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ミスター&ミス日本 言いたい放題覆面座談会

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[ 月刊ボディビルディング 2009年1月号 ]
掲載日:2017.05.23
ボディビルが大好きだというマニアックなファンの方々にお集まり頂き、08年度の日本ボディビル選手権大会をテーマとした座談会を行いました。ひいきの選手に対する個人的な思い入れや偏見などを含んだ意見もありますが、熱く盛り上がる座談会になりました。そして、オリジナルの順位を決めるなど、正式な順位とは違った、観客目線での順位発表もあります。

〈ミス日本について〉

◆メンバー
戸川純一さん(仮名)‥ 30代前半のサラリーマン
東山翔太さん(仮名)‥ボディビルにはまった大学生で一番若い20代
大森勝男さん(仮名)‥ボディビルのことは任せておけという元気な50代
今野哲夫さん(仮名)‥辛口の事情通40代

(選手について)
司会‥本日は覆面座談会にお集まり頂きましてありがとうございます。早速ですが、先ごろ行われたミス日本を観戦された皆さんに、大会観戦の感想等をお話して頂きたいと思います。まず、大会に出場した選手についてお話し下さい。ただし、選手個人を中傷するような言葉は厳禁ですよ。配慮を持ってお願いします。
5連覇を達成した西本選手の優勝には、座議会メンバーも文句なし。女王の風格が漂っているという意見も

5連覇を達成した西本選手の優勝には、座議会メンバーも文句なし。女王の風格が漂っているという意見も

大森‥それでは、上位の選手から順番に話をさせてもらいます。まずは西本さんですけど、優勝は妥当だろうね。
戸川‥そうですね、他の選手を圧倒した女王の風格を感じましたよ。
東山‥文句なしの優勝って感じでしたね。それにしても、5連覇っていうのは凄いな。
戸川‥それから、2位の今村さんですけど、毎年体を変えてきている感じがしますね。いつも自分でテーマを持って取り組んでいる気がします。以前は仕上がりが良い選手という印象だったのですが、最近ではサイズも出てきたように思います。その辺が水間さんを逆転した結果として順位に現れたのではないでしょうか。
大森‥そうかもしれないね。それにしても、今年の水間さんは張りがなかったね。特にバックポーズの下半身の仕上がりの甘さは気になったよ。
東山‥それに、何だか暗い表情していたし…。
司会‥調子が悪かったのかもしれませんね。恵良さんについてはどうでしょうか?
戸川‥恵良さんも毎年色々と変えてきている選手の一人だと思います。特にポージングは非常に工夫していると思います。今までは大澤さんが目立っていたのですけれども、最近では恵良さんにインパクトが出てきたように感じました。
大森‥見方によっては恵良さんが3位でも良かったんじゃないかと思ったよ。
戸川‥そうですね。それくらいインパクトがありましたね。
大森‥今村さんの2位は妥当だろうね。皮膚の薄さというのが際立っていて、カットがよく見えていたからね。それに比べ、水間さんはちょっと張りがないような感じを受けたよ。
戸川‥水間さんは大きいし、他の選手と比較してみると良いのは分かるんですけど、今回はちょっと元気がなかったですね。存在感で言えば、恵良さんの方が目立っていたような気がします。
東山‥仕上がりの差もあったんじゃないかな?
司会‥仕上がりと言えば、特に秋山さんは仕上がりが甘かったようですが、どのように見えましたか。
今野‥秋山さんは大きいのは分かるんですが、仕上がりがね…。
大森‥ハードじゃないのは秋山さんの体質的なものかもしれないけど…、でも、ステージパフォーマンスは秀でていると思ったよ。特に表情の豊かさなどは入賞者の中では一番だったんじゃないかな。
戸川‥そうですね、表現力がありますね。でも、仕上がりが厳しくないので、見劣りしてしまいますね。サイズはあるのですけど…。
東山‥それじゃ、何が評価されたんでしょうね。
今野‥サイズでしょうね。
戸川‥サイズと今までの実績でしょうか。
大森‥アジア大会とか海外でも活躍しているので、そのあたりもあるでしょうね。
司会‥過去実績が順位に影響を与えているとお考えなのですね。しかし、それもポーズ表現やサイズあってのことでしょう。それでは、相馬選手はどうでしょうか。
戸川‥ミス東京では振るわなかった相馬さんですけど、今回はミス東京で優勝した天童さんを抑えて6位ですから立派ですね。
大森‥フレームが大きいので、西本さんと渡り合えるのはやっぱり相馬さんだよね。それに、結構仕上がりも良かったし、インパクトが凄くあった。それに、ここは弱いという大きな欠点がない。
戸川‥確かにそうですね。でも、フリーポーズになると動きが…。西本さんは動きがとても洗練された感じを受けたのですけど、相馬さんは、ちょっと雑な印象を受けたので、サイズが同じ位でもちょっと…。
大森‥逆に言えば、改善できる余地があるという事だろうね。
座談会メンバーの評価が高かった相馬選手。近い将来、西本選手と渡り合える可能性を秘めた選手だ

座談会メンバーの評価が高かった相馬選手。近い将来、西本選手と渡り合える可能性を秘めた選手だ

大澤選手は前回よりも順位を落としたが、バランスの良さや表現力の巧みさを評価すればやや低かったという意見が多かった

大澤選手は前回よりも順位を落としたが、バランスの良さや表現力の巧みさを評価すればやや低かったという意見が多かった

評価が低いと言えば、足立選手もいつも報われていないような気がする。これといった欠点もない上に仕上がりも良いはずなのに…

評価が低いと言えば、足立選手もいつも報われていないような気がする。これといった欠点もない上に仕上がりも良いはずなのに…

今回予選落ちした選手の中で,一番評価が高かったのが清水選手。ここ数年でかなり良くなってきている

今回予選落ちした選手の中で,一番評価が高かったのが清水選手。ここ数年でかなり良くなってきている

司会‥可能性を秘めた選手だということでしょうね。大澤選手はどうでしょうか?
戸川‥大澤さんは、過去に3位まで上がったのに順位を下げましたね。でも、悪くも見えなかったのですが…。
大森‥そこまで順位を下げるかな、という気がしたのだけれど、良い時に比べると一回りサイズダウンしている感じを受けたよ。それでも、ポージングに関しては良かったんじゃないかな。
戸川‥そうですね、綺麗なポージングでした。
東山‥ 「大澤選手、いいとこ行くんじゃない?」って言っている人が周りに多かったけど、早く呼ばれて「あれっ?」って感じになっていましたよ。ポーズ表現は上手な感じがしたけど…。
大森‥バランスが良いよね。小柄だけれど、それを感じさせない。
戸川‥そうですよね。バランス的に好きなタイプです。
今野‥でも、ミス東京を獲った時と比べると、小さい感じがしましたよね。それが、サイズダウンなのか、張りがないのか、それはよく分からないのですけれど…。仕上がり自体は悪くなかったですよ。カットもありましたし。ただ、一番良い時期を知っているので、小さく見えてしまう。それでも、他の選手と比べて7位というのは、ちょっとどうかなって感じがしましたね。
大森‥そうですよね。それから、足立さんもなぜか評価されませんよね。なぜでしょうかね。
戸川‥欠点は少ないですよね。
大森‥下半身はけっこう安定しているので、上体をもう一回りバルクアップさせれば、という気がするけれど、だからと言って、どこが悪いというわけではない。
今野‥仕上がりもけっこう良かった気がしますしね。
司会‥見方によって選手の評価に違いが出てしまうのかもしれませんね。次は天童選手についてお願いします。
戸川‥今年の天童さんは良かった。ジャパンオープンと東京の両方を制しましたからね。自信に満ちていたのを感じましたよ。
今野‥そうですか?私はそれほど良くなかったように感じましたけどね。アウトラインは良いんですけれど、立体感がないですよね。
戸川‥ミス東京で天童さんに僅差で敗れた清水さんも良かったと思うんですけど、差がついてしまいましたね。
大森‥セミファイナルで落ちたんですけど、悪くなかったですよね。
戸川‥清水さんは、東京オープンに出て来た頃から比べると、随分大きくなっていますよ。ああいう変化を見ていると、変化してきている選手を評価してもらいたいと思います。毎年同じような出来で出てくる選手よりも、冒険して何かを成長させた人の評価をあげてもらいたいと思いますね。
司会‥選手の頑張りにしっかりと目を凝らして審査してもらいたいものですね。次は勝選手についてお願いします。
今野‥全盛期に比べるとバルクがかなり落ちた気がします。昔は完璧なバルクタイプのビルダーだったんですけど…。
大森‥ここ数年、西日本とかに出てきていて、すごく甘かったんだけれども、今回は絞れていましたよね。
今野‥仕上がりは良かったのですけれど、絞り込むことによって、バルクも落ちたな、という気がしました。
司会‥坂本選手についてはどうでしようか。
今野‥昔は直線的なタイプだったのですけれど、最近は女性らしさがついてきたようですね。しかし、それが逆に彼女の個性を消しているようにも感じますね。どちらかと言えば、大きさとかバルクで押して欲しいなと思っていたビルダーなので、私の期待から路線が変わってしまいました。元のバルク型に戻して、仕上がりを詰めていけば面白いと思います。
司会‥山野内選手はどうでしょうか。
今野‥顔と体のギャップがありますよね。顔は美人系で、体は男性的ですよね。
戸川‥個人的には、ファイナルに残れるのかなあ、と思ったのですが、それこそ清水さんあたりが11位、12位に入って、山野内さんが落ちるのではないのかな、と思っていました。でも、仕上がりは確かにいいですよね。

(順位について)

司会‥選手に対するマニアックな意見をありがとうございました。次は、各自でお考えになったミス日本の順位についてお話下さい。
戸川‥ (1位西本、2位今村、3位恵良、4位水間、5位相馬、6位大澤、7位秋山、8位足立、9位天童、10位勝、11位坂本、12位山野内)

1位、2位は文句なしですね。水間さんは元気がなかったので、恵良さんが3位ですね。相馬さんは思っていた以上に良かったので5位です。あとは、大澤さんが6位。7位が秋山さん。足立さんの8位はいいと思いますけど…天童さんあたりまではそのままでいいかな。10、11、12は…う―ん、ここら辺は難しいですね。セミファイナルの選手と比べてみたいくらいです。この3人で残ったとするなら、この順位で妥当だと思います。
今野‥ (1位西本、2位今村、3位相馬、4位足立、5位大澤、6位水間、7位恵良、8位天童、9位秋山、10位勝、11位坂本、12位山野内)

私は、仕上がりの悪い選手やアウトラインが悪い選手は好きではないんですよ。水間さんも今回は下半身が甘かったので、今回の順位は出来過ぎですね。相馬さん、大澤さん、足立さんを評価しているので、この3人が上に行くべきで、水間さん、恵良さん、秋山さんはもっと下に行くべきだと思います。
大森‥ (1位西本、2位今村、3位相馬、4位恵良、5位水間、6位大澤、7位天童、8位足立、9位秋山、10位坂本、11位勝、12位山野内)

1位の西本さんと2位の今村さんはやっぱりそのままだね。3位は期待感を含めて相馬さん。恵良さんはアウトラインに問題があるんだけれども、ここまで筋肉を作っていることは評価すべきと思いましたね。5位6位は、大澤さんと水間さんを比較して、水間、大澤の順です。10~12位は好みがあると思うのだけれど、好みで言えば、10位坂本さん、11位にバルクで勝さん、そして12位は山野内さんだね。
東山‥ (1位西本、2位今村、3位恵良、4位大澤、5位相馬、6位足立、7位水間、8位秋山、9位天童、10位勝、11位山野内、12位坂本)

フラットな人があまり上位にいない方がいいと思うんですよ。秋山さんは甘かったけど、ステージングは凄く良かったと思います。
司会‥それでは最後に、今後のミス日本大会に期待するものがあれば聞かせて下さい。
大森‥西本さんのフレームの大きなV6のチャンピオンがいるので、期待するとすれば、やはり、相馬さんですよね。それから、バランスとかアウトラインの面で秀でている大澤さんにも頑張って欲しいね。
戸川‥そうですね、このあたりの人が優勝争いに入ってくると面白いですよね。
大森‥女子のボディビル人気も上がってくるだろうね。
東山‥それから、もっと若い人に出てきてもらいたいですね。
戸川‥筋肉を逞しく見せるスポーツだから…、若い人にそれを求めるのは難しいですけどね。でも、その中で女性的というものが必要になりますよね。
大森‥それが、イコール結果に出るかどうかというのは審査基準が曖昧だから…。
戸川‥それでも、西本さんはこれだけ大きくなっても女性らしいって見てくれる人が多いと思うんですよ。一つの完成形かもしれませんね。
東山‥顔の問題も大きいと思うんだよな…。

参加して頂いた有志の方々の意見を合わせて、覆面座談会オリジナルのミス日本の順位を決めてみました(表参照)。選手の特徴や仕上がりを詳しく研究しているマニアックな方々だけに、的確に選手の実力を判断していると思います。読者の皆さんのお考えはいかがでしょうか?

〈ミスター日本について〉

座談会のメンバーを入れ替え、今回は女性にも参加してもらいました。女性視線での意見も聞かせてもらおうと思います。

◆メンバー
梨本里香(仮名)‥20代のボディビル好きの観戦オタク
岩井光男(仮名)‥ボディビルの歴史はすべて見届けているという頑固オヤジで50代
大木俊夫(仮名)‥ボディビル情報を集めまくっている20代のマニアックサラリーマン
三上雅夫(仮名)‥はっきりした物言いが信条の40代の中間管理職
トーマス・キャロル(仮名)‥日本大好きで来日から約10年の米国人教師30代

(選手について)
司会‥本日はお忙しい中、お集まり頂きましてありがとうございます。ミスター日本について、皆さんのストレートな意見をお聞かせ下さい。それではまず、ミスター日本のファイナリストについての意見を聞かせて下さい。まずは優勝した合戸選手についてお願いします。
合戸選手の連覇にも、メンパー一致で文句なし。40代半ばを過ぎても、年々パルクアップをし続けているのには驚き

合戸選手の連覇にも、メンパー一致で文句なし。40代半ばを過ぎても、年々パルクアップをし続けているのには驚き

岩井‥年齢を感じさせないバルクはさすがだね。去年よりさらにバルクアップしていたのには驚いたな。仕上がりも厳しくて、優勝は文句なしだと思うよ。
大木‥そうですね。自信にも満ちていましたし、文句なしだったと思います。
三上‥僕も、出てきた瞬間に優勝だと思いましたね。インパクトがありましたよ。
岩井‥広げるポーズの完成度では欠点がないわけではないけれども、それを凌駕するような筋量と仕上がりが備わっていたよね。
大木‥ポージングも少しずつ工夫してきて、狭く見えないようにする努力が見えました。やはり、勝ち続ける人は工夫していくのですね。
キャロル‥みんなさんの意見に協調するだけではつまらないので、否定的な意見を言わせてもらいます。合戸さんの体は、私にとって憧れる体ではないですね。勝ったことは認めますけど、「あの体になりたい」とう魅力的な体ではないですね。詰まった感じにまとまっている感じでした。
司会‥実力と憧れは別だということですね。では須江選手についての意見を聞かせて下さい。
三上‥上体に関しては良かったですよね。でも、上体だけの迫力だけではトップは取れないんだと強く感じました。上体に見合った脚が付けば、世界選手権でも評価されるんじゃないですかね。それから、カラーリングの問題ですけど、相川選手などは、右脚のカットが全く見えなくなっていて、あのカラーリングについてはもったいないと感じましたね。須江選手に関しても、昔のほうがドライに見えていた気がしますね。カラーリングについては賛否両論あるとは思うんですけど。
岩井‥合戸選手はカラーリングが上手くなっているよね。昔は顔と体の色が全く違っていて、暗闇の中に顔が浮かび上がっているような感じがあったけど。今回はそういった違和感がなかったな。須江君に関しては、上体の迫力では合戸さんに引けを取っていなかったので、それだけに、脚と上体とのバランスが取れていない感じが残念だったよ。
大木‥そうですね。でも、弱点はありますけど、背中に関しては凄いですよ。ラットスプレットで背中を広げた時に腕と背中に隙間がなくなってしまうという…。
三上‥あれは本当に特異な感じがしますよね。
大木‥あの背中は全てのビルダーの羨望の的でしょうね。個人的には一番好きなタイプのビルダーなので、2位になってくれて凄く嬉しかった。客観的に見ると合戸さんの方が良いのでしょうけど、やっぱり気持ち的にもう一つ上がって欲しいです。
梨本‥でも、世界大会に出た時には順位が逆転することがありませんか…?
岩井‥見る審査員によって評価が変わってくるのだろうね。
大木‥世界大会だと基準が違うのでしょうかね。やはり、インパクトがある人のほうが評価されるということなのでしようか?
三上‥日本みたいな独特な審査基準じゃないのでしょうね。もし世界基準に合わせたら、日本で評価されない人も世界で評価される可能性がありますよ。
須江選手のラットスプレッドは天下一品。一昔前と比べると脚もかなり改善されてはいるが、それでもまだ弱いか

須江選手のラットスプレッドは天下一品。一昔前と比べると脚もかなり改善されてはいるが、それでもまだ弱いか

座談会メンバーの評価では2位がつけられた木澤選手。今年はバルクを残して,しっかり仕上げてきた。インパクトの強さは合戸選手以上!

座談会メンバーの評価では2位がつけられた木澤選手。今年はバルクを残して,しっかり仕上げてきた。インパクトの強さは合戸選手以上!

鈴木選手もメンバーの高評価を得た。丸みを帯びた筋肉は外国人みたいとの声も

鈴木選手もメンバーの高評価を得た。丸みを帯びた筋肉は外国人みたいとの声も

初出場で入賞をした山田選手は、今後への期待が大きい。特徴のあるアウトラインと腕の太きは目を引く

初出場で入賞をした山田選手は、今後への期待が大きい。特徴のあるアウトラインと腕の太きは目を引く

司会‥日本では世界基準の審査ではないのですね。それでは、海外でも評価が高い谷野選手についてお願いします。
三上‥谷野選手については、「今年はダメだな」と感じました。腕が細くなってしまっていると感じました。
大木‥存在感がイマイチなかったですね。元気もなかったですよ。すごくアピールする人なのに、あんまり前に出てこない感じがしました。
梨本‥そうですね、谷野さんに関しては、やはりインパクトが足りないと感じました。
岩井‥例年の自信満々の感じが伝わってこなかったよね。谷野さんの独特の動きにしても、あまりアピールを感じなかった。
大木‥淡々とやっているように感じましたね。あまり谷野さんに目がいかなかったですよ。
司会‥厳しい意見が続きますね。それでは木澤選手に移りましょう。
大木‥良かったですよね。
三上‥サイドチェストなんか凄く良いですよね。谷野選手を確実に喰っているなって思いましたね。ボディビルの基本であるバルクを着実に付けてきているじゃないですか。これで広げるポーズにもう少し幅が出たら面白いと思いました。
岩井‥そうですね。一つ一つの筋肉の塊、それと質感をすごく感じましたね。今中選手と並んで比較していると、今中さんがスムーズに見えるのに対して、木澤君のゴツゴツした筋肉の密度をすごく感じましたよ。
キャロル‥大会の時のインパクトで審査するとしたら、木澤選手の優勝でも良いのではないかと思いました。
司会‥木澤選手の評価は高いですね。次は下田選手についてお願いします。
今中選手(左)と下田選手はメンバ―の期待をやや裏切ってしまった

今中選手(左)と下田選手はメンバ―の期待をやや裏切ってしまった

大木‥私が一番期待していたのが、実は下田選手だったのです。去年はものすごくインパクトがあったので、今年は悪くても表彰台だろうと思っていたんですよ。ところが、今年は仕上がりが苦しい感じがして残念でした。
梨本‥下田選手はバルクのインパクトだけの感じがしました。特に木澤さんと比べたら、フラットだったと感じました。バルクのインパクトは凄いと思いましたけれどね。
三上‥バランス的にはどうですかね。やっぱり、上半身と下半身のバランスが良くないじゃないですか。あとは、背中の凹凸感。
岩井‥そうだね、フラットに見えるよね。脚なんかも太いのだけれど、割と直線的な四角い感じの脚をしているからね。去年は、今中、木澤、下田の同じような大きさを持つビルダーの中で一番厳しく仕上げてきたハルクが浮上してきた感じがしたけどね。
大木‥そうですね。そのまま行くのかな、という位の迫力があったのですけれど。
岩井‥今年は、木澤君が顔まで小さくなるくらい絞っていたので、逆にハルクが目立たなくなってしまったようだね。
キャロル‥下田選手は直線的な体だけど、サイズが圧倒的なので目立っていたようですね。イメージ的には、白人的な下田選手、そして黒人的な木澤選手という感じがしました。丸みのある黒人独特な筋肉を持っているのが木澤選手で、白人のような骨格の大きな体を持っているのが下田選手です。
司会‥なるほど、それは面白い視点ですね。それでは、次は今中選手についてお願いします。
三上‥彼に関してはちょっと…。だって完全に外しているじゃないですか。6位というのはないかなと思いましたね。
梨本‥今回はいい順位を付けてもらい過ぎたんじゃないかと思いました。
キャロル‥トップ10を外してもおかしくないのではと思うぐらい甘いと思いました。過去の実績や貢献でその順位付けてもらったのでしょうか。
岩井‥JPCで優勝した時のイメージは、凄い重量感があって、インパクトを感じたのだけれども…。
三上‥写真などで何度も見たけれども、あの時を超えた仕上がりやバルクはないですよね。あの頃は凄かったですよね。
岩井‥直ぐにミスター日本の頂点に立つんじゃないかなと思ったけどね。
三上‥JPCで優勝した時の、あの時のインパクトのまま出たら面白かったんじゃないかな。
司会‥厳しい意見も出ていますが、今中選手への期待が大きいことの裏返しでしょうか。それでは鈴木選手についてお願いします。
大木‥去年より良かったと思います。サイズを残そうとすると仕上がりが甘くなってしまったり、仕上がりを良くすると肩が小さく見えてしまったりという特徴があったのですが、今回はどちらも良くなっている気がしました。
三上‥フロントポーズは大体そつがなかった感じがしますね。問題は背中ですね。やっぱり凹凸感が上位陣と比べるとちょっと不足している気がしましたね。
岩井‥顔が大きいんだよな。でも、顔を隠して見ると、外人選手のような凄い体をしているよ。
キャロル‥この中で一番魅力があるかもしれませんね。
三上‥筋肉が丸っこいですからね。
梨本‥年々良くなってきているような気がします。また来年が楽しみですね。
大木‥そうですよね。目に見えて年々良くなってきていますよ。だから、見ていて面白いんですよね。
岩井‥やはり、年々変えて行ける選手を評価していってあげないと面白くないよね。今年の鈴木君は上位陣と比較されたのだけれど、結局はいつもとそれほど変わらない順位だったよね。
司会‥評価を上げるというのは大変なことなのですね。それでは相川選手についてお願いします。
仕上がりの良かった近藤選手(左)と相川選手。サイズに変化が見られなかったのが、順位を伸ばせなかった要因か

仕上がりの良かった近藤選手(左)と相川選手。サイズに変化が見られなかったのが、順位を伸ばせなかった要因か

(順位について)

大木‥ (1位合戸、2位須江、3位木澤、4位谷野、5位相川、6位鈴木、7位下田、8位近藤、9位井上、10位今中、11位山田、12位中武)
三上‥ (1位合戸、2位須江、3位木澤、4位下田、5位谷野、6位鈴木、7位相川、8位今中、9位近藤、10位山田、11位井上、12位中武)
岩井‥ (1位合戸、2位木澤、3位須江、4位下田、5位谷野、6位鈴木、7位相川、8位今中、9位近藤、10位井上、11位山田、12位中武)
梨本‥ (1位合戸、2位須江、3位木澤、4位下田、5位谷野、6位鈴木、7位相川、8位今中、9位近藤、10位山田、11位井上、12位中武)
キャロル‥ (1位鈴木、2位木澤、3位合戸、4位須江、5位谷野、6位下田、7位今中、8位相川、9位近藤、10位井上、11位中武、12位山田)
司会‥さて、覆面座談会メンバーが考えたオリジナル順位表のように出ましたが、どうでしょうか?
岩井‥やはり正式な順位とは違った結果が出ましたね。
キャロル‥大会の正式な順位については、いつも同じ人が審査をやっていれば、変化を求めないし、保守的になりますからね。韓国からあれだけ役員が来てくれたのだから、審査員をやってもらったらいいんじゃないでしょうか。そうなると、全然順位が変わってくるんじゃないかと思いますよ。
三上‥確かに審査に関して言えば、何でこいつをこの比較にいれるのかな、という変な比較があった。
キャロル‥ジムのオーナーが審査をやっている以上進歩はないでしょうね。ジムのオーナーは全員審査から外すべきですよ。自分のジムにいる選手を可愛がりたいという心理が働くのは当り前のことですから。
司会‥審査についてもいろいろな意見があるようですね。他にも何かありますか。
大木‥今回は比較審査が少なかった。あれでは納得のいかない選手も多いんじゃないですか。あんな6人も並べて比較して、分かるんですか。私は観ていても比較できませんでしたよ。3人くらいがせいぜいのような気がしますけどね。
キャロル‥6人並べてやるんだったら、審査する位置を考えるべきでしょうね。もっと後ろに下がって見るとかね。僕らは遠くで観ていたんだけど、審査員とはだいぶ違った見え方をしていた気がしますよ。
大木‥でも、下がれば下がるで、細かいカットなどが見えなくなってしまいますよね。
キャロル‥それだったら、審査員のところにモニターを置くなりして、遠目から見たアウトラインをチェックできるようにするとかね…。
三上‥世界基準を採用しないんですかね。選手の最終的な目標は世界に行くことじゃないですか。それなら、世界基準を日本でやっていれば、そこに行った時に戦いやすいんじゃないですかね。リラックスにしても大きく脚を開いてリラックスなんて世界のどこに行ってもないですよね。それから、ボディカラーですけど、ドリームタン一種類だけしか使えないなんてありえませんよね。プロもドリームタンは使わないようですよ。今はジャンタナのほうが多いようです。ドリームタンは10年前に終わっている商品ですからね。それを頑なに使わせ続けるのは、選手が可哀そうだと思いますよ。
キャロル‥それから、ちょっと気になったんですけれど、大会が儀式化しているというか、なんだか盛り上がりに欠けていたようですね。ここは見せるところだから観客を盛り上げよう、これは選手をしっかり評価してあげよう、ここは功労賞で評価してあげようなど、運営サイドはもっと飽きさせないような工夫をしないとね。例えば、功労賞だけど…。
三上‥昼休みにやっちゃうとか…。表彰されるほうは楽しみなんでしょうけど。
岩井‥1時間くらいやっているからね。1時から始まって、2時くらいまでセレモニーでしょ。
キャロル‥あれは何で表彰されているんでしょうかね。
大木‥連盟に長年貢献したとか…。
キャロル‥そういうことをクローズアップして表彰しなければならないんじゃないですかね。観客は、ただ表彰されているなって思っているだけですから。功労賞なら、「こういうことで貢献しました、拍手をお願いします」みたいな…。

この後も有志の皆さんの話は続き、更にヒートアップしていきました。ファンならではの熱い思いが感じられる、実りある座談会となりました。ファンによる本音の意見がボディビル界を支え、発展に導いていくことになるのでしょう。今後もこうした本音の意見をお聞きしたいと思います。有志の皆さん、本日はどうもありがとうございました。
記事画像13
座談会メンバーオリジナル順位(ミス)
1位 西本朱希
2位 今村直子
3位 相馬貴子
4位 恵良律子
5位 大澤直子
6位 水間詠子
7位 足立晃子
8位 秋山加津美、天童あゆみ(同点)
10位 勝あゆみ
11位 坂本涼子
12位 山野内里子

座談会メンバーオリジナル順位(ミスター)
1位 合戸孝二
2位 須江正尋、木澤大祐(同点)
4位 谷野義弘
5位 下田雅人、鈴木雅(同点)
7位 相川浩一
8位 今中直博
9位 近藤賢司
10位 井上 浩
11位 山田幸浩
12位 中武克雄
文責/本誌編集部

[ 月刊ボディビルディング 2009年1月号 ]

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