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2008年第54回男子日本ボディビル選手権大会観戦レポート

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[ 月刊ボディビルディング 2009年1月号 ]
掲載日:2017.05.23
ここ数年におけるミスター日本の王座をめぐる戦いは、合戸孝二選手と谷野義弘選手の二人の優勝経験者が中心となって動いている。鎧を纏ったような、重量感のある分厚い筋肉を持つ合戸選手に対し、ディフィニッションに富み、密度の高い筋肉を持つ谷野選手の戦いだ。その二人の戦いに、アウトラインに優れた須江選手とスケールが大きくバルクのある今中選手が絡み、四強の様相を呈している。その四強のすぐ背後に迫るのは、大きなスケールとバルクを誇る下田雅人選手と、こちらも巨大なバルクを誇り、そこに高い密度を感じさせる木澤大祐選手の二人だ。

そんな上位陣の熾烈な争いの中で忘れてはいけないのが、相川浩一選手の存在だろう。高い密度とカットを持ち、過去の日本クラス別大会において、常勝と言われた小沼敏雄選手を破り、さらに、全日本を制した年の谷野選手に勝利した戦歴の持ち主だ。そして、もう一人。丸みのあるバルキーな筋肉を持つ鈴木雅選手の活躍にも期待が集まる。バランス良く発達した筋肉の存在は、調整次第では一気に優勝争いに加わってもおかしくない高いポテンシャルを感じる。

一次ピックアップ(全出場選手← 20名)

第―次ピックアップの最初のコール。左より高木、征矢、内藤、田沢、平田。カットの鋭い高木。田沢に対し内藤、平田は筋肉の大きさで目を

第―次ピックアップの最初のコール。左より高木、征矢、内藤、田沢、平田。カットの鋭い高木。田沢に対し内藤、平田は筋肉の大きさで目を

全出場選手の中から上位20名に絞り込む一次ピックアップだが、早くも実力のある選手達が比較を受ける厳しい試練の場となった。この時点で比較を受けることは、入賞への可能性を否定されることになるのだが、中堅の位置を確認できるラウンドでもある。
①高木昇、征矢洋文、内藤隆之、田沢春男、平田隆
②中澤智之、松村幸大、本多琢磨、新井弘道、内藤隆之
③小田敏郎、征矢洋文、児玉賢太郎、増田卓也

以上の12名の選手により、上位20位内ヘのサバイバル戦が行われた。最初の組では、仕上がりが良くカットのある高木選手と田沢選手、そして、プロポーションの良い征矢選手らともに比較を受けた内藤選手と平田選手の大きさに目が留まった。脊柱起立筋の盛り上がった密度の高い分厚い背中を持つ内藤選手に対し、平田選手の肩幅の広いスケールの大きな体幹部も負けていない。
久し振りに出場の新井弘道はまさにカットの”鬼”であった。特に大腿部のそれは解剖図を見るかのようにくっきりセパレートしていた

久し振りに出場の新井弘道はまさにカットの”鬼”であった。特に大腿部のそれは解剖図を見るかのようにくっきりセパレートしていた

今年の東日本チャンピオンの本多琢磨。ハードな質感に、挑戦者らしい意欲が感じられた

今年の東日本チャンピオンの本多琢磨。ハードな質感に、挑戦者らしい意欲が感じられた

今年の東日本チャンピオンの本多琢磨。ハードな質感に、挑戦者らしい意欲が感じられた
2組目では、本多選手と新井選手のハードな質感に目がいった。本多選手は今年の東日本を制した選手だが、張りのある大胸筋に深いカットを走らせ、非常に意欲的なステージングで、挑戦者としての勢いを感じた。対する新井選手の仕上がりも良い。全身の各パーツにマッスルコントロールで深いカットを刻みつけるその筋肉のインパクトは強烈だ。

3組目ではモヒカンヘアーの小田選手が、そのヘアースタイルを含めて目を引いた。そして、今年の大阪を制した増田選手もいい。スタイルが良く、全身に丸みのある筋肉をバランスよく発達させた選手だ。筋肉には存在感はあったが、ポーズや表情が大人しく、インパクトに乏しい印象だ。筋肉の質感を上げ、メリハリの利いたポージングと積極的なステージングを磨けば面白い存在になりそうだ。

個性のある選手たちの中で、ベテランの村松選手と新井選手、そして小田選手の3選手がこの一次ピックアップの比較審査を勝ち残り、次のラウンドに進んだ。

入賞を賭けた戦い〈二次ピックアップ〉(20名→ 12名)

セカンドコール。左より中澤、村松、本多、新井、内藤。この組みでは新井と本多のハードな質感に目がいく

セカンドコール。左より中澤、村松、本多、新井、内藤。この組みでは新井と本多のハードな質感に目がいく

サードコール。左より小田、征矢、児玉、増田。今年の大阪チャンピオン増田は、全身に丸みのある筋肉をバランス良く発達させた選手だ

サードコール。左より小田、征矢、児玉、増田。今年の大阪チャンピオン増田は、全身に丸みのある筋肉をバランス良く発達させた選手だ

第二次ピックアップのファーストコール。左より片川、林、西田

第二次ピックアップのファーストコール。左より片川、林、西田

セカンドコール。左より奥村、山田、中武、片川、佐藤。タイプの違う5選手であっただけに、見応えのある比較であった

セカンドコール。左より奥村、山田、中武、片川、佐藤。タイプの違う5選手であっただけに、見応えのある比較であった

サードコール。左より佐藤、村松、中武、片川、奥村。

サードコール。左より佐藤、村松、中武、片川、奥村。


上位20名に残った選手を、さらに12名にまで絞り込むこの二次ピックアップは、入賞圏内に残るための最後の戦いの場だ。入賞経験を持つベテラン選手を中心にした厳しい戦い模様を見せた。

①片川淳、林英二、西田哲之
②奥村武司、山田幸浩、中武克雄、片川淳、佐藤貴規
③佐藤貴規、村松幸大、中武克雄、片川淳、奥村武司

入賞圏内を直前に睨んだボーダーライン上の争いに、8名の実力選手が競い合った。ここまでくると、是が非でも入賞圏内に残りたいところだ。そんな当落線上のギリギリの戦いの場に、全日本大会に初挑戦という選手が勝ち残っている。それは、山田選手と佐藤選手の2人だ。山田選手は、今年のジャパンオープンと関東を制し、今大会での活躍に期待が集まる注目の選手である。そして、佐藤選手は東アジア大会の65kg級を昨年、今年と連覇した軽量級の実力者だ。

この二次ピックアップでの2組目の比較は見応えがあった。奥村選手、山田選手、中武選手、片川選手、そして佐藤選手の5選手の戦いだ。タイプの違いこそあれども、どの選手が勝ち残ってもおかしくない実力者同士の戦いだ。アウトラインでは山田選手と中武選手が目を引くが、張リ出しのある筋肉を持つ佐藤も良い。そして、厚みのある体幹部に密度のある大胸筋を持つ奥村選手と、全身にカットを刻みこむ片川選手も負けていない。

結局、筋バランスとアウトラインに優れた山田選手と中武選手の2人が最後の関門をくぐり抜け、入賞圏内進出への切符を手にした。

ファイナル進出者

須江正尋、合戸孝二、近藤賢司、鈴木雅、山田幸浩、谷野義弘、中武克雄、下田雅人、相川浩一、木澤大祐、今中直博、井上浩

〈予選審査〉(順位付け)

入賞の12人が揃い、いよいよ王座獲得に向けた戦いの火蓋が切って落とされた。

①鈴木雅、下田雅人、合戸孝二、須江正尋、谷野義弘、木澤大祐
②木澤大祐、谷野義弘、須江正尋、合戸孝二、今中直博
③近藤賢司、今中直博、木澤大祐、下田雅人
④近藤賢司、山田幸浩、中武克雄、相川浩一、井上浩

ファーストコールの激しいバトル

予選審査、順位付けのファーストコール。左より鈴木、下田、合戸、須江、谷野、木澤。このポーズでまず目を引くのが須江だ。丸みを帯びた

予選審査、順位付けのファーストコール。左より鈴木、下田、合戸、須江、谷野、木澤。このポーズでまず目を引くのが須江だ。丸みを帯びた

バックのダブルバイセップスでも、須江が良かった。体型的に胴が短く、長い腕を持つているため、幅を表現しやすいタイプなのだが、それに

バックのダブルバイセップスでも、須江が良かった。体型的に胴が短く、長い腕を持つているため、幅を表現しやすいタイプなのだが、それに

サイドトライセップスでは、谷野に目がいく。決して腕が太いタイプではないのだが、ポーズをトータルパッケージとして見せることで、全体

サイドトライセップスでは、谷野に目がいく。決して腕が太いタイプではないのだが、ポーズをトータルパッケージとして見せることで、全体

アブドミナル&サイは、谷野の得意とするポーズだ。クレパスのように深く刻まれた白線から隆起する腹直筋のセパレーションは強烈なインパ

アブドミナル&サイは、谷野の得意とするポーズだ。クレパスのように深く刻まれた白線から隆起する腹直筋のセパレーションは強烈なインパ

表彰台争いの上で最も重要な比較となるファーストコールの顔ぶれに注目が集まる。昨年表彰台を占めた、合戸選手、谷野選手、須江選手と共に、鈴木選手、下田選手、木澤選手が呼ばれたのだが、このファーストコールの比較の中に昨年4位の今中選手の姿がなかった。成長著しい若手の注目株の一人である鈴木選手に取って代わられた格好だ。ミスター日本の頂点へ期待の掛る今中選手だが、今年の仕上がりは甘かった。減量途中のような中途半端な状態での参戦となってしまったのだ。スケール感とバルクを併せ持つ大型選手なのだが、筋肉のセパレーションがぼやけていて、いつものような重量感のある筋肉の状態が伝わってこない。残念ながら、この時点で表彰台争いから一歩後退となった。

ファーストコールのラインナップの6人を見ると、さすが全日本のトップクラスの選手だ、どの選手もタイプの違いこそあれ、素晴らしいインパクトを放っている。そうしたハイレベルな選手たちの中で、まず合戸選手の充実感が目に飛び込んできた。細かいカットこそないが、重量感のある密度の高い筋肉が隙間なく全身を覆っている。そして、スケールの大きな下田選手も良い。直線的なアウトラインではあるが、大筋群の発達したバルクのある体は存在感がある。

●ダブルバイセップス

フロントダブルバイセップスでは、須江選手の伸びあがる筋肉が目を引く。湧き上がるように広がる広背筋が作り出す半円状のアウトラインは、他の選手にはない圧倒的なスケール感を醸し出している。ポーズの決め感もよく、強烈なインパクトを感じる。ただ、迫力のある上体に対し、脚部のボリューム感の弱さは否めない。それでも、上体とのアンバランスが生じないように、大腿前面にカットを作り出し、太く見えるように脚の形を工夫するなどの努力が見えた。

須江選手のような丸味を帯びた背中のラインはないが、下田選手も良い。大きなフレームに筋量豊かな上体を持っているため、スケールの大きさが感じられる。

一方、ラインナップでは迫力のある筋肉が目を引いた木澤選手だが、このダブルバイセップスでは窮屈な苦しいポージングだ。背中の幅が出てこないのだ。僧帽筋に力が入り、内向きに筋肉の意識が働いてしまっているようだ。しかし、広がりのあるアウトラインこそないが、上腕二頭筋の存在は圧巻だ。内側にはみ出さんばかりに幅と厚みを持った筋肉が、そびえ立つようにピークを形作っている。筋量、形ともに素晴らしい。

●ラットスプレット

フロントラットスプレットでは、やはりここでも須江選手の背中のアウトラインが目を引く。腕との隙間が埋まるほどに広がる背中は、上体の充実感を否応なしに訴えかけてくる。この背中の存在感は圧倒的なアドバンテージだ。

須江選手の完成されたポーズほどではないが、鈴木選手もなかなか良い。丸みを持って外側に張り出す筋肉には欠点が少なく、どのようなポーズをとってもさまになる。特にフロントサイドのポーズでは重量感や大きさを感じる。

そして、ポーズの決め感は弱いが、下田選手の大きさにも目がいく。スケール感があり、スタイルの良さが感じられる。しかし、背中を拡張する時の胸郭の立ち上げが弱いため、ポーズがピタッと決まり切っていないような曖昧な印象を受ける。しっかりと胸郭を立ち上げる事で背中のコントロール感がつかめるようになるだろう。

そんな中、合戸選手が独特のポーズテクニックを見せていた。それは、他の選手が、胸郭を立ち上げながら背中を拡張させるのに対し、合戸選手は胸郭をあまり立ち上げずにフレームポジションを定め、腹筋のカットを見せるようにしてポーズを完成させているのだ。通常のような背中の作り出す筋肉の形を見せるわけではなく、僧帽筋から肩、そして腕が作り出す、まるで山が連なるように丸く張り出す筋肉によりアウトラインを作り出し、胸郭の立ち上げを抑え気味にしたことで、大胸筋から腹筋にかけて厚みとカットを強烈にアピールしている。広げるためのポーズであるはずなのに、まるでマスキュラーポーズをとった時のような、分厚く重量感のある筋肉表現をしているのだ。こういったポーズ表現をする選手は以前にもいたが、大概は広がり感を演出することができず、小さく詰まったような格好になってしまっていた。しかし、合戸選手の場合は張り出しの大きな筋肉とフレームのバランスがうまくマッチしているようで、詰まったような無理な印象を受けないインパクトの強いポーズを完成させている。
順位付けセカンドコール。左より木澤、谷野、須江、合戸、今中。このポーズでは合戸が、他の選手とは違ったポーズの取り方をしていた。非

順位付けセカンドコール。左より木澤、谷野、須江、合戸、今中。このポーズでは合戸が、他の選手とは違ったポーズの取り方をしていた。非

サイドチェストでも、合戸の分厚い筋肉で存在感をアピールしている。木澤もサイドポーズとなると、物凄いインパクトを発してくる

サイドチェストでも、合戸の分厚い筋肉で存在感をアピールしている。木澤もサイドポーズとなると、物凄いインパクトを発してくる

●サイドチェスト

サイドチェストでも合戸選手の分厚い筋肉は存在感を示している。岩のように盛リ上がった大胸筋を″どうだ″とばかりに突き上げるようにアピールする。体幹部の厚みと相まって、正に筋肉の塊といった印象を受けた。

サイドチェストに関しては、そんな重量感溢れる筋肉を持つ合戸選手の独壇場と思われたが、その迫力に負けない存在感を見せる選手がいた。木澤選手だ。片幅が狭く、背中の広がりに欠けるために、正面のポーズでは幅のあるアウトラインを作り出すのに苦しむが、サイドポーズとなると圧倒的なバルクが活きてくる。僧帽筋から上腕、そして前腕と続く丸々と張り出した筋肉の連なりは、もの凄いインパクトを発している。さらに、大腿部のボリュームと筋密度も上体に負けない素晴らしいものがある。

そして、鈴木選手も良い。張り出しの大きな筋肉の形が、球体のような丸みを持っている。そうした筋肉の形状が作り出す肩や腕もいいのだが、それ以上に大腿のボリューム感溢れるフォルムはインパクトがある。大腿前面だけではなく、ハムストリングスにも丸みのある筋発達を見せていた。
順位付けサードコール。左より近藤、今中、木澤、下田。ラットスプレッドでは、近藤のインパクトが強い

順位付けサードコール。左より近藤、今中、木澤、下田。ラットスプレッドでは、近藤のインパクトが強い

昨年4位の今中は、仕上がりの甘さがトップ争いに食い込めなかった要因か

昨年4位の今中は、仕上がりの甘さがトップ争いに食い込めなかった要因か

サイドポーズとなると圧倒的なバルクが活きてくる木澤。僧帽筋から上腕、そして前腕と続く丸々と張り出した筋肉の連なりは、もの凄いイン

サイドポーズとなると圧倒的なバルクが活きてくる木澤。僧帽筋から上腕、そして前腕と続く丸々と張り出した筋肉の連なりは、もの凄いイン

バックラットスプレットでは、木澤は背中を拡張する支点となるウエストヘの手の置き方に他の選手との違いを見せていた

バックラットスプレットでは、木澤は背中を拡張する支点となるウエストヘの手の置き方に他の選手との違いを見せていた

●バックダブルバイセップス、バックラットスプレット

バックのダブルバイセップスでは、須江選手が良かった。体型的に、胴が短く、長い腕を持っているため、幅を表現しやすいタイプなのだが、それに加えて、ポージングスキルが高い。背中、肩、腕と続く筋肉のバランスも良く、筋肉の形が鮮明に見えている。そして、ラットスプレットもいい。肘と肘を引き寄せ、一端畳むように狭く見せた背中を一気に広げるアクションが広背筋の広がりを強く印象づける。

ポージングの上手い須江選手とは対照的に、下田選手は背中の筋肉を上手くコントロールできていないように感じた。フロントでは密度の高い筋肉を見せるのだが、バックでは別人のように筋肉の表情が弱くなってしまう。普段の姿勢でも大きな僧帽筋が覆い被るような格好で首を前に出す癖があるようで、そのため胸郭が立ち上げにくくなっているようだ。フロントポーズでは密度感のある体幹部と巨大な肩や腕のバルクに目が取られ、それほど気にならないのだが、バックポーズになると胸郭のコントロールの悪さが顕著に見える。それは、バックダブルバイセップスで感じる背中の質感の弱さに表れている。上手く胸郭をコントロールできないため、背中の各筋肉にテンションが掛けられず、筋肉に張りのある固い表情を作り出せていないのだ。溢れるばかりの大きな筋肉を持っていながら勿体ないことだ。しかし、もし下田選手が胸郭の立ち上げを身に付け、それに応じた背筋群の神経コントロールを得たならば、スケール感のある強烈なインパクトを放つバックポーズを見ることになるだろう。

バックラットスプレットでは、木澤選手は背中を拡張する支点となるウエストヘの手の置き方に他の選手との違いを見せていた。通常は手首を立てた状態で支点としてポーズをとるが、木澤選手の場合は手首を折り曲げることにより、腕と背中の隙間をなくして背中の広がり感を引き立たせようとしたようだ。そのようなポーズの取り方をすると、両腕の肘から肘にかけての間隔が狭まり、全体のシルエットが小さくなってしまうのだが、頭部が小さい木澤選手の場合、全体のパッケージを崩すことなく、むしろスケールを感じるポーズとなっていた。

●サイドトライセップス

トライセップスポーズでは、ほとんどの選手が自慢の上腕三頭筋の筋量を強調しながらポーズをとるが、そんな中、谷野選手がバランスの取れたまとまりのあるポージングを見せていた。決して腕が太いタイプではないのだが、ポーズをトータルパッケージとして見せることで、全体が持つ筋肉の密度やカットがバランスよく表現されている。

そして、木澤選手も良い。筋量に加え、体全体が発する密度感に溢れている。ただ、木澤選手のポージングで気になったのが、ポーズをとる時に、筋肉の状態を確認しようと何度も下を向く癖があることだ。有リ余るような筋肉を持っていながら、落ち着きなく視線を落とすので、ポーズの決め感が弱い。視線を上げ、堂々とポーズをとると、さらにインパクトが増すはずだ。

●アブドミナル&サイ

アブドミナル&サイは、ディフィニッションに優れた谷野選手が得意とするポーズの一つだ。クレパスのように深く刻まれた白線から隆起する腹直筋のセパレーションは強烈なインパクトがある。そして、腹部に負けない深いカットを持つ大腿がパッケージバランスの良さを示している。

その他の選手の比較審査

比較の最後の組では、近藤選手、山田選手、中武選手、相川選手、井上選手の5人が呼ばれた。入賞の中盤以降の順位を決める組み合わせだ。

ラインナップの段階では、山田選手のプロポーションの良さが目についた。細く引き締まったウエストを持ち、そこから広がりのあるアウトラインを見せていた。そして、スケール感では、フレームの大きな井上選手も存在感がある。その中で、近藤選手はスケールのある選手たちの中で劣勢を強いられているような印象を受けた。
順位付け第4コール。左より近藤、山田、中武、相川、井上。初出場ながら、背中のラインが美しい山田がこのポーズでは存在感を見せつける

順位付け第4コール。左より近藤、山田、中武、相川、井上。初出場ながら、背中のラインが美しい山田がこのポーズでは存在感を見せつける

バックのラットスプレッドでも、細いウエストから丸みのある背中の山田が目を引く。また、背中の筋肉に丸みのある近藤もスケールのある選

バックのラットスプレッドでも、細いウエストから丸みのある背中の山田が目を引く。また、背中の筋肉に丸みのある近藤もスケールのある選

アブドミナル&サイでもカットの鋭い相川、近藤が目立っていた

アブドミナル&サイでもカットの鋭い相川、近藤が目立っていた

●ダブルバイセップス

ダブルバイセップスでは、スケールの大きな井上選手や積極的にアピールする相川選手とともに、山田選手が良い。細いウエストから伸びやかに広がる背中のラインが美しい。カットこそ乏しいが、大腿部のフォルムもボリューム感のある丸みを見せていた。

●ラットスプレット

ラットスプレットでは近藤選手がインパクトを見せてきた。ラインナップの段階では、大きな選手に隠れるような印象を受けた近藤選手だったが、いざポージングをとり始めると筋肉に密度のある迫力ある表情が浮き出し、他の選手とのスケール差が詰まり、堂々とした戦い模様を見せ始めた。ベテランだけに筋肉表現にも慣れが感じられ、インパクトを感じる非常に安定したポージングを見せた。

そして、スケール感のある中武選手もいい。頭部が小さく手足の長いプロポーションをしているためとても舞台映えがする。そして、外に大きく張り出した大腿はどっしりした安定感をポーズに与えている。

●サイドチェスト

サイドチェストでは、ざっくりと深く削られたストリエーションを見せる大胸筋と、大腿部のサイドに刻みつけたスウィープカットを持つ相川選手が目を引く。

中武選手は、今回は仕上がりに甘さを残していたためにインパクトに欠けるが、仕上がりを詰めて、カットを刻み込んできたら面白い存在になるだろう。

サイドチェストでは、近藤選手と相川選手が迫力ある質感を放っていた。両選手とも仕上がりが良く、密度が高いので、力を入れると筋肉の表情が浮き出てくる。そして、山田選手の大腿のボリュームも良い。カットこそ弱いが、その筋肉の丸みのある形は見事だ。

●バックダブルバイセップス

バックダブルバイセップスでは、相川選手が固く引き締まった筋肉に深いセパレーションを見せていた。広げようと意識する肩甲骨が、逆に内側に引き寄せられるほど力を込めているため、背中の作り出すアウトラインの広がり感は強くないが、背中の筋肉群が作り出す密度には凄まじい迫力を感じた。

●バックラットスプレット

バックラットスプレットでは、細いウエストから柔らかな丸みのあるラインを描きながら広がる山田選手の背中が目を引いた。山田選手は筋肉全体のバランスが良く、アウトラインの完成度が高い。仕上がりも良く、上体のディテールには目を見張るものがあるが、個々の筋肉の境界付近の立ち上がりが緩やかなため、セパレーションが強く出ていないようだ。鮮明なセパレーションを手に入れることで、筋肉のハードな表情を作り出せるだろう。

背中の筋肉の丸みのあるシェイプは近藤選手も良かった。筋肉のポテンシャルを充分に引き出し、スケールのある選手に負けない大きな広がりと、インパクトのあるポーズを作り出していた。

●サイドトライセップス

サイドトライセップスでは、近藤選手と相川選手の密度のあるハードな筋肉に迫力を感じた。近藤選手の場合、真正面を向いてのポーズでは背が高く、片幅のある選手とのスケールにやや苦しむが、サイドポーズでは本領を発揮し、持ち味の筋肉の質の高さでインパクトを見せる。

中武選手と井上選手にもスケールを感じたのだが、それ以上に山田選手の上腕三頭筋には目を奪われた。上腕三頭筋の外側頭に強い表情を持つ選手は多いが、山田選手のように、上腕三頭筋の長頭が見せる筋腹の長い大きな膨らみを持つ選手はあまり見かけない。山田選手に特徴的なキャラクターを与えている筋肉だ。

●アブドミナル&サイ

アブドミナル&サイでも、近藤選手と相川選手の仕上がりのいい筋肉とカットが際立っていた。相川選手は筋肉の凄みは伝わるのだが、気合いが入り過ぎているためなのか、力みを感じたが、近藤選手は、固く詰まった筋肉の表情を全身のパッケージで上手く表現していた。

〈決勝審査〉(フリーポーズ)

予選審査のように、予め決められた規定のポーズによる筋肉表現ではなく、選手各自が自由に構成した演技と音楽を組み合わせて行う一分間のフリーポージングにより決勝の審査が行われた。このフリーポーズでは、予選の規定ポーズでは表現することができない独創性や芸術性などを披露する機会でもある。そこで下された評価と予選審査での評価を合わせた上で最終的な順位が決定される。規定ポーズでは力を出し切れなかった選手も、このフリーポーズで自己の持つ筋肉の特徴を活かし、インパクトのある演出をすることで高い評価を得て順位を上げることが可能だ。

それでは順位を発表しながら、各選手の印象を伝えていこう。

1位‥合戸孝二選手

昨年、今年と連覇を果たしV3を達成した合戸選手。フリーポーズでは、分厚く高密度の筋肉で覆われている体の特徴を活かし、小細工なしにストレートに筋肉を表現している。特にマスキュラー系で見せるポーズでは、全身が一体化したような塊感を見せていた。

合戸選手の優勝は、全ての審査員が1位票を投じるパーフェクトスコアでの完全優勝だ。この優勝は合戸選手が舞台上に登場した瞬間から、その圧倒的な筋肉の存在感により、審査員だけでなく会場全体が意識させたれていたようだった。レベルの高いミスター日本の舞台で、それだけ強いインパクトを発していたということだ。今後のさらなる活躍に期待したい。

2位‥須江正尋選手

須江選手の心憎いまでの見事な演出に完全に魅了された。それは、予選や決勝の枠にとらわれず、ステージ上にいる全ての瞬間を演出するものだ。特に得意のフリーポーズでは、完璧なポージングルーティンで、自己の持つ魅力を最大限に引き出した芸術的な素晴らしいものであった。ポーズ表現に幅を出すために行うプレアクションが、次に現れる筋肉に期待感を持たせ、筋肉のインパクトをさらに高めているようだ。腕を曲げ、肘を寄せて背筋群のカットを強調させておき、そこから筋肉の表情を変えながら段階的に広げていくバックダブルバイセップスでは、引き込まれるような躍動感が伝わってきた。

須江選手の場合、他の選手よりも力むような強い力を筋肉に与えてポーズが取れるようだ。通常、力むような強い力を筋肉に込めると、筋肉の強い収縮により、固く盛り上がった筋肉の表情は作れるのだが、全体のシルエットが縮こまってしまうものなのだが、須江選手の場合、力の配分が上手く、シルエットを崩さずに必要な筋肉のみに大きな力を込めることができるようだ。そのことにより、豹変するように迫力が増す筋肉の力強い表情を作り出すことができるのではないだろうか。

ジャッジ表によると、谷野選手と2位を激しく争ったことが窺える。予選、決勝を通じ、谷野選手と2ポイント差のトータル4ポイント差での2位獲得である。優勝した合戸選手に迫るような強いインパクトを持っていたが、圧倒的な上体を持つ反面、脚部に弱点を持っていることから2位争いに甘んじることになったと考えられる。脚部にボリュームをつけ、上体に負けない迫力ある筋肉の表情を手に入れたならば、優勝が現実味を帯びてくるだろう。

3位‥谷野義弘選手

2度の優勝経験を持つ谷野選手。ハードトレーニングで鍛え込まれた、ぎゅっと押し込められたような密度感のある筋肉を持つシンメトリーに優れたバランス型の選手だ。立ち上がりの鋭い筋肉の輪郭は、くっきりとした鮮明なセパレーションを見せている。体幹部から完全に独立しているかのように立体的に形作られた大胸筋の発達は見事だ。また、鍛え込まれた腹部は、みぞおちから縦に深く伸びる白線から腹直筋がしっかりと隆起を見せ、まるで石を並べたような高い密度を感じさせる。

フリーポーズでは、オリジナリティー溢れる変則的なポーズを取り入れ、メリハリのある力強い演出によりインパクトを感じた。上腕部にはボリュームをつけ、再び優勝を目指して欲しい。

4位‥木澤大祐選手

昨年はライバルの下田選手に一歩先を行かれたが、今年は過去最高の絞り込みで意地を見せた。2位票を投じた審査員もいるほど、圧倒的なインパクトを持っている選手だ。骨格的には肩幅が狭く広がり感には欠けるが、筋量と筋密度の高さは特出している。特に、はす構えで見せる筋肉の凄みを放つ大きさは圧巻だ。

フリーポーズでは、とにかく力を込めて筋肉を見せつけるようとする表現に偏っていて演出力は感じられなかった。筋肉の迫力にこだわり過ぎず、もう少しポージングに強弱の流れを作るようにすると、メリハリがつき、さらにインパクトが増すだろう。

今回は表彰台の下での下田選手とのライバル対決だったが、来年は、優勝争いでのライバル対決を実現してもらいたい。

5位‥下田雅人選手

昨年は厳しい絞り込みを見せ、表彰台に迫る勢いで注目を集めた下田選手。日本人離れしたスケール感と野性的な雰囲気を持つバルク型の選手だ。仕上がりもよく、フロントポーズでは圧倒するような存在感がある。しかし、フロントで見せる筋肉の表情とバックで見せる筋肉の表情に極端な違いを感じる。フリーポーズでは、表情には闘志を感じるのだが、ポージングモーションが小さく、ポージング全体の構成も弱いのでインパクトが薄いと感じた。背中の筋肉に密度の高いハードな表情をつけ野性味溢れる力強いポージング演出をすれば、一気に優勝争いを演じることとなるだろう。

ジャッジ表による下田選手の審査を見ると、やはりライバルの木澤選手と比較しながらの審査であったことが窺える。予選審査では、迫力のある筋肉を誇る木澤選手に対し、バルクのある大きなスケールで真っ向勝負を挑み、全くの同ポイントであったが、決勝のフリーポーズで木澤選手に対して僅か1ポイント差で逃げ切られ5位となっている。

優勝争いを演じられる実力を持つ選手だけに、下田選手に対する周囲の期待は大きく、常に前回以上のインパクトを求められることだろう。今回のこの悔しさをバネにして、さらなるインプルーブに期待したい。

6位‥今中直博選手

毎年優勝を期待されながら、表彰台まであと一歩というポジションから抜け出せない今中選手。木澤選手と下田選手に勝るとも劣らぬ巨大なバルクを持つ選手だ。特に張り出しの大きな大腿部の発達は、大地にどっしりと根を張る大木のような安定感がある。しかし、今回は仕上がりが甘く、持ち味の大筋群の発達した密度の高い筋肉を感じられなかった。比較審査での規定ポーズでは、表情をあまり見せなかった筋肉だが、決勝のフリーポーズになると得意のマスキュラー系の絞るポーズで密度の高い筋肉を見せていた。

優勝争いを演じられるポテンシャルがありながら今回の仕上がりは残念だった。来年は本来の実力を発揮し、迫力のある筋肉を見せて欲しい。

7位‥鈴木雅選手

毎年インプルーブし、徐々にその順位を上げ、将来を嘱望される鈴木選手。全体的にバランス良く筋肉が発達しているバルク型の選手だ。大胸筋から三角筋、そして上腕筋へと張り出しのある立体的な丸みのある筋肉で覆われている。また上体以上に、大腿部はどこから見ても丸みを感じるほどの筋量を誇る。特にサイドポーズで見せる大腿部の質感とボリュームは特出するものがある。しかし、丸々とした前面の筋肉に比べ、背中の筋肉は厚みに欠けるように感じた。

フリーポーズでは、一つ一つのポーズをしっかりと形作り、丁寧に演じていた印象だ。しかしその反面、淡々としていて盛り上がりを欠くポージング演出になってしまっているようにも感じた。ポーズそのものは上手いので、もう少しメリハリのあるポーズ構成とすることで、ぐっとインパクトが増すだろう。

審査表により、鈴木選手と今中選手の熾烈な6位争いが明らかになった。予選審査の規定ポーズの比較では、鈴木選手が1ポイント差で今中選手をリ―ドしたのだが、決勝のフリーポーズでは逆に1ポイント差をつけられ今中選手にリ―ドを許すことになり、その結果トータルで全くの同ポイントとなった。結果的には7位という結果になったが、今中選手と互角の戦いを演じたことで、そのポテンシャルの高さを示すこととなった。

8位‥相川浩一選手

密度の高い筋肉を持ち、ノミで削ったような深いカットを見せる相川選手。予選では、強い気迫を感じるのだが、それが逆に力みにつながり、直線的なアウトラインとなってしまったようだ。

フリーポーズでは、力みが取れたのか、固く中身の詰まった密度の高い筋肉に、ザックリと深くえぐられたようなカットを刻みつけ、迫力のあるポージングを見せていた。

怪我のためなのか、大腿の膝上のボリュームが落ちたようだが、そこを改善すれば、以前の重量感を取り戻し、表彰台争いに名を連ねることとなるだろう。

9位‥近藤賢司選手

まさに皮一枚と言った厳しい仕上がりを見せる近藤選手。比較審査ではライバル選手たちのバルクにやや圧される感もあったものの、フリーポーズでは、持ち前の筋肉の質感を活かし、舞台の幅を大きく使ったダイナミックな演出で、力強いポージングを見せていた。大腿部の外側の張り出しが増せば、全体のバランスが向上し、さらに迫力が増すだろう。

10位‥井上浩選手

毎年入賞しているベテランの井上選手。広い肩幅と長い手足が日本人離れしたスケールの大きさを作り出している。仕上がりが良く、くっきりと浮かび上がる上体の筋肉のセパレーションに迫力を感じた。

フリーポーズでは、長い手足を活かした大きな動きで各ポーズをつなぎ、スケール感を演出していた。しかし、フレームが大きいために筋肉の厚みを感じにくいようで、どうしても大味な印象を感じてしまう。フレームを感じさせない筋量が付けば一気に上位を狙えるはずだ。

11位‥中武克雄選手

昨年10位の中武選手。今年は仕上がりが甘く、順位を一つ落とす結果となった。小さい頭部と長い手足を持つ、ステージ映えのするプロポーションの良い選手だ。競輪で鍛えた大腿は、張り出しの大きな素晴らしい筋肉の形を作り出している。幅の広い見事な筋発達を見せるカーフは立体感が際立っている。しかし、全体的にはスムースで、筋肉の迫力が伝わってこなかった。それは、ジャッジ表にも表れており、二次ピックアップでは3ポイントしか獲得することができず、まさに薄氷の踏む思いでのファイナル進出となっている。

フリーポーズでは、丁寧なポーズの組み立てで、プロポーションと筋肉のバランスの良さが感じられた。

スケール感のあるパッケージをしているだけに、厳しく仕上げてカットを鮮明に浮き出すことができれば、さらに上位を狙える存在だ。

12位‥山田幸浩選手

今年のジャパンオープンと関東大会を立て続けに制覇した山田選手。X字型の素晴らしいプロポーションを持つ選手だ。細く締まった関節から弧を描くように伸びる筋肉が美しいアウトラインを作り出している。太く形の良い上腕部には目を引かれる。特に上腕三頭筋の発達は素晴らしく、肘関節から始まる筋腹の長い長頭が上腕の存在を際立たせているようだ。予選審査では腹の決め所を探るような、曖昧なウエスト周りのポジショニングを感じたが、フリーポーズでは、演出力のある素晴らしいポージングを見せた。ポーズとポーズのつなぎが上手く、メリハリも利いている。全体的に筋肉のバランスが良いので、このまま筋密度を増し、硬い仕上がりを見せればさらに上位を狙えるだろう。

二次ピックアップでは、ファイナルヘの生き残りを賭けた当落線上での比較を中武選手とともに勝ち上がってきたのだが、その後の予選審査で、中武選手を1ポイント差で抑え11位とリードした。その後の決勝審査のフリーポーズで逆転され、トータルで2ポイントの僅差で12位となった。

今回は入賞圏内ぎりぎりでの12位であったが、プロポーションに優れ、筋肉の完成度が高い選手なので、脚部にセパレーションを出し、全体にハードな質感を作り出せたなら、一気に上位選手の仲間入りをするだろう。
優勝★合戸孝二(静岡)

優勝★合戸孝二(静岡)

2位★須江正尋(東京)

2位★須江正尋(東京)

3位★谷野義弘(東京)

3位★谷野義弘(東京)

4位★木澤大祐(愛知)

4位★木澤大祐(愛知)

5位★下田雅人(社会人)

5位★下田雅人(社会人)

6位★今中直博(大阪)

6位★今中直博(大阪)

7位★鈴木 雅(東京)

7位★鈴木 雅(東京)

8位★相川浩一(東京)

8位★相川浩一(東京)

9位★近藤賢司(東京)

9位★近藤賢司(東京)

10位★井上 浩(大阪)

10位★井上 浩(大阪)

11位★中武克雄(大阪)

11位★中武克雄(大阪)

12 位★山田幸浩(東京)

12 位★山田幸浩(東京)

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レポート/
吉田真人
写真/
徳江正之
[ 月刊ボディビルディング 2009年1月号 ]

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