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腹直筋の適度な緊張

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掲載日:2017.02.02
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フィジークオンラインをご覧の皆様、三橋忠です。(加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院院長、ファイン・ラボフィットパーソナルトレーナー)

前回までのコラム「トレーニングに影響する日頃の癖」シリーズ、今回は「腹直筋の適度な緊張」についてです。解剖学・ケア・トレーニング方法などをお伝えしていきます(^^)

腹直筋の解剖・機能

腹直筋は胸骨最下部・肋軟骨から、骨盤の下にある恥骨部分にかけてつながっている筋肉です。一般的に腹筋と言われるのはこの筋肉で、割れた筋肉「シックスパック」もこの腹直筋のことを指します。日常生活のなかで何気なく行っている、寝てる状態から身体を起こすといった動作は、この腹直筋の働きによるものです。さらに、バランスをとって姿勢を保つ、咳や排便などをコントロールするために腹圧を高める、という役目も担っています。

腹筋群は、腹直筋以外にも外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋と表層から深部に向かってあり、様々な動作の連動性の中心になっており、「体幹トレーニング」の隆盛も、この腹筋群の重要性からプログラムを進めると、改善が多く見られるからです。そして腹直筋の過緊張が起きると、支えられない、連動できないなど様々な不調に繋がるので、腹直筋は緩み過ぎず、緊張し過ぎずの「適度な緊張」が必要になります。

筋緊張の種類

下記が筋緊張の種類と主な定義になります。

①正常な筋緊張
体重や重力に対して姿勢を保つのに必要な十分な緊張の高さと、目的行動や外的刺激に対して、素早く適切に対応できる適度な緊張の低さのある状態。

②過緊張
運動する範囲が狭くなり、速やかに動くことが困難な状態。 → 将来的には脱臼や関節拘縮の恐れがある。

③低緊張
姿勢保持困難で重力に負けないだけの筋緊張を高めることが難しい。

④筋緊張の動揺
正常の範囲を超えた範囲にまで筋緊張が動揺する状態。安定した姿勢保持と目的に応じた動作が困難。

⑤同時収縮
主動作筋と拮抗筋が釣り合うように同じ様な収縮をすることによって、姿勢を安定させたり関節を固定させたりすること。

⑥相反抑制
主動作筋が収縮することで運動は行われるが、それと同時に拮抗筋の段階的な弛緩と引き伸ばしによって適度な運動が行われること。

怪我からの復帰がうまく行かない場合、この6つを踏まえた上で、姿勢、運動を見て行くと、改善の糸口が見えてきます。

エクササイズ

◯腹直筋の緊張の確認
ベンチに仰向けに寝て両脚を曲げます。両手で腹直筋を触診します。上部、中部、下部、左右筋腹、脇腹と、硬さ、緩みなど筋肉の状態を確認します。不調がある時、無い時で比較するとより分かりやすいです。(写真1)
写真1

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◯ワンハンドダンベルスローイング
① ベンチに仰向けに寝て、ダンベル1~2kgを持ち、スローイングを行います。(写真2)
② この時に腹直筋を触りながら行い、筋肉の連動性が起きてるか確認します。(写真3)
③ 左右行い、利き手も踏まえながら左右差を確認します。
写真2

写真2

写真3

写真3

まとめ

「腹筋鍛えるぞ!」っと誰しもが一度は鍛えた事がある腹筋ですが、過緊張、低緊張など、様々な腹筋の状態の把握を怠ると、鍛えてるつもりが不調へと向かってる場合がありますので、トレーニングの前後で筋肉の張りを確認してみてください。

筋緊張の種類に関しては、最初のうちは自分の感覚と他者の感覚で相違があるので、適正な判断ができるトレーナーや治療家に意見をもらう事をお勧めします。
  • 三橋 忠
    加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院 代表
    ファイン・ラボフィット パーソナルトレーナー
    大手スポーツクラブのチーフトレーナー・責任者を経験した後、パーソナルトレーニングスタジオ店長として4年間勤務し、整形外科・接骨院でもキャリアを積み、2011年に加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院を開業。パーソナルトレーニングで年間3500 セッションの指導を行う。

    <資格>
    ・厚生労働大臣認定柔道整復師
    ・加圧スペシャルインストラクター
    ・米国認定ストレングス&コンディショントレーナー(NESTA-PFT)
    ・キネシオテーピングトレーナー

    <競技実績>
    2008年ボディビルMr茨城 準優勝
    2008年ボディビルMr茨城70kg以下級 準優勝
    2009年ボディビルMr茨城70kg以下級 優勝