体の前面に翼のように張り出している。大胸筋全体が満ち満ちとしていて、それは体を包み込むように広背筋へとつながっている。しかも、私の胸は、とても張りがあって、密度が高いので、その硬さで光り輝いているのが分かるだろう。
ミスター・オリンピアの他の選手たちと比べてみると、私の胸は、より大きく、 より盛り上がっているはずだ (Photo=Ben)

ミスター・オリンピアの他の選手たちと比べてみると、私の胸は、より大きく、 より盛り上がっているはずだ (Photo=Ben)

ミスター・オリンピアの他の選手たちと比べてみると、私の胸は、より大きく、より盛り上がっているはずだ。これらを得ることができたのは、何年もの間、このエクササイズをワークアウトの始めに行ったことによるところが大きい。

バーベルを使ったどんな胸のエクササイズにも言えることだが、私のグリップ(握り幅)は、かなり広めだ。肩幅より広くすることで、ボトム位置において可能な限り大胸筋を開くことができるし、押す際に、大胸筋の外側、そして大胸筋と三角筋の接合部に負荷の大部分をかけることができる。肩と胸が温まっていることを確認してから、ワークアウトセットを始めよう。胸の筋肉のすみずみに血液をいきわたらせるため、そして動作の軌道をしっかり確認するため、レップ数に幅をもたせ、4セットをピラミッド式で行う。それぞれのセットを、限界を迎えるまでやる。

最大のバルクを求めて頑張っていたころ、最初のセットは20レップス行い、2番目は12レップス、3番目は10レップス、4番目は8レップス行っていた。これは、パワーエクササイズなので、胸の上で高くバーを上げようとするのではなく、むしろ、バーが自然に落ち着くところへ下ろすことを心がけた。

フラット・バーベル・プレス

これは、胸全体にバルクをつけ、筋量を高めるエクササイズだが、胸がバーをまっすぐ上へ押すのを補助するため、下背も、外腹斜筋とともに、かなりハードに動かさなければならない。大胸筋下部にくっきりとした張り出しや、大胸筋中央部が隆起している者は、その効果をフラット・バーベル・ベンチから得たはずだ。私の握り幅はインクライン・バーベル・プレスと同じく広めだ。

軌道を確認するために、軽く〝感じをつかむ〟セットから始め、インクライン・バーベル・プレスと同じように進める。最初のセットは、20レップス、2番目のセットは12レップス、3番目のセットは10
レップス、4番目のセットは、8か7レップス行う。

多くのボディビルダーが、フラット・バーベル・ベンチ・プレスはストレングスビルダーのもので、筋量とシェイプを同時に求めるビルダーのものではないと言うのを聞く。しかし、それは彼らが胸だけを切り離して考えているからであり、その過程で胸の筋肉よりも肩の筋肉を使ってしまっていることが多いためである。正しいベンチプレスには、大胸筋と同様、広背筋もかかわっている。大胸筋にフルなストレッチと収縮を与えるためには、バーを下げる時に広背筋が収縮し、押し上げる時には外側へ広がらなくてはならない。つまり、大胸筋を鍛えるためには、上体全部を使わなければならないということである。

インクライン・ダンベル・プレス

この時点で、私の大胸筋は、主要なストレングス/筋量のためのバーベル・エクササイズによって十分に事前疲労しているので、アイソレーション系のバルク種目であるインクライン・ダンベル・プレスへ移行するのに適した状態となっている。このエクササイズのよいところは、動きの範囲が大きいことだ。ダンベルは、バーベルよりも低く下げることができるので、私は、ダンベルが三角筋前部へ触れるまで下ろすことをお勧めする。そうすることで、大胸筋をさらに“開く”ことができるからだ。トップ位置では、最大の収縮を得るために、ダンベル同士をぐっと近づけよう。

このエクササイズをする頃に、私の体はすっかり温まっているので、12、10、10、8レップスという4つのヘビーセットにすぐ入る。

ペック・デック・フライ

フライ系のエクササイズではあるが、非常に重いウェイトを扱うので、ペック・デック・マシンで、まず3セットのウォームアップを行う。そこでも、それぞれのセットで、10~15レップスで限界に達するぐらいの重いウェイトを扱う。大胸筋を事前疲労させるのに有効だからだ。また、フライを行う前に、大胸筋をよくパンプさせることで、私の大胸筋肥大に目に見える効果が表れた。

フラット・ダンベル・フライ

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これは、いつも私のお気に入りの胸のエクササイズだ。現在私は120ポンド(約54kg)のダンベルを使うことができる。これは、下げる時には恐ろしいほどのストレッチを与え、上げる時には激しい収縮を与えるのに十分な重量である。フラットベンチでも、インクラインベンチでも、そのすばらしい効果に変わりはない。

このエクササイズを正しく行うには他のエクササイズよりも(スクワットよりも!)集中することが必要だ。なぜなら、テクニックが複雑であるから。スタート時点で、大胸筋の外側に力を入れる必要がある。それから、ダンベルを下げていく間、大胸筋の内側が抵抗している間も、大胸筋の外側に力が入っていなければならない。緊張は、中側外側両方にとって増していくが、ボトム位置での移行は、非常に重要である。突然止めて、上げ始めてはならない。下へさがる抵抗から、上へ向かう収縮へと、溶け込むようにスムーズで、輪のような動きであるべきだ。

筋肥大のためのワークアウトとして、4セット、最初のセットは12レップス、残りの3セットは10レップス行う。これで、この日のワークアウトは終わりだ。

時にかなったワークアウトを!

このルーティーンは、私の胸に強いストレッチと焼けつくような痛みを起こし、まるで誰かが私の神経の末端すべてに紙やすりをかけたかのように感じた。しかし、ワークアウトを終わらせたいと思うことはなかった。なぜなら、この感覚が、1つ1つのレップが生産的であったことを私に保証してくれたからだ。このルーティーンは、当時の私に多くをもたらしてくれた。なぜなら、ヘビーかつベーシックで、フリーウェイト以外何も使わないからだ。

ジム仲間から、「筋肉を多角的に攻めろ」とか「アイソレーション系の種目をストリクトな動きでやれ」などといったコメントで、テクニックを磨くように忠告されるかもしれないが、これらのテクニックは、後になって身に付ければよい。より重要なのは、彼らは、私がここで紹介したようなベーシックで複合的なワークアウトで、全体的な筋量を高めていないということだ。私が勧めるワークアウトは、ヘビーで疲れるかもしれないが、よいより結果を生むことは間違いない。私を信用してくれ。

胸の発達のためのスケジュール

何をいつ鍛えるかということについて日課表をつくって説明しても、君は混乱してしまうだろう。だから、簡単にはこうだ。私は、3日で全身を鍛えるようにし、それを5日オン・2日オフの月~金スケジュールで行い、最大の筋発達を得た。つまり、どの曜日にどの組み合わせを行うかは、毎週変わってくる。1日目は、胸、肩、上腕三頭筋、2日目は、上腕二頭筋と大腿四頭筋、3日目は背中とハムストリングス。このやり方だと、どの曜日にどの組み合わせを行うかが毎週変わるだけでなく、同じ部位を行うのに、ある週は3日間隔があき、次の週は5日間隔があくことになる。そうすることで回復期間がもうけられ、筋肥大が起こったのだ。
ロニー・コールマンの胸の発達のためのベストワークアウト

種目/回数/セット数
1.インクラインベンチプレス / 20~8R / 4S
2.ベンチプレス / 20~8R/ 4S
3.インクラインダンベルプレス / 12~8R / 4S
4.ペクデックフライ / 10~15R / 3S
5.ダンベルフライ / 12~10R / 3S
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君がボディビルの初期の段階にいるとしたら、ジムへ行く時はいつも君のワークアウトは同じでなければならない。そうしてこそ、ターゲットとする筋肉に正しく効かせることができるのだ。筋量を増やしたいのであれば、少なくとも6ヵ月、理想を言えば1年は、重量以外は何も変えないことだ!
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  • Ronnie Coleman(ロニー・コールマン)
    IFBBプロ・ボディビルダー
    誕生日:1964年5月13日

    <主な戦績>
    2007 Mr. Olympia – IFBB, 4th
    2006 Mr. Olympia – IFBB, 2nd
    2006 Grand Prix Romania – IFBB, 2nd
    2006 Grand Prix Holland – IFBB, 2nd
    2006 Grand Prix Austria – IFBB, 2nd
    2005 Mr. Olympia
    2004 Mr. Olympia
    2004 Grand Prix Russia
    2004 Grand Prix Holland
    2004 Grand Prix England
    2003 Mr. Olympia
    2003 Grand Prix Russia
    2002 Mr. Olympia
    2002 Grand Prix Holland
    2001 Arnold Schwarzenegger Classic
    2001 New Zealand Grand Prix
    2001 Mr. Olympia
    2000 World Pro Championships
    2000 Mr. Olympia
    2000 Mr. Brody Langley
    2000 Grand Prix England
    1999 World Pro Championships
    1999 Mr. Olympia
    1999 Grand Prix England
    1998 Toronto Invitational
    1998 Mr. Olympia
    1998 Grand Prix Finland
    1997 Grand Prix
    1996 Canada Pro Cup bh
    1995 Canada Pro Cup
    1991 World Amateur Championships (Heavyweight)
    1990 Mr. Texas (Heavyweight & Overall)

[ 月刊ボディビルディング 2015年10月号 ]