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2012 大阪クラス別・マスターズ大阪・大阪ジュニア ボディビル選手権6月10日(日)エル大阪

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[ 月刊ボディビルディング 2012年9月号 ]
掲載日:2017.05.24
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あり余る筋肉を身につけたビルダーには、時として荒々しさも同居することが多いものである。しかしこの選手にその荒々しさという表現は適切ではない。美しいアウトラインからかもし出されるシルエットは見事のひと言である。

男子+75kg級

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十一名出場のライトヘビー級をフルマークで制した井上博樹、華麗なる荒々しさとでもいうべきであろうか、真に見事なマッシブな肉体の持ち主である。ここ数年毎回のように上位を賑わすも、消化不良の感のあったその美しくもマッシブな肉体の”ド迫力”のポ―ズに、ほぼ満席の会場がどよめいた。

バルクタイプにありがちな昨年までのやや甘めと思われる仕上がりの心配も杞憂に終わり、ディフ二ションの鮮明度が高まると同時に、アウトラインの美しさを形成する恵まれたウエストラインがことのほか冴えわたる。これでいささか不満の残る淡白なフリーポーズが改善されれば、ゲストポーザーとしてもいわゆる”銭”の獲れる選手である。今後の大活躍が予見できる今回、大舞台に向けた彼の動向には多いに注目してみたい。目の前でこのフィジークを見せられればたまらない。
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井上に完敗も二位の和所健の成長ぶりが目覚しい。フロントで見せるスケールの大きさはまさに重量級のそれ――。恵まれた骨格にバランス良く付着した筋肉の豊富さで、大阪や関西を席巻する日も近いと思われる。

そんな和所と僅少差の争いを演じたのが三位の福井豊である。この選手も和所同様、大いなる可能性を秘めた大阪の期待である。今後は筋密度の充実に向けてさらなる精進を待ちたい。
順位はつかなかったが会場を多いに湧 かせた+75㎏級の西條(左)

順位はつかなかったが会場を多いに湧 かせた+75㎏級の西條(左)

表彰台に届かずも、超ド級のバルクの持ち主西條正太郎、実力的に上位争いは衆目の一致するところ。完璧の仕上がりは今後の課題としたい。

男子75kg級

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これまで辛口コメントを呈してきた十名出場のミドル級の大原健吾、別人かと思われるその素晴らしい仕上がりには驚かされた。舞台映えのする選曲にも工夫の跡がみられ、フルマークの優勝も”なるほど”とうなづける。しかし激励の意味も込めて今回も辛口を呈したい。今後の大舞台での活躍を思う時、願わくばサイドポーズにいま少しの厚みがほしいものである。ボディビルダー大原健吾の筋量アップの”技”は如何なるものか、特と拝見したいものである。
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二位には安定感随一の泉昌弘、毎年のことながらその仕上がりに抜かりはなく、準優勝ではあるが三位以下をぶっち切った。その三位にこの数年、着実に前進してくる井上義雄、ボディビル連盟に携わる者として、選手が成長してくるのはまことに嬉しいものである。以下、四位岡田陽介、五位堀尾直太、六位にポーズを決めるごとに発する気合が”旗本退屈男”の上田晋三、彼のポーズの決め方は、これは今はもう私の楽しみのひとつになっている。

男子70kg級

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百二十五名の出場者を数えた今大会、中でもライト級は二十二名と最多である。そんな中、ここ数年凄まじい躍進ぶりの道田泰三が突出している。その昔――。今はボディビル界の重鎮、伊集院明也氏を重戦車のようなバルクと形容したボディビル雑誌があった。百六十センチの身の丈にぎっしりと詰め込んだ筋肉という”宝物”は、全く同様の重戦車であり、それは二位以下に大きく水を開ける圧勝劇となった。いささかブロッキー気味の体型も、キャリア豊富な道田選手ならポーズの工夫でカバー出来るはず。
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道田に完敗の二位以下のジャッジングは七者七様と大荒れである。鹿田、枡富、吉田、吉村、金田が入り乱れる。結果、二位に鹿田博義、三位枡富正紀、四位吉田勇貴、五位吉村雅也、六位金田豊和と続いた。このクラス、ジュニア準優勝の吉田勇貴が大健闘である。ボディビル競技の素晴らしさを物語る吉田の笑顔、印象に残ったのは私だけではないだろう。先の見えない今の時代、大切にしたいものである。

男子65kg級

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さて、先を急ぐことにしよう――。二十名出場のバンタム級は先の吉田同様、ジュニアから参戦の村上勝英の七位の健闘が光るこのクラス、制したのは坂口俊司である。”嫌がる上腕二頭筋”を無理やり発達させたような努力には頭が下がる。いつの日か、この彼の独特の右の上腕二頭筋が全国ネットに乗る日が待ち遠しい。
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坂口も含め、このクラスもかなりの混戦であった。二位にベテラン原裕幸、三位に大化けの雰囲気の漂う杉田智哉、四位は脚部の充実が目を引く田中義法、五位に一位票も混じった井野川基知、六位にマスターズでも活躍の北郷義昌と続いた。

男子60kg級

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中村大希のほどよく焼きこまれた体にはボディビルにかけた情熱がありありと伺え好感が持てる。

フライ級はこの優勝者の中村以下二十一名と、ここも大世帯であった。その中村、ほぼフルマークの票を集めるも、フリーポーズにはやや不満が残る。以下の順位は二位に中野和徳、三位場谷繁樹、四位石田章雄、五位外園恒昭、六位酒井一仁であった。初出場ながら五位に食い込んだダンディな男、外園恒昭には驚かされる。マスターズ(六十才以上)でも二位と大健闘、その驚きはキャリア一年と聞けばなおさらである。今後はそのダンディさを売り物に、マスターズの大御所登坂選手のように全国へ羽ばたいてもらいたいものである。

マスターズ40以上

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いつものようにマスターズ大阪、大阪ジュニアは結果の報告だけになることをお許し願いたい。

十三名出場のマスターズ四十才以上の優勝は田中義法、二位は吉村雅也、三位には金田豊和であった。

マスターズ50以上

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十五名と、出場ラッシュとなった五十才以上、ここはクラス別の覇者道田泰三が優勝、これに食い下がった二位北郷義昌の善戦が印象に残る。三位には次第に堅実身を増してくる妙瀬田安道と続いている。

マスターズ60以上

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五名出場の六十才以上の優勝は銭安武、表彰式で目を潤ませる彼の姿がボディビルの素晴らしさを物語る。二位にダンデイな男外園恒明、三位にベテラン細田一仁が続いた。

マスターズ65以上

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全員に優勝の評価を与えたいような六十五才以上の出場者も五名である。

今や大阪のマスターズを代表する感のある中野博之選手、そのステージには風格すら漂う。毎年如才なく仕上げる堅実な酒井仁選手も、これには脱帽。二位であった。まだまだ奥のありそうな松浦義光選手が三位、これは四位の中村康和選手も同様である。そして後塵を拝した格好のおなじみ寺本修選手が五位に続いている。

ジュニア

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最後になった――。少子化で大切にしたい大阪ジュニアの若者たち、多いか少ないかはわからない、今年は三名である。

クラス別で七位に食い込んだ村上勝英が、昨年に続き二連覇を達成。二位はこれもクラス別で大活躍の吉田勇輝、三位には二人に後塵を拝した古川豪輝であったが、そのレベルはなかなかのもの。今後が多いに楽しみな三名である。

大阪のボディビルは、この後日本選手権を睨む九月二十三日、無差別級の猛者が集結するオーバーオール大会へと暦をすすめてゆく。稿の終わりに際し、会場よりの帰路、六月十日の夕日が格別に美しかったことをつけ加えておきたい。
レポート:
大阪ボディビル連盟相談役・吉川雄士
写真提供:
大阪ボディビル連盟

[ 月刊ボディビルディング 2012年9月号 ]