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HDTの重要な概念:ワンセットオールアウトと筋肥大の基本原理

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掲載日:2017.03.07
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HDTの重要な概念

〇ワンセットオールアウト:HDTで最も象徴的な言葉

マイクが言っているワンセットとは、『ワンセットしかやらない』のではなく『ワンセットしかできない』トレーニングを目指す事なのである。そして1セットしかしない場合と10セットする場合では、どちらが各セット限界に挑めそうだろうか?

比較してみよう。

答えは簡単、もちろん1セット。毎回のセットで一生懸命頑張ろうと意識のレベルでどんなに考えていても、無意識のレベルでは10セットこなすという計算が働き、目的は筋肉を限界まで追い込むということであったはずなのに、10セットをこなすこと、10セットで限界に追い込むことが目的の中に含まれてしまうからだ。そのためにわざわざ無意識的に強度を弱くしてしまっているとは考えられないだろうか?

ここまで言ったら「1セットでオールアウトする」方法が強度を極限にまで高めるには合理的だということは、もう理解できるはずだ。従来のトレーニング理論で言われる筋肉の発達には3セット必要であるとか、5セット必要であるというような説明には明確な根拠は無い。そして、1セットを2セットに増やすということは倍のエネルギーを消費する事にもなるし、関節への負担も倍になるということなのである。身体を超回復させるためには無駄なエネルギーの消耗は命取りだ。

1セットに全神経とエネルギーを集中させて、ウェイトと格闘する事こそが、筋肥大への最短距離だ。

〇筋肥大の基本原理

何故筋肉が付くのか? 人間は(当然全ての生物も環境適応する)環境に適応するから筋肉がつくと考えられる。例えば日差しの強い地域に住んでいる人は日光に対して強い肌を持っている。そして、毎日肉体労働をするような人は、仕事に就いた数か月はとても疲れて毎日がたいへんだけれど、次第に体力がつき以前よりは楽になってくる。どちらも環境に対して適応したと考えられる。人間の身体は特定の要求が継続的に課されると、その環境に対応するために適応する。

そこで、ボディビルダーが筋肉を付けるという事は、どういった要求を身体に課せば良いのか考えてみよう。答えは簡単。筋肉の中でも、よりたくさんの速筋が必要とされる状況を作り出せば良いわけだ。

筋肉は大きな分類で速筋(白筋/FG, FOG)と遅筋(赤筋/SO)に分けることができ、それぞれには特性があって、速筋は筋出力が大きいけれど持久力は乏しく(短距離走をイメージ)、遅筋は筋出力が小さいけれど持久力に優れた特性を持っている(長距離走をイメージ)。速筋と遅筋をそれぞれに用いたトレーニングを比較した場合に、圧倒的に太くなりやすい性質を持つのは速筋繊維だから、筋肥大を目標とするなら速筋を刺激する必要があるわけだ。

じゃあ速筋を獲得するためにはどうすればいいか? それには、たくさんのセットをこなせる能力が必要なわけではなく、一時に動員される筋肉の稼働率が重要なはずだ。1セット40秒から72秒(いろいろな説はある)の範囲で限界に達するように重量を設定し、反復運動を行う。そして筋肉へ発達のシグナルを送るためには、毎回限界に挑むようなトレーニングでなければならない。簡単にこなせるようなトレーニングを何度繰り返しても、身体は決して大きくなってはくれないのだ。

  • 肉体と精神究極のトレーニングバイブル ヘビーデューティーマインド
    2013年8月30日初版発行
    著者:小川淳
    監修:日本ハイインテンシティトレーニング協会(JHITA)
    発行人:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社
    編集:株式会社M.B.B.