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トレーニングによる怪我の対応③

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掲載日:2020.01.22
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フィジークオンラインをご覧の皆様、三橋忠です。(加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院院長、ファイン・ラボフィットパーソナルトレーナー・横浜医療専門学校非常勤講師)
前回は怪我を早期回復させる栄養素について紹介しました。
今回は怪我を早期回復させる栄養補助食品について説明して行きます。

① MSM(メチルサルフォニルメタン)

自然界に広く存在するイオウ化合物の1つで、松の樹液から作られる無臭の白い結晶です。
慢性的な痛みを伝える神経線維である「C-ファイバー」を遮断して、①関節痛 ②リウマチ ③肩背痛(肩や背中が痛む) ④筋肉痛などによる“慢性痛に効果”があるといわれています。
痛みは、炎症の刺激が神経を通り脳に伝えられ、神経の伝達を邪魔することで、痛みを緩和します。

硫黄(メチルサルフォニルメタン)は、体重の2%を占めており、体内ではカルシウムの次に多い元素で、塩のもとであるナトリウムの約3倍も存在します。

硫黄(MSM)は肉や魚、牛乳、野菜、果物、穀物などに含まれ、五穀といわれるニンニクやネギなど、特に臭いのキツイ野菜に多く含まれています。

年齢とともに食品からの無機硫黄の吸収力が落ちてきますので、MSMサプリメントで摂取することを薦める栄養学者が多いです。

MSMはコラーゲンを再構成したり、コラーゲンの成分となって使われることが判っており、バネ状のコラーゲンの弾力を高めることからお肌の弾力を回復してシワを予防改善効果が期待されています。
そういった効果効能のためにMSMはアメリカでは女性のスキンケアやネイルケアアイテムとして非常に人気があります。

② グルコサミン

グルコサミンは、カニやエビなどの甲殻類の外皮を形成するキチン質や、ヤマイモなどのネバネバ成分であるムコ多糖蛋白質に多く含まれる天然アミノ糖の一種です。

アミノ糖は糖タンパク質を構成する成分で、私たちのカラダの中に存在し、軟骨、爪、靭帯、心臓の弁などで細胞や組織同士を結び付ける結合組織の役割を果たしています。

私たちのカラダの中で、関節は2個以上の骨と骨とが繋がっている部分を指し、その骨の先端はそれぞれ軟骨になっていて骨同士が傷つけあうことを防いでいます。

軟骨はクッションの役割のほかに、カルシウムを骨に吸着させる働きもしているので、軟骨が弱体化することは関節のみならず骨の健康にも影響を及ぼすことになります。

私たちの軟骨は、加齢や体重の増加によって関節を酷使することに加え、代謝の低下や運動不足によってその再生力を徐々に衰えさせていくことになりますから、いつまでもはつらつと元気にいたいと思えば、軟骨を強化する事を考えなくてはいけません。

グルコサミンを口から体内に補給することで、軟骨を強化し、関節の痛みや炎症等の症状改善に効果があるとされています。
グルコサミンは、体内でも合成できる物質ですが、加齢とともに合成能力が低下するため不足しがちですので、関節に負担をかける競技を続けている人は意識的に摂取する必要があります。

③ コンドロイチン

コンドロイチン硫酸は、生体内でコラーゲンやその他のたんぱく質と結合して存在しており、カルシウムの代謝、物質の透過、水分の保持・調節の機能があります。

コンドロイチン硫酸の原料には、牛や豚など哺乳類も用いられますが、現在は主にサメ、サケ、イカなどの海産物が多く用いられています。

関節などにおいては物理的な刺激に対する吸収剤としても重要な役割を果している成分です。そのため、関節液や皮膚などの結合組織に多く含まれています。

コンドロイチン硫酸の生理活性機能は、①体内水分量のコントロール ②骨の形成を助ける ③関節組織の円滑化 ④角膜の保護・目の透明度を維持する ⑤細菌の感染を防ぐ、などの効果が期待できます。

④ キャッツクローエキス

キャッツクローは南米ペルーの熱帯雨林に自生するツタ状の植物です。
古くはアマゾンの先住民族が、伝承薬としていたもので、インカ時代から、免疫力の向上、関節炎、オーストラリアではリウマチの治療に使われてきた薬草です。
キャッツクローの有効成分である「アルカロイド」が身体の本来持つ自然治癒力を高める働きがあります。

⑤ ポスウェリア抽出物

ポスウェリア抽出物は、インドの乾燥高地に自生してるポスウェリアセラータを抽出したもので、古代よりアーユルヴェーダの伝承素材として用いられており、祭壇・寺院で瞑想の時などに使われてきました。

呼吸を深くゆっくりするリラックス効果の働きがあり、近年は関節痛・関節炎などの症状緩和も期待できる成分です。

⑥ ジンジャーエキス

ショウガの有効成分であるジンジャーロールには、酸化ストレスから体を守る抗酸化、抗炎症作用があり、胃腸の健康にも効果的に働きかけます。

関節炎の痛みは、プロスタグランジン、ロイコトリエンという物質が体内で作られることで起こります。 ジンジャーロールがこの2つを働きを抑え、慢性的な痛みの元を断ち切ります。

インドのアーユルヴェーダにおいても、関節炎や発熱を治療するために多用されてきました。
また、日頃酷使した筋肉痛及び関節炎の鎮痛作用にも効果的です。

まとめ

今回上げた成分は相乗的に怪我の回復に働きかけます。
サプリメントなどもグルコサミンだけを単体で摂らないで、有効成分を多く含んだ、フォーミュラータイプのサプリメントで摂る方が効果的です(^^)
また、前回のコラムで上げた基礎栄養素の摂取がベースになりますので、食事とサプリメントの両面からアプローチして怪我を撃退しましょう!
  • 三橋 忠
    加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院 代表
    ファイン・ラボフィット パーソナルトレーナー
    大手スポーツクラブのチーフトレーナー・責任者を経験した後、パーソナルトレーニングスタジオ店長として4年間勤務し、整形外科・接骨院でもキャリアを積み、2011年に加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院を開業。パーソナルトレーニングで年間3500 セッションの指導を行う。

    <資格>
    ・厚生労働大臣認定柔道整復師
    ・加圧スペシャルインストラクター
    ・米国認定ストレングス&コンディショントレーナー(NESTA-PFT)
    ・キネシオテーピングトレーナー

    <競技実績>
    2008年ボディビルMr茨城 準優勝
    2008年ボディビルMr茨城70kg以下級 準優勝
    2009年ボディビルMr茨城70kg以下級 優勝