フィジーク・オンライン
  • トップ
  • コンテスト
  • 吉田進のぶらりパワー旅 第一回アジアクラシックパワーリフティング選手権 コインバトールって知ってますか? 12 月10 日~ 14 日/インド・コインバトール

吉田進のぶらりパワー旅
第一回アジアクラシックパワーリフティング選手権
コインバトールって知ってますか?
12 月10 日~ 14 日/インド・コインバトール

この記事をシェアする

0
[ 月刊ボディビルディング 2013年4月号 ]
掲載日:2017.07.31

ホテルにて

 2012年12月15日土曜日。今、インドはコインバトールという町のホテルでこの記事を書いている。すでに1週間以上ここにこもっているというのに、ホンの少ししかいなかったような気もすれば、ずっと長い間ここにいるような気もする。不思議な1週間。

 パワーリフティングの国際大会は、特に最近、大会ホテルの宴会場で開催されることが増えてきている。大会会場になるぐらいの大きい宴会場があるホテルでないと実施不可能だが、四つ星ホテルなら可能だ。インドにも四つ星ホテルは増えている。

 コインバトールのパークプラザホテルは外観こそシンプルだが、中に入ると昔のインドからは想像できないモダンなホテル。宴会場の大きさは200人ぐらいの観客がようやく入るぐらい。

 ホテルですべてを行うと、まず送迎が必要なくなる。選手は検量からウォームアップ、試合まで全てがホテルだから、疲れたら部屋に戻ればいいので、圧倒的に楽。特にインドでの試合は治安から考えて全てホテルでということが常識になってきた。

 逆に言うと、下手をするとホテルの外に一歩も出ない日々が続くことになる。私の日時の感覚が狂ってしまったのは、先週の金曜日の深夜にここに到着して以来、ホテルの外に出たのは今週の木曜日だけということが影響しているのだろう。今思い出しても、全てがなんだか夢の中の出来事のようだ。
大会会場ともなった今回のオフィシャルホテル。外観はシンプルだ が、中はかなりモダンな造りだ

大会会場ともなった今回のオフィシャルホテル。外観はシンプルだ が、中はかなりモダンな造りだ

インドの町並み

インドの町並み

OCTとICTを同時に?

 私が到着した次の日、つまり1週間前の土曜日。ホテルのロビーに降りて行くとジャック・マーカスがニコニコして待ちうけていた。彼はIPFが指名したDCO、つまりドーピングコントロールオフィサー。今回の抜き打ちテスト(OCT)のためにわざわざアメリカからほぼ2日間かけてコインバトールまで来ていたのだ。試合は月曜日から始まるから、土曜日、日曜日でなるべく多くのOCTを実施する計画。

 インドは一昨年、昨年とドーピング陽性者を連続で多数出したために来年2013年は1年間の出場停止になる予定。今年は要観察国に指名されている。抜き打ちを含め陽性者が一人でも出るとその瞬間から出場停止が始まる。IPFのメインターゲットはインド。 さらに最近は中東もIPFからにらまれ始めている。イランは現在出場停止中。アフガニスタン、イラクも今年一人ずつ陽性者が出ている。

 ジャックは選手リストを手に持ってOCT予定者が到着するのをロビーで待ちかまえていた。最初に到着した韓国はリストに入っていないが一人テスト。日本もリストに入っていないが二人テスト。こんな感じでどんどんテストしている。「何人の予定?」と聞くと、「キットは25セット持ってきた。全部使うつもりはないが、なるべく多くのインド選手をやりたい。後はイラク、アフガンもやりたい」しかしインドの選手団は来ない。

 日曜日になってもインドの選手は来ない。来たのは月曜日の朝9時20分。開会式の直前だった。 WADAのルールによると、試合の12時間前まではOCT。それ以降はICT(試合でのドーピングテスト)。ジャックはどんどん他の国の選手でOCTをしたが、結局インド人は一人も抜き打ちテストできなかった。情報がどこかで漏れて、意図的に遅れてホテルに到着したのかもしれない。

 われわれAPFは、IPFの抜き打ちに関係なくICTを15検体ほど行う予定だったし、実際5日間で15名行った。一つの国際大会で二つの組織が別々にOCTとICTを行った珍しい例となった。

クラシックパワーリフティング

 ボディビルではクラシック大会が国際大会で盛り上がってきている。日本でも選手の数は増えている。

 一方パワーリフティングはクラシックパワーという名前こそ新しいが、実態としての「ノーギヤパワーリフティング」は歴史がある。ベンチシャツ、スーパースーツ、ニーラップなど記録向上効果のあるギヤを着ないパワーリフティングのことだ。日本ではギヤを着けないからノーギヤ。世界では同じ意味でRAW(生)、あるいはUnEquiped (ギヤなし)とも言われてきたが、IPFは今年からクラシックと呼ぶことを正式に決めた。

 アジアの中で日本はクラシックで一歩も二歩も先んじている。しかし今までアジアや世界に繋がる大会がなかったが、今年からは、アジアにつながるということで、第一回にもかかわらず20名近い選手団となった。アジアでは日本はクラシック先進国だ。

選手は集まるのだろうか?

 今回の第一回大会でどれだけの選手が集まるかは主催国インドも心配したし、私も心配だった。しかし、事前申し込みの反応は上々で200名を超えた。

 現在のIPFのシステムでは各国ともに事前申し込みで入っている名前以外の選手を最終申し込みで入れてはいけないことになっている。運営を考えると歓迎すべきルールだ。このルールだと、最初に調整して事前申し込みより少ない数で最終申し込みをする国が増えた。

 と言うことで、今回は事前申し込みからはだいぶ減って130人ほどの大会となった。APFとしては第一回大会だから100人ぐらいしか集まらない場合もあるかも、と思っていたので、これでも上々と一安心した。理由はアジアではクラシック・パワーリフティングがまだ新しい概念だからだと思う。しかし急速に普及していく予感はある。

クラシックは戦い方が違う

 試合は開会式、閉会式、サヨナラパーティを入れて5日間。一般の(フルギヤの)アジア大会が300人を6日、あるいは7日でこなすことを考えれば楽勝だ。

 試合進行はフルギヤの場合とずいぶんと違う。一番違うのは選手の重量選択。

 ギヤを着こんでいると、かなり重たくしないとスクワットでは十分にしゃがみにくいとか、ベンチプレスではバーを胸に付けにくいということで、結構ぎりぎりの重量でスタートする選手が多い。いい意味ではスタートからハラハラする。スタートから比較的失敗が多いのは、スタート重量が時には高すぎるからだろう。最初から緊迫感があって、試合から目を離せないという面もある。

 しかしクラシック大会では(選手の経験不足もありそうだが)、スタート重量が軽い。ぎりぎりに出ると、後が続かない。だから失敗がない。第2試技に大きく飛ぶ選手も少なくない。大きく飛ばしてくるのは第3試技。だからゆったりとした気分で試合が始まり、徐々に試合の緊張度が高まり、第3試技でクライマックスを迎える感じだ。

 フルギヤで始めから緊張感たっぷりも面白いが、最後にものすごい集中力も見る方は楽しい。選手たちの間にもやや穏やかな空気が流れているのもうなずける。
開会式(写真上)と一般男子ベストリフター

開会式(写真上)と一般男子ベストリフター

軽量級は日本の圧勝

 まずは第1日目の結果から。

●59㎏級一般の部 藤井裕崇 優勝
 ベンチプレス130㎏はアジア新。
● 59 ㎏級ジュニア 久保元人 優勝
 3種目すべてがアジアジュニア新記録。ジュニア・ベストリフター3位。デッドリフト210㎏は一般の部のアジア新記録。
●59㎏級M4 川中章義 優勝
 3種目すべてがM4アジア新記録。
●66㎏級サブジュニア 芦原健 優勝
 サブジュニアの世界記録標準を超えて優勝。現在世界記録申請中。
●66㎏級ジュニア 渕上靖貴 2位
 練習ではぎりぎりの重さに挑戦しないので、この大会でパワーリフティングの本当の魅力に目覚めたとか。
●66㎏級M2 中村英明 優勝
 3種目すべてがM2アジア新記録。学校の先生で「早く帰って成績をつけなくっちゃ」と一足先に帰国。ご苦労様。
●66㎏級M3 赤城英治 優勝
 脳梗塞を起こしても完全復活を果たし、3種目すべてM3アジア新記録。

日本選手強い、強すぎる! 続いて2日目、3日目。

●74㎏級一般の部 芦原 徹 優勝
 3種目すべてが世界クラシック新記録。とてつもなく強い選手が日本から出てきたと、アジアのみんなを驚かせた。一般の部のベストリフター獲得。
●74㎏級一般の部 渋谷優輝 3位
 ゴールドジムに勤務しながらパワーリフティングに励む。彼の影響でパワーリフターが徐々にゴールドジムで育っているとか。
●74㎏級M1 野田貴廣 優勝
 変なレフリーに変な合図を送られ得意のベンチプレスで災難。デッドリフトの日本新記録で挽回し勝利。「 『パワーリフティング入門』が教科書」とうれしいことを言ってくれた。
●74㎏級M1 原 哲 2位
 このクラスはうれしい日本のワンツーフィニッシュ。ノーギヤの選手はデッドリフトが強い印象。
●74㎏級M3 蜂須 貢 優勝
 3種目すべてアジア新記録。ボディビルとパワーリフティングを両立させるスーパーおじさん。今年のボディビル日本社会人大会60歳以上優勝。日本マスターズ60歳以上でも3位。さよならパーティで脱いでしまった大学教授。ブラボー!
●74㎏級M4 安居民雄 優勝
 同じ富山県からの参加の川中と合わせてM4ダブル勝利。富山県はM4の宝庫?
●83㎏級 一般の部 佐名木宗貴 優勝
 彼もボディビル出身。11年は日本クラス別で3位と活躍。12年の4月から本格的にパワートレーニング開始、そしてあっという間にアジアチャンピオン。バルキーな体とすごい集中力で他を圧倒した。記録635㎏。「2日目まではインドには二度と来たくないと思ったけど、最後の2日間はもう帰りたくないと思った」というインドに対する名言を発する。
●83㎏級 一般の部 神野亮司 2位
 日本人同士の戦いでベンチプレスは互角だったが、スクワットとデッドリフトで差を広げられた。うれしい日本のワンツーフィニッシュ。●83㎏級M1 鈴木康之 優勝 このクラスは接戦だった。日本2名、カザフ、インドが入り乱れて戦った。鈴木は3種目に平均した力を出し優勝。
●83㎏級M1 長谷川靖 4位
 鈴木と同じ千葉県出身。最後のデッドリフトを引き切りながらも赤判定。これでインド、カザフに逆転され涙の4位。この悔しさを次に生かしてほしい。がんばれ金髪坊主の床屋さん!

重くなっても日本踏んばる

 アーノルド大会を見ると世界的には100㎏以上が重量級という感じだが、アジアでは93㎏以上ということにしておこう。

●93㎏級 一般の部 中嶌 章 優勝
 重くなってくると中央アジアや旧共産圏の国々が強くなってくる。その中で他を引き離して圧勝。まだトレーニング歴は浅いからこれからどこまで強くなるか。仕事を辞めてトレーニングに集中するという一途さを持っている。
●93㎏級M1 松田龍哉 2位
 ウズベキスタンの選手とサブトータルで並んだが、デッドリフトで引き離された。しかし堂々とした戦いぶり。「チームの皆さんの試合に臨む姿から多くを学びました」
●120㎏級M2 二宮正晴 優勝
 今回の日本チーム団長。集中力が素晴らしかった。でかい声で気合一発。立ち上がって感触が良ければ判定が出る前にもう笑顔。このクラスで他を大きく引き離して圧勝。日本チームのムードメーカー。
●+120㎏級一般の部 越久田匡利 3位
 カザフ、レバノンの強豪に挟まれながらも初めての国際大会で頑張った。「素晴らしい体験でした。胸に刻んで頑張ります」ちなみに優勝のカザフ、アレキサンダーはデッドリフトで340㎏。すごい!

 紅一点を忘れてはいけない。
●72㎏級女子一般の部 上田早穂 2位
 フィリピンのレミー選手が強かったが、全然見劣らなかった。たった1年ぐらいの経験でここまで戦うとは! パワーに入る前は歌を歌うことが趣味。応援の時の声も大きいし、表彰式では君が代をソプラノで歌って、会場の大喝采。スポーツは何もやってこなかったというから驚きだ。

 アジアクラシックの全記録はJPAのホームページで。http://www.jpa-powerlifting.or.jp/world/worldmain-2012.htm

 今回の日本チーム。強かっただけでなく、まとまりもよかった。雰囲気も良かった。みんなで応援し、みんなで支えあい、みんな友達になり、みんなで笑い、みんなで悔しがった。そして多くの思い出を持って日本各地に散って行った。まとめ役の二宮団長ご苦労様でした。
写真上より藤井、久保、川中、渕上、原

写真上より藤井、久保、川中、渕上、原

写真上より芦原(健)、赤城、渋谷、蜂須

写真上より芦原(健)、赤城、渋谷、蜂須

写真上より中村、芦原(徹)、野田、安居

写真上より中村、芦原(徹)、野田、安居

写真上より佐名木、鈴木、中蔦

写真上より佐名木、鈴木、中蔦

写真上より神野、長谷川、上田

写真上より神野、長谷川、上田

松田

松田

二宮

二宮

越久田

越久田

ドーピングテストで異変

 まずOCTで。大会の始まる前、ジャックは2人のイラクの選手をOCTテストに指名した。2人の選手は10分後ぐらいにドーピングテスト室に来たが、様子がおかしかったと言う。 まともそうな選手一人とコーチを部屋の外のエレベータロビーで待たせ、様子の変な選手からすぐに採尿。この選手にも別のコーチは付いていた。採尿したものの、どう見て水のような透明な液体。ジャックが比重を調べると、WADAの規定を全然満たさないほど薄い。

 この選手には取り直しを命じ、部屋の外で待機しているはずのもう一人の選手を呼ぶといない。コーチごと消えてしまっている。探すと部屋に戻っていて、すごすご出てきたらしい。そしてその選手から採尿するとまた極端に薄い。やり直し。これを二人に二度ずつ。 深夜になってしまったので、コメントを付けて、最初よりはちょっと濃くなった尿でシールをしたと言う。

 これを聞いて直感したのは利尿剤。利尿剤そのものが違反物質になると思うが、もし違反にならないものがあったらどうなるのか? 2人の選手共にそんなことをするということは、チームぐるみじゃないのか?

 ICTでも不思議なことがあった。

 試合中合計2人のイラク選手がテストに指名された。一人は同じく極端に薄い尿。これを否定して取りなおしたらしいが、やはり不思議なことだ。指名した瞬間からシャペロンがついているのに。

 もう一人は逃亡しそうになったという。しかしどんなことが起こったのかはNADA(インドの検査機関)の人間が帰った後に話を聞いたので、正確にはわからない。かなりのバタバタ騒ぎになったらしい。

 イラク、意外ときっちりした国だと思ったのは印象だけだったのか? チームぐるみでドーピングテストを回避しようとしていることがはっきりしたら、間違いなく出場停止。問題はそれを証明することが可能かどうかだ。

謎1

 74㎏級M1野田選手のベンチプレス第2試技。「スタート」の合図で野田はバーベルを胸に下ろした。普通ここで一瞬バーベルが止まったことを主審が確認した瞬間「プレス」の合図がかかる。

 しかし野田の場合、主審は何も言わない。確かに下ろした瞬間、バーベルは胸の上で微妙に弾んだから、それを待ったとしても1秒かからないぐらいのうちに「プレス」がかかるはずだ。

 3秒、5秒。主審固まったまま。野田は律義に胸の上に挑戦重量を載せたまま我慢している。

 やがて10秒ぐらいたってからだろうか、場内がざわざわして何が起こっているのか不思議に思っているころ、「プレス」野田、力尽きて押すことができない。主審になぜこんなに遅いのかと、陪審員の私は聞きに行く。「バーがどんどん沈んでいくから」「アホか! 10秒もほっといたらつぶれて行くだろう。止まった時は選手の息も止まっちゃってるよ」とは言わなかったけれど、すぐさま再試技を要求するかどうかセコンドに聞く。「やります」と言うことでやり直し。

 今度は「スタート」と言うところで「プレス」と叫ぶ主審。野田、一瞬ぴくっと動くが、おかしいなと思いながらそのまま支え続ける。重たいバーを支え続けるとどんどん選手は消耗する。そのあと再び10秒ぐらいして「プレス」がかかるが当然失敗。

 さらにこの試技をキャンセルし、もう一度やり直し。でも力尽きた野田は押すことができない。野田の悲惨なベンチ体験となってしまった。

謎2

 男子93㎏級。イラクの選手が2人出場。

 陪審員席から見ているときは、選手の顔ではなく、動きに注目している。しかし、2人目のイラクの選手が出てきたとき、思わず「なんだか最初の選手と似ている。双子かな?」とつぶやいてしまった。

 第2試技、この選手が220㎏で立ち上がれずバーベルを前に落とす。意図的に落としたら失格だが、補助がひ弱で、タイミング的にちょっと遅かったので、厳重注意。イラク、もう一人の番になっても、もう一人は出てこない。

 第3試技。最初の選手はさっき落とした選手のはずだが、顔を見たことのない選手が出てきて成功。あれ??

 2人目、今度もさっきの顔を見たことのない選手が出てきたので、さすがに試合を止める。

 事情をイラクのコーチに聞くが英語ができないので、らちが明かない。2人の名前を逆にしてコールしたと言っているが、同じ人間が2回?

 意味不明のまま、この選手に試技を許可したが、失敗。さっきの落とした選手は会場からいなくなっていた。

 後で、じっくり調べたら、第1ラウンドで同じ選手が二度試技(双子ではなかった。本人だった)。第2ラウンドではこの選手が一回だけ出てきてバーベルを落とし、そこで試技をやめてしまった。第3ラウンドでは今度は別の選手が2回試技をした。

 2人とも失格にしようと思っていたら、言い渡すチャンスもないままに二人とも姿をくらましてしまった。今回のイラクチーム、いったいどうなっているのか?

やれやれの土曜日

 不思議なことが起こりつつも、昨日金曜日、大会は終わった。

 カザフの重量級三人のうち2人は、フルギヤで世界でも活躍している選手。スクワットは120㎏級のブラディミール・ゴルベフが312.5㎏。デッドリフトでは+120㎏級のアレクサンダー・キムが340㎏。素晴らしい強さだ。

 イラクを除くとドーピング疑惑のある選手は、私の直感ではほとんどいない(OCT、ICT合わせて約30検体採取したので、いずれ結論は出るはず)。

 日本以外ではクラシックパワーはまだまだ始まったばかり。大会を続ければ、必ずレベルは上がってくるはず。アンチドーピングが徹底すれば、日本人は必ず活躍できると思った。

 そんなことを考えるうちに怒涛のサヨナラパーティ。団体成績とベストリフター成績、および表彰式の後、食事とダンスタイムとなった。アジアでは試合が終わると必ずダンス。

 昨日のパーティはホテルの屋上のプールサイド。いつもは強烈に盛り上がる団体戦やベストリフター表彰は、ややおとなしかった。これもフルギヤとクラシックの違いなんだろうか?

 強烈な音量の生バンドで気を失いそうになりながらも、屋上の涼しい風は気持ち良かった。

 そのパーティさえがずっと前のことのように思える、次の日、土曜日。思い出しながら書いているが、あっという間にチェックアウトの時間が迫ってきた。これから24時間かけて、日本に戻らなければならない(インドって意外と遠い)。

 日本に戻るということは日常生活に戻ること。チョット億劫。この1週間は夢だったみたいだ。
マスターズボディビルの日本チャンピオンでもある 蜂須。サヨナラパーティではポーズを披露

マスターズボディビルの日本チャンピオンでもある 蜂須。サヨナラパーティではポーズを披露

文と写真:吉田進(アジアパワーリフティング連盟会長)
[ 月刊ボディビルディング 2013年4月号 ]

Recommend