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CENTRAL JAPAN BODYBUILDING & FIGURE CHAMPIONSHIPS 7月27日(土)横田基地

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写真&レポート/吉賀俊行[ 月刊ボディビルディング 2013年10月号 ]
掲載日:2017.06.13

インクレディブル!豊永明志 さらなる進化を遂げて圧勝!!

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自由の国アメリカに小旅行した気分が味わえるアメリカンなコンテスト、セントラルジャパンが横田に帰ってきた。2010年以来、諸事情で開催が見送られてきたのだが、昨年の横須賀大会の折にパトリック・コールマン氏から「BIG TOE、来年は横田でセントラルを開催するからね」と耳打ちされていた。その約束が実現したのだ。

期限が来年に迫ったパスポートを片手に、まるで久しぶりのアメリカ旅行に向かうような気分で東京都福生市の横田基地のゲートに立った。セントラルジャパンも今回で13回目を数え、単なる日米親善のお祭りチックなコンテストではなく、その規模は年々拡大され、選手のレベルも年々高くなってきており、そのステイタスも確固たる物となってきている。2年のブランクを待ちに待って、満を持して参戦してくる選手もきっと居ることだろう。究極の筋肉バトルの期待とともに幕は切って落とされた。

フィギュア

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フィギュアの部。左より5位マリコ・フジタ、3位バーバラ・ローマン、1位ミスティ・ソウエル、2位バーバラ・ローマン、4位マイア・マーチン


大会を華やかな雰囲気にしてくれるフィギュア部門のエントリーは11名。セントラルジャパンでは、出場選手が一人ずつ呼び出され、ステージ中央で前面、左右の側面、バックの自然体をクォーターターンで見せてからステージの左右にウォーキング、そして得意ポーズを決めるファッションショー形式で始まり、全選手が揃った時点で比較に入る方法で行なわれる。審査基準は、トレーニングで鍛えた筋肉だけでなく、女性らしいライン、立ち居振る舞いで評価される。緩みがなく適度な筋発達で丸みを帯びたヒップ、大腿部、引き締まったウエスト、背中をすべてクリアした上位選手から抜きん出たのは、モデルレベルのウォーキング、ポーズ、笑顔で観客の心をとらえたミスティ・ソウェルであった。

マスターズ

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マスターズの部。左より5位ランゾ・ネスミス、2位原まさひろ、1位三富ひろし、3位川名将信、4位ラッセル・モーガン


男子マスターズは、三富、原、川名の日本人ベテランビルダーの上位争いとなった。ベテランらしく隙のない川名の仕上がり、筋肉のバルクとマッシブさでは原の充実ぶりが目を惹く。この両ベテランを打ち負かしたのは、そのスケールの大きさと戦いに向かう一番の気合を見せた三富だった。

バンタム級

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バンタム級。左より4位小川みきと、3位赤澤範昭、1位リカルド・マエバラ、2位清水まさくに、5位小泉ようじ


圧倒的なバルクを持つ赤澤範昭が甘い。それゆえ優勝の行方は混沌としたものになった。非常に仕上がりが厳しく執念とも思える気合を感じさせるリカルドが、身長に比したバランス、シンメトリーに優れた清水まさくにを破り、涙の優勝に輝いた。

ライト級

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ライト級。左より5位アキラ・ドス・サントス、2位ラファエル・ノトヤ、1位樋口えいじ、3位野田てつや、4位阿部せいじ


全選手仕上がりが良く、実力が拮抗したライト級であったが、その中でも地味ではあるが、最も完成度が高く玄人好みのする樋口えいじがタイトルを手中に収めた。

ミドル級

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ミドル級。左より4位小川ゆうじ、2位クリスチャン・ウエチ、1位エリック・シュミット、3位レイ・カーミケル、5位伊勢龍顕


昨年の横須賀大会優勝の小川ゆうじが目立たない。黒人特有の野性味あふれるキュッと上がったボディラインがエリックの筋肉をさらに輝かせる。クリスチャンも丸みのある筋肉を身に纏い仕上がりに優れ、レイはバランスが良く長身からくる細さを感じさせない。この三つ巴のバトルを僅差でエリックが制した。

ライトヘビー級

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今大会一レベルの高かったライトヘビー級。左より1位豊永、2位吉川、3位佐々木。優勝候補の佐々木は、仕上がりが甘く3位に甘んじた


今大会の最大の話題となったのは、やはりライトヘビー級だろう。戦前の予想では、JPC、NPCチャレンジカップ、セントラルジャパンの覇者である堺部元行を、昨年の横須賀大会で圧倒し優勝、2009年の本大会でもミドル級でヘビー級の小野豊を破って総合優勝した超カット豊永明志と、超バルクビーフこと佐々木晋の一騎討ちが予想されたからだ。超バルクのビーフがしっかり仕上げてくれば、その優勝の行方はわからない。いよいよラインナップだ。

まず、ビーフが登場。でかい。その身長、フレームにもうこれ以上筋肉の上乗せは出来ないだろうと思わせるバルクだ。しかし、豊永の登場と同時に優勝の期待はもろくも崩れ去ることになる。昨年の横須賀大会で豊永のインプルーブぶりに驚かされた記憶がまだ新しいのだが、この瞬間に再び驚愕させられることになる。昨年以上に重量感が増している。噂では8kgくらい体重が増加しているとのことだが、昨年に勝るとも劣らないカットを備えているのだ。ステージ上を歩くだけで臀部、大腿部からカーフにかけて、まるで筋肉の緊張が伝わっていくのが目に見えるように筋線維が浮かび上がる。バックダブルバイセップスをとれば、背中はまるで解剖図のように、筋線維と、その上を走る血管までもが葉脈のように浮かび上がるのだ。

横で観戦していた基地のアメリカ人が「ワオ!!人間の体とは思えない!」と呟いたのが、そのすさまじさを如実に表している。豊永の優勝は、彼が登場した瞬間で決定した。

私見だが、おそらく日本人ビルダーで今の彼を上回るバルクと仕上がりを体現出来るビルダーは、他には存在しないのではないだろうか。2位には、やはりバルク派ビルダーでありながら、仕上がりの厳しさでビーフを上回った吉川寛が入賞。ビーフは3位に甘んじた。進化を続ける豊永を一体誰が止めるのか、いつまで勝ち続けるのか。豊永から目が離せない。

ヘビー級

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ヘビー級。左より5位杉本たかし、4位アルバート・トヨタ、1位ジェームス・ストークス、2位ステファン・マッティオリ、3位橋澤慧


昨年の横須賀大会の再戦となるジェームスとステファンの一騎討ちは、再びジェームスに凱歌が上がった。両選手とも長身でスケールの大きな似たタイプだが今回も脚の差が勝敗をわけたようだ。
写真&レポート/
吉賀俊行
[ 月刊ボディビルディング 2013年10月号 ]

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